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2018年10月25日
乳製品摂取増加が,死亡・心血管リスクを低下
乳製品摂取増加が,死亡・心血管リスクを低下/Lancet
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/27
低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、
乳製品の摂取が、
死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連する
ことが明らかにされた。
カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、
Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。
21ヵ国13万6,384例について関連を評価
研究グループは、乳製品全体および特定の乳製品と、
死亡および重大心血管疾患との関連を調べる
「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)試験」を行った。
試験は5大陸・21ヵ国(アルゼンチン、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、インド、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、パキスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ共和国、サウジアラビア、スウェーデン、タンザニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ジンバブエ)から
35〜70歳の13万6,384例が参加した大規模多国籍コホート試験であった。
参加者の乳製品摂取量を、検証済みの国別の食事摂取頻度調査票を用いて記録した。
乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズとし、これらを全脂肪と低脂肪の乳製品に分類した。
主要評価項目は、死亡または主要心血管疾患イベントの複合
(心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中または心不全と定義)とした。
参加者の中央クラスター形成を説明するために
ランダム切片・多変量Cox frailtyモデルを用いて、
ハザード比(HR)を算出して評価した。
摂取総量が多いほど複合イベント発生リスクは低い
2003年1月1日〜2018年7月14日のフォローアップ9.1年間で、
1万567件の複合イベントが記録された
(死亡6,796件、主要心血管疾患5,855件)。
乳製品摂取総量が多いほど複合イベントの発生リスクは低かった
(非摂取を参照とした場合の>2サービング[SV]/日のHR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75〜0.94、
傾向のp=0.0004)。
イベント別にみると、
総死亡(0.83、0.72〜0.96、傾向のp=0.0052)、
非心血管死(0.86、0.72〜1.02、傾向のp=0.046)、
心血管死(0.77、0.58〜1.01、傾向のp=0.029)、
主要心血管疾患(0.78、0.67〜0.90、傾向のp=0.0001)、
脳卒中(0.66、0.53〜0.82、傾向のp=0.0003)については
リスクの低下がみられたが、
心筋梗塞については有意な低下が観察されなかった
(0.89、0.71〜1.11、傾向のp=0.163)。
乳製品別にみると、
牛乳(>1SV vs.非摂取のHR:0.90、95%CI:0.82〜0.99、
傾向のp=0.0529)および
ヨーグルト(0.86、0.75〜0.99、傾向のp=0.0051)は、
摂取量が多いほど複合イベントの発生は低い関連が認められた。
チーズについては複合イベント発生について有意な関連が認められなかった(0.88、0.76〜1.02、
傾向のp=0.1399)。
なお、バターの摂取量は少なく、
臨床アウトカムとの有意な関連はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.90〜1.33、
傾向のp=0.4113)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Dehghan M, et al. Lancet. 2018 Sep 11. [Epub ahead of print]
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/27
低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、
乳製品の摂取が、
死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連する
ことが明らかにされた。
カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、
Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。
21ヵ国13万6,384例について関連を評価
研究グループは、乳製品全体および特定の乳製品と、
死亡および重大心血管疾患との関連を調べる
「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)試験」を行った。
試験は5大陸・21ヵ国(アルゼンチン、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、インド、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、パキスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ共和国、サウジアラビア、スウェーデン、タンザニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ジンバブエ)から
35〜70歳の13万6,384例が参加した大規模多国籍コホート試験であった。
参加者の乳製品摂取量を、検証済みの国別の食事摂取頻度調査票を用いて記録した。
乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズとし、これらを全脂肪と低脂肪の乳製品に分類した。
主要評価項目は、死亡または主要心血管疾患イベントの複合
(心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中または心不全と定義)とした。
参加者の中央クラスター形成を説明するために
ランダム切片・多変量Cox frailtyモデルを用いて、
ハザード比(HR)を算出して評価した。
摂取総量が多いほど複合イベント発生リスクは低い
2003年1月1日〜2018年7月14日のフォローアップ9.1年間で、
1万567件の複合イベントが記録された
(死亡6,796件、主要心血管疾患5,855件)。
乳製品摂取総量が多いほど複合イベントの発生リスクは低かった
(非摂取を参照とした場合の>2サービング[SV]/日のHR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75〜0.94、
傾向のp=0.0004)。
イベント別にみると、
総死亡(0.83、0.72〜0.96、傾向のp=0.0052)、
非心血管死(0.86、0.72〜1.02、傾向のp=0.046)、
心血管死(0.77、0.58〜1.01、傾向のp=0.029)、
主要心血管疾患(0.78、0.67〜0.90、傾向のp=0.0001)、
脳卒中(0.66、0.53〜0.82、傾向のp=0.0003)については
リスクの低下がみられたが、
心筋梗塞については有意な低下が観察されなかった
(0.89、0.71〜1.11、傾向のp=0.163)。
乳製品別にみると、
牛乳(>1SV vs.非摂取のHR:0.90、95%CI:0.82〜0.99、
傾向のp=0.0529)および
ヨーグルト(0.86、0.75〜0.99、傾向のp=0.0051)は、
摂取量が多いほど複合イベントの発生は低い関連が認められた。
チーズについては複合イベント発生について有意な関連が認められなかった(0.88、0.76〜1.02、
傾向のp=0.1399)。
なお、バターの摂取量は少なく、
臨床アウトカムとの有意な関連はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.90〜1.33、
傾向のp=0.4113)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Dehghan M, et al. Lancet. 2018 Sep 11. [Epub ahead of print]
2018年10月24日
風疹、関東中心に流行続く...昨年の約7倍 女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得
風疹、関東中心に流行続く...昨年の約7倍
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、
女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である。
関東地方(東京,千葉,埼玉,神奈川)及び愛知県を中心にした風疹の流行が続いている。
国立感染症研究所は26日、9月16日までの1週間で新たに127人の患者が報告されたと発表した。
1週間の報告数が100人を超えたのは2週連続。
今年に入ってからの累計は642人となり、昨年の7倍近くに達している。
都道府県別にみると、東京が前週から39人増え196人と最も多かった。次いで千葉161人(前週比38人増)、神奈川68人(同14人増)、埼玉42人(同7人増)と続いた。
関東地方以外では、愛知の36人(同8人増)が目立つ。また、感染が確認されていなかった滋賀と愛媛で新たに2人の報告があった。
首都圏と近畿地方が多いが、急速に全国に感染が拡大している。
報告患者の9割が成人であり、
男性が女性の約3.5倍である。
男性は20〜40代に多く、女性は20代に多い。
風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。
症状は不顕性感染から、
重篤な合併症併発まで幅広く、
臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患である。
発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現するが、
発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である。
風疹に伴う最大の問題は、
感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が感染したことにより、
風疹ウイルス感染が胎児におよび、
先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群が出現することにある。
妊娠中の感染時期により重症度、症状の種類が様々である。
先天異常として発生するものとしては、
先天性心疾患(動脈管開存症が多い)、
難聴、
白内障、
色素性網膜症などが挙げられる。
先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、
低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられる。
また、進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがある。
『治療・予防』
特異的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法のみである。
弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われている。
1回接種で,95%,2回接種で,99%の免疫が獲得でき,予防できる.
我が国では1977年8月〜1995年3月までは中学生の女子のみが風疹ワクチン定期接種の対象であった。
1994年の予防接種法改正により、
1995年4月からその対象は生後12カ月以上〜90カ月未満(標準は生後12カ月〜36カ月以下)の男女に変更になった。
また経過措置として、12歳以上〜16歳未満の中学生男女についても接種の対象とされた。
学校での集団接種は保護者同伴で医療機関を受診して受ける個別接種に変更となり、
幼児の接種率は比較的高かったが、中学生での接種率は激減した。
これを受けて、2001年11月7日〜2003年9月30日までの期間に限って、
1979年4月2日〜1987年10月1日生まれの男女はいつでも定期接種(経過措置分)として
受けられる制度に変更になったが、
対象者にこの情報は十分に伝わらず、接種率上昇には繋がらなかった。
2006年度からMR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期接種に導入され、
1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)の2回接種となった。
また、2007年に10〜20代を中心とした麻疹の全国流行を受けて、
2008年度〜2012年度の時限措置として、
中学1年生(13歳になる年度)あるいは高校3年生相当年齢(18歳になる年度)の者を対象に、
2回目の定期接種が原則MRワクチンで行われることとなった。
2回目の接種機会は、生年月日により、小学校入学前1年間(第2期)、中学1年生(第3期)、高校3年生相当年齢(第4期)の違いがあるが、第4期の接種率は特に大都市圏で低かった。
定期予防接種率の上昇と2回接種制度の効果により小児の抗体保有率は高くなり、2歳以上のHI抗体保有率(HI価8以上)は概ね90%以上であった。
一方、成人では
男性の30代(73〜84%)、
40代(81〜86%)では、
女性(97〜98%)と比較して11〜25ポイント抗体保有率が低かった。
20代は男性90%、女性95%と男性がやや低く、
50歳以上は男性88%、女性89%で男女差はなかった。
妊婦健診でHI価<8(陰性)、8,16の低抗体価の者には、産後早期のワクチン接種が推奨されている。
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、
女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である。
感染症法における取り扱い (2018年2月2日現在)
「風しん」は全数報告対象(5類感染症)であり、
診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。
「先天性風しん症候群」は全数報告対象(5類感染症)であり、
診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出なければならない。
学校保健安全法における取り扱い (2013年5月1日現在)
風しんは第2種の学校感染症に定められており、
「発しんが消失するまで出席停止」
とされている。
ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。
(国立感染症研究所感染症疫学センターHPより抜粋)
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、
女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である。
関東地方(東京,千葉,埼玉,神奈川)及び愛知県を中心にした風疹の流行が続いている。
国立感染症研究所は26日、9月16日までの1週間で新たに127人の患者が報告されたと発表した。
1週間の報告数が100人を超えたのは2週連続。
今年に入ってからの累計は642人となり、昨年の7倍近くに達している。
都道府県別にみると、東京が前週から39人増え196人と最も多かった。次いで千葉161人(前週比38人増)、神奈川68人(同14人増)、埼玉42人(同7人増)と続いた。
関東地方以外では、愛知の36人(同8人増)が目立つ。また、感染が確認されていなかった滋賀と愛媛で新たに2人の報告があった。
首都圏と近畿地方が多いが、急速に全国に感染が拡大している。
報告患者の9割が成人であり、
男性が女性の約3.5倍である。
男性は20〜40代に多く、女性は20代に多い。
風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。
症状は不顕性感染から、
重篤な合併症併発まで幅広く、
臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患である。
発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現するが、
発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である。
風疹に伴う最大の問題は、
感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が感染したことにより、
風疹ウイルス感染が胎児におよび、
先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群が出現することにある。
妊娠中の感染時期により重症度、症状の種類が様々である。
先天異常として発生するものとしては、
先天性心疾患(動脈管開存症が多い)、
難聴、
白内障、
色素性網膜症などが挙げられる。
先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、
低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられる。
また、進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがある。
『治療・予防』
特異的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法のみである。
弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われている。
1回接種で,95%,2回接種で,99%の免疫が獲得でき,予防できる.
我が国では1977年8月〜1995年3月までは中学生の女子のみが風疹ワクチン定期接種の対象であった。
1994年の予防接種法改正により、
1995年4月からその対象は生後12カ月以上〜90カ月未満(標準は生後12カ月〜36カ月以下)の男女に変更になった。
また経過措置として、12歳以上〜16歳未満の中学生男女についても接種の対象とされた。
学校での集団接種は保護者同伴で医療機関を受診して受ける個別接種に変更となり、
幼児の接種率は比較的高かったが、中学生での接種率は激減した。
これを受けて、2001年11月7日〜2003年9月30日までの期間に限って、
1979年4月2日〜1987年10月1日生まれの男女はいつでも定期接種(経過措置分)として
受けられる制度に変更になったが、
対象者にこの情報は十分に伝わらず、接種率上昇には繋がらなかった。
2006年度からMR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期接種に導入され、
1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)の2回接種となった。
また、2007年に10〜20代を中心とした麻疹の全国流行を受けて、
2008年度〜2012年度の時限措置として、
中学1年生(13歳になる年度)あるいは高校3年生相当年齢(18歳になる年度)の者を対象に、
2回目の定期接種が原則MRワクチンで行われることとなった。
2回目の接種機会は、生年月日により、小学校入学前1年間(第2期)、中学1年生(第3期)、高校3年生相当年齢(第4期)の違いがあるが、第4期の接種率は特に大都市圏で低かった。
定期予防接種率の上昇と2回接種制度の効果により小児の抗体保有率は高くなり、2歳以上のHI抗体保有率(HI価8以上)は概ね90%以上であった。
一方、成人では
男性の30代(73〜84%)、
40代(81〜86%)では、
女性(97〜98%)と比較して11〜25ポイント抗体保有率が低かった。
20代は男性90%、女性95%と男性がやや低く、
50歳以上は男性88%、女性89%で男女差はなかった。
妊婦健診でHI価<8(陰性)、8,16の低抗体価の者には、産後早期のワクチン接種が推奨されている。
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、
女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である。
感染症法における取り扱い (2018年2月2日現在)
「風しん」は全数報告対象(5類感染症)であり、
診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。
「先天性風しん症候群」は全数報告対象(5類感染症)であり、
診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出なければならない。
学校保健安全法における取り扱い (2013年5月1日現在)
風しんは第2種の学校感染症に定められており、
「発しんが消失するまで出席停止」
とされている。
ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。
(国立感染症研究所感染症疫学センターHPより抜粋)
2018年10月23日
「細切れでも、とびとびでも運動は、効果がありますよ」
「細切れでも、とびとびでも運動は、効果がありますよ」
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さん【糖尿病外来NGワード】
公開日:2016/12/06 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。
■外来NGワード
「運動する時間をつくりなさい!」
「休みの日なら運動できるでしょ!」
「運動できないなら、もっと食事に気を付けなさい!」
■解説
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という言葉の裏には、
「運動したいと思っているが、まとまって運動する時間がとれない」という気持ちがあります。
まずは、「若いころはどんなスポーツや運動をやっていたのですか?」
と過去の運動歴を確認してみましょう。
運動習慣がある人なら、ウォーキングや筋トレなどの運動方法は、熟知しているはずです。
次に、「運動は20分以上しないと効果がない」と勘違いしていないかを確認します。
もし、「20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と勘違いしているようなら、
最新の運動に関するエビデンスを紹介し、
1回10分×3回の細切れ運動でも、1回30分の運動と同等の体力や減量に効果があることを説明します。
運動は習慣化が重要です。
最初は1日に2回の細切れ運動からスタートします。
「1日の中で10分の運動ができる時間帯はありますか?」と尋ねてみます。
1駅前で降りることで、通勤時の行き帰りに10分×2回の運動ができる人がいます。
休み時間に運動の時間をつくる人もいます。
これらの患者の心理とエビデンスを知ったうえで、「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さんには、次のように話してみてはいかがでしょうか?
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師:運動のほうはいかがですか?
患者:運動不足なのはよくわかっているんですが、運動する時間がなかなかとれなくて…。
医師:なるほど。若いころはどんなスポーツや運動をされていましたか?(過去の運動歴の確認)
患者:学生時代はサッカーをしていました。
医師:そうでしたか。それなら、走れる体力はありそうですね。
患者:それが、なかなか走れる時間がとれなくて…。
医師:なるほど。それなら、いい方法がありますよ。
患者:それは何ですか?(興味津々)
医師:「昔は20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と考えられていたんですが、
実はそうではないんです。
患者:私もそう思っていました。
医師:1回30分の運動でも、1回10分の運動を3回する細切れ運動でも、
トータルで30分なら同じような効果が得られるそうですよ(細切れ運動を紹介)。
患者:そうなんですか!?
医師:そうなんです。それを週に5回行うことができれば、
週に150分の運動となり、減量や血糖改善に効果が上がると思いますよ
(週当たりの目標を説明)。
患者:それなら、スキマ時間に歩くようにしてみます(うれしそうな顔)。
■医師へのお勧めの言葉
「細切れ運動でも効果がありますよ!」
参考文献
1)Murohy MH, et al. Med Sci Sports Exerc. 1998;30:152-157.
2)Schmidt WD, et al. J Am Coll Nutr. 2001;20:494-501.
3)Jakicic JM, et al. Int J Obes Relat Metab Disord. 1995;19:893-901.
4)Jakicic JM, et al. JAMA. 1999;282:1554-1560.
5)Vlachopoulos D, et al. BMC Public Health. 2015;15:361.
6)Eguchi M, et al. Ind Health. 2013;51:563-571.
7)Samuels TY, et al. Prev Med. 2011;52:120-125.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さん【糖尿病外来NGワード】
公開日:2016/12/06 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。
■外来NGワード
「運動する時間をつくりなさい!」
「休みの日なら運動できるでしょ!」
「運動できないなら、もっと食事に気を付けなさい!」
■解説
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という言葉の裏には、
「運動したいと思っているが、まとまって運動する時間がとれない」という気持ちがあります。
まずは、「若いころはどんなスポーツや運動をやっていたのですか?」
と過去の運動歴を確認してみましょう。
運動習慣がある人なら、ウォーキングや筋トレなどの運動方法は、熟知しているはずです。
次に、「運動は20分以上しないと効果がない」と勘違いしていないかを確認します。
もし、「20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と勘違いしているようなら、
最新の運動に関するエビデンスを紹介し、
1回10分×3回の細切れ運動でも、1回30分の運動と同等の体力や減量に効果があることを説明します。
運動は習慣化が重要です。
最初は1日に2回の細切れ運動からスタートします。
「1日の中で10分の運動ができる時間帯はありますか?」と尋ねてみます。
1駅前で降りることで、通勤時の行き帰りに10分×2回の運動ができる人がいます。
休み時間に運動の時間をつくる人もいます。
これらの患者の心理とエビデンスを知ったうえで、「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さんには、次のように話してみてはいかがでしょうか?
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師:運動のほうはいかがですか?
患者:運動不足なのはよくわかっているんですが、運動する時間がなかなかとれなくて…。
医師:なるほど。若いころはどんなスポーツや運動をされていましたか?(過去の運動歴の確認)
患者:学生時代はサッカーをしていました。
医師:そうでしたか。それなら、走れる体力はありそうですね。
患者:それが、なかなか走れる時間がとれなくて…。
医師:なるほど。それなら、いい方法がありますよ。
患者:それは何ですか?(興味津々)
医師:「昔は20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と考えられていたんですが、
実はそうではないんです。
患者:私もそう思っていました。
医師:1回30分の運動でも、1回10分の運動を3回する細切れ運動でも、
トータルで30分なら同じような効果が得られるそうですよ(細切れ運動を紹介)。
患者:そうなんですか!?
医師:そうなんです。それを週に5回行うことができれば、
週に150分の運動となり、減量や血糖改善に効果が上がると思いますよ
(週当たりの目標を説明)。
患者:それなら、スキマ時間に歩くようにしてみます(うれしそうな顔)。
■医師へのお勧めの言葉
「細切れ運動でも効果がありますよ!」
参考文献
1)Murohy MH, et al. Med Sci Sports Exerc. 1998;30:152-157.
2)Schmidt WD, et al. J Am Coll Nutr. 2001;20:494-501.
3)Jakicic JM, et al. Int J Obes Relat Metab Disord. 1995;19:893-901.
4)Jakicic JM, et al. JAMA. 1999;282:1554-1560.
5)Vlachopoulos D, et al. BMC Public Health. 2015;15:361.
6)Eguchi M, et al. Ind Health. 2013;51:563-571.
7)Samuels TY, et al. Prev Med. 2011;52:120-125.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
2018年10月22日
7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響
7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響
非喫煙、BMI<25、運動習慣あり、
魚を週2回以上および野菜や果物を1日3回以上摂取、
コレステロール値<200mg/dL[未治療]、
空腹時血糖<100mg/dL[未治療]、
血圧<120/80mmHg[未治療]
:心血管にも認知機能にも好影響/JAMA
提供元:ケアネット 公開日:2018/08/31
フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、
米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、
高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの
関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象とした
コホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、
ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、
認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。
著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。
これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。
JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。
65歳以上対象に、心血管健康レベルと認知症/認知機能との関連を評価
3C研究は、フランスのボルドー、ディジョンおよびモンペリエの3都市で行われた。
対象は、ベースラインで心血管疾患または認知症の既往がなく、1999年1月〜2016年7月に、神経心理学検査と認知症発症の系統的検出を複数回受けた65歳以上の高齢者(最終追跡日は2016年7月26日)。
心血管健康レベルについて、推奨される最適水準でのライフ シンプル7(
非喫煙、
BMI<25、
運動習慣あり、
魚を週2回以上および野菜や果物を1日3回以上摂取、
コレステロール値<200mg/dL[未治療]、
空腹時血糖<100mg/dL[未治療]、
血圧<120/80mmHg[未治療]:
スコア範囲は0〜7)の実行項目数と、
心血管健康スコア(範囲:0〜14点、7項目の測定レベルで不良[0]、中程度[1]、最適[2])で評価した。
主要評価項目は、
専門委員会によって確認された認知症発症、ならびに
全認知機能の複合スコアの変化
(4つの認知機能検査のzスコアの平均値として計算、
母集団平均と等しい場合を0、
平均より1SD高値を+1、
1SD低値を−1と表記)とした。
心血管健康レベルが高いと、認知症発症リスクが低く認知機能低下が少ない
解析対象は6,626例(平均年齢73.7歳、女性4,200例[63.4%])で、
ベースラインでライフ シンプル7の実行項目数が
0〜2は2,412例(36.5%)、
3〜4が3,781例(57.1%)、
5〜7が433例(6.5%)であった。
平均追跡期間8.5年(範囲:0.6〜16.6)において、
745例が認知症を発症した。
ライフ シンプル7の実行項目数が
0〜1の場合の100人年当たり認知症発症率は1.76であったのに対し、
2項目の場合の認知症発症率絶対差は100人年当たり
−0.26(95%信頼区間[CI]:−0.48〜−0.04)、
3項目で−0.59(95%CI:−0.80〜−0.38)、
4項目で−0.43(95%CI:−0.65〜−0.21)、
5項目で−0.93(95%CI:−1.18〜−0.68)、
6〜7項目で−0.96(95%CI:−1.37〜−0.56)であった。
多変量モデル解析の結果、
認知症発症のハザード比は、
ライフ シンプル7の1項目追加当たり0.90(95%CI:0.84〜0.97)、
全認知機能スコアの1点増加当たり0.92(95%CI:0.89〜0.96)であった。
また、全認知機能スコアはライフ シンプル7の
実行項目数が1追加ごとに、
ベースラインで0.031(95%CI:0.009〜0.053)、
6年時で0.068(95%CI:0.045〜0.092)、
12年時で0.072(95%CI:0.042〜0.102)高かった。
〔9月3日 記事の一部を修正いたしました〕
(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Samieri C, et al. JAMA. 2018;320:657-664.
非喫煙、BMI<25、運動習慣あり、
魚を週2回以上および野菜や果物を1日3回以上摂取、
コレステロール値<200mg/dL[未治療]、
空腹時血糖<100mg/dL[未治療]、
血圧<120/80mmHg[未治療]
:心血管にも認知機能にも好影響/JAMA
提供元:ケアネット 公開日:2018/08/31
フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、
米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、
高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの
関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象とした
コホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、
ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、
認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。
著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。
これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。
JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。
65歳以上対象に、心血管健康レベルと認知症/認知機能との関連を評価
3C研究は、フランスのボルドー、ディジョンおよびモンペリエの3都市で行われた。
対象は、ベースラインで心血管疾患または認知症の既往がなく、1999年1月〜2016年7月に、神経心理学検査と認知症発症の系統的検出を複数回受けた65歳以上の高齢者(最終追跡日は2016年7月26日)。
心血管健康レベルについて、推奨される最適水準でのライフ シンプル7(
非喫煙、
BMI<25、
運動習慣あり、
魚を週2回以上および野菜や果物を1日3回以上摂取、
コレステロール値<200mg/dL[未治療]、
空腹時血糖<100mg/dL[未治療]、
血圧<120/80mmHg[未治療]:
スコア範囲は0〜7)の実行項目数と、
心血管健康スコア(範囲:0〜14点、7項目の測定レベルで不良[0]、中程度[1]、最適[2])で評価した。
主要評価項目は、
専門委員会によって確認された認知症発症、ならびに
全認知機能の複合スコアの変化
(4つの認知機能検査のzスコアの平均値として計算、
母集団平均と等しい場合を0、
平均より1SD高値を+1、
1SD低値を−1と表記)とした。
心血管健康レベルが高いと、認知症発症リスクが低く認知機能低下が少ない
解析対象は6,626例(平均年齢73.7歳、女性4,200例[63.4%])で、
ベースラインでライフ シンプル7の実行項目数が
0〜2は2,412例(36.5%)、
3〜4が3,781例(57.1%)、
5〜7が433例(6.5%)であった。
平均追跡期間8.5年(範囲:0.6〜16.6)において、
745例が認知症を発症した。
ライフ シンプル7の実行項目数が
0〜1の場合の100人年当たり認知症発症率は1.76であったのに対し、
2項目の場合の認知症発症率絶対差は100人年当たり
−0.26(95%信頼区間[CI]:−0.48〜−0.04)、
3項目で−0.59(95%CI:−0.80〜−0.38)、
4項目で−0.43(95%CI:−0.65〜−0.21)、
5項目で−0.93(95%CI:−1.18〜−0.68)、
6〜7項目で−0.96(95%CI:−1.37〜−0.56)であった。
多変量モデル解析の結果、
認知症発症のハザード比は、
ライフ シンプル7の1項目追加当たり0.90(95%CI:0.84〜0.97)、
全認知機能スコアの1点増加当たり0.92(95%CI:0.89〜0.96)であった。
また、全認知機能スコアはライフ シンプル7の
実行項目数が1追加ごとに、
ベースラインで0.031(95%CI:0.009〜0.053)、
6年時で0.068(95%CI:0.045〜0.092)、
12年時で0.072(95%CI:0.042〜0.102)高かった。
〔9月3日 記事の一部を修正いたしました〕
(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Samieri C, et al. JAMA. 2018;320:657-664.
2018年10月21日
HDL-C値が97mg/dLを超える男性および135mg/dLを超える女性の全死因死亡率が高い 高すぎるHDL-C値も「過ぎたるは、及ばざるが如し」だった。
HDL-C値が97mg/dLを超える男性および135mg/dLを超える女性の全死因死亡率が高い
高すぎるHDL-C値も「過ぎたるは、及ばざるが如し」だった。
HDL-C値を上昇させるだけでは、問題は解決しない!
公開日:2018/08/17
HDL-C: Is It Time to Stop Calling It the 'Good' Cholesterol?
Tricia Ward / Medscape 2018/7/27
HDLコレステロール(HDL-C)といえば、“善玉”コレステロール"
という言葉を思い浮かべる人がほとんどだろう。
しかし、HDL-Cを上昇させる
ナイアシン1) および
コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬2)
などの薬剤で有益な心血管疾患アウトカムは確認されず、
多民族の集団ベース研究では、HDL-C値がきわめて高い集団で
全死因死亡のリスクが高いことを示唆するU字型曲線が示されている。
“善玉”コレステロールという言葉の使用をやめる時期に来ているのだろうか?
Mount Sinai Icahn School of Medicine(ニューヨーク)のRobert Rosenson氏は、
この問いに対して「そのとおりだろう」と応じた。
同氏は、上記のように誤解されがちなHDL粒子の生物学をテーマとした4つの国際的な作業部会の議長を務めている。
同氏は電話による取材で、HDLが心保護作用のある細胞表面タンパク質であることを説明しながらも、
「HDLは、善玉となることもあれば悪玉となることもあり、善玉と悪玉の中間の特性を持つ粒子として機能することもある」と述べた。
同氏は、「心血管リスクを低下させるために、HDL粒子にコレステロールを取り込ませることは誤った治療戦略である」と付け加えた。
初期の試験で得られた手掛かり
皮肉なことに、HDL-Cを上昇させる薬剤に関する初期の試験のうち1件がそれを示唆していた。
Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Intervention Trialでは、
ベースラインのHDL-C値が低い男性にgemfibrozilを投与すると、
冠動脈疾患イベントが減少することが示された3) 。
しかし、2006年に実施された、同研究のサブコホートにおける核磁気共鳴(MRI)スペクトル測定法を用いた症例対照研究で、HDL-C値の緩やかな上昇の裏には、全HDL粒子、とくに相対的にコレステロールの少ない小さなHDL粒子の増加があることが明らかになった4)。
著者らは、「HDL粒子の数が多くなると、より多くのコレステロール排出が促進されるようになり、LDLの酸化変性からの保護につながるかもしれない」と推測しているが、この理論に対して、論説委員らは疑念を抱いた5)。
コペンハーゲンの2つの集団ベースコホートに登録されている10万人以上から得られた最近のデータでは、HDL-C値が97mg/dLを超える男性および135mg/dLを超える女性の全死因死亡率が高いことが示された6)。
この結果は、63万人以上が登録されているカナダの大規模コホートで得られた結果を反映しており、
このカナダ人コホートでは、
空腹時のHDL-C値が70mg/dLを超える男性および90mg/dLを超える女性で非心血管死のリスクが高かった7)。
本コホートの研究者らは、HDL-Cの極端な高値は、機能不全HDLを反映したものであるという仮説を立てた。
Rosenson氏は、いつ何時でもHDL-C値が重要視されることについて警鐘を鳴らしている。
同氏は、「重要なのはHDL粒子の数であって、コレステロールの含有量ではない」と述べた。
ロサンゼルス生物医学研究所のMatthew Budoff氏は、「HDL粒子の総数が、抗動脈硬化作用の優れた尺度であることに同意する」と電話による取材で述べた。
同氏は、HDL-Cの極端な高値が必ずしも悪い状態を示しているわけではないと考えており、このことを説明するために、卓球またはバスケットボールの球で満たされた樽を例にしてHDL-Cを立体的に表現した。
「HDL-C値が極端に高くても、多数の[小さな]HDL粒子を保有している人たちは保護されているが、HDL-C値が極端に高いうえに[小さな]HDL粒子がきわめて少ない人たちもいる」。
機能不全は、HDL-C値からは独立していると考えられる8)。
Budoff氏は、今のところ“善玉”コレステロールおよび“悪玉”コレステロールという言葉の使用を控えるつもりはないという。
なぜなら、これらの言葉は、総コレステロール値だけでは正確な評価が難しいことを患者に理解してもらうのに役立つことがわかっているからである。
同氏は、「95%の人たちにとって、[HDL-Cは]“善玉”である」と述べた。
“善玉”の意味を考える
HDL-C値の基準値は通常、
男性では40mg/dL未満、
女性では50mg/dL未満と定義されているが、
HDL-C値と冠動脈疾患との間に逆相関を認めると明らかにされたことによって9)、
HDL-C値の低下を促進する薬剤に関する研究に拍車が掛かった。
しかし、HDL-C値はライフスタイルの指標にすぎないとRosenson氏は考えており、
「HDL-C値が低い傾向が認められるのは、
運動量が多く、体重が少なく、タバコを吸わない人たちである」と述べた。
HDLが高く評価されている主な理由は、
コレステロールの逆輸送においてHDLが重要な役割を果たしているためであり、
HDLは、まるでロボット掃除機のルンバのように、コレステロールをマクロファージから吸い上げる。
さらに、HDLには抗炎症作用10) および抗血栓作用11) があり、内皮細胞機能不全を改善する作用12)もある。
このことから、HDL-CではなくHDL機能の測定を重要視すべきといわれるようになった13)。
HDLのコレステロール排出効率の測定による心血管イベントの予測能は、HDL-C値の測定よりも高いことが示されている14)。
しかし、HDLのコレステロール排出効率の測定法は臨床的に利用可能ではなく、これらの測定法またはHDLの機能をさまざまな観点から測定するその他の測定法に関する国際標準は存在しない。
何が機能不全HDLの引き金となっているのだろうか?
急性冠症候群15)、糖尿病または全身性炎症などの身体状態が、HDL粒子を心保護作用のある粒子から炎症およびLDL酸化を促進する粒子に変化させる可能性があることが、かなり以前から知られている16)。
Budoff氏およびフェローの治験責任医師らは、閉経期への移行も、HDL粒子を変化させる身体状態のリストに追加する必要があることを示唆している。
MESA studyの主要コホートでは、HDL-Cと冠動脈疾患(CAD)および頸動脈内膜中膜複合体厚(cIMT)との間に逆相関が認められた17)。
その一方で、閉経後の女性約1,500例では、HDL-CとcIMTの増加との間に正相関が認められた18)。
MRIによる分析では、小さなHDL粒子は、大きなHDL粒子と比較して閉経期の有害な変化による影響を受けにくいことも示されている。
HDL粒子は、男性および女性のcIMTと逆相関を示し、この逆相関は、アテロームを形成する粒子で補正した後も維持された。
何を測定すべきか?
HDL機能の検査に最も適したプライムタイムにこの検査の準備ができていない場合には、HDL亜分画の測定が最善の方法かもしれない。
その理由として、コレステロールが枯渇している微小なHDL粒子が、コレステロールの排出において一番重要な役割を果たしている可能性が挙げられる19)。
Rosenson氏は、HDL亜分画を測定する方法について、単純化されすぎていると認識しており、HDLには多くのサブクラスが存在し、これらを密度によって正確に識別することは不可能であると警告した。
HDLに関連するタンパク質は60種類を超えているが、ごく少量のコレステロールしか運べない粒子がほとんどである。
どのタンパク質にどのような特性があるのかについても、十分に解明されていない。
「HDL-Cを上昇させる治療法の欠点は、HDL粒子にコレステロールを取り込ませることによって、心保護において重要な役割を果たしている表面タンパク質の一部が失われてしまう点である」と同氏は指摘した。
non HDL-Cは、アテロームを形成するすべての粒子を捕捉することから、
Budoff氏およびRosenson氏はともにnon HDL-Cを高く評価している。
しかし、機能不全HDL-Cである可能性のある物質の数値がきわめて高い患者の場合はどうだろうか?
Budoff氏は、「LDL-Cが高値、HDL-Cが異常高値で、そのリスクを予測できない患者を担当する場合は、HDL粒子の数を測定する」と説明した。
このようなHDL粒子の検査キットはすでに市販されている。
さらに同氏は、該当する女性患者(同氏は、HDL-Cが100mg/dLを超えている男性を診察した覚えがない)に対しては、カルシウム値の測定を行うことも提案している。
「冠動脈内の沈着物が少なく、きれいな状態であるならば、HDLが機能していると考えられるだろう」と同氏は述べた。
その一方で、本稿で述べたHDLに関する仮説が当てはまらないケースもある。
最近の論説では、「疾患の予防因子または原因としてのHDLの役割について、まだ解明されていないことが多い13)」ことが指摘されている。
Rosenson氏は、個人的には、いわゆる“善玉”コレステロールよりもHDL粒子に着目することによって、これまでの認識をリセットし、再スタートを切りたいと考えている。
Drs Rosenson and Budoff reported no relevant financial relationships.
References
1.HPS2-THRIVE Collaborative Group, Landray MJ, Haynes R et al. Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients. N Engl J Med. 2014;371:203-212.
2.Barter PJ, Caulfield M, Eriksson M, et al; ILLUMINATE Investigators. Effects of torcetrapib in patients at high risk for coronary events. N Engl J Med. 2007;357:2109-2122.
3.Rubins HB, Robins SJ, Collins D, et al. Gemfibrozil for the secondary prevention of coronary heart disease in men with low levels of high-density lipoprotein cholesterol. Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Cholesterol Intervention Trial Study Group. N Engl J Med. 1999;341:410-418.
4.Otvos JD, Collins D, Freedman DS, et al. Low-density lipoprotein and high-density lipoprotein particle subclasses predict coronary events and are favorably changed by gemfibrozil therapy in the Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Intervention Trial. Circulation. 2006;113:1556-1563.
5.Barter PJ, Rye KA. Cardioprotective properties of fibrates: which fibrate, which patients, what mechanism? Circulation. 2006;113:1553-1555.
6.Madsen CM, Varbo A, Nordestgaard BG. Extreme high high-density lipoprotein cholesterol is paradoxically associated with high mortality in men and women: two prospective cohort studies. Eur Heart J. 2017;38:2478-2486.
7.Ko DT, Alter DA, Guo H, et al. High-density lipoprotein cholesterol and cause-specific mortality in individuals without previous cardiovascular conditions: the CANHEART Study. J Am Coll Cardiol. 2016;68:2073-2083.
8.Rosenson RS, Brewer HB Jr, Ansell BJ, et al. Dysfunctional HDL and atherosclerotic cardiovascular disease. Nat Rev Cardiol. 2015;13:48.
9.Gordon T, Castelli WP, Hjortland MC, Kannel WB, Dawber TR. High density lipoprotein as a protective factor against coronary heart disease. The Framingham Study. Am J Med. 1977;62:707-714.
10.Barter PJ, Nicholls S, Rye KA, Anantharamaiah GM, Navab M, Fogelman AM. Antiinflammatory properties of HDL. Circ Res. 2004;95:764-772.
11.Mineo C, Deguchi H, Griffin JH, Shaul PW. Endothelial and antithrombotic actions of HDL. Circ Res. 2006;98:1352-1364.
12.Bisoendial RJ, Hovingh GK, Levels JH, et al. Restoration of endothelial function by increasing high-density lipoprotein in subjects with isolated low high-density lipoprotein. Circulation. 2003;107:2944-2948.
13.Barter PJ, Rye KA. HDL cholesterol concentration or HDL function: which matters? Eur Heart J. 2017;38:2487-2489.
14.Rohatgi A, Khera A, Berry JD, et al. HDL cholesterol efflux capacity and incident cardiovascular events. N Engl J Med. 2014;371:2383-2393.
15.Besler C, Heinrich K, Rohrer L, et al. Mechanisms underlying adverse effects of HDL on eNOS-activating pathways in patients with coronary artery disease. J Clin Invest. 2011;121:2693-2708.
16.Ansell BJ, Fonarow GC, Navab M, Fogelman AM. Modifying the anti-inflammatory effects of high-density lipoprotein. Curr Atheroscler Rep. 2007;9:57-63.
17.Mackey RH, Greenland P, Goff DC, Jr, Lloyd-Jones D, Sibley CT, Mora S. High-density lipoprotein cholesterol and particle concentrations, carotid atherosclerosis, and coronary events: MESA (multi-ethnic study of atherosclerosis). J Am Coll Cardiol. 2012;60:508-516.
18.El Khoudary SR, Ceponiene I, Smmargandy S, et al. HDL (high density lipoprotein) metrics and atherosclerotic risk in women: do menopause characteristics matter? MESA. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2018 Jul 19. [Epub ahead of print]
19.Rosenson RS, Brewer HB Jr, Davidson WS, et al. Cholesterol efflux and atheroprotection: advancing the concept of reverse cholesterol transport. Circulation. 2012;125:1905-1919.
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高すぎるHDL-C値も「過ぎたるは、及ばざるが如し」だった。
HDL-C値を上昇させるだけでは、問題は解決しない!
公開日:2018/08/17
HDL-C: Is It Time to Stop Calling It the 'Good' Cholesterol?
Tricia Ward / Medscape 2018/7/27
HDLコレステロール(HDL-C)といえば、“善玉”コレステロール"
という言葉を思い浮かべる人がほとんどだろう。
しかし、HDL-Cを上昇させる
ナイアシン1) および
コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬2)
などの薬剤で有益な心血管疾患アウトカムは確認されず、
多民族の集団ベース研究では、HDL-C値がきわめて高い集団で
全死因死亡のリスクが高いことを示唆するU字型曲線が示されている。
“善玉”コレステロールという言葉の使用をやめる時期に来ているのだろうか?
Mount Sinai Icahn School of Medicine(ニューヨーク)のRobert Rosenson氏は、
この問いに対して「そのとおりだろう」と応じた。
同氏は、上記のように誤解されがちなHDL粒子の生物学をテーマとした4つの国際的な作業部会の議長を務めている。
同氏は電話による取材で、HDLが心保護作用のある細胞表面タンパク質であることを説明しながらも、
「HDLは、善玉となることもあれば悪玉となることもあり、善玉と悪玉の中間の特性を持つ粒子として機能することもある」と述べた。
同氏は、「心血管リスクを低下させるために、HDL粒子にコレステロールを取り込ませることは誤った治療戦略である」と付け加えた。
初期の試験で得られた手掛かり
皮肉なことに、HDL-Cを上昇させる薬剤に関する初期の試験のうち1件がそれを示唆していた。
Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Intervention Trialでは、
ベースラインのHDL-C値が低い男性にgemfibrozilを投与すると、
冠動脈疾患イベントが減少することが示された3) 。
しかし、2006年に実施された、同研究のサブコホートにおける核磁気共鳴(MRI)スペクトル測定法を用いた症例対照研究で、HDL-C値の緩やかな上昇の裏には、全HDL粒子、とくに相対的にコレステロールの少ない小さなHDL粒子の増加があることが明らかになった4)。
著者らは、「HDL粒子の数が多くなると、より多くのコレステロール排出が促進されるようになり、LDLの酸化変性からの保護につながるかもしれない」と推測しているが、この理論に対して、論説委員らは疑念を抱いた5)。
コペンハーゲンの2つの集団ベースコホートに登録されている10万人以上から得られた最近のデータでは、HDL-C値が97mg/dLを超える男性および135mg/dLを超える女性の全死因死亡率が高いことが示された6)。
この結果は、63万人以上が登録されているカナダの大規模コホートで得られた結果を反映しており、
このカナダ人コホートでは、
空腹時のHDL-C値が70mg/dLを超える男性および90mg/dLを超える女性で非心血管死のリスクが高かった7)。
本コホートの研究者らは、HDL-Cの極端な高値は、機能不全HDLを反映したものであるという仮説を立てた。
Rosenson氏は、いつ何時でもHDL-C値が重要視されることについて警鐘を鳴らしている。
同氏は、「重要なのはHDL粒子の数であって、コレステロールの含有量ではない」と述べた。
ロサンゼルス生物医学研究所のMatthew Budoff氏は、「HDL粒子の総数が、抗動脈硬化作用の優れた尺度であることに同意する」と電話による取材で述べた。
同氏は、HDL-Cの極端な高値が必ずしも悪い状態を示しているわけではないと考えており、このことを説明するために、卓球またはバスケットボールの球で満たされた樽を例にしてHDL-Cを立体的に表現した。
「HDL-C値が極端に高くても、多数の[小さな]HDL粒子を保有している人たちは保護されているが、HDL-C値が極端に高いうえに[小さな]HDL粒子がきわめて少ない人たちもいる」。
機能不全は、HDL-C値からは独立していると考えられる8)。
Budoff氏は、今のところ“善玉”コレステロールおよび“悪玉”コレステロールという言葉の使用を控えるつもりはないという。
なぜなら、これらの言葉は、総コレステロール値だけでは正確な評価が難しいことを患者に理解してもらうのに役立つことがわかっているからである。
同氏は、「95%の人たちにとって、[HDL-Cは]“善玉”である」と述べた。
“善玉”の意味を考える
HDL-C値の基準値は通常、
男性では40mg/dL未満、
女性では50mg/dL未満と定義されているが、
HDL-C値と冠動脈疾患との間に逆相関を認めると明らかにされたことによって9)、
HDL-C値の低下を促進する薬剤に関する研究に拍車が掛かった。
しかし、HDL-C値はライフスタイルの指標にすぎないとRosenson氏は考えており、
「HDL-C値が低い傾向が認められるのは、
運動量が多く、体重が少なく、タバコを吸わない人たちである」と述べた。
HDLが高く評価されている主な理由は、
コレステロールの逆輸送においてHDLが重要な役割を果たしているためであり、
HDLは、まるでロボット掃除機のルンバのように、コレステロールをマクロファージから吸い上げる。
さらに、HDLには抗炎症作用10) および抗血栓作用11) があり、内皮細胞機能不全を改善する作用12)もある。
このことから、HDL-CではなくHDL機能の測定を重要視すべきといわれるようになった13)。
HDLのコレステロール排出効率の測定による心血管イベントの予測能は、HDL-C値の測定よりも高いことが示されている14)。
しかし、HDLのコレステロール排出効率の測定法は臨床的に利用可能ではなく、これらの測定法またはHDLの機能をさまざまな観点から測定するその他の測定法に関する国際標準は存在しない。
何が機能不全HDLの引き金となっているのだろうか?
急性冠症候群15)、糖尿病または全身性炎症などの身体状態が、HDL粒子を心保護作用のある粒子から炎症およびLDL酸化を促進する粒子に変化させる可能性があることが、かなり以前から知られている16)。
Budoff氏およびフェローの治験責任医師らは、閉経期への移行も、HDL粒子を変化させる身体状態のリストに追加する必要があることを示唆している。
MESA studyの主要コホートでは、HDL-Cと冠動脈疾患(CAD)および頸動脈内膜中膜複合体厚(cIMT)との間に逆相関が認められた17)。
その一方で、閉経後の女性約1,500例では、HDL-CとcIMTの増加との間に正相関が認められた18)。
MRIによる分析では、小さなHDL粒子は、大きなHDL粒子と比較して閉経期の有害な変化による影響を受けにくいことも示されている。
HDL粒子は、男性および女性のcIMTと逆相関を示し、この逆相関は、アテロームを形成する粒子で補正した後も維持された。
何を測定すべきか?
HDL機能の検査に最も適したプライムタイムにこの検査の準備ができていない場合には、HDL亜分画の測定が最善の方法かもしれない。
その理由として、コレステロールが枯渇している微小なHDL粒子が、コレステロールの排出において一番重要な役割を果たしている可能性が挙げられる19)。
Rosenson氏は、HDL亜分画を測定する方法について、単純化されすぎていると認識しており、HDLには多くのサブクラスが存在し、これらを密度によって正確に識別することは不可能であると警告した。
HDLに関連するタンパク質は60種類を超えているが、ごく少量のコレステロールしか運べない粒子がほとんどである。
どのタンパク質にどのような特性があるのかについても、十分に解明されていない。
「HDL-Cを上昇させる治療法の欠点は、HDL粒子にコレステロールを取り込ませることによって、心保護において重要な役割を果たしている表面タンパク質の一部が失われてしまう点である」と同氏は指摘した。
non HDL-Cは、アテロームを形成するすべての粒子を捕捉することから、
Budoff氏およびRosenson氏はともにnon HDL-Cを高く評価している。
しかし、機能不全HDL-Cである可能性のある物質の数値がきわめて高い患者の場合はどうだろうか?
Budoff氏は、「LDL-Cが高値、HDL-Cが異常高値で、そのリスクを予測できない患者を担当する場合は、HDL粒子の数を測定する」と説明した。
このようなHDL粒子の検査キットはすでに市販されている。
さらに同氏は、該当する女性患者(同氏は、HDL-Cが100mg/dLを超えている男性を診察した覚えがない)に対しては、カルシウム値の測定を行うことも提案している。
「冠動脈内の沈着物が少なく、きれいな状態であるならば、HDLが機能していると考えられるだろう」と同氏は述べた。
その一方で、本稿で述べたHDLに関する仮説が当てはまらないケースもある。
最近の論説では、「疾患の予防因子または原因としてのHDLの役割について、まだ解明されていないことが多い13)」ことが指摘されている。
Rosenson氏は、個人的には、いわゆる“善玉”コレステロールよりもHDL粒子に着目することによって、これまでの認識をリセットし、再スタートを切りたいと考えている。
Drs Rosenson and Budoff reported no relevant financial relationships.
References
1.HPS2-THRIVE Collaborative Group, Landray MJ, Haynes R et al. Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients. N Engl J Med. 2014;371:203-212.
2.Barter PJ, Caulfield M, Eriksson M, et al; ILLUMINATE Investigators. Effects of torcetrapib in patients at high risk for coronary events. N Engl J Med. 2007;357:2109-2122.
3.Rubins HB, Robins SJ, Collins D, et al. Gemfibrozil for the secondary prevention of coronary heart disease in men with low levels of high-density lipoprotein cholesterol. Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Cholesterol Intervention Trial Study Group. N Engl J Med. 1999;341:410-418.
4.Otvos JD, Collins D, Freedman DS, et al. Low-density lipoprotein and high-density lipoprotein particle subclasses predict coronary events and are favorably changed by gemfibrozil therapy in the Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Intervention Trial. Circulation. 2006;113:1556-1563.
5.Barter PJ, Rye KA. Cardioprotective properties of fibrates: which fibrate, which patients, what mechanism? Circulation. 2006;113:1553-1555.
6.Madsen CM, Varbo A, Nordestgaard BG. Extreme high high-density lipoprotein cholesterol is paradoxically associated with high mortality in men and women: two prospective cohort studies. Eur Heart J. 2017;38:2478-2486.
7.Ko DT, Alter DA, Guo H, et al. High-density lipoprotein cholesterol and cause-specific mortality in individuals without previous cardiovascular conditions: the CANHEART Study. J Am Coll Cardiol. 2016;68:2073-2083.
8.Rosenson RS, Brewer HB Jr, Ansell BJ, et al. Dysfunctional HDL and atherosclerotic cardiovascular disease. Nat Rev Cardiol. 2015;13:48.
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12.Bisoendial RJ, Hovingh GK, Levels JH, et al. Restoration of endothelial function by increasing high-density lipoprotein in subjects with isolated low high-density lipoprotein. Circulation. 2003;107:2944-2948.
13.Barter PJ, Rye KA. HDL cholesterol concentration or HDL function: which matters? Eur Heart J. 2017;38:2487-2489.
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16.Ansell BJ, Fonarow GC, Navab M, Fogelman AM. Modifying the anti-inflammatory effects of high-density lipoprotein. Curr Atheroscler Rep. 2007;9:57-63.
17.Mackey RH, Greenland P, Goff DC, Jr, Lloyd-Jones D, Sibley CT, Mora S. High-density lipoprotein cholesterol and particle concentrations, carotid atherosclerosis, and coronary events: MESA (multi-ethnic study of atherosclerosis). J Am Coll Cardiol. 2012;60:508-516.
18.El Khoudary SR, Ceponiene I, Smmargandy S, et al. HDL (high density lipoprotein) metrics and atherosclerotic risk in women: do menopause characteristics matter? MESA. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2018 Jul 19. [Epub ahead of print]
19.Rosenson RS, Brewer HB Jr, Davidson WS, et al. Cholesterol efflux and atheroprotection: advancing the concept of reverse cholesterol transport. Circulation. 2012;125:1905-1919.
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2018年10月20日
ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量する 禁煙は「徐々に」でなく「一気に」
ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量する
禁煙は「徐々に」でなく「一気に」/JAMA
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/26
喫煙者において、
タバコのニコチン含有量を即時に減らすほうが、
緩徐に減らすよりも、喫煙毒性曝露バイオマーカー値の低下は一貫して
有意に大きいことが明らかにされた。
また、緩徐に減量した場合とニコチン含有量を減量しなかった場合の同マーカー値には、有意差がなかった。
米国・ミネソタ大学のDorothy K. Hatsukami氏らによる二重盲検無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌2018年9月4日号で発表された。
米国内で販売されているすべてのタバコについて、ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量するための最適な時間的アプローチは、これまで検証されていなかったという。
3つの毒性曝露バイオマーカー値で、減量効果を評価
研究グループは、毒性曝露バイオマーカーを用いて、
ニコチン含有量を極度低値に低下することの
即時vs.緩徐の有効性を検討し、
また通常量維持の場合と比較した。
試験は全米10地点で、2週間のベースライン喫煙期間に続いて、20週間の介入を行った。
2014年7月〜2016年9月に、30日以内に禁煙する意思がなく毎日喫煙している
ボランティア被験者を集めて、次の3群に割り付けて追跡した。
(1)タバコのニコチン含有量を0.4mg/gへと即時に減量(即時低下群)、
(2)5ヵ月かけて15.5mg/gから0.4mg/gへと徐々に減量(緩徐低下群)、
(3)15.5mg/g量を維持(対照群)。
最終フォローアップは2017年3月であった。
主要評価項目は3つで、
呼気一酸化炭素(CO)、
尿中3-HPMA(アクロレイン代謝物)、
尿中PheT(多環芳香族炭化水素)の喫煙毒性曝露バイオマーカー値。
介入20週の間の、濃度−時間曲線下面積(AUC)を算出して評価した。
緩徐群と維持群には有意差みられず
1,250例(平均年齢45歳、女性549例[44%])が無作為化を受け、958例(77%)が試験を完了した。
即時低下群は緩徐低下群と比べて、CO値は有意に低値であった
(平均値:16.17 vs.20.06ppm、
補正後平均群間差[MD]:−4.06[95%信頼区間[CI]:−4.89〜−3.23]、
p<0.0055)。
3-HPMA(クレアチニン幾何平均[GM]値:6.05 vs.7.26nmol/mg、
補正後GM比[RGM]:0.83[95%CI:0.77〜0.88]、
p<0.0055)、
PheT(同:2.06 vs.2.16pmol/mg、
0.88[0.83〜0.93]、
p<0.0055)についても同様であった。
また、即時低下群は対照群との比較においても、3つのマーカー値が有意に低値であった。
平均CO値は16.17 vs.19.68ppm(補正後MD:−3.38[95%CI:−4.40〜−2.36]、p<0.0055)、
3-HPMA(クレアチニンGM値)は6.05 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.81[95%CI:0.75〜0.88]、p<0.0055)、
PheT(同)は2.06 vs.2.41pmol/mg(0.86[0.81〜0.92]、p<0.0055)であった。
緩徐低下群vs.対照群では、3つのマーカー値とも有意な差はみられなかった。
平均CO値は20.06 vs.19.68ppm(補正後MD:0.68[95%CI:−0.31〜1.67)、p=0.18)、
3-HPMA(クレアチニンGM値)は7.26 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.98[95%CI:0.91〜1.06]、p=0.64)、
PheT(同)は2.16 vs.2.41pmol/mg(0.98[0.92〜1.04]、p=0.52)であった。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Hatsukami DK, et al. JAMA. 2018;320:880-891.
禁煙は「徐々に」でなく「一気に」/JAMA
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/26
喫煙者において、
タバコのニコチン含有量を即時に減らすほうが、
緩徐に減らすよりも、喫煙毒性曝露バイオマーカー値の低下は一貫して
有意に大きいことが明らかにされた。
また、緩徐に減量した場合とニコチン含有量を減量しなかった場合の同マーカー値には、有意差がなかった。
米国・ミネソタ大学のDorothy K. Hatsukami氏らによる二重盲検無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌2018年9月4日号で発表された。
米国内で販売されているすべてのタバコについて、ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量するための最適な時間的アプローチは、これまで検証されていなかったという。
3つの毒性曝露バイオマーカー値で、減量効果を評価
研究グループは、毒性曝露バイオマーカーを用いて、
ニコチン含有量を極度低値に低下することの
即時vs.緩徐の有効性を検討し、
また通常量維持の場合と比較した。
試験は全米10地点で、2週間のベースライン喫煙期間に続いて、20週間の介入を行った。
2014年7月〜2016年9月に、30日以内に禁煙する意思がなく毎日喫煙している
ボランティア被験者を集めて、次の3群に割り付けて追跡した。
(1)タバコのニコチン含有量を0.4mg/gへと即時に減量(即時低下群)、
(2)5ヵ月かけて15.5mg/gから0.4mg/gへと徐々に減量(緩徐低下群)、
(3)15.5mg/g量を維持(対照群)。
最終フォローアップは2017年3月であった。
主要評価項目は3つで、
呼気一酸化炭素(CO)、
尿中3-HPMA(アクロレイン代謝物)、
尿中PheT(多環芳香族炭化水素)の喫煙毒性曝露バイオマーカー値。
介入20週の間の、濃度−時間曲線下面積(AUC)を算出して評価した。
緩徐群と維持群には有意差みられず
1,250例(平均年齢45歳、女性549例[44%])が無作為化を受け、958例(77%)が試験を完了した。
即時低下群は緩徐低下群と比べて、CO値は有意に低値であった
(平均値:16.17 vs.20.06ppm、
補正後平均群間差[MD]:−4.06[95%信頼区間[CI]:−4.89〜−3.23]、
p<0.0055)。
3-HPMA(クレアチニン幾何平均[GM]値:6.05 vs.7.26nmol/mg、
補正後GM比[RGM]:0.83[95%CI:0.77〜0.88]、
p<0.0055)、
PheT(同:2.06 vs.2.16pmol/mg、
0.88[0.83〜0.93]、
p<0.0055)についても同様であった。
また、即時低下群は対照群との比較においても、3つのマーカー値が有意に低値であった。
平均CO値は16.17 vs.19.68ppm(補正後MD:−3.38[95%CI:−4.40〜−2.36]、p<0.0055)、
3-HPMA(クレアチニンGM値)は6.05 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.81[95%CI:0.75〜0.88]、p<0.0055)、
PheT(同)は2.06 vs.2.41pmol/mg(0.86[0.81〜0.92]、p<0.0055)であった。
緩徐低下群vs.対照群では、3つのマーカー値とも有意な差はみられなかった。
平均CO値は20.06 vs.19.68ppm(補正後MD:0.68[95%CI:−0.31〜1.67)、p=0.18)、
3-HPMA(クレアチニンGM値)は7.26 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.98[95%CI:0.91〜1.06]、p=0.64)、
PheT(同)は2.16 vs.2.41pmol/mg(0.98[0.92〜1.04]、p=0.52)であった。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Hatsukami DK, et al. JAMA. 2018;320:880-891.
2018年10月19日
40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障、 9割のひとが気づいていない
2018年10月18日
偏りなく,米食の魅力を生かす「三角食べ」! 血糖,インスリン分泌量を減らすためには,3菜1汁で出して,おかずを先に食べる方法が現代的か?
偏りなく,米食の魅力を生かす「三角食べ」!
血糖,インスリン分泌量を減らすためには,3菜1汁で出して,おかずを先に食べる方法が現代的か?
過食や血糖値の乱れを改善
日本の食卓では長く、「三角食べ」や「口中調味」と呼ばれる食べ方が行われてきた。
もはや伝統的とも言えるこのスタイルが食べ過ぎや血糖値の急な上昇を抑えるとして、
ここに来て関心が高まってきている。
京都大学医学部付属病院(京都市)糖尿病・内分泌・栄養内科の池田香織医師に聞いた。
▽交互に少量を食べ進め
「一汁三菜」でバランスの取れた食事を
ご飯やおかず、汁物などを順番に少しずつ食べる三角食べを
小学校給食で指導された人もいるだろう。
三角食べをしながら、口の中でご飯とおかず、漬物などを混ぜ合わせ、味の広がりなどを楽しむのが口中調味だ。
「ご飯だけ食べる、おかずだけ食べる『ばっかり食べ』では量が多くなりがちですが、
三角食べをすると満腹感を感じるのが早いので食べる量が抑えられ、
血糖値の上昇度合いも穏やかになると考えられています」と池田医師は話す。
最近、血糖値や摂取カロリーを意識して炭水化物や糖質の摂取を極端に控える人が増えている。
人間の体にとって炭水化物や糖質はエネルギー源として不可欠な栄養素であり、
不足すると肝臓が体内の脂肪酸を分解して「ケトン体」という物質を作る。
糖尿病患者の血中にこのケトン体が増え過ぎると、血液や体が酸性に傾いた「ケトアシドーシス」という状態になって、意識障害を起こす場合もある。
▽一汁三菜を意識
池田医師らが日本食をさまざまな角度から科学的に検証したところ、
摂取カロリーの50〜60%はご飯などの炭水化物から取ることが日本食の特徴だという。
一汁三菜にすることで、よりバランスの取れた食事になる。
一汁三菜とはご飯、主菜1品、副菜2品、汁物で構成され、主菜には魚や肉、副菜には野菜が使われることが多い。汁物はみそ汁であれば、発酵食品であるみそに具が加わるため多品目の食品を摂取できることになる。ご飯を先に食べると血糖値が上昇しやすいので、葉物野菜などの副菜から食べ始め、主菜とご飯、汁物を交互に食べる三角食べを行うとよい。箸でつまめる量をゆっくりよくかんで食べると、満腹感を得やすい。
池田医師は「毎食が一汁三菜でないと駄目だと考えると負担になりやすいので、
外食をするなら一汁三菜を意識して定食を選ぶようにして、
家庭では休日などに料理を楽しむ気持ちで試してみてください」としている。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
血糖,インスリン分泌量を減らすためには,3菜1汁で出して,おかずを先に食べる方法が現代的か?
過食や血糖値の乱れを改善
日本の食卓では長く、「三角食べ」や「口中調味」と呼ばれる食べ方が行われてきた。
もはや伝統的とも言えるこのスタイルが食べ過ぎや血糖値の急な上昇を抑えるとして、
ここに来て関心が高まってきている。
京都大学医学部付属病院(京都市)糖尿病・内分泌・栄養内科の池田香織医師に聞いた。
▽交互に少量を食べ進め
「一汁三菜」でバランスの取れた食事を
ご飯やおかず、汁物などを順番に少しずつ食べる三角食べを
小学校給食で指導された人もいるだろう。
三角食べをしながら、口の中でご飯とおかず、漬物などを混ぜ合わせ、味の広がりなどを楽しむのが口中調味だ。
「ご飯だけ食べる、おかずだけ食べる『ばっかり食べ』では量が多くなりがちですが、
三角食べをすると満腹感を感じるのが早いので食べる量が抑えられ、
血糖値の上昇度合いも穏やかになると考えられています」と池田医師は話す。
最近、血糖値や摂取カロリーを意識して炭水化物や糖質の摂取を極端に控える人が増えている。
人間の体にとって炭水化物や糖質はエネルギー源として不可欠な栄養素であり、
不足すると肝臓が体内の脂肪酸を分解して「ケトン体」という物質を作る。
糖尿病患者の血中にこのケトン体が増え過ぎると、血液や体が酸性に傾いた「ケトアシドーシス」という状態になって、意識障害を起こす場合もある。
▽一汁三菜を意識
池田医師らが日本食をさまざまな角度から科学的に検証したところ、
摂取カロリーの50〜60%はご飯などの炭水化物から取ることが日本食の特徴だという。
一汁三菜にすることで、よりバランスの取れた食事になる。
一汁三菜とはご飯、主菜1品、副菜2品、汁物で構成され、主菜には魚や肉、副菜には野菜が使われることが多い。汁物はみそ汁であれば、発酵食品であるみそに具が加わるため多品目の食品を摂取できることになる。ご飯を先に食べると血糖値が上昇しやすいので、葉物野菜などの副菜から食べ始め、主菜とご飯、汁物を交互に食べる三角食べを行うとよい。箸でつまめる量をゆっくりよくかんで食べると、満腹感を得やすい。
池田医師は「毎食が一汁三菜でないと駄目だと考えると負担になりやすいので、
外食をするなら一汁三菜を意識して定食を選ぶようにして、
家庭では休日などに料理を楽しむ気持ちで試してみてください」としている。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
2018年10月17日
1979年4月1日以前に生まれた男性と1962年4月1日以前に生まれた女性は定期接種機会なし
1979年4月1日以前に生まれた男性と1962年4月1日以前に生まれた女性は定期接種機会なし
風疹は小児の場合通常あまり重くない病気ですが、
妊娠20週頃までの妊婦、特に妊娠初期の女性が風疹にかかると、
胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅滞などをもった、
いわゆる先天性風疹症候群の児が出生する可能性があります。
また、風疹にかかるとまれに脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などの軽視できない合併症をおこすことがあります。
大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、
一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。
多くの人が予防接種をうけると、個人が風疹から守られるだけでなく、ほかの人に風疹をうつすことが少なくなり、社会全体が風疹から守られることになります。
風疹は小児の場合通常あまり重くない病気ですが、
妊娠20週頃までの妊婦、特に妊娠初期の女性が風疹にかかると、
胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅滞などをもった、
いわゆる先天性風疹症候群の児が出生する可能性があります。
また、風疹にかかるとまれに脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などの軽視できない合併症をおこすことがあります。
大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、
一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。
多くの人が予防接種をうけると、個人が風疹から守られるだけでなく、ほかの人に風疹をうつすことが少なくなり、社会全体が風疹から守られることになります。