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2018年10月16日
1日に必要な野菜は350g,お皿1杯で70g,加熱すると半分の体積.
2018年10月15日
2018年10月14日
2018年10月13日
2018年10月12日
喫煙が認知症のリスクに アジア人でも確認!
喫煙が認知症のリスクに アジア人でも確認!
2018年09月20日
喫煙は世界で予防可能で最も重要な死因の1つである。
喫煙による心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、がんなどのリスク増加は知られているが、
認知症との関連を調べた研究は少ない。
韓国・Seoul National UniversityのSang Min Park氏らは、
韓国の健康保険データベースを用いて禁煙期間が認知症リスクに及ぼす影響を検討し、
喫煙継続者では認知症リスクが高かったとAnn Clin Transl Neurol(2018年9月5日オンライン版)に報告した。
4万6,140例を8年間追跡
Park氏らは今回、韓国の健康保険システムに基き2002〜13年に実施された
全国健康スクリーニングプログラムのデータから、
60歳以上の男性4万6,140例のデータを抽出して検討
(女性は韓国では喫煙率が極めて低いため除外された)。
期間中の最初の健康診断(2002〜03年)と2回目の健康診断(2004〜05年)の際に
アンケート結果で評価した喫煙習慣の変化状況により、
参加者を継続喫煙者、短期喫煙者(喫煙期間4年未満)、
長期禁煙者(禁煙期間4年以上)、喫煙非経験者に分類した。
参加者を2006年1月1日から8年間追跡調査し、
全ての認知症、アルツハイマー病(AD)、脳血管性認知症の発症状況を分析した。
その結果、継続喫煙者に対する長期禁煙者と非経験者の全認知症リスクは、
それぞれ14%(ハザード比0.86、95%CI 0.75〜0.99)および19%(同0.81、0.71〜0.91)低かった。
喫煙者に対する非経験者のADリスクは、18%低かった(同0.82、0.70〜0.96)。
また、喫煙者に対する長期禁煙者と非経験者の脳血管性認知症リスクは、
それぞれ32%(同0.68、0.48〜0.96)および29%(同0.71、0.54〜0.95)低かった。
認知症リスクを下げるためにも禁煙を
Park氏は「禁煙によって認知症の長期リスクが低下するのは明確であり、
喫煙者に対し、この恩恵を得るために禁煙することを勧めるべきだ」と述べている。
これまで、欧米の集団を対象とした研究では喫煙が認知症リスクを高めることが指摘されていたが、
アジア人の大規模集団を対象に禁煙が認知症リスクに及ぼす影響を検討したのは今回が初めてだという。
同氏らは、今回の研究の限界として、
ADへの影響を十分検討するには8年の追跡期間は短過ぎる可能性があること、
2回目の健康診断以降の喫煙習慣の変化は考慮されていないこと、
喫煙状況の確認はアンケートに基づいているため正確ではない可能性があることなどを挙げている。
2018年09月20日
喫煙は世界で予防可能で最も重要な死因の1つである。
喫煙による心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、がんなどのリスク増加は知られているが、
認知症との関連を調べた研究は少ない。
韓国・Seoul National UniversityのSang Min Park氏らは、
韓国の健康保険データベースを用いて禁煙期間が認知症リスクに及ぼす影響を検討し、
喫煙継続者では認知症リスクが高かったとAnn Clin Transl Neurol(2018年9月5日オンライン版)に報告した。
4万6,140例を8年間追跡
Park氏らは今回、韓国の健康保険システムに基き2002〜13年に実施された
全国健康スクリーニングプログラムのデータから、
60歳以上の男性4万6,140例のデータを抽出して検討
(女性は韓国では喫煙率が極めて低いため除外された)。
期間中の最初の健康診断(2002〜03年)と2回目の健康診断(2004〜05年)の際に
アンケート結果で評価した喫煙習慣の変化状況により、
参加者を継続喫煙者、短期喫煙者(喫煙期間4年未満)、
長期禁煙者(禁煙期間4年以上)、喫煙非経験者に分類した。
参加者を2006年1月1日から8年間追跡調査し、
全ての認知症、アルツハイマー病(AD)、脳血管性認知症の発症状況を分析した。
その結果、継続喫煙者に対する長期禁煙者と非経験者の全認知症リスクは、
それぞれ14%(ハザード比0.86、95%CI 0.75〜0.99)および19%(同0.81、0.71〜0.91)低かった。
喫煙者に対する非経験者のADリスクは、18%低かった(同0.82、0.70〜0.96)。
また、喫煙者に対する長期禁煙者と非経験者の脳血管性認知症リスクは、
それぞれ32%(同0.68、0.48〜0.96)および29%(同0.71、0.54〜0.95)低かった。
認知症リスクを下げるためにも禁煙を
Park氏は「禁煙によって認知症の長期リスクが低下するのは明確であり、
喫煙者に対し、この恩恵を得るために禁煙することを勧めるべきだ」と述べている。
これまで、欧米の集団を対象とした研究では喫煙が認知症リスクを高めることが指摘されていたが、
アジア人の大規模集団を対象に禁煙が認知症リスクに及ぼす影響を検討したのは今回が初めてだという。
同氏らは、今回の研究の限界として、
ADへの影響を十分検討するには8年の追跡期間は短過ぎる可能性があること、
2回目の健康診断以降の喫煙習慣の変化は考慮されていないこと、
喫煙状況の確認はアンケートに基づいているため正確ではない可能性があることなどを挙げている。
2018年10月11日
終末期に必要 だが保険外使用
終末期に必要 だが保険外使用 Care Netから
第41回:終末期を支える5つの薬剤
佐々木 隆史 ( ささき たかふみ ) 氏
日本プライマリ・ケア連合学会 医学生・若手医師支援委員会/若手医師部会 海外家庭医療雑誌 表題翻訳プロジェクト
京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所 所長
終末期を過ごす形態は、大きく分けて4種類あると思います。
入院医療では、
一般病棟か緩和ケア病棟か。
在宅医療では、
自宅か施設か。
緩和ケア病棟やDPC病棟は包括医療費なので、
呼吸困難に対するオプソ内服や口腔内分泌に対するアトロピン点眼薬など、日本では保険外使用になっているため
下記に述べるような医薬品が比較的使いやすい環境です。
一方、在宅の看取りに関しては、ケア提供者の経験や熱意が大きく影響します。
家族にとっては初めての体験ばかりなので、現状に対する不安よりも、
見えない今後に対する不安が大きいことが多いです。
こうした点で、実際に身内を自宅で看取ったことのある家族は、大きな力になります。
これからの時代は、政策的に施設看取りが求められている印象です。
非DPC病棟や在宅医療でも、終末期医療に対する薬が
「保険外使用だから」と使いにくい状況が改善されることを望みます。
以下、Am Fam Physician.3月15日号1)より
終末期に関わる症状は、
急性症状を治療するよりも予防するほうが容易であることが多いため、
症状を予防する対策を立てるべきである。
嚥下機能が低下してきたら、
薬剤は舌下や皮下、直腸坐薬に切り替える。
薬は少量から開始し、目的の効果が出るまで増量すべきである。
適切な症状コントロールにより、終末期を安静にかつ尊厳を持って、快適に過ごすことができる。
疼痛は、最期の1ヵ月頃に50%程度の人に現れる。
身体的な痛みだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアル面も考慮に入れるべきである。
オピオイドは終末期の呼吸困難感や痛みを緩和に用いられる
(Evidence rating B:オピオイドを呼吸困難に使用すべき)。
せん妄は治療しうる病態により起こることもあり、その病態を特定して治療可能なら治療すべきである。
せん妄に対しては、ハロペリドールやリスペリドンが効果的である(Evidence rating C)。
嘔気・嘔吐に対しては、原因に即した薬物治療が行われるべきである。
予期できる嘔気に対してはベンゾジアゼピンが効果的で、
とくにオンダンセトロンは化学療法や放射線治療に伴う嘔気に対し効果的であり、
消化管通過障害による嘔気にはデキサメサゾンやハロペリドールを使用すべき
(Evidence rating B)であるが、
オクトレオチド酢酸塩の効果は限定的である。
便秘は痛みや吐き気、不安感、せん妄を引き起こすので、
便秘の予防は終末期ケアのとても大切な部分であり、
緩下剤を大腸刺激性下剤と併用して使うのが望ましい。
熱を下げることは、患者の要望とケアの目標に基づいて行うべきである。
口腔内の唾液分泌があると、呼吸する時に呼吸音が大きくなることがあり、死期喘鳴といわれる終末期によくみられる症状である。
このことを事前に伝えておくと、家族や介護者の不安は軽減する。
また、抗コリン薬は口腔内の分泌を緩やかにするといわれているが、質の高い研究はない。
アトロピン点眼薬は、口腔気道分泌液を抑えることができる(Evidence rating C)。
終末期を支える代表的な5つの薬剤を以下に挙げる。
焦燥感や嘔気を抑えるハロペリドールの舌下
熱を下げるアセトアミノフェンの坐薬
不安を抑えるロラゼパムの舌下
痛みや呼吸困難を抑えるモルヒネの舌下
口腔内分泌を抑えるアトロピン点眼薬の舌下
※Evidence rating B=inconsistent or limited quality patient-oriented evidence、Evidence rating C=consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series.
※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。
参考文献
1) Albert RH. “End-of-Life Care: Managing Common Symptoms” Am Fam Physician. 2017 Mar 15;95:356-361.
第41回:終末期を支える5つの薬剤
佐々木 隆史 ( ささき たかふみ ) 氏
日本プライマリ・ケア連合学会 医学生・若手医師支援委員会/若手医師部会 海外家庭医療雑誌 表題翻訳プロジェクト
京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所 所長
終末期を過ごす形態は、大きく分けて4種類あると思います。
入院医療では、
一般病棟か緩和ケア病棟か。
在宅医療では、
自宅か施設か。
緩和ケア病棟やDPC病棟は包括医療費なので、
呼吸困難に対するオプソ内服や口腔内分泌に対するアトロピン点眼薬など、日本では保険外使用になっているため
下記に述べるような医薬品が比較的使いやすい環境です。
一方、在宅の看取りに関しては、ケア提供者の経験や熱意が大きく影響します。
家族にとっては初めての体験ばかりなので、現状に対する不安よりも、
見えない今後に対する不安が大きいことが多いです。
こうした点で、実際に身内を自宅で看取ったことのある家族は、大きな力になります。
これからの時代は、政策的に施設看取りが求められている印象です。
非DPC病棟や在宅医療でも、終末期医療に対する薬が
「保険外使用だから」と使いにくい状況が改善されることを望みます。
以下、Am Fam Physician.3月15日号1)より
終末期に関わる症状は、
急性症状を治療するよりも予防するほうが容易であることが多いため、
症状を予防する対策を立てるべきである。
嚥下機能が低下してきたら、
薬剤は舌下や皮下、直腸坐薬に切り替える。
薬は少量から開始し、目的の効果が出るまで増量すべきである。
適切な症状コントロールにより、終末期を安静にかつ尊厳を持って、快適に過ごすことができる。
疼痛は、最期の1ヵ月頃に50%程度の人に現れる。
身体的な痛みだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアル面も考慮に入れるべきである。
オピオイドは終末期の呼吸困難感や痛みを緩和に用いられる
(Evidence rating B:オピオイドを呼吸困難に使用すべき)。
せん妄は治療しうる病態により起こることもあり、その病態を特定して治療可能なら治療すべきである。
せん妄に対しては、ハロペリドールやリスペリドンが効果的である(Evidence rating C)。
嘔気・嘔吐に対しては、原因に即した薬物治療が行われるべきである。
予期できる嘔気に対してはベンゾジアゼピンが効果的で、
とくにオンダンセトロンは化学療法や放射線治療に伴う嘔気に対し効果的であり、
消化管通過障害による嘔気にはデキサメサゾンやハロペリドールを使用すべき
(Evidence rating B)であるが、
オクトレオチド酢酸塩の効果は限定的である。
便秘は痛みや吐き気、不安感、せん妄を引き起こすので、
便秘の予防は終末期ケアのとても大切な部分であり、
緩下剤を大腸刺激性下剤と併用して使うのが望ましい。
熱を下げることは、患者の要望とケアの目標に基づいて行うべきである。
口腔内の唾液分泌があると、呼吸する時に呼吸音が大きくなることがあり、死期喘鳴といわれる終末期によくみられる症状である。
このことを事前に伝えておくと、家族や介護者の不安は軽減する。
また、抗コリン薬は口腔内の分泌を緩やかにするといわれているが、質の高い研究はない。
アトロピン点眼薬は、口腔気道分泌液を抑えることができる(Evidence rating C)。
終末期を支える代表的な5つの薬剤を以下に挙げる。
焦燥感や嘔気を抑えるハロペリドールの舌下
熱を下げるアセトアミノフェンの坐薬
不安を抑えるロラゼパムの舌下
痛みや呼吸困難を抑えるモルヒネの舌下
口腔内分泌を抑えるアトロピン点眼薬の舌下
※Evidence rating B=inconsistent or limited quality patient-oriented evidence、Evidence rating C=consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series.
※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。
参考文献
1) Albert RH. “End-of-Life Care: Managing Common Symptoms” Am Fam Physician. 2017 Mar 15;95:356-361.
2018年10月10日
職場の風疹対策,大人の「学級閉鎖も必要」
職場の風疹対策,大人の「学級閉鎖も必要」
風疹の予防対策はMRワクチン接種以外にないが、妊婦は接種できない。
風疹抗体(ー)の妊婦が妊娠20週ごろまでに風疹ウイルスに感染した場合、
胎児の眼や耳、心臓に障害を来す先天性風疹症候群のリスク!
風疹の感染予防対策については、夫婦やカップル、同居の家族だけでなく職場にも求められる。
主な風疹感染者は、抗体がない者が多いとされる30〜50歳代の男性で、
症状が軽微だと休暇を取得せずに出勤を続けることで、
職場や通勤経路で感染を拡大させている。
職場などの健康管理者に対し就労中の妊婦を風疹感染から保護する適切な対応策を施行する努力が必要。
風疹の予防対策はMRワクチン接種以外にないが、妊婦は接種できない。
風疹抗体(ー)の妊婦が妊娠20週ごろまでに風疹ウイルスに感染した場合、
胎児の眼や耳、心臓に障害を来す先天性風疹症候群のリスク!
風疹の感染予防対策については、夫婦やカップル、同居の家族だけでなく職場にも求められる。
主な風疹感染者は、抗体がない者が多いとされる30〜50歳代の男性で、
症状が軽微だと休暇を取得せずに出勤を続けることで、
職場や通勤経路で感染を拡大させている。
職場などの健康管理者に対し就労中の妊婦を風疹感染から保護する適切な対応策を施行する努力が必要。
2018年10月09日
ベラパミル(ワソラン;頻脈に対する治療薬,抗カルシウム拮抗剤)が早期糖尿病の治療を変える?! 圧倒的に安価な薬で最善のβ細胞保護効果
ベラパミル(ワソラン;頻脈に対する治療薬,抗カルシウム拮抗剤)が早期糖尿病の治療を変える?!
圧倒的に安価な薬で最善のβ細胞保護効果
2018年09月19日 16:52
研究の背景:ベラパミルはマウス実験でβ細胞保護効果を示していた
これまで自己抗原を含む免疫関連薬について、1型糖尿病の発症予防、寛解(β細胞の再生)あるいは進展予防(β細胞減少の阻止)に対する有用性が検討されてきたが,今までの薬剤介入試験では,芳しい成績を挙げられすに終わっていた.
ところが、米・アラバマ大学のグループは、
不整脈や狭心症の治療薬として広く臨床の現場で使用されているCa拮抗薬ベラパミルが、
β細胞のチオレドキシン相互作用蛋白(TXNIP)の発現を低下させること、
ストレプトゾトシン投与によってβ細胞壊死を来す糖尿病モデルマウスにおいて糖尿病発症を抑制できることを示していた(Diabetes 2012;61:848-856)。
このたび、同大学のグループがベラパミルを発症間もない1型糖尿病患者に投与して、
β細胞機能の保護(残念ながら再生とまではいえなさそうではあるが)に成功したことを報告した(Nat Med 2018;24: 1108-1112)。
これまで検討されてきた試験薬に比べて圧倒的に安価な薬剤で最善のβ細胞保護効果が示されたわけであり、
今後、新規発症1型糖尿病のみならず、2型糖尿病を含めて糖尿病の治療シーンを変化させる可能性がある。
私の考察:ベラパミルは早期糖尿病へのルーチン治療になるかも
これまでの新規1型糖尿病患者に対する介入試験の結果は、
HbA1cに影響はなく、インスリン分泌の低下を緩和する程度のものでしかなかった。
しかし、今回のベラパミルはインスリン分泌を低下させず、
HbA1cも統計学的には有意でないものの改善の方向に向かわせ、
さらにうれしいことには低血糖頻度も少なくしていた。
このことはまさにβ細胞機能が保護されていることを意味するであろう。
ベラパミルという安価な薬剤の投与でインスリン投与量も減らせるなら、
医療経済的な意味でも投薬が推奨できるであろう。
さらに、ベラパミルとアテノロールの心血管アウトカムへの影響を比較したINVEST試験(JAMA 2003;290:2805-2816)において、
ベラパミル群で新規2型糖尿病発症抑制効果が認められるなど、
既発表試験のサブ解析でベラパミルの2型糖尿病発症予防効果が示唆されている(Am J Cardiol 2006;98: 890-894)。
ベラパミルは今後、1型、2型といった成因にかかわらず、
新規発症糖尿病や予備軍(耐糖能異常者)に対するβ細胞保護のためルーチンの糖尿病治療薬になるかもしれない。
第V相の大規模な臨床試験の成果が楽しみである。
ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)
1994 年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。 現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医
圧倒的に安価な薬で最善のβ細胞保護効果
2018年09月19日 16:52
研究の背景:ベラパミルはマウス実験でβ細胞保護効果を示していた
これまで自己抗原を含む免疫関連薬について、1型糖尿病の発症予防、寛解(β細胞の再生)あるいは進展予防(β細胞減少の阻止)に対する有用性が検討されてきたが,今までの薬剤介入試験では,芳しい成績を挙げられすに終わっていた.
ところが、米・アラバマ大学のグループは、
不整脈や狭心症の治療薬として広く臨床の現場で使用されているCa拮抗薬ベラパミルが、
β細胞のチオレドキシン相互作用蛋白(TXNIP)の発現を低下させること、
ストレプトゾトシン投与によってβ細胞壊死を来す糖尿病モデルマウスにおいて糖尿病発症を抑制できることを示していた(Diabetes 2012;61:848-856)。
このたび、同大学のグループがベラパミルを発症間もない1型糖尿病患者に投与して、
β細胞機能の保護(残念ながら再生とまではいえなさそうではあるが)に成功したことを報告した(Nat Med 2018;24: 1108-1112)。
これまで検討されてきた試験薬に比べて圧倒的に安価な薬剤で最善のβ細胞保護効果が示されたわけであり、
今後、新規発症1型糖尿病のみならず、2型糖尿病を含めて糖尿病の治療シーンを変化させる可能性がある。
私の考察:ベラパミルは早期糖尿病へのルーチン治療になるかも
これまでの新規1型糖尿病患者に対する介入試験の結果は、
HbA1cに影響はなく、インスリン分泌の低下を緩和する程度のものでしかなかった。
しかし、今回のベラパミルはインスリン分泌を低下させず、
HbA1cも統計学的には有意でないものの改善の方向に向かわせ、
さらにうれしいことには低血糖頻度も少なくしていた。
このことはまさにβ細胞機能が保護されていることを意味するであろう。
ベラパミルという安価な薬剤の投与でインスリン投与量も減らせるなら、
医療経済的な意味でも投薬が推奨できるであろう。
さらに、ベラパミルとアテノロールの心血管アウトカムへの影響を比較したINVEST試験(JAMA 2003;290:2805-2816)において、
ベラパミル群で新規2型糖尿病発症抑制効果が認められるなど、
既発表試験のサブ解析でベラパミルの2型糖尿病発症予防効果が示唆されている(Am J Cardiol 2006;98: 890-894)。
ベラパミルは今後、1型、2型といった成因にかかわらず、
新規発症糖尿病や予備軍(耐糖能異常者)に対するβ細胞保護のためルーチンの糖尿病治療薬になるかもしれない。
第V相の大規模な臨床試験の成果が楽しみである。
ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)
1994 年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。 現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医
2018年10月08日
肥満でなくても総コレステロール高値に注意―50歳以上の日本人男女を分析、滋賀医大 肥満より,高脂肪食が原因!
肥満でなくても総コレステロール高値に注意―50歳以上の日本人男女を分析、滋賀医大 肥満より,高脂肪食が原因!
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/20
50歳以上の日本人男女では、30年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する
肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、
滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査で明らかになった。
論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、
30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、
近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になる人が増えていることが分かったという。
詳細は「Journal of Epidemiology」7月21日オンライン版に掲載された。
研究グループは今回、厚生労働省が
1980年、1990年、2000年および2010年に実施した
国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女
(それぞれ5,014人、4,673人、5,059人および2,105人)を対象に、
肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。
なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。
研究では、TC高値は220mg/dL以上とし、肥満、痩せ、適正体重はそれぞれ
BMIが25.0kg/m2以上、
18.5kg/m2未満、
18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と
定義した。
その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では
16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、
女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27.0%)。
また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。
TC高値の人の割合は
男性(14.3%、26.4%、24.7%、27.4%)、
女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)
ともに1990年まで増加し、その後はほぼ横ばいであった。
また、肥満や痩せの人が適正体重の人に比べてTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、
男性では
1980年には肥満の人は2.4倍だったが、
2010年には0.9倍へと低下していた。
痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。
さらに、
女性では、
肥満の人は1980年の1.4倍から2010年には0.9倍まで低下し、
痩せている人は0.4倍から1.0倍へ
と増加した。
以上の結果を踏まえ、三浦氏らは「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。
近年では、体型にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事を取る人が増えており、このことで肥満や痩せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。
脂質異常症を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。
[2018年9月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Shibata Y, et al. J Epidemiol. 2018 Jul 21. [Epub ahead of print]
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/20
50歳以上の日本人男女では、30年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する
肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、
滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査で明らかになった。
論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、
30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、
近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になる人が増えていることが分かったという。
詳細は「Journal of Epidemiology」7月21日オンライン版に掲載された。
研究グループは今回、厚生労働省が
1980年、1990年、2000年および2010年に実施した
国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女
(それぞれ5,014人、4,673人、5,059人および2,105人)を対象に、
肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。
なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。
研究では、TC高値は220mg/dL以上とし、肥満、痩せ、適正体重はそれぞれ
BMIが25.0kg/m2以上、
18.5kg/m2未満、
18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と
定義した。
その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では
16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、
女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27.0%)。
また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。
TC高値の人の割合は
男性(14.3%、26.4%、24.7%、27.4%)、
女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)
ともに1990年まで増加し、その後はほぼ横ばいであった。
また、肥満や痩せの人が適正体重の人に比べてTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、
男性では
1980年には肥満の人は2.4倍だったが、
2010年には0.9倍へと低下していた。
痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。
さらに、
女性では、
肥満の人は1980年の1.4倍から2010年には0.9倍まで低下し、
痩せている人は0.4倍から1.0倍へ
と増加した。
以上の結果を踏まえ、三浦氏らは「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。
近年では、体型にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事を取る人が増えており、このことで肥満や痩せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。
脂質異常症を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。
[2018年9月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Shibata Y, et al. J Epidemiol. 2018 Jul 21. [Epub ahead of print]
2018年10月07日
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%で「糖尿病」が強く疑われる
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%で「糖尿病」が強く疑われる―厚労省
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%で「糖尿病」が強く疑われる。同じく、成人男性の37%、成人女性の27.8%が「高血圧」で、成人女性の19.8%が「高コレステロール」状態である―。
厚生労働省が9月11日に公表した2017年の「国民健康・栄養調査」結果から、こうした状況が明らかになりました。
1 成人男性の18.1%、成人女性の10.5%が「糖尿病」が強く疑われる
2 成人男性の37%、成人女性の27.8%が高血圧
3 成人女性の19.8%が高コレステロール
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%が「糖尿病」が強く疑われる
「国民健康・栄養調査」は、健康増進法に基づいて国民の身体の状況や栄養素の摂取量、生活習慣の状況などを明らかにするもので、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料となります。
メディ・ウォッチでは、今回も(1)糖尿病(2)血圧(3)血中コレステロール―の状況に注目しました。
糖尿病が強く疑われる人(現在では、HbA1c(NCSP)値が6.5%以上)の割合は、
男性(20歳以上、以下同)で18.1%(2016の前回調査に比べて1.8ポイント増)、
女性(20歳以上、以下同)で10.5%(同1.2ポイント増)でした。
厚労省は「この10年間で見ると、有意な増減は見られない」とコメントしていますが、女性では「この10年間で最も多い」、男性でも2015年に次いで二番目に多い」割合となっています。
年齢階層別に見ると、男女のいずれでも、年齢が上がるにつれて「糖尿病が強く疑われる」人の割合が高まり、70歳以上男性では25.7%(同2.5ポイント増)、70歳以上女性の19.8%(同3.0ポイント増)にのぼります。「生活習慣の改善」と「重症化予防」を強力に進めていく必要がありそうです。
2017国民健康・栄養調査1 180911
成人男性の37%、成人女性の27.8%が高血圧
血圧について見てみると、
▼男性では2015年まで緩やかな低下傾向にあったが、その後、再び上昇している
▼女性では、増減を繰り返しており、2015年以降は増加傾向にある―ことが分かりました。
ただし、高齢化の影響を除去すると、男女ともに「緩やかな減少」傾向を見ることもできそうです。
2017年の収縮期(最高)血圧の平均は、
▼男性:135.2mmHg(同前年に比べて0.9mmHg上昇)
▼女性で128.9mmHg(同1.6mmHg上昇)となりました。
健康日本21(第2次)では、最高血圧の平均値について、男性では134mmHg、女性では129mmHgに抑えるという目標値を掲げており、男性では目標未達、女性ではかろうじてクリアという状況です。
また、最高血圧が140mmHg以上の人の割合は、
男性で37.0%(同2.4ポイント増)、
女性で27.8%(同3.0ポイント増)ですが、
高齢化の影響を除去すると、男女ともに「高血圧の人の割合は緩やかに減少している」と見ることもできます。
2017国民健康・栄養調査2 180911
成人女性の19.8%が高コレステロール
血清総コレステロールに目を移すと、
血清総コレステロールが240mg/dL以上の人の割合は、
男性で12.4%(同2.6ポイント増)、
女性で19.8%(同2.5ポイント増)となっています。
高齢化の影響を除去しても、コレステロール値の高い人の割合が増加しており、要注意と言えます。
健康日本21(第2次)では、総コレステロール値が240mg/dL以上の人の割合を男性では10%、女性は17%にまで抑えるという目標値を掲げていますが、まだ課題が多そうです。
血清総コレステロール値が高くなると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患リスクが高まるため、「成人女性のほぼ2割が高コレステロール」という状況に早急に手を打つ必要がありそうです。
2017国民健康・栄養調査3 180911
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%で「糖尿病」が強く疑われる。同じく、成人男性の37%、成人女性の27.8%が「高血圧」で、成人女性の19.8%が「高コレステロール」状態である―。
厚生労働省が9月11日に公表した2017年の「国民健康・栄養調査」結果から、こうした状況が明らかになりました。
1 成人男性の18.1%、成人女性の10.5%が「糖尿病」が強く疑われる
2 成人男性の37%、成人女性の27.8%が高血圧
3 成人女性の19.8%が高コレステロール
成人男性の18.1%、成人女性の10.5%が「糖尿病」が強く疑われる
「国民健康・栄養調査」は、健康増進法に基づいて国民の身体の状況や栄養素の摂取量、生活習慣の状況などを明らかにするもので、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料となります。
メディ・ウォッチでは、今回も(1)糖尿病(2)血圧(3)血中コレステロール―の状況に注目しました。
糖尿病が強く疑われる人(現在では、HbA1c(NCSP)値が6.5%以上)の割合は、
男性(20歳以上、以下同)で18.1%(2016の前回調査に比べて1.8ポイント増)、
女性(20歳以上、以下同)で10.5%(同1.2ポイント増)でした。
厚労省は「この10年間で見ると、有意な増減は見られない」とコメントしていますが、女性では「この10年間で最も多い」、男性でも2015年に次いで二番目に多い」割合となっています。
年齢階層別に見ると、男女のいずれでも、年齢が上がるにつれて「糖尿病が強く疑われる」人の割合が高まり、70歳以上男性では25.7%(同2.5ポイント増)、70歳以上女性の19.8%(同3.0ポイント増)にのぼります。「生活習慣の改善」と「重症化予防」を強力に進めていく必要がありそうです。
2017国民健康・栄養調査1 180911
成人男性の37%、成人女性の27.8%が高血圧
血圧について見てみると、
▼男性では2015年まで緩やかな低下傾向にあったが、その後、再び上昇している
▼女性では、増減を繰り返しており、2015年以降は増加傾向にある―ことが分かりました。
ただし、高齢化の影響を除去すると、男女ともに「緩やかな減少」傾向を見ることもできそうです。
2017年の収縮期(最高)血圧の平均は、
▼男性:135.2mmHg(同前年に比べて0.9mmHg上昇)
▼女性で128.9mmHg(同1.6mmHg上昇)となりました。
健康日本21(第2次)では、最高血圧の平均値について、男性では134mmHg、女性では129mmHgに抑えるという目標値を掲げており、男性では目標未達、女性ではかろうじてクリアという状況です。
また、最高血圧が140mmHg以上の人の割合は、
男性で37.0%(同2.4ポイント増)、
女性で27.8%(同3.0ポイント増)ですが、
高齢化の影響を除去すると、男女ともに「高血圧の人の割合は緩やかに減少している」と見ることもできます。
2017国民健康・栄養調査2 180911
成人女性の19.8%が高コレステロール
血清総コレステロールに目を移すと、
血清総コレステロールが240mg/dL以上の人の割合は、
男性で12.4%(同2.6ポイント増)、
女性で19.8%(同2.5ポイント増)となっています。
高齢化の影響を除去しても、コレステロール値の高い人の割合が増加しており、要注意と言えます。
健康日本21(第2次)では、総コレステロール値が240mg/dL以上の人の割合を男性では10%、女性は17%にまで抑えるという目標値を掲げていますが、まだ課題が多そうです。
血清総コレステロール値が高くなると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患リスクが高まるため、「成人女性のほぼ2割が高コレステロール」という状況に早急に手を打つ必要がありそうです。
2017国民健康・栄養調査3 180911