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2015年05月26日
本紹介 No. 016『密教大辞典 縮刷版』
『密教大辞典 縮刷版』
いまさらですが、これを紹介しない訳にはいかないので・・・
『密教大辞典 縮刷版』(法藏館 1983)
本当は縮刷版じゃなくて六巻本の方がほしかったんだけど、置く場所がないんだよねえ。
構成および内容
A5版、2745ページ、紙質良好、白黒図版多数
重さが2.4 kg、厚みが10.5 cmくらいあって、長時間手に持って調べ物をしていると手首がやられる・・・
ページは右開き縦書き三段組。
項目はカタカナ表記の五十音順で、場合により漢字、梵字、ローマ字表記のサンスクリット語などが並記されている。
本文は少しく古びた表現方法を用ひるにて読むに難しと思へど、慣れるに従いこの方法こそ相応しと感ず。
付録にも興味深い項目がたくさん載せてある。
<付録目次>
密教年表
密教経典漢訳年表
内容索引
梵語索引
冠字索引
略字略名表
仏菩薩等形像索引
密教印図集・索引
密教法流系譜
この中で、仏菩薩等形像索引とあるのは仏像の形像から種類を特定することのできる索引で、尊像を腕の数で【二臂】から【十臂以上】に分け、それぞれ、「右手」、「左手」、「頭面」、「特兆」、「尊名」が載っている。
例えば、【二臂】で右手に五股杵、左手に鈴、頭面は菩薩で、特兆に座下三象とあれば、尊名は普賢延命菩薩であることがわかる仕組みになっている。逆に名前が分かっているなら項目には【形像】についての説明があり、また、代表的な尊格は項目の近くに尊像図が掲載されている。
密教印図集・索引の密教印とは様々な手の形を組み合わせた印契(ムドラー)のことで、名称とともに印契の図が載せてあり一目でわかりやすい。印契の数なんと387図におよびます。
本をよんでわからないことは大抵語句の意味を理解していないのでネットで調べるのですが、よくわからないことがあり、結局密教大辞典を手にすることにしました。
かなり重く厚い辞書なので日々持ち歩くというわけにもいかなそうで使いこなせるかどうかわからず、本屋さんで眺めては、「やっぱり大きいよなあ」と諦めていたのですが、いざ、使い初めて見ると大きさよりも内容の素晴らしさで座右の書となりました。
はじめに買ったときは嬉しくて1ページ目から尊像図を探しはじめたのですが、途中で疲れてやめてしまうほど見応え、読み応えがあります。
ただし、所有している版は「二〇〇七年十月十日 縮刷版第十刷発行」のものなのですが、文字や図像がかすれて読みにくいところがあるのがちと残念です。古い六巻本ならそんなことないんだろうか?
出先では語句をネットで調べたりしていますが、わからないことがあると家に帰ってからこの辞書で調べ直しています。
密教大辞典の入った電子辞書などは無いようで、2745ページを自炊するのもどうかと思うし・・・法藏館で密教大辞典アプリとか作らないかなあ。
曼荼羅作画とのかかわり
曼荼羅を描いているなかで、様々なことを調べたり、読書をして考えたりしている。そのなかでわからないことはこの密教大辞典で調べることが多い。
旧仮名遣いや略表記のため慣れないときは読みにくく感じてましたが、なれると短い文章中に多くの情報が詰まっているので、短時間で内容が把握ができ便利です。
欲しい情報が必ず載っているものでもないので、密教大辞典だけで全てを知ることはできませんが、信頼度の高い参照先であることは確かです。
また、多様な曼荼羅や曼荼羅に描かれる尊像の白描などが多数掲載されており、図像から得られる情報もかなりのものです。
いま無人島に密教関係の本を一冊だけもっていけると言われたらこの密教大辞典を選ぶとおもいます。
そういう本です。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ