2008年03月16日
●ヘレンケラーとサリバン先生
幼少期のヘレン・ケラーと家庭教師のアン・サリバンを撮影した
120年前の写真(AP)がこのほど見つかりました。
ヘレン・ケラーの子供時代の写真はほとんど残っておらず、
ヘレン・ケラーに関しての「最も重要な写真の1枚」であると思われます。
この写真は1888年7月、ヘレン・ケラー一家が避暑のために滞在していた
米国マサチューセッツ州ブルースターで撮影されたもの。
いすに座って人形をひざに乗せた当時八歳のヘレンケラーと、
彼女に寄り添うように腰を下ろしたサリバン先生が移っている。
サリバン先生がヘレン・ケラーのもとに来て、最初に教えた文字が「人形」。
つまりヘレンケラーに人形を抱かせて、手のひらに『DOLL』と書いて文字の
意味を教えたといわれます。
ヘレン・ケラーは2歳になったとき熱病にかかり、医師と家族の懸命な治療により
かろうじて一命はとりとめたものの、聴力と視力を失い、話すことさえできなくなった。
つまり見ること、聞くこと、話すことのできない三重苦の運命を背負ったのです。
ヘレン・ケラーの両親はウォータータウンにあるパーキンス盲学校の校長
アナグノスに手紙を出し、家庭教師の派遣を要請しました。
そして派遣されてきたのが、同学校を優秀な成績で卒業した当時弱冠20歳の
アン・サリヴァンであったのです。彼女はその後約50年にもわたってよき教師として、
そして友人として、ヘレンを支えていくことになりました。
ヘレンとアン・サリバンの半生は、『奇跡の人』(原題:The Miracle Worker)
として舞台化及び映画化されており、日本でも何度も上演されています。
原題の"The Miracle Worker"には「(何かに対して働きかけて)奇跡を起こす人」
といった意味があり、アン・サリバンのことを指すのですが、日本では
ヘレンケラー自身のことと誤解され、「奇跡の人」がヘレンの代名詞として
用いられることが多いようです。
正式名:ヘレン・アダムス・ケラー(Helen Adams Keller、1880年6月27日〜1968年6月1日)は、
アメリカの教育家・社会福祉事業家であり、重い障害を背負いながらも、
世界各地を歴訪し、身体障害者の教育・福祉に尽くした、とされます。
ヘレン・ケラーの自伝によると「心の目」が開かれた話があります。
もちろん肉眼は開かなかったのですがヘレン・ケラーは、「言葉」という存在によって
ものを知るという、感動的な体験をしました。
家庭教師のサリバンが、水車小屋に連れていき、片方の手を水の流れに触れさせ、もう一つの手に水・ウォーターという文字をつづりました。なんどもそうしているうちに、心の目が開かれて、この冷たい流れるものが「ウォーター」というものなのだ。
いま自分が触れている生きた物体、それが「ウォーター」という名称であり「言葉」なのだとということを知ったのです。この、心の目が開かれた瞬間、その一瞬が彼女の人生を変えたのです。言葉によって世界の実相を知りはじめたのです。
もし、ヘレンケラーがサリバンという優れた教師に出会わなかったならばヘレンケラーはいつまでも、
動物と同じように記号や合図によっていきる世界にとどまっていたかもしれません。
今回発見された写真のヘレン・ケラーのとても穏やかな顔の表情から、すでに「ウォーター」を知った後であったかも知れません。