2015年07月21日
本紹介 No. 030『AJANTA & ELLORA』
『AJANTA & ELLORA』
アジャンター石窟寺院壁画について知りたく思い、前回の本紹介で『週刊 ユネスコ世界遺産 No. 83 インド』を読んだ。
しかし、アジャンター石窟寺院に関するページが6ページしかなく全く物足りない気持ちになったので、次にこれを選んだ。
『AJANTA & ELLORA』(The Guidebook Co.,Ltd. 1991)
The Guidebook Company Limited社の出版とあるのでガイドブック的な本だろうなとあたりをつけた。
構成
A4版、84ページ、英語表記、80ページまで精細なカラー写真多数。
構成は以下の通り。
1 Opening pages
4 Opening photos
15 Introduction
22 AJANTA
58 ELLORA
81 An A to Z of Facts and Figures
84 Index
AJANTAとELLORAの写真に多くのページが割り当てられており、巻末に簡単な用語解説と索引が付けられている。
内容
ほぼ全ページに渡ってAJANTAとELLORAのカラー写真が掲載されており、それぞれの写真に簡単な解説文が付せられている。
写真はガイド写真集の写真としては上質な部類に入ると思われる。構図、色調ともに大変良い。
少々ピントが甘いかなと思う写真もいくつかあるが、暗い室内でのフィルム撮影では限界もあるだろう。
A4見開きに大きく掲載されている写真も複数あり、尊像や文様を細部まで観察できることはありがたい。
特にAJANTAの千体仏や群衆の生き生きとした表現や蓮華その他の植物文様や幾何学紋などを細部まで確認できるのは嬉しい。
ELLORAの彫刻写真では数多くの躍動する異形の神々に圧倒され軽く眩暈を感じる。
彫刻ってこんなに自由自在だったかな・・・
一つ一つの彫刻像の個性や生命感と相まって、たった1枚の写真でも何度みても飽きることなく、また、新しい発見が見つかる。
自然のちからを神々に還元するという思想は自然のもつ多様性や複雑性を神々の多様な姿態で表現することになるのだろうなと感じた。
『週刊 ユネスコ世界遺産 No. 83 インド』に比べると見ることのできる写真が格段に増えているが、AJANTAとELLORAの壁画や尊像彫刻のうち何パーセントが本書に掲載されているのだろう。
曼荼羅作画とのかかわり
両界曼荼羅には仏教の尊格だけでなくバラモン教・ヒンドゥー教の神々の姿が描かれている。
それら尊像・神像のイメージを多角的にできるだけ多く得たいと願う。
密教がインド発祥であるから密教美術がインド的でなければならないということはない。
しかし、西院本両界曼荼羅に惹かれた理由の一つがそのインド的エキゾチシズムではないかと感じているので、西院本両界曼荼羅にみられるエキゾチシズムのうちのエキスのようなもの、あるいは、源流のようなものをインド美術の中から汲み取ることはできないだろうかと考えている。
それを両界曼荼羅に注ぎ込みたい。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
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