2007年07月27日 | Posted by shu at 09:38 | 日本語診断 | この記事のURL |
●日本語診断:敬語
《日本語診断:敬語の間違いを防ぐ》
敬語と一口にいっても、5種類に分けられます:
尊敬語
謙譲語(I)
謙譲語(II)
丁寧語
美化語
の五つです。
尊敬語とは、相手を立てることで敬意を表わす言葉:
来る⇒いらっしゃる
見る⇒ご覧になる
食べる⇒召し上がる
などです。
謙譲語(I)とは、自分や身内を下げる(へりくだる)ことで、
相対的に相手に敬意を表わす言葉:
行く⇒伺う
見る⇒拝見する
食べる⇒いただく
などです。
謙譲語、(II)とは、自分の動作を丁重に言うことで、その場にいる
聞き手に対する敬意を表わす言葉:
私がします⇒私がいたします
そちらに行きます⇒そちらに参ります
などです。
丁寧語とは、丁寧な言い方をすることで、相手への敬意を表わす言葉:
語尾に「です」「ます」「ございます」などをつけます。
⇒あの建物が議事堂です。
⇒明朝、早く起きます。
などです。
美化語とは、物事を上品に美化して言う言葉:
めし⇒ごはん
うまい⇒おいしい
又
⇒お天気、お菓子、ご馳走
のように、「お」や「ご」をつけます。
尊敬語には以上のような分類があります。
しかし、いちいち使い分けよう!などと堅苦しく思う
必要はありません。
それではここで、不適切な例を見ていきましょう。
高校生の息子が留守番をしていると、母親宛に電話がかかってきました:
1. 編み物教室の山田ですが、お母さんいますか
2. お母さんは今いません
3. いつごろ帰りますか
4. 夕方には帰ると思うけど
5. それでは私から電話あったと伝えてください
さて、どこが問題?
「編み物教室の山田ですが」は、もう少し丁寧に
「・・山田と申しますが」のほうがよいと思います。
「お母さんいますか」では、ぞんざいです。尊敬語を使って
「・・いらっしゃいますか」のように言うべきでしょう。
「お母さんは今いません」とありますが、身内の者を他人に言うときには、
「お」や「さん」はつけません。従って、「母」としましょう。
また、「いません」はちょっとそっけない言葉です。
丁寧に「おりません」とします。しかしこのばあい、
具体的に「出かけています」のほうがさらに適切です。
「帰りますか」という聞き方は尊敬がなさ過ぎますね。
「いつごろお帰りでしょうか」などとします。
「思うけど」はちょっと問題です。「思いますけれど」と
丁寧に言うのが望ましいです。
「私から・・・」と言っていますが、確認も含めて名前で
「山田から・・・」と言うほうがよいのでは。
「伝えてください」は「お伝えください」と言ったほうが、
敬意が表れ、気持ちが伝わります。
敬語の根本は、相手を思いやり、敬う心です。
自分と相手との関係を把握していれば、間違いを妨げることができます。
(辞典編集者:西谷裕子さんの日本語診断室を参照いたしました)
敬語練習帳―いちばん問題な日本語 (単行本)
有吉 忠行 (著)