2018年09月28日
適度な炭水化物の摂取が長生きの秘訣? 炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ
適度な炭水化物の摂取が長生きの秘訣?
炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ。
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/11
Background写真Valeria_aksakova - Freepik.comによるデザイン
「The Lancet Public Health」8月16日オンライン版に掲載された新しい研究で、炭水化物を適度に食べることが長生きにつながる可能性のあることが示された。
この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のScott Solomon氏らが実施したもの。
1987〜1989年に米国で開始されたアテローム性動脈硬化症に関するコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に参加した、
45〜65歳の米国成人1万5,428人を対象に中央値で25年間追跡し、食物摂取頻度調査票により評価した炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べた。
その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率と死亡率との間にはU字型の関連がみられ、総摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50〜55%だった場合に最も死亡リスクが低いことが分かった。
また、炭水化物の摂取比率は寿命にも関係しており、炭水化物を適度(摂取比率が50〜55%)に摂取する人の50歳時点の余命は33年で、炭水化物の摂取比率を30%未満に制限する人よりも4年長く、摂取比率が65%を超える人よりも1年長かった。
Solomon氏らはさらに、ARIC研究と7件の前向き研究のデータを合わせて、日本を含む各国から43万2,179人のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、ARIC研究の参加者の解析結果と同様に、炭水化物を適度に摂取するのに比べて、炭水化物の摂取比率が40%未満もしくは70%以上の場合には死亡リスクが有意に上昇し、寿命が短縮することが明らかになった。
また、炭水化物の摂取を制限する場合には、牛や羊、豚の肉やチーズなどの動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは高まるが、野菜や豆類、ナッツなど植物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは低下することも示された。
Solomon氏は「種々の糖質制限食による健康への影響を、長期的に比べるランダム化比較試験はこれまで実施されていないが、この研究結果から、炭水化物に置き換えて、動物性ではなく植物性のたんぱく質や脂肪の比率を増やすと心血管疾患などの重大な疾患の予防に有用な可能性が示された」と話している。
ただし、今回の研究は観察研究であり、因果関係を明らかにしたものではない。
参加者の食生活についても自己申告に基づくもので、その調査も研究開始時と6年後の2回しか実施されていなかった。
そのため、Solomon氏は「25年の追跡期間中に参加者の食習慣は変化したかもしれず、これが結果に影響した可能性もある」と指摘している。
研究を率いた同病院の心臓専門医であるSara Seidelmann氏は「炭水化物をたんぱく質や脂質に置き換える糖質制限食は、健康の維持や減量に有効とされ、一般に人気が高まっている。
欧米では、炭水化物を動物性の食品に置き換える方法が流行しているが、こうした食べ方は早期死亡リスクを高める可能性があり、すぐにやめるべきだ」と強調する。
また、「炭水化物を制限する場合には、炭水化物を植物性の脂肪やたんぱく質に置き換えれば健康に長生きできるかもしれない」と助言している。
[2018年8月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Seidelmann SB, et al. Lancet Public Health. 2018 Aug 16. [Epub ahead of print]
炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ。
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/11
Background写真Valeria_aksakova - Freepik.comによるデザイン
「The Lancet Public Health」8月16日オンライン版に掲載された新しい研究で、炭水化物を適度に食べることが長生きにつながる可能性のあることが示された。
この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のScott Solomon氏らが実施したもの。
1987〜1989年に米国で開始されたアテローム性動脈硬化症に関するコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に参加した、
45〜65歳の米国成人1万5,428人を対象に中央値で25年間追跡し、食物摂取頻度調査票により評価した炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べた。
その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率と死亡率との間にはU字型の関連がみられ、総摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50〜55%だった場合に最も死亡リスクが低いことが分かった。
また、炭水化物の摂取比率は寿命にも関係しており、炭水化物を適度(摂取比率が50〜55%)に摂取する人の50歳時点の余命は33年で、炭水化物の摂取比率を30%未満に制限する人よりも4年長く、摂取比率が65%を超える人よりも1年長かった。
Solomon氏らはさらに、ARIC研究と7件の前向き研究のデータを合わせて、日本を含む各国から43万2,179人のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、ARIC研究の参加者の解析結果と同様に、炭水化物を適度に摂取するのに比べて、炭水化物の摂取比率が40%未満もしくは70%以上の場合には死亡リスクが有意に上昇し、寿命が短縮することが明らかになった。
また、炭水化物の摂取を制限する場合には、牛や羊、豚の肉やチーズなどの動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは高まるが、野菜や豆類、ナッツなど植物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは低下することも示された。
Solomon氏は「種々の糖質制限食による健康への影響を、長期的に比べるランダム化比較試験はこれまで実施されていないが、この研究結果から、炭水化物に置き換えて、動物性ではなく植物性のたんぱく質や脂肪の比率を増やすと心血管疾患などの重大な疾患の予防に有用な可能性が示された」と話している。
ただし、今回の研究は観察研究であり、因果関係を明らかにしたものではない。
参加者の食生活についても自己申告に基づくもので、その調査も研究開始時と6年後の2回しか実施されていなかった。
そのため、Solomon氏は「25年の追跡期間中に参加者の食習慣は変化したかもしれず、これが結果に影響した可能性もある」と指摘している。
研究を率いた同病院の心臓専門医であるSara Seidelmann氏は「炭水化物をたんぱく質や脂質に置き換える糖質制限食は、健康の維持や減量に有効とされ、一般に人気が高まっている。
欧米では、炭水化物を動物性の食品に置き換える方法が流行しているが、こうした食べ方は早期死亡リスクを高める可能性があり、すぐにやめるべきだ」と強調する。
また、「炭水化物を制限する場合には、炭水化物を植物性の脂肪やたんぱく質に置き換えれば健康に長生きできるかもしれない」と助言している。
[2018年8月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Seidelmann SB, et al. Lancet Public Health. 2018 Aug 16. [Epub ahead of print]
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