その緩くなったベニヤ板の隙間から中を覗いてみると、ジロタンの太いシッポが見え、さらにその一段上の方を見上げると、ジロタンの顔があって、向こうもこっちを見ていて目が合った。いつも家の中で会っているのに何だか変な気分だった。それは向こうも同じだったろうが。きっと外に出られないかあれこれ試してたんだと思う。
保護猫ミネちゃんを保護した当時、最初、縁側のサッシをいつも少しだけ開けっ放しにして、自由に外と出入りできるようにして、好きに用を足してもらっていたのだが、子猫が生まれてからというもの、子猫が外に脱走しないように、その縁側サッシを閉め切り、猫トイレを用意して、そこで用を足してもらうように切り替えた。
ところが、ミネちゃんは自由に外に出られなくなったことで不満がたまったようで、どこからか外に出られないかと、あちこち探っているうちに、階段下から隙間風が吹いてくることに気付いたらしく、そのユパユパしたベニヤ板を頭で押し込んで、脱走ルートにしてしまったことがあった。その後、気付くと庭にミネちゃんの姿があって、一体どこから出てるのか家の中を探し回り、やっと見つけたのがその階段の下のベニヤ板だったのだ。
すぐにそのふやけたベニヤ板を階段の外から、木っ端の木片をそこに当て釘を打って塞いだことがあったが、その辺りの別のベニヤ板がまた4年経過し怪しくなってきたようだ。近いうちに、また木っ端を当てて釘を打っておくことにしよう。ミネちゃん譲りなのか、ジロタンはいつも脱走ルートの開拓に余念がないので、ワシが気付くのと同様に、すぐに嗅ぎ付けてしまったようだ。
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