2007年08月15日
●サブプライムローン問題
《サブプライムって??》
ここのところ連日、新聞、テレビを騒がしているのが「サブプライムローン」問題。今迄こんな単語、聞いたことがありませんでした。ところがいきなり、日経新聞を始め、世界主要紙の一面のトップを飾る有名ワードなったのです。
3日間で、ヨーロッパ、アメリカそして日本の中央銀行が都合42兆円あまりも、この問題解決のために市場に注ぎ込んだ、とか。なにが起きているのでしょうね?
一生懸命記事を読んでも、専門家でもない限りどうもチンプンです。
ところで、サブプライムの「プライム」とは何でしょうか。辞書で調べると「最良、超優良、高信用」などの意味に要約できます。よく「プライムレート」などの言葉を耳にしますが、これはいわゆる、銀行の銀行といわれる、国の中央銀行が一般市中銀行にお金を貸してあげるときの最優遇の金利です。これは国の経済政策にかかわる基本的な金利で、これをベースに一般金利も決まっていくといっていいと思います。
それでは、サブプライム「サブ」とは何でしょうか。英語で「sub」と書きますが、辞書で調べますと「下位の」とか「補欠」という意味のようです。
つまり「サブプライム」とはプライムの補欠であり、下位に位置するものです。したがって「サブプライムレート」は本来のプライムから見て裏街道的な優遇されない金利ということになります。この金利でお金を借りるのが「サブプライムローン」ということになります。
ではどのような人がこの「優遇」されない高い金利でお金を借りるのでしょうか。貸し手としては、信用度の低いリスキーな借り手に対して適用するということになります。日本で言えばサラ金市場とちょっと似ているかもしれません(言い過ぎかも)。
米国では、低所得や、延滞など事故歴がある信用力の低い人たちにこの「サブプライムローン」を適用しています。
米国流にいえば「サブプライムとは低所得者層や、延滞など事故歴がある信用力の低い消費者にも、審査基準を甘くする代わりに高い金利で貸し付けること」
「高い金利さえ払えばローンを組める」。それも「日本では考えられない商品(貸付の)を開発して貸し出し競争を行っている。例えばインタレスト・オンリーというものは、当初は金利の支払いのみで、数年後から元本の支払いがはじまるもの」「こうしたサブプライム向けの融資の多くは、契約から3年経過したあたりから元本の返済がスタートするしくみ」「米国の住宅市場がピークをつけたのは2005年ですから、今年から来年にかけて、このサブプライムローンの返済問題が米国経済を大きく揺さぶる可能性がある」というわけです。(経済ジャーナリスト、仁科剛平氏の記事参照)
米国ではここ数年住宅ブームに加え、リゾートブームがありました。リゾートなどは、完工前の転売や計画だけでの売買が繰り広げられていったといわれます。いわゆるバブルです。そしてこのブームを支えていたのが「審査が甘くて、融資の早い」サブプライムローンだったわけです。
ブームが去れば、最後に物件をつかんだ人は、売るに売れない処分に四苦八苦するわけです。さらに、これら妙味の大きい、リゾート、住宅関連のサブプライムローン市場は不動産、債権などを担保に証券化され、投資市場と密接結びついています。そして、これらに間接、直接に投資している金融機関や投資家は世界的に膨大な数になっているといわれます。
7月30日、ドイツ産業銀行がサブプライム向け債権処理で、今期の利益が大幅減益になると表明(つまり焦げ付いちゃって換金できないわけです)。同行の最高責任者が辞任に追い込まれまた、と報道されました。欧州の投資家は、好調な欧州景気に支えられ、2006年にサブプライムを含めた住宅ローンを中心に、前年比2割り増しの、約28兆6千億円もの米国証券化商品を購入した(日本経済新聞の記事、野村證券の推計)とされます。
米国の住宅価格上昇率は2006年に入って急速に鈍化しました。そして、サブプライムローンの返済延滞率が際立った上昇を始めたといわれます。債務者の延滞が顕著になると、次は貸し手である金融専門会社に対する融資に、金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破たんする例が出始めたわけです。
これらは、投資家や投資金融機関に不安を宿らせ、その憶測は株価や為替にも飛び火し、本来米国の国内問題であるはずのサブプライム層への受託ローン貸し出しの焦げ付きが、金融のグローバル化と密接に絡んで世界的な不安へと助長していったわけです。
そこで欧州中央銀行が「無制限の資金供給」を宣言したり、米連邦準備理事会(アメリカの中央銀行)も「必要に応じて流動性を供給する」と強調したわけです(日本経済新聞、8月15日付)
ところでここで、バブル経済について復習をしてみたいと思います:バブル経済とは不動産や株式をはじめとした資産の価格が、投機によって説明可能な価格以上に上昇し、その上昇が魅力となってさらなる投機を呼ぶという循環が起こっている状態の経済のこと(Wikipedia)とあります。
「サブプライム問題」、などと言われると、何か高尚な経済のメカニズムの問題かな?と感じやすいのですが、人間の欲望が膨らますバブルの再現に他ならないわけですね。
シュー