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2020年10月20日

【驚き】桂皮/シナモンの優れた働き


 「病気になって医薬品に頼る前に、普段の食生活で今以上に健康でありたい。」、「できる範囲で健康にいい食生活を送りたい。」と感じたことはありませんか。バランスに優れた食生活はもちろんのこと、その食生活にプラスすることで、健康を維持できれば、それに越したことはありません。スパイス、あるいは漢方としても知られるシナモンは、優れた成分を有し、人々の健康に寄与しています。





 桂皮(ケイヒ)、英語名のシナモンは、ほのかな甘い香りが特徴です。桂皮は、スリランカやベトナム、インドネシア、中国、マレーシアなどに生育しているセイロンニッケイやジャワニッケイ、トンキンニッケイなどの樹皮を乾燥させたものです。





 シナモンに含まれるシンナムアルデヒドには、血管の健康を維持し、傷ついた血管を修復する働きがあることから、酸素や栄養成分などが体の隅々まで円滑に行き届くことで、老化や疾病の防止などにつながります。また、ポリフェノールの1種となるフラボノイドを多く含むことから、抗酸化作用や体内で炎症が起こることを防ぐ作用があります。





 シナモンティやシナモンコーヒー、あるいは普段飲んでいるお茶に加えること、ヨーグルトに混ぜること、日々の家庭料理に取り入れることなどで、シナモンを継続的に摂取し、健康の維持に役立ててはいかがでしょうか。



普段の食生活でより健康に


 「病気になって医薬品に頼る前に、普段の食生活で今以上に健康でありたい。」、「できる範囲で健康にいい食生活を送りたい。」と感じたことはありませんか。
 バランスに優れた食生活はもちろんのこと、その食生活にプラスすることで、健康を維持できれば、それに越したことはありません。
スパイス、あるいは漢方としても知られるシナモンは、優れた成分を有し、人々の健康に寄与しています。



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桂皮/シナモンの種類と特徴


 桂皮(ケイヒ)、英語名のシナモンは、ほのかな甘い香りが特徴です。桂皮は、スリランカやベトナム、インドネシア、中国、マレーシアなどに生育しているセイロンニッケイやジャワニッケイ、トンキンニッケイなどの樹皮を乾燥させたもので、果実は肉桂子(ニクケイシ)、枝は桂枝(ケイシ)と呼ばれています。ジャワニッケイとトンキンニッケイは、カシアとも呼ばれています。





 中国では古くから薬用とされ、日本には8世紀前半に伝来しています。成分に精油を1〜3%を含み、主成分はシンナムアルデヒドです。シンナムアルデヒドは、チューインガムやアイスクリーム、キャンディ、清涼飲料などの香料としても用いられます。生薬としての特性は、停滞しているものを動かし、発散させる作用を持つといわれています。





 桂皮の主な効能は、鎮けい作用や鎮静、血圧下降、末梢血管拡張、心臓収縮力増強、ストレス性胃びらん予防効果、胆汁分泌促進、抗アレルギー、抗炎症、活性酸素産生の抑制などがあります。主な用途は漢方処方薬で、風邪薬、鎮痛鎮けい薬、解熱鎮痛消炎薬、動悸抑制薬、保健強壮薬、婦人薬とみなされる処方及びその他の処方に高頻度で配合されています。また芳香性胃腸薬として食欲不振、消化不良に用いられます。





 スパイスのシナモンは、主に洋菓子のアップルパイやシナモンロールなどに用いられます。こちらはスリランカのセイロンで栽培されるニッケイの樹皮から作られるスパイスのことで、セイロンシナモンとも呼ばれます。スパイスには外側の皮が使われます。棒状のシナモンスティックは、外皮の内側の樹皮を重ねて丸め、乾燥させてつくられるので、手間がかかることもあり、値段も高くなります。インドのミックススパイスであるガラムマサラやチャイの香りづけにも欠かせないスパイスです。ニッキは、国産のトンキンニッケイの根の部分で、八ツ橋や飴に使われます。流通量の少ないニッキ最も高価で、セイロンニッケイと続きます。





 セイロンニッケイとジャワニッケイ、トンキンニッケイは、含有する成分も異なります。シナモンの独特な風味となるオイゲノールは、セイロンニッケイに含まれる成分となり、ジャワニッケイやトンキンニッケイには含まれません。味や風味も異なり、セイロンニッケイは甘い香りを有し、味に辛味はありませんが、ジャワニッケイやトンキンニッケイは爽やかで甘い香りと強い辛味があります。



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桂皮/シナモンの驚きの効果


 シナモンと聞くと風味づけのスパイスを連想させますが、シナモンあるいは桂皮は、健康に役立つ成分を多く含み、そのことからさまざまな生薬と組み合わせることで、漢方薬にもなっています。



血管の修復維持


 シナモンに含まれるシンナムアルデヒドという成分には、血管の内皮細胞に存在する受容体であるTie2(タイツー)を活性化して、血管の健康を維持し、傷ついた血管を修復する作用があることがわかっています。全身に張り巡らされた血管の衰えは、酸素や栄養成分などの円滑な運搬を妨げるため、必然的に老化へとつながります。





 血管が健康な状態を維持する鍵は、血管の新生を促進する糖タンパク質アンジオポエチン-1と内皮細胞に存在する受容体Tie2です。Tie2は、血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼという酵素で、最近老化に深くかかわっていることが明らかになっています。





 このTie2の働きが活発になることで、血管が守られ、老化を防ぐことになります。もっとも、Tie2だけでは、血管の修復や衰えを防ぐわけではありません。その働きを活発にする物質が、壁細胞から分泌されるアンジオポエチン-1です。このアンジオポエチン-1が、内皮細胞に存在するTie2受容体と結合することで、細胞組織を活性化し、血管自体の健康を維持します。





 しかし、加齢や紫外線、生活習慣、ストレスなどで壁細胞がダメージを受けるとアンジオポエチン-1が分泌されず、Tie2が活性化されないため、血管にゆるみや隙間ができ、これが血管の劣化の始まりです。





 血管の劣化を完全に防ぐことはできませんが、植物の中に壁細胞から分泌されるアンジオポエチン-1と同様に、Tie2を活性化することができる成分がいくつかあることがわかってきました。その成分のひとつが、シナモンに含まれるシンナムアルデヒドです。シンナムアルデヒドは、血管の健康を維持し、傷ついた血管を修復する働きがあります。ほかにもヒハツやルイボスティーにも、シナモンと同様の効果があります。





 これは、リンパ管においても同様のメカニズムで老化が防止され、シワやむくみの予防、メタボ予防、育毛など多くの疾病の改善につながる可能性があります。



抗酸化作用


 シナモンは、ポリフェノールの1種となるフラボノイドを多く含むことから、強力な抗酸化作用を有しています。この成分は、心臓病や糖尿病、認知症をはじめ多く深刻な症状の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。



抗炎症作用


 シナモンに含まれるポリフェノールの1種となるフラボノイドは、体内で炎症が起こることを防ぐ作用があります。



桂皮/シナモンを継続的に摂取する方法と注意点


 シナモンを継続的に摂取するには、シナモンティやシナモンコーヒー、あるいは普段飲んでいるお茶に加えること、ヨーグルトに混ぜること、日々の家庭料理に取り入れることなどです。





 実際にシナモンの効果を知ってから、毎日の食生活に取り入れている人も多く見受けられます。聞いたところ、シナモンの粉末を常備し、納豆やみそ汁にも少量加え、健康の維持に役立てています。





 シナモンを通常の食事から摂取する分には問題ありませんが、シナモンの香りの成分の1つであるクマリンは、過剰に摂取することにより、肝障害が誘発されることがわかってきました。ドイツでは、人が一生涯にわたり摂取しても健康への影響上問題ないとされる一日当たりの摂取量を、体重1キログラム当たり0.1ミリグラムに定め、注意喚起しています。





 なお、シナモンはあくまでも健康を維持するための補助的な位置づけであり、シナモンを通常医療の代用とはなりません。



まとめ


 桂皮(ケイヒ)、英語名のシナモンは、ほのかな甘い香りが特徴です。スリランカやベトナム、インドネシア、中国、マレーシアなどに生育しているセイロンニッケイやジャワニッケイ、トンキンニッケイなどの樹皮を乾燥させたものです。





 シナモンに含まれるシンナムアルデヒドには、血管の健康を維持し、傷ついた血管を修復する働きがあることから、酸素や栄養成分などが体の隅々まで円滑に行き届くことで、老化や疾病の防止などにつながります。また、ポリフェノールの1種となるフラボノイドを多く含むことから、抗酸化作用や体内で炎症が起こることを防ぐ作用があります。





 シナモンティやシナモンコーヒー、あるいは普段飲んでいるお茶に加えること、ヨーグルトに混ぜること、日々の家庭料理に取り入れることなどで、シナモンを継続的に摂取し、健康の維持に役立ててはいかがでしょうか。


2020年10月19日

【一部食用となる】南米のコカとケシ

コカとは


 コカは、ペルーやチリ、ボリビア、エクアドル、コロンビアで見られる植物です。標高300〜1500mの山地で栽培されています。高さ1.5mまで育つ灌木で、コカの葉は、8〜10cm程度、暗緑色で先がとがっており、ローレルの葉に似た形状をしています。小さな白い花を咲かせ、赤い卵型の実をつけます。コカの特徴としては、麻酔効果や鎮痛効果、興奮作用、鎮静作用、消化の促進、疲労回復効果、血行の改善、虫歯予防などがあります。現地でコカは、高山病や胃炎、潰瘍に用いられます。コカは、カルシウムなどのミネラルやβ-カロテンなどを多く含んでいます。この地域の先住民にとっては、カルシウムを補う貴重な食品のひとつと考えられていました。





 コカは、さまざまなアルカロイドを含有しています。アルカロイドとは元来、植物由来の窒素を含む有機化合物で、強い生物活性を有する化合物群と定義されています。コカに含まれる代表的なアルカロイドは、コカインです。コカインは、麻酔薬や鎮痛剤として用いられます。そのほかにエクゴニンは、脂質や糖質の代謝、血行の改善、アトロピンは麻酔薬、キノリンはリンやカルシウムと結びつき、虫歯の予防、コニインは麻薬としての効果、コカミナはコカインの持つ麻酔効果や鎮静効果の増強、イヌリンは胆汁の分泌促進や肝機能の改善、ベンゾインは胃炎や潰瘍の治療、レセルピンは高血圧時の動脈圧の正常化や骨細胞の増殖促進です。





  コカは、アルカロイドのコカインを含んでいますが、短時間で数Kgのコカの葉を噛むなどしなければ、麻薬効果はありませんので、現地でコカの葉のお茶を飲んでも問題ないそうです。





 ペルーなどの先住民の生活にとって、コカはなくてはならないものでした。当時現地では、のどの渇きをいやし、疲れを回復させる目的で使用されていました。現地では、乾燥させたコカの葉をリプタと呼ばれるキヌアなどの植物の灰でつくったものと一緒に噛み、コカに含まれるアルカロイド成分の吸収を促しました。





 コカの葉のお茶は、高山病にいいと言われ、現地アンデスのホテルやレストランなどで提供されています。また、現地ではコカを含むチョコレートや飲料、キャンディなどの製品が販売されています。





 コカの葉は、コカインの原材料となることから、多くの国で麻薬として扱われ、使用や所持、販売が規制されています。日本を含め先進国の大半は、コカインによる危険性から、コカの葉を含め、すべて麻薬あるいは麻薬原材料植物と定められ、栽培や持ち込み、流通などが厳しく規制されています。



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ケシとは


 ケシは、ケシ科ケシ属の1年草です。ソムニフェルム種のケシは、麻薬成分のモルヒネを含み、アヘンケシあるいは オピウムポピーと呼ばれ、アヘン法により所持や栽培などが禁止され、園芸用や食用のケシとは別の種類となり、区別されています。





 ケシの実は、ポピーシードとも呼ばれ、ケシ科ケシ属の1年草の植物の種子を乾燥させたスパイスです。ゴマよりも小さく、色は白いものと黒いものがあります。日本では、七味唐辛子やアンパンの上に振りかけられています。ケシの実の食感はプチプチとしており、味はくるみに似て、焼くと香ばしいナッツ類の香りがします。パンやマフィン、クッキー、ケーキなどにも使用されています。日本で販売されているケシの実は、発芽しないように加熱処理がなされており、栽培はできません。そして、何よりも健康に害はありません。インドでは、カレーのスパイスとして用いられ、クリーミーな料理ではカシューナッツやピーナッツ、生クリームなどと一緒にミキサーに掛けてペースト状にし、濃厚な味を演出します。





 ケシの実は、ビタミンB群をはじめ、葉酸やミネラル、カルシウム、マグネシウム、鉄、食物繊維、不飽和脂肪酸のオレイン酸などを含んでいます。食物繊維は成分の20%前後を占め、オレイン酸は動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防し、心疾患や脳卒中などのリスクを下げる働きが報告されています。





 英語ではポピーとして親しまれているケシは、春先に黄色やオレンジ、赤、ピンク、白の小ぶりな花を咲かせる植物として知られています。園芸種として、ヒナゲシがあり、英語ではコーンポピーと呼ばれます。





 ケシの歴史は古く、紀元前3000年頃にシュメール人はケシを歓喜や至福をもたらす植物と呼んでいました。紀元前1500年頃の古代エジプトの医学書には、ケシは鎮痛剤あるいは睡眠薬として記されています。ケシの未熟果の表皮に切り込みを入れると、乳液状の物質が分泌されます。これを集めて乾燥させると黒い粘土状の生アヘンとなります。おおよそ10%程度のモルヒネなどの多くのアルカロイドを含みます。その後、ケシは大航海時代にアヘンの原材料として世界中に広まりました。イギリスの植民地であったインドで栽培が始まり、生産されたアヘンは中国へ輸出されて、歴史的にも有名なアヘン戦争をひき起きしました。



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まとめ


 コカは、ペルーやチリ、ボリビア、エクアドル、コロンビアで見られる植物です。コカの特徴としては、麻酔効果や鎮痛効果、興奮作用、鎮静作用、消化の促進、疲労回復効果、血行の改善、虫歯予防などがあります。現地でコカは、高山病や胃炎、潰瘍に用いられます。





 コカは、アルカロイドのコカインを含んでいますが、短時間で数Kgのコカの葉を噛むなどしなければ、麻薬効果はありません。コカの葉のお茶は、高山病にいいと言われ、現地アンデスのホテルやレストランなどで提供されています。また、現地ではコカを含むチョコレートや飲料、キャンディなどの製品が販売されています。なお、日本を含め先進国の大半は、コカインによる危険性から、コカの葉を含め、すべて麻薬あるいは麻薬原材料植物と定められ、栽培や持ち込み、流通などが厳しく規制されています。





 ケシは、ケシ科ケシ属の1年草です。ソムニフェルム種のケシは、麻薬成分のモルヒネを含み、アヘンケシあるいは オピウムポピーと呼ばれ、アヘン法により所持や栽培などが禁止され、園芸用や食用のケシとは別の種類となり、区別されています。





 ケシの実は、ポピーシードとも呼ばれ、ケシ科ケシ属の種子を乾燥させたスパイスです。日本では七味唐辛子やアンパンに使用され、食感はプチプチとしており、味はくるみに似て、焼くと香ばしいナッツ類の香りがします。日本で販売されているケシの実は、発芽しないように加熱処理がなされており、栽培はできません。何よりも健康に害はありません。インドでは、カレーのスパイスとして用いられます。




タグ:コカ,ケシ,
posted by Kaoru at 04:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品

2020年10月18日

【発明】知的財産権に守られた調味料

常識を覆す製塩法「ぬちマース」


 近年は、健康と味の両面から塩にこだわる人が増えています。そんな中、従来とはまったく異なる製塩法によって、海から生まれた塩が、沖縄の言葉で「命の塩」を意味する「ぬちマース」です。





 一般的な自然海塩の塩分含有量が85%程度であるのに対して、「ぬちマース」は73.3%した塩分を含んでいません。残りはすべてミネラルで、その種類も世界一多いとギネスに認定されました。まろやかな味わいだけでなく、さまざまなミネラルの働きで、塩分を体内から排出することでも、「ぬちマース」は注目されています。「ぬちマース」をつくる「常温瞬間空中結晶製塩法」は、霧状の海水を空中に飛ばして水分を気化させ、塩分と共にミネラルをすべて取り出すことを可能にしました。工場には真白な塩が雪のように降り積もり、その光景はさまざまなメディアで紹介されています。





 この製塩法のポイントは、海水を微細な霧状にする技術です。この部分は、開発者が植物の栽培で生み出した技術の転用でした。当初は気化熱を利用して、音質の温度を避ける装置として開発しました。水の粒が大きいと、常温下では完全に気化する前に落下してしまいます。ノズルから放出する方法では、水の粒が十分に小さくなりません。試行錯誤の末に遠心力を利用して、水を微細な霧状にすることに成功しました。





 開発者が、海水のろ過や濃縮、塩の回収方法など全部で21項目からなる製塩法の特許を出願するまでに要したのは、わずか1.5ヶ月程です。最初はそんな方法で塩ができるはずはないと、誰にも相手にされませんでしたが、国内に続き、アメリカなどにも特許を出願し、権利を取得しました。海外からも注文が増え、国外に合弁会社を設立するなど、事業拡大を続けています。



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100年を超す世界的ロングセラー「味の素」


 日本のみならず、世界中でロングセラーとなっている「味の素」は、1908年まで遡ります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることを、東京帝国大学の池田菊苗教授が突き止め、グルタミン酸ナトリウムを主成分としたうま味調味料の製法特許を取得しました。その工業化に応じたのが味の素株式会社の創始者であり、池田菊苗教授の特許権を共有し、商標「味の素」を登録しました。





 当時の登録証を拝見すると、指定製品が「味の素」となっています。調味料といえば伝統的なしょう油やみそなどしかなかった当時、うま味を付与する調味料がいかに画期的だったかがわかります。





 売上げが伸び始めると、次々に類似品が現れました。関東大震災で生産が一時的に困難になったときには特に多くの類似品が出回ったようです。また、味の素キャラメルや煙草味の素などブランドイメージに便乗した製品も現れ、同社は訴訟で排除を行いました。製品が広く普及するに従い、登録商標が普通名称のように扱われる問題も生じました。新たに出願した図形商標が、「味の素」は普通名称であるとの理由で、いったん拒絶され、抗告審判で争って、あらためて識別力を認める審決を得ています。





 戦後になると、漢字および英字表記で各国に商標を提出し、170ヵ国以上で登録しているほか、販売国の言語で表記した商標も登録しています。東南アジアや南米では偽物の問題はあとを絶たない状況ですが、それもヒット製品の証左ということができます。知的財産権を重視する一貫した取り組みによって、世界各国に浸透した「味の素」は、発売から100年以上に渡って守られてきています。



まとめ


 従来とはまったく異なる製塩法によって、海から生まれた塩が、沖縄の言葉で「命の塩」を意味する「ぬちマース」です。一般的な自然海塩の塩分含有量が85%程度であるのに対して、「ぬちマース」は73.3%した塩分を含んでいません。まろやかな味わいだけでなく、さまざまなミネラルを含んでいます。





 「ぬちマース」をつくる「常温瞬間空中結晶製塩法」は、霧状の海水を空中に飛ばして水分を気化させ、塩分と共にミネラルをすべて取り出す方法です。この製塩法のポイントは、海水を微細な霧状にする技術です。試行錯誤の末に遠心力を利用して、水を微細な霧状にすることに成功しました。





 開発者は、海水のろ過や濃縮、塩の回収方法など全部で21項目からなる製塩法の特許を出願し、国内だけでなくアメリカなどでも権利を取得しました。海外からも注文が増え、事業拡大を続けています。





 世界中でロングセラーとなっている「味の素」は、1908年まで遡ります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることを、東京帝国大学の池田菊苗教授が突き止め、グルタミン酸ナトリウムを主成分としたうま味調味料の製法特許を取得しました。その工業化に応じたのが味の素株式会社の創始者であり、池田菊苗教授の特許権を共有し、商標「味の素」を登録しました。





 以前は日本国内で類似品やブランドイメージに便乗した製品に悩まされ、今も東南アジアや南米など一部の地域で偽物があとを絶ちませんが、同社の知的財産権を重視する一貫した取り組みによって、世界各国に浸透した「味の素」は、発売から100年以上に渡って守られてきています。





 「ぬちマース」と「味の素」が世界的に広がった理由のひとつに、商標登録や特許といった知的財産権があります。この知的財産権により、これらの製品が守られています。



2020年10月17日

【俯瞰】食品産業の概況

食品産業の位置づけ


 日本の食品製造業は、安全安心な食品を安定的に供給することを通じて、豊かな生活の実現に貢献するとともに、経済の担い手として重要な役割を担っています。食品製造業、流通業、外食産業からなる日本の食品産業は、平成23年において食用農林水産物10.5兆円と輸入加工品6.0兆円を原材料として、最終消費額76.3兆円の食品市場を国内で形成しています。内訳としては、外食25.1兆円(32.8%)、加工品38.7兆円(50.9%)、生鮮品12.5兆円(16.3%)で、食品産業は生産から消費に至る流れの中で、5倍に及ぶ付加価値を生み出す大きな産業群を形成しています。





 食品製造業や外食産業、関連流通業に農林漁業も加えた食品産業全体で見ると、国内生産額は約100兆円と国内総生産額の9.5%、就業者数は827万人で全就業者数の13%を占める巨大産業です。このうち、食品製造業の製造業に占める比率を見ると、事業所数で14.3%、従業員数で15.9%、製造品出荷額で11.0%、付加価値額で11.1%を占めています。事業所数、従業員数は、製造業の中では1位であり、製造品出荷額や付加価値額は自動車などの輸送用機械器具製造業に次ぐ存在感を有しています。飲食業は、従業員数でサービス業全体の14.8%、売上高で4.9%を占めており、サービス業の中では、売上高で不動産賃貸業などに匹敵する産業です。



食品産業の強みと弱み


 食品産業と言っても、ほかの産業同様、その規模はさまざまです。大企業や中堅企業、中小企業の割合を見ると、食品産業全体では中小企業の割合が99.8%と全産業平均並みに高い水準です。食品製造業を見ても99.6%と製造業平均並みの高さです。





 工場の規模を見ると、食品製造業は他の製造業と異なり、従業員1,000人以上の大工場が極めて少ない特徴があります。





 日本の食品製造業の強みと弱みとして、以下の点が指摘されています。



強み


1 高水準の生産工程と製品の品質





 日本の厳しい消費者に鍛えられた日本の食品産業の水準の高さの例として、おもてなし文化でインバウンド需要も惹き付ける外食産業が知られていますが、食品製造業でも食材そのものに加え包材や容器などにも高い技術が用いられています。





 このことは国内の消費者にも広く認識されており、消費者庁の調査によると、事業者が積極的に取り組んでいると思うものとして、安全性の高い製品やサービスの提供を挙げた人の割合が65.5%と最も高く、次に製品やサービスについての説明や表示が42.6%、修理などアフターサービスの実施が42.6%、環境に配慮した製品やサービスの提供が41.5%、誰にでも使いやすい製品やサービスの提供が40.9%の順となっており、国内で高い品質を目指す事業者の姿勢が評価されていることが分かります。海外でも日本製品の品質に対する評価は高く、日本製品に対する信頼の高さがうかがえます。





2 次々と新製品を投入する製品開発





 菓子や飲料、パン、めん類などでは、季節ごとに新製品が多数発売されるのも日本の食品産業の特長です。スーパーやコンビニ、ドラッグストアの棚の4分の1程度は新製品で占められていると言われています。全く新しい製品だけでなく、形は維持したまま新しいフレーバーでバリエーションを増やすことも多いです。昨今は、全国的な定番製品の地域限定製品を、お土産需要を見込んで発売することも少なくありません。日本の食品産業は、企業のブランドよりも製品ごとのブランドによる訴求を重視することも、この傾向の背景にあります。





 一方で製品開発のみならず、棚の入れ替え、それに伴う旧製品の廃棄ロスなども含めると、新製品の投入数の多さがコスト増の要因となっているとの指摘があります。





3 より安定した輸送や長期の保存を可能とする包装及び充填技術





 食品産業は、常温で長期保存でき、簡便に食卓に供することができるレトルト食品をはじめとして、包装や充填技術を活かし、多様な食品を提供しています。こうした包装や充填技術は、生活様式の変化に伴う調理時間の短縮化の要請に加え、保存期間の長期化による食品ロス削減の観点からも、今後需要が高まると見込まれています。





4 短時間で鮮度を維持しながら提供できる物流網





 日本の食品の物流は、定時性や速達性に優れる自動車輸送を中心に発達しています。特に低温あるいは定温物流の発達が、遠隔地の生鮮品をより高い鮮度で大都市圏に提供し、冷凍冷蔵食品の普及を促し、さらに近年の中食需要の増加を支える上で貢献しています。





5 伝統や地域性、機能性に支えられたブランド





 ブランドには、ほかの製品と区別する機能、品質を保証し信頼を獲得する機能、何らかの魅力を発することでひきつける機能があるとされます。こうした機能を生み出す要素として、伝統や地域性、機能性などがあり、日本の食品にはこうした要素に富んでいます。





 日本独自の伝統的な製法で製造された食品、日本の食文化で利用されてきた食品は海外でも注目を集めています。また、伝統が地域に根ざしている場合もブランドの源泉となります。





 高齢化が世界で最も早いペースで進む日本では、健康機能の高い製品やサービスの開発も進められています。法律に基づき機能性を表示できる保健機能食品には、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品があります。



弱み


1 低い付加価値





 食品製造業を業種ごとに見ると、豆腐油揚製造業や食品油脂加工業では付加価値額が相対的に低くなっています。その背景としては、流通における激しい競争の影響で取引条件が厳しくなっていることが挙げられます。





 国際展開する大企業と欧米の大企業と比較すると、日本の食品メーカーの収益率は大きく下回っています。欧米の大企業の営業利益率が10%台で推移し、拡大傾向にあるのに対し、日本の大企業の営業利益率は3〜4%で推移しています。





2 労働生産性の低さ





 食品産業は、そのほかの産業と比べて労働生産性が低い状況です。食品製造業は、製造業平均の50%、食品飲料卸売業は卸売業平均の90%、飲食料品小売業は小売業平均の70%、食品サービス業はサービス業平均の60%にとどまっています。





 食品製造業は、付加価値額の総額では相当の規模であっても、従業員数が相対的に多いため、同じ付加価値を生み出すためにより多くの労働力を要しています。このため、従業員一人当たりの付加価値額、すなわち労働生産性が、製造業平均の約60%と製造業の中で最も低い業種のひとつとなっています。また、製造業全体では大企業の労働生産性が中小企業よりも高くなるのに対し、食品製造業は大企業と中小企業の労働生産性に大きな差が見られないことが特徴です。中小企業で見ると、食品製造業の労働生産性は製造業の中で最も低くなります。この要因のひとつは、機械設備導入による自動化が困難なため、労働集約的になっていることが考えられます。





3 低水準の給与





 ほかの製造業に比べて付加価値額が低く、労働生産性も低いことに伴い、食品製造業は給与も低くなります。





 その背景として、自動化が進まない中、給与が抑えられる労働者に大きく依存してきたことが挙げられます。食品産業においては、非正規労働者やパートタイム労働者の割合が高いことから、より良い待遇の雇用への移動が生じ、人材確保難にもつながっています。





4 設備の老朽化と安全性対策への懸念





 労働生産性が向上しない背景として、従業員1人あたりが使用している有形固定資産を示す労働装備率が低いことが挙げられます。食品製造業の労働装備率は、製造業平均の70%にとどまっています。特に野菜漬物製造業やあん類製造業、缶詰製造業、パン製造業などにおいて、設備投資が中小企業を中心に進んでおらず、老朽化が進んでいます。





5 海外事業比率の低さ





 食品産業の海外展開は、アジアや米国市場を中心に本格化しています。ただし、国内法人数に対する現地法人数の比率は、食品製造業の場合、そのほかの製造業に比べ約3分の1と低い状況にあります。また、食品輸出額の割合において、日本は欧米諸国に比べて低い水準で推移しています。



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食品産業の機会と脅威


 将来性を期待できる機会及び直面する脅威としては、以下のことが挙げられます。



機会


1 和食をはじめとした日本独自の食品への関心の高まり





 和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、和食は国内外で大きな注目を集めています。それに伴い、日本食の魅力は世界各国で年々高まり、海外の日本食レストランの数は、増加傾向にあります 。





 観光庁が行った調査によると、訪日外国人観光客が訪日前に期待していたことで一番多かったのは、日本食を食べることです。また、ジェトロが行った日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査によると、好きな外国料理として日本料理を挙げた外国人が最も多く66.3%となります。





 こうした関心の高さを背景に、加工食品の輸出は増加を続け、輸出額の伸び率が高かった品目は、清酒、緑茶、しょう油、ごま油、米菓、みそなど日本の伝統的な加工品が目立っています。





2 健康に資する食品の機能性への世界的関心の高まり





 消費者の健康に対する関心が高まる日本においては、健康の増進やバランスの良い栄養摂取に関する機能性の高さを魅力にする製品市場の拡大が予想されます。消費者庁の調査によれば、食品を購入するとき、食品の包装容器にある栄養成分表示を参考にするか聞いたところ、参考にすると回答した人の割合が54.0%と過半数を占めています。また、保健機能食品を知っていた人に、1年間の摂取状況を聞いたところ、継続的に摂取しているもしくは摂取したことがある人の割合は、特定保健用食品(トクホ)で64.2%、栄養機能食品で35.7%、機能性表示食品が25.8%です。





3 電子商取引の普及に伴う流通の多様化





 日本の消費者向けの電子商取引の全市場規模は増加基調にあり、このうち食品や飲料、酒類は全体の1割を占めています。今後、高齢者や共働き世帯が増加する中で、ネットスーパーなどへの高まる需要を受けて、食品や飲料、酒類の電子商取引は更に伸びると見込まれています。また、海外との電子商取引も市場規模の拡大が見込まれ、電子商取引の拡大が日本の製品をより広い地域でより多くの消費者に提供する可能性を開く一方、他国の製品との競合を招くおそれもあります。



脅威


1 少子高齢化に伴う人口減少による国内市場の縮小





 日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、2026年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2050年には9,700万人になると推計されています。





 高齢者人口は、団塊の世代が65歳以上となった2015年に3,392万人となり、その後も高齢者人口は増加を続け、2042年に3,878万人でピークを迎えると推計されています。総人口が減少する中で、高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2035年に33.4%で3人に1人、2060年には39.9%に達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されています。従来と同じ販売を続けるだけでは、国内の食市場は縮小するおそれがあります。





2 人手不足が確実な中での人材確保





 人手不足が多くの産業で顕著になっていますが、給与水準の低い食品産業では労働力人口の減少に加え、他業種への移動も生じており、とりわけ深刻になっています。





 日本政策金融公庫の調査によると、食品企業の人手不足感が最も高まっています。労働不足の原因として、求人に対する応募がないことを理由に挙げた食品企業が86.4%となります。また、飲食業は離職者が多いと回答した割合が48.8%と食品製造業、食品卸売業、食品小売業に比べ多く、安定的な雇用の確保が特に難しいことがうかがえます。





3 世界の食市場の拡大に伴う原材料争奪の激化





 世界の人口は、開発途上国を中心に増加し、2050年には97億人になる見通しとなっています。特にアフリカでは12億人から25億人と約2倍に増加するとされ、このような中、世界の穀物需要については、開発途上国を中心とする肉類需要の増加に伴う飼料用と人口増による食用が増加することで、全体として増加する見通しとなります。





 これまで世界の穀物の生産量は、技術革新などによる収量の向上で支えられ、需要量の増加に対応してきました。しかしながら、近年の収量の伸びは鈍化してきており、今後、遺伝子組換え作物導入などで一定の伸びが期待されるものの、地球温暖化などの気候変動や水需給の逼迫、土壌劣化等も不安要素として存在しており、中長期的には、穀物需給の逼迫も懸念されています。



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まとめ


 食品製造業や外食産業、関連流通業に農林漁業も加えた食品産業全体で見ると、国内生産額は約100兆円と国内総生産額の9.5%、就業者数は827万人で全就業者数の13%を占める巨大産業です。このうち、食品製造業の製造業に占める比率を見ると、事業所数で14.3%、従業員数で15.9%、製造品出荷額で11.0%、付加価値額で11.1%を占めています。事業所数、従業員数は、製造業の中では1位であり、製造品出荷額や付加価値額は輸送用機械器具製造業に次ぐ存在感を有しています。飲食業は、従業員数でサービス業全体の14.8%、売上高で4.9%を占めており、サービス業の中では、売上高で不動産賃貸業などに匹敵する産業です。





 食品産業と言っても、ほかの産業同様、その規模はさまざまです。大企業や中堅企業、中小企業の割合を見ると、食品産業全体では中小企業の割合が99.8%と全産業平均並みに高い水準です。食品製造業を見ても99.6%と製造業平均並みの高さです。工場の規模を見ると、食品製造業は他の製造業と異なり、従業員1,000人以上の大工場が極めて少ない特徴があります。





 日本の食品製造業の強みは、高水準の生産工程と製品の品質、次々と新製品を投入する製品開発、より安定した輸送や長期の保存を可能とする包装及び充填技術、短時間で鮮度を維持しながら提供できる物流網、伝統や地域性、機能性に支えられたブランドです。一方弱みは、低い付加価値、労働生産性の低さ、低水準の給与、設備の老朽化と安全性対策への懸念、海外事業比率の低さです。





 将来性を期待できる機会としては、和食をはじめとした日本独自の食品への関心の高まり、健康に資する食品の機能性への世界的関心の高まり、電子商取引の普及に伴う流通の多様化となります。直面する脅威としては、少子高齢化に伴う人口減少による国内市場の縮小、人手不足が確実な中での人材確保、世界の食市場の拡大に伴う原材料争奪の激化です。



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2020年10月16日

【食欲をそそる香り】ウナギにまつわる話

ウナギのかば焼きの誕生


 ウナギは、関東では背から、関西では腹から包丁を入れます。これは、江戸時代までさかのぼり、江戸は武家社会の中心地であり、それを気にして、腹に包丁を入れることが切腹を連想させることを嫌ったからのようです。





 それでも背から割くようになったのは、江戸時代後半となり、比較的遅かったようです。同時にこの頃から、江戸のウナギかば焼きに蒸す工程が加わりました。





 そもそもかば焼きには3つの説があります。ひとつは江戸城前の沼のウナギをとって、これをぶつ切りにして竹串にさし、みそを付けて焼いて食べますが、その姿が蒲の穂に似ていることから、これをかば焼きと呼びました。もうひとつは、タレを付け焼きした色が赤黒く、樺の皮に似ているからです。最後のひとつが香ばしいにおいが早く伝わるので、香疾(かはや)きとのことです。





 当初はみそを付けていたかば焼きですが、しょう油とみりんでつくったタレを使い始めたのは、江戸時代中期にしょう油が関東でつくられ始めたのがきっかけです。その頃からかば焼きは、江戸の人々の人気料理となっていきました。その後、店頭でかば焼きを焼き、その食欲をそそる香りを振りまくことで、客足を集めるお店が出現し、ウナギといえば江戸前と言われるほど、江戸のウナギの味は、人気を集めるようになりました。



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鰻丼のルーツ


 ウナギのかば焼き屋が登場してからしばらくして、かば焼きを使った鰻丼が江戸時代終わりに登場しました。考案者は芝居小屋の主です。主はウナギのかば焼きが大好きで、芝居小屋に届けさせていました。





 しかし、かば焼き屋から芝居小屋へ運ぶ間に冷めてしまいます。そこで、温かいご飯でかば焼きを挟めば冷めずに済みます。懇意にしているかば焼き屋に頼み込んで実現したのが、鰻丼の始まりのようです。





 ところで、鰻丼は大阪ではまむしと呼ばれます。鰻を「まん」と呼び、飯を「めし」と呼ぶことから、「まんめし」となり、最終的に「まむし」となりました。別の説としては、かば焼きが硬くならないように温かいご飯の間にかば焼きを挟んで、丼に盛ったことから、「間蒸し」、つまり「まむし」とついた説もあります。いずれにしても、これが始まったのは江戸の鰻丼が誕生する以前であったことから、ルーツは大阪ということになります。しかし、関東大震災後に東京のかば焼き屋が大阪に進出し、関西でも江戸前のかば焼きが主流となります。



各地のウナギ料理


 関東では背開きを行った後、頭を落として、大串の場合は身を四分六部に切り、竹串を打ちます。これを白焼きし、蒸してからタレを付けて焼き、ご飯にのせます。





 一方、関西の伝統的な手法では、腹開きの後、頭をつけたままで、丸のまま何匹か揃えて金串を打ち、白焼きから蒸さずにタレを付けて一気に焼きます。そして、火から下して金串を抜き、ここで頭を落として食べやすいサイズに切り、ご飯で挟むように盛ります。





 名古屋の場合は、腹開きしてから関西よりも細かく切り、ご飯の上に散らすように並べます。つまり、ひつまぶしです。





 九州の柳川は、関東と同じ背開きで頭は落としますが、串は打たず、箸でひっくり返しながらそのまま焼きます。焼けたウナギは、あらかじめタレをまぶして蒸しておいたご飯にのせます。





 道具も異なります。大阪は切り出し風で、京都は峰の部分が肉厚な剃刀型、名古屋は果物ナイフ風で、九州は小出刃が多くなります。



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ウナギの頭まで使う大阪


 関西では、頭をつけたままウナギを焼き、焼き上げてから頭を落とします。理由は、ほどよく焼き上ったウナギの頭も無駄なく利用するからです。





 このウナギの頭は、うま味のあるだしが出ることから、煮物などによく使用します。有名なのが半助豆腐です。鰻の頭は半助とも呼ばれ、水と焼き豆腐に半助を加えて煮込むだけです。半助自体は食べません。



ウナギの粉


 浜松のお土産として知られる「うなぎパイ」には、「ウナギ粉」が練りこまれています。ウナギ粉は、国産のウナギのだしを粉末化したものです。





 お菓子にうなぎのだしと思われるかもしれませんが、オリジナルの配合で完成したうなぎパイの舌触りの良さとまろやかさは、一度食べたらやみつきになります。



まとめ


 ウナギは、関東では背から、関西では腹から包丁を入れます。これは、江戸時代までさかのぼり、江戸は武家社会の中心地であり、それを気にして、腹に包丁を入れることが切腹を連想させることを嫌ったからのようです。





 当初はみそを付けていたかば焼きですが、しょう油とみりんでつくったタレを使い始めたのは、江戸時代中期にしょう油が関東でつくられ始めたのがきっかけです。





 かば焼きは、かば焼き屋から遠く離れた場所へ運ぶ間に冷めてしまいます。そこで、温かいご飯でかば焼きを挟むことで、冷めないよう工夫したのが、鰻丼の始まりのようです。





 関東では背開きを行った後、頭を落として、大串の場合は身を四分六部に切り、竹串を打ちます。これを白焼きし、蒸してからタレを付けて焼き、ご飯にのせます。一方、関西の伝統的な手法では、腹開きの後、頭をつけたままで、丸のまま何匹か揃えて金串を打ち、白焼きから蒸さずにタレを付けて一気に焼きます。そして、火から下して金串を抜き、ここで頭を落として食べやすいサイズに切り、ご飯で挟むように盛ります。



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2020年10月15日

【便利さと美味しさ】丼料理の誕生と進化

親子丼の誕生


 親子丼をはじめたのは、東京人形町の鶏鍋の老舗「玉ひで」と言われています。5代目当主の奥さんとなる山田とくさんが考案し、明治24年から始まりました。





 この親子丼が人気を呼び、その評判に乗って、東京で親子丼を売る店舗が増えていきました。関東大震災直前の大正12年には、そばが1杯10銭ほどであったのに対し、親子丼は50銭で売られていたそうです。人気の理由は、美味しさや簡便さもさることながら、当時としては高級食材である鶏卵を使っているということもありました。





 関東大震災以降になると、特に東京のそば屋でご飯類を扱うことが増え、それに伴い親子丼を提供する店舗も多くなります。しかし、親子丼の元祖「玉ひで」では、お店で親子丼を出すことはせず、専ら近所への出前のみでした。お店で食べたいという要望が根強くありましたが、5代目当主が、一膳飯を高級店で出すことは馴染まないとの遺言から、出前のみで出していました。やっとお店で提供することになったのが、昭和50年代半ばです。5代目当主の遺言を貫いた6代目当主が亡くなり、親類からも了承を得ることで可能となりました。以来、「玉ひで」の親子丼を求めて、行列は絶えることがありません。



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そば屋の親子丼


 親子丼の名店は多々あります。一方で、そば屋であるのにもかかわらず、親子丼が人気というお店も多くあります。これは、なぜなのでしょうか。
 その理由は、味付けにそば用のつゆを使用しているからです。親子丼専門店の場合、味の決め手は、割り下ですが、そば屋では割り下の代わりにそばつゆを使用します。そばつゆは、たっぷりのかつお節でとっただしにしょう油や砂糖を加えて、数日間寝かせて味を馴染ませた「かえし」を加えて作ります。そのため、格段にだしの効いた味付けとなります。
また、そば屋では種物として良質な鶏肉と卵を常備していることも、そば屋特有の親子丼の美味しさの理由です。そばがおいしいそば屋は、親子丼も美味しいということになります。



親子鍋の柄が垂直な理由


 親子丼を提供するお店の厨房を覗くと、変わった形の鍋で親子丼をつくっていることに気づきます。鍋が皿のように薄い形で、柄が垂直に付いています。親子丼をつくる鍋なので、親子鍋と呼ばれているこの鍋は、なぜこのような形になったのでしょうか。





 これは必要に応じて開発されたものです。いわば、料理人が厨房で作業しやすいように計算されてつくられたものなのです。鍋の部分が薄く小さい親子鍋は、厨房の中で柄の部分を引っかけて、鍋がひっくり返ることが多くありました。そこで、柄が引っかからないように改良され、柄が現在の形になりました。





 柄が垂直になることで、丼に盛りやすいということはありません。これは柄の部分が普通の鍋のように水平に付いている親子鍋があることからも明らかです。



牛丼の誕生


 牛丼は、かつては牛めしとも呼ばれ、元々は牛鍋の残り汁をかけた丼でした。明治の文明開化と共に巻き起こったのが、牛鍋ブームです。当時、牛鍋を食べた後、シメとして鍋の中に残った汁をご飯にかけて食べる人が多くいました。





 そこで、初めから牛鍋をご飯にかけた丼、牛丼が牛鍋屋の別メニューとして考案されました。これは、牛鍋ブームに乗って、東京や横浜を中心に瞬く間に広まりました。当時は、決して上品な食べ物とは、認識されていなかったようです。汁をかけることから、牛めしぶっかけとも呼ばれていました。





 しかし、丼の気軽さで牛丼は親しまれ、東京の下町で主流だった、アサリやハマグリ、アオヤギなどの貝類とネギなどの野菜を煮込んだ深川めしの人気が下火になるほどでした。





 味付けは、今と異なりみそ味でした。牛鍋の味付けがもともとみそ味だったことから、牛丼もみそ味となりました。ところが、ご存知のように現在の牛丼はすべて甘辛いしょうゆ味です。いつから変わったのでしょうか。今の牛丼は、牛鍋というよりもすき焼きの残り汁に由来しているのかもしれません。



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中華丼の誕生


 丼もので人気の高いメニューに中華丼がありますが、本場中国ではこの中華丼がありません。確かに中華丼のように、調理した具材をご飯にのせて食べるあんかけご飯がありますが、お皿に盛られて出てきます。





 日本には、大正時代から中華丼がありますが、中国には存在せず、真相は日本人が中国の料理をアレンジしてご飯にのせたものを考案し、それを中華丼と呼んだそうです。もともとは、日本で生活している華僑の人たちのつくる賄い料理や家庭料理からヒントを得たようです。そもそも中国語に「丼」という文字はありません。



まとめ


 親子丼をはじめたのは、東京人形町の鶏鍋の老舗「玉ひで」と言われています。5代目当主の奥さんとなる山田とくさんが考案し、明治24年から始まりました。この親子丼が人気を呼び、その評判に乗って、東京で親子丼を売る店舗が増えていきました。





 そば屋であるのにもかかわらず、親子丼が人気というお店も多くあります。その理由は、味付けにそば用のつゆを使用しているからです。そばつゆは、たっぷりのかつお節でとっただしにしょう油や砂糖を加えて、数日間寝かせて味を馴染ませた「かえし」を加えて作ります。そのため、格段にだしの効いた味付けとなります。





 親子鍋は、厨房の中で柄の部分を引っかけて、鍋がひっくり返ることが多くありました。そこで、柄が引っかからないように垂直に改良されました。





 牛丼は、かつては牛めしとも呼ばれ、元々は牛鍋の残り汁をかけた丼でした。そこで、初めから牛鍋をご飯にかけた丼、牛丼が牛鍋屋の別メニューとして考案されました。当時の味付けは、みそ味でした。





 中華丼は大正時代からありますが、中国には存在せず、真相は日本人が中国の料理をアレンジしてご飯にのせたものを考案し、それを中華丼と呼んだそうです。




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2020年10月14日

【料理人の最高の演出】鉄板焼き

鉄板焼きとは


 鉄板焼き(Teppanyaki)は、鉄板などの金属製の調理器を使って、食材を加熱調理したもの、または調理方法のひとつです。





 鉄板焼きの種類は幅広く、代表的なものとしては、ステーキやハンバーグ、焼肉、お好み焼きなどがあります。





 鉄板焼きを売りにしている場合、カウンター席の逆側に鉄板があり、料理人が鉄板で神戸ビーフなどのブランド牛肉、アワビ、イセエビなどの高級食材を調理する様子を見せるお店があります。一方、各テーブルに鉄板があり、それぞれでお好み焼きやもんじゃ焼きを焼く、比較的安価なスタイルのお店もあります。





 食材を加熱調理して食べる調理方法としては、以前より直接火であぶる方法や食材を網の上にのせて調理する方法がありました。昭和初期頃は、七輪に木炭をいれて加熱する方法が一般的でした。当時はまだ調理器としての鉄板はほとんど見られませんでした。鉄板を使った調理が普及したのは、戦後からです。鉄クズを利用した鉄板の上に食材をのせ、火にかけて食材を焼いたことが、鉄板焼きの始まりのようです。





 鉄板焼きの魅力は、焼きたてのものをすぐに食べられることです。目の前で焼かれる美味しそうな食材、料理人が鉄板の上で見せてくれるみごとな手さばきや絶妙な火加減、高らかと炎をあげたフランベの迫力、食材の焼ける音と香りが、食欲をより一層刺激し、場の雰囲気も相まって料理を数段美味しく演出してくれます。





 鉄板は、厚いほど保温力が高くなります。そのため、お好み焼きなど長時間温度を一定に保つ場合は、厚みのある鉄板を使います。薄い鉄板は、火加減が直接鉄板に伝わるので、エビやイカなどの魚介類、焼肉などの食材を一気に焼き上げるのに適しています。鉄板焼きを売りにしている店舗は、厚い鉄板の下に熱源を複数配置し、その位置によって鉄板の温度を調整していることもあります。つまり、料理人は鉄板の位置の温度を把握し、食材よって場所を使い分けています。





 鉄板焼きは、海外でもTeppanyakiの名称で親しまれている日本料理です。日本料理チェーンがニューヨークに店舗オープンしたのをきっかけに、アメリカで鉄板焼きが日本料理として認知されるようになりました。当時、目の前でカウンター越しに料理人が、みごとな手さばきで調理するスタイルはとても斬新で、瞬く間に海外で広まり、人気を博しています。目の前で料理人の技術を楽しめる鉄板焼きのサービスは、日本を訪れる外国人にも好評です、





 鉄板焼きは、鉄板で焼くという単純な調理法ではありますが、食材のもつ味が直接伝わる料理として、たくさんの人に親しまれています。



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鉄板焼きとステーキの違い


 鉄板焼きとステーキにどのようなイメージを持っていますか。鉄板焼きであれば、高級な料理を楽しめるホテル内のレストランやお好み焼きなどのお店を連想するかもしれません。ステーキであれば、ステーキハウスの肉汁がしたたる肉を想像するかもしれません。





 鉄板焼きとステーキですが、鉄板焼きは調理方法を指し、ステーキは料理の名前となります。鉄板焼きは、肉をはじめ、魚介類や野菜などさまざまなものを鉄板の上で調理します。一方、ステーキは、厚切りで焼いた肉料理です。肉の切り方によっても、焼肉と区別されます。





※お試しとその行動から得られる納得感





 最近は味や香り、食感を実感してもらうために、普段よりもリーズナブルにお試しができることが増えています。大きな負担なく気軽に試すことができるので、気になるときは体験してみることもありです。体験して納得できれば、リピートや友人などにも紹介することで喜ばれます。まずは最初の行動です。行動しなければ、何も始まりません。行動することが何よりも一番の近道です。もしも、味や香り、食感に十分満足できなければ、その知見をもとに納得して次回は別のものを試すことができます。





 最高級松阪牛ステーキのお取り寄せ




特別な日に訪れたい鉄板焼き3選

臨場感あふれる調理や料理人とのやり取りなど、特別感がありながら気張らずに楽しめるのが鉄板焼きの魅力です。目の前で鮮やかに進む調理は、まるでエンターテインメントのようです。特別な日に訪れたい一押しの鉄板焼きのお店をピックアップします。

帝国ホテル


 料理人の鮮やかな手さばきを見ながら、厳選された食材を味わう至福のひとときです。厳選した食材の最高のうま味を引き出し、最も楽しんでもらえる調理法を追求しています。料理人のひとりひとりが、フランス料理の技術や知識をおもてなしの心を持って、日本の食文化である鉄板焼に活かすことで、和魂洋才を体現しています。さまざまな食材を取り揃え、料理人と会話を交わしながら目の前で作り上げる料理とホスピタリティにあふれる空間を提供してくれます。





 素材がもつ最高のうま味を提供するため、身が引き締まり程よく脂ののった魚や新鮮なアワビ、イセエビなど時季ごとの食材だけではなく、最も良いものを入手できる産地も日々追求していま す。野菜も決して脇役ではなく、主役のひとつという位置づけです。しいたけなどは、 熱を入れてもうま味が逃げず、ふっくらとした食感と味が魅力です。





 また、肉を選定し、管理を専門に行うブッチャーという部門があります。ここでは、季節やメニューに応じて選定した肉を一番の食べ頃で提供するために、エイジングルームで保存し、メニューや調理法、部位などさまざまな要素を加味しながら、最適の状態で管理しています。



ホテルオークラ


 すべての食材で最上級を追求し、厳選された和牛に魚介類、季節の野菜食材を熟練の料理人が、最高の焼き加減で、目前で仕上げる鉄板焼ならではの贅沢さを味わうことができます。





 最上級の和牛として、選び抜かれた神戸ビーフをはじめ、契約牧場から一頭買いされた雌牛のきめの細かい肉質の和牛を楽しめます。





 ジュッという素材が焼ける音、鉄板から立ち上がる炎に香ばしい香り、空を背にした料理人の仕草に見惚れるカウンター席は、劇場そのものです。



みその


 みそのは、創業より親しまれていた神戸ビーフをはじめ、全国の和牛から厳選した最高級特選牛にこだわっています。長きに渡り第一線で活躍してきた知識と経験から、確かな目で選び抜いた逸品がみその特選和牛です。みその特選和牛は、神戸ビーフと、厳選されたA4・A5ランクの国産黒毛和牛です。極上の素材を、確かな技術でシンプルに調理し、至高の美味しさを味わうことができます。





 みそのは創業当初より美しい霜降りのロースにこだわってきました。ロースは、脂身の少ないフィレより濃厚な旨みに富み、滋養にも良いとされているのが理由です。





 経験豊富な仕入れ部門による品定めも確かです。一般的に、牛肉はサシと呼ばれる脂質の割合でランク付けがなされますが、みその特選和牛は、一般のランクとは別に、さらに厳密な独自の基準を設けています。その基準は、純黒毛和牛であること、生後24ヵ月以上であること、動物性飼料や成長ホルモン剤を与えてないこと、骨付き肉の状態でベストな状態になるまでじっくりと熟成させていること、公益社団法人日本食肉格付協会による格付で歩留等級A4・A5であることなどです。扱う品種は、四季を通じて日本で育った和牛のみです。但馬、松坂、宮崎、佐賀のほか、北は北海道から南は鹿児島まで全国の市場から選りすぐりの肉を直接仕入れ、みそのにふさわしい品質と安全を、職人の目で確認した上で、提供してくれます。なお、兵庫県で生産された但馬牛の中でも、日本で一番厳しい品質基準を満たす選りすぐりの牛だけが「神戸ビーフ」と名乗ることができます。年間約5,000頭しか認定されておらず、日本の牛肉の消費流通量の中でも、0.16%程度しかない稀少さです。きめ細かく上品な甘みのある赤身が、人肌で溶けるほど融点の低い脂肪の風味や香りと溶け合うハーモニーは、世界中の美食家も魅了するほどです。





 鉄板は調理の要であり、大切な食器でもあります。美しく磨き上げられた銀色の鉄板は、みそのの名物の1つです。その大きさと分厚さは迫力十分で、みそのらしい空間作りにも貢献しています。料理人にとって鉄板は、腕が試される大切なステージでもあり、できたての料理を提供する食器でもあります。





 みそのは、最適な焼き加減を逃さず、味付けは極力シンプルを心がけ、素材本来が持つ美味しさを大切にしています。みそのの鉄板と経験豊富な料理人の技術があれば、それだけでも美味しい鉄板焼が完成します。



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まとめ


 鉄板焼き(Teppanyaki)は、鉄板などの金属製の調理器を使って、食材を加熱調理したもの、または調理方法のひとつです。鉄板焼きの種類は幅広く、代表的なものとしては、ステーキやハンバーグ、焼肉、お好み焼きなどがあります。





 鉄板焼きを売りにしている場合、カウンター席の逆側に鉄板があり、料理人が鉄板で神戸ビーフなどのブランド牛肉、アワビ、イセエビなどの高級食材を調理する様子を見せるお店があります。一方、各テーブルに鉄板があり、それぞれでお好み焼きやもんじゃ焼きを焼く、比較的安価なスタイルのお店もあります。





 鉄板焼きの魅力は、焼きたてのものをすぐに食べられることです。目の前で焼かれる美味しそうな食材、料理人が鉄板の上で見せてくれるみごとな手さばきや絶妙な火加減、高らかと炎をあげたフランベの迫力、食材の焼ける音と香りが、食欲をより一層刺激し、場の雰囲気も相まって料理を数段美味しく演出してくれます。





 臨場感あふれる調理や料理人とのやり取りなど、特別感がありながら気張らずに楽しめるのも、鉄板焼きの魅力です。目の前で鮮やかに進む調理は、まるでエンターテインメントのようです。特別な日に、鉄板焼きのお店を訪れてみてはいかがでしょうか。





※お試しとその行動から得られる納得感





 最近は味や香り、食感を実感してもらうために、普段よりもリーズナブルにお試しができることが増えています。大きな負担なく気軽に試すことができるので、気になるときは体験してみることもありです。体験して納得できれば、リピートや友人などにも紹介することで喜ばれます。まずは最初の行動です。行動しなければ、何も始まりません。行動することが何よりも一番の近道です。もしも、味や香り、食感に十分満足できなければ、その知見をもとに納得して次回は別のものを試すことができます。





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2020年10月13日

【リアルとバーチャル】食品メーカーとデジタル社会

食品業界が抱える問題と消費者との新たな接点


 食品業界は不況に強いと言われています。経済が不況であっても、食品摂取量は大きく変わらないため、それなりに市場規模を維持できるからです。





 しかし、日本における少子高齢化や人口減少の傾向は、食品業界の市場規模を徐々に減少させていく方向に影響するものと認識されています。この場合、食品メーカーとしては、自社の市場シェア拡大による売上規模の維持向上、同業他社との合併により規模の経済性による収益性の向上、海外市場進出による売上規模の拡大などを実施されることが多くなります。





 他方、インターネットなどによるデジタル社会が進むことで、食品メーカーとして簡便に消費と者と接点を持つ手段が増えてきています。このような状況下、食品メーカー から消費者までの流通構造は変化するのでしょうか。



ソーシャルネットワークサービス(SNS)の活用


 これまで多くの食品メーカーでは、自社製品の出荷データやPOSデータから、小売業での販売データを入手分析し、営業やマーケティングなどの検討に役立ててきました。しかし、POS販売データからは何がどれだけ出荷され、販売されたかについての定量データは把握できますが、なぜそうなったのかの要因究明は、想定するか、あるいは別途調査する必要があります。





 近年では、ビッグデータを経営に活用することが当たり前になりつつあります。そのようなデータのひとつとして、ソーシャルネットワークサービス(SNS)が挙げられます。SNSは、人と人がつながるサービスですが、その普及により消費者が情報を発信し、その情報を共有する状況により、製品開発や販売活動など企業活動にも大きな影響を与えています。これは一過性の流行ではなく、今後のさらに社会経済に深く根付いていく方向です。SNSから、POSデータでは把握が難しい消費者の購買の心理や利用場面などが把握できます。





 食品メーカーの流通構造は、食品メーカーから卸業者、小売店を経て、消費者という流れです。食品メーカーとしては、全国的に直接消費者と接点を持つことが難しいため、テレビコマーシャルなどマスメディアに広告を出して、製品を宣伝し、消費者への製品認知を強化することや、小売店向けの営業で販促企画を提案して、製品の店頭販売強化に努めています。





 さらに食品メーカーの中には、ホームページに留まらず、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアカウントを開設して、顧客接点を強化しているところも増えてきています。しかしながら、製品の流通を自社で担うのは、コストの関係で難しいため、卸業者や小売店に物流を依存する構造を変えることは容易ではありません。



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ネットスーパーの台頭


 大手スーパーでは、ネットスーパーの取り組みが既に始まっています。配送料に関しては、500〜1,000円前後かかりますが、購入金額が5,000円を超えると配送無料としていることもあります。大手ECサイト楽天などがネットスーパーの取り組みを開始しており、その配送料は大手スーパーによるネットスーパーと類似しています。大手ECサイトAmazonでも食品を取り扱っており、配送料は有料のものも多いですが、プライム会員になると送料無料となったりすることもあります。現状では各社のネットスーパーにおける販売金額はまだまだで、今後利用者が増えることにより販売量が増え、配送料も下がれば、従来の店舗の販売金額を上回ることも想定されます。





 このような状況になると、食品メーカーとしては、ネットスーパーへ誘導することで、自社製品の購入を促進することが重要となります。また、ネットスーパー向けの営業販促活動も食品メーカーとしては必須となります。このことから食品メーカーとしては、既存の営業やマーケティングが通用しなくなるかもしれません。一方、従来の店舗での流通という状況のもとでは、顧客との接点を持つことが困難でしたが、インターネットによる食品の流通が加速する状況下では、消費者との接点を強化して、コミュニケーションを増大させることができる可能性があります。





 ネットスーパーの台頭は、すぐれた製品を販売している地域の食品メーカーにとって、大手食品メーカーに対抗する絶好の機会が訪れたとも言えます。既存店舗の棚に並べられる製品の数には限りがありますが、ネットスーパーだとその制約はありません。ネットスーパーの世界では、市場における製品の中でもあまり売れることのない、少数派の市場の製品も売れる可能性があります。これは、インターネットが普及したことに伴い、消費者が自分に必要なものを検索して、膨大な量の製品の中から、容易に探し出すことができるようになったことからです。ネットスーパーにとって販売金額の少ない製品であっても、多品種を販売することで、それなりの売上高を上げることができます。そもそも消費者としては、売れ筋製品だけを購買したいわけではなく、小売店での陳列状況や売れ筋製品に偏った販促情報しかなかったので、偏った購買行動をしていた可能性もあります。





 ネットスーパーにおける食品の流通が拡大していくなかで、大手食品メーカーであっても、地域の食品メーカーあっても、可能性を秘めたネットスーパーへの対応次第で、今後の栄枯盛衰に大きく影響していくことは確かです。消費者に寄り添い、押し売りせずに有益な情報を継続して提供することが、大切なのではないでしょうか。



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 ネットスーパーの躍進は、既存の流通を突き崩す破壊的イノベーションです。この破壊的イノベーションとは、「イノベーションのジレンマ」の著者となるクレイトン・クリステンによって提唱され、確立された技術やビジネスモデルによって形成された既存市場が、新たな技術やビジネスモデルによって破壊され、既存の業界構造が劇的に変化してしまうことです。



まとめ


 インターネットなどによるデジタル社会が進むことで、食品メーカーとして簡便に消費と者と接点を持つ手段が増えてきています。このような状況下、食品メーカー から消費者までの流通構造は変化するのでしょうか。





 SNSは、人と人がつながるサービスですが、その普及により消費者が情報を発信し、その情報を共有する状況により、製品開発や販売活動など企業活動にも大きな影響を与えています。これは一過性の流行ではなく、今後のさらに社会経済に深く根付いていく方向です。SNSから、POSデータでは把握が難しい消費者の購買の心理や利用場面などが把握できます。食品メーカーの中には、ホームページに留まらず、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアカウントを開設して、顧客接点を強化しているところも増えてきています。





 食品メーカーの流通構造は、食品メーカーから卸業者、小売店を経て、消費者という流れです。一方で、小売店となる大手スーパーでは、ネットスーパーの取り組みが既に始まっています。大手ECサイトもネットスーパーの取り組みを開始しており、大手スーパーによるネットスーパーと類似しています。現状では各社のネットスーパーにおける販売金額はまだまだで、今後利用者が増えることにより販売量が増え、配送料も下がれば、従来の店舗の販売金額を上回ることも想定されます。このような状況になると、食品メーカーとしては、ネットスーパーへ誘導することで、自社製品の購入を促進することが重要となります。従来の店舗での流通という状況のもとでは、顧客との接点を持つことが困難でしたが、インターネットによる食品の流通が加速する状況下では、消費者との接点を強化して、コミュニケーションを増大させることができる可能性があります。





 ネットスーパーの台頭は、すぐれた製品を販売している地域の食品メーカーにとって、大手食品メーカーに対抗する絶好の機会が訪れたとも言えます。既存店舗の棚に並べられる製品の数には限りがありますが、ネットスーパーだとその制約はありません。ネットスーパーの世界では、市場における製品の中でもあまり売れることのない、少数派の市場の製品も売れる可能性があります。これは、インターネットが普及したことに伴い、消費者が自分に必要なものを検索して、膨大な量の製品の中から、容易に探し出すことができるようになったことからです。ネットスーパーにおける食品の流通が拡大していくなかで、大手食品メーカーであっても、地域の食品メーカーあっても、可能性を秘めたネットスーパーへの対応次第で、今後の栄枯盛衰に大きく影響していくことは確かです。



posted by Kaoru at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品産業

2020年10月12日

【飛躍】ある酒造メーカーの改革

ある酒造メーカーのそこにある危機


 朝日酒造は、日本有数の酒どころ新潟県は長岡市にある、伝統的な酒造メーカーです。1830年の創業で、もともと「久保田屋」の屋号から出発し、明治になって「朝日山」と改号しました。「久保田」は、その老舗が1985年に世に送り出した銘酒となります。日本酒に関心のない人でも、その名前は聞いたことがあるに違いありません。限られた酒販店を通して、日本酒を愛する人たちに届けられていますが、いつでもどこでも手に入る製品ではないことから、幻の銘酒ともささやかれています。「久保田」は決して価格の安い酒ではありません。最高級の「萬寿」は、一升瓶(1.8リットル)のメーカー希望小売価格が8,000円以上です。このような高価格であり、時には希望小売り価格にプレミアムを付加して売られていることすらあります。「久保田」は、それだけ高いお金を支払ってでも飲みたいお酒として売上を伸ばしています。





 「久保田」が発売された当時、清酒業界では、戦後の生産過剰への反省から、値引き防止のための公的な取引条件に関する協定が存在しましたが、1964年に至って完全な価格自由化が実施されました。それ以降、流通段階での値引き競争が始まり、1980年代半ばまで、日本酒の小売市場では安売り競争が激化の一途をたどっていました。供給過多に陥り、十分に差別化されていない清酒ブランドが乱売されていたのです。かつては、1級酒は大手酒造メーカー、2級酒は地元メーカーといった暗黙の区分がありましたが、大手までが2級酒の安売りブランドを発売するようになっていました。その結果、朝日酒造の売上の9割を占める主力銘柄「朝日山」までもが安売りされるようになっていたのです。





 一方、当時の酒類市場にはいくつかの変化が起こっていました。日本酒市場全体は下り坂であったが、80年代に入るころから一部の日本酒ファンが地酒に注目し始めました。これが「幻の日本酒ブーム」で、「八海山」、「越の寒梅」などの銘柄が知られるようになっていました。





 朝日酒造は、創立以来、主な市場は新潟県の一部地域に限られていました。価格自由化などを背景に、朝日酒造が60年代に行った努力は、県内の小売店を特約店会として組織化し、値引きや乱売を防止することでした。1980年代まで朝日酒造の主力製品「朝日山」は県内で売上トップを誇っていましたが、「朝日山」は高品質ながらも量産される銘柄であり、必ずしも付加価値の高いブランドとはいえませんでした。また、当時朝日酒造では設備を近代化して、安定した供給体制の構築を進め、長岡駅近辺にアンテナショップを開店するといった、先進的な試みを行っていました。1984年には、新潟県の醸造試験場長を工場長に迎え、値引きされない製品を開発するため、こだわり抜いた酒造りに取り組みました。これが、後の「久保田」開発の根底となる考え方です。



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ある酒造メーカーの再興


 新製品開発に当たっては、世の中の嗜好の変化が考慮されました。以前は甘く強い酒が好まれましたが、現在ではすっきり飲め、飽きない淡麗な味が好まれます。時代の求める酒造りのため、麹づくりの方法や精米歩合の向上、低温発酵により米のうまみをじっくり引き出すこと、温度管理できる貯蔵タンクの設置により熟成しすぎて香りが悪くなるのを防ぐことを行い、遂に新製品「久保田」が発売されました。その名称は、朝日酒造の創業時の屋号「久保田屋」から取られました。





 最高の品質をもって造られた「久保田」ですが、問題は長年の慣習になじんできた酒の小売流通でした。優れたお酒でも、安売り合戦に巻き込まれたら価値はたちまち失われてしまいます。そこで、人間的なお互いに価値を認め合う商売のやり方をすすめました。大手酒造メーカーだけが生き残るような現在の流通の仕組みを疑問視し、朝日酒造のような中堅が生き残るためには、自らの手で流通を変えなければならないというわけです。このために開拓したのは、少数でも自分たちの方針を理解してくれ、かつ売る力のある酒販店でした。そのために卸は通さず、直接小売店に売る仕組みづくりに着手しました。まずは店の選定です。基準は、あくまで人でした。店主の説明能力、地域の中心店としての信頼、店がきれいで整理整頓が行き届いていることが重視されました。





 新潟には当時4,000軒の酒販店がありましたが、「久保田」の販売拠点として選ばれたのはわずか170軒です。こうした方針に対して、選ばれなかった酒販店から反発が起きないわけがありません。選ばれた店を発表した翌日から、騒ぎが起きました。選ばれなかった店でも主力製品の「朝日山」は売られていましたが、思いのほかその売上は落ちませんでした。固定ファンがついていたからです。酒が流通の力だけで売れているわけではないことの証左でした。





 次の一手は、全国規模でこうした流通のネットワークを広げることでした。「久保田」が売れ始めたのを見て、全国から手紙や電話で販売を希望する小売店が殺到しました。全国の酒販店から「久保田」の販売をゆだねる店を選び出すために、地元新潟の有力酒販店の協力を得、信頼できる酒販店を紹介してもらい、つてを広げていきました。さらに最終的には必ず各酒販店を訪問して、確かめることを忘れませんでした。





 「久保田」の場合は安定的な供給ができることが強みでもあり、「久保田」の販売は、受注生産制をとりました。つまりは注文した数量以上は、受け付けないという仕組みです。こうしたシステムが機能するのも、限定され精選された流通があってこそです。こうした限定された酒販店では、「久保田」を販売するお店ならば当然守らなければならない約束ごとがあります。それは、温度は25度を保つ、品質管理に努める、お店のファンクラブをつくる、朝日酒造が企画するイベントに参加する、一定のロットを確保する、支払い期日を守るなどです。こうした約束ごとによって、「久保田」の販売を任せられる日本酒の専門店をつくることに成功しました。





 朝日酒造では、「久保田」の販売を支えるブランド力強化のためにさまざまな施策を行ってきました。経営計画づくりをする勉強会や自然環境を守る運動、「久保田」のファンを集めた活動などです。これらは、お酒というモノにまつわる物語をつくり出す試みです。モノにまつわる物語が売れてこそブランド力が生まれ、モノが売れるという考え方です。





 社内においても、技能研修などを通じた品質向上の努力がなされています。杜氏たちの伝統技術を、科学的根拠に基づいて伝承し保存することは、酒造メーカーの将来を左右する重要な課題です。朝日酒造は伝統を誇る酒造りでありながら、製造及び販売の両面でその伝統を改革し、さらに発展させる大胆な試みを行っています。日本酒の将来を担うのは、こうした革新的な酒造メーカーなのかもしれません。



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まとめ


 1964年に完全な価格自由化が実施されて以降、流通段階での値引き競争が始まり、1980年代半ばまで、日本酒の小売市場では安売り競争が激化の一途をたどっていました。供給過多に陥り、十分に差別化されていない清酒ブランドが乱売されていたのです。その結果、朝日酒造の売上の9割を占める主力銘柄「朝日山」までもが安売りされるようになっていたのです。





 このような状況下で、まず朝日酒造は人とアイデアを外部から取り入れました。新しい考え方ができる人を外部から採用すると同時に、社員を社内外の人たちと接触させることでイノベーションを促したのです。また、伝統的な取引の仕組みも見直します。日本的な取引の仕組みにおいては、一般的に既存の取引先がまず重視されます。日本酒業界のような保守的な業界にあって、その仕組みを変えるのは極めて困難でしたが、自社の基準をもって新しく組み直すことに成功しました。さらにモノを売るのではなく考え方を売ることを周知徹底します。人はものそのものを買っているのではなく、ものから受ける便益を買っています。朝日酒造はそのことを理解し、日本酒よりも日本酒という文化を売ることを商売の根底に置きました。



2020年10月11日

【違い】日本の「昆布茶」と海外の「コンブチャ」

日本の「昆布茶」


 昆布茶は、昆布を乾燥させ細かく刻むか、あるいは粉末状にしたものにお湯を注いで飲む飲物です。塩味を付与したタイプや玉露を加えたタイプもあります。昆布のうま味を研究した結果、うま味成分がグルタミン酸ナトリウムということがわかり、昆布茶はうま味調味料の代替品として使用されています。





 昆布茶の歴史は、江戸時代にさかのぼります。刻んだ昆布にお湯を注いで飲み、飲んだ後は出がらしとなった昆布を食べていたようです。





 粉末の昆布茶が登場したのは、1918年です。作ったのは、玉露園の「こんぶ茶」が粉末昆布茶の元祖となります。 江戸時代から続く昆布茶は、昆布にお湯を注ぐだけのものでしたが、昆布茶を粉末にし、調味料を配合してより簡単にお湯に溶かして飲む発想は、当時画期的なアイデアでした。





 まずは味の良い昆布を見つけるため、東北や北海道などを行脚し、北海道知床岬の付近で採れる羅臼産の昆布を原材料として、採用しました。ここで採れる羅臼昆布は、繊維質が軟らかく、香りが非常に良いのが特徴です。だしはもちろんのこと、高級塩昆布や煮昆布としても使われる最高級品でした。何もないところから新たな製品を生み出すことは、簡単ではありませんが、昆布を粉末化し、塩や砂糖などの調味料の配合を検討することで、念願の「こんぶ茶」が完成しました。最初は細々とした商売でしたが、次第に「今までの昆布茶よりも美味しい。」、「手軽にお湯を注ぐだけで飲めて、味わい深い。」と高く評価されるようになりました。





 昨今では、製品そのものの見直しもなされています。昆布には、カルシウムやヨード、カリウムなどのミネラルをはじめ、ビタミン類、食物繊維など多くの栄養素が含まれています。 これらが体内で消化吸収されやすいように、遠赤外線で乾燥させた昆布を300meshという超微粒子になるまで粉砕しています。 これほどの微粒子となると一定の品質を保ちながら長期保存ことが困難です。その問題を解決するため、造粒装置でこの粉末を顆粒化し、今では顆粒品が主流となっています。





 昆布茶の市場規模は、50億円前後です。大きい市場ではありませんが、玉露園はここで約60%ものシェアを誇っています。





 昆布茶の飲物としての需要は、年々減りつつありますが、全体の販売数量は伸びています。その理由としては、主に業務用として使われる調味料の需要にあります。 もともと原材料は昆布で、使い勝手が良い粉末状に加工されています。おでんや和風パスタなどと相性が良く、総菜店やパスタ専門店、コンビニなどの弁当では昆布茶を隠し味として、使用しています。業務用としてだけでなく、メディアで昆布茶が取り上げられることで、最近は一般家庭でも昆布茶を調味料として使うことが増えています。



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アメリカをはじめとした海外の「コンブチャ(KOMBUCHA)」


 ところ変わって、アメリカなどでも「コンブチャ(KOMBUCHA)」は人気を博しています。原産国はアメリカなどで、砂糖や茶葉、酵母などが原材料として使用され、瓶や缶などに充填して販売されています。アメリカなどでは次世代の健康飲料としての位置づけです。





 この「コンブチャ」は、日本の昆布茶とはまったくの別物です。アメリカをはじめ、海外の人が、「コンブチャ」と聞いて思い浮かべるものは、中国東北部を原産とする酸性度の高い発酵茶です。





 この「コンブチャ」は、日本で言う「紅茶キノコ」が該当します。「コンブチャ」は、茶葉に砂糖、酢酸菌や酵母菌を加えて発酵させて作られる飲物です。1週間以上の発酵過程の中で、菌が糖質と茶葉を分解し、甘酸っぱい風味の炭酸飲料をつくります。飲物には、発酵過程で生成するビタミンB群や有機酸、抗酸化成分などのほか、アルコールを含んでいます。このアルコールは、酵母が砂糖を分解した時に生成し、酢酸菌がそのほとんどを酢酸などの有機酸に変えることで、アルコールとしては飲物の中にはほとんど残りません。





 さらにショウガやレモン、ぶどう、スパイスなどを加え、飲物に独特なフレーバーを持たせることもあります。





 「コンブチャ」には、有機酸のほかにビタミンCをはじめ、ビタミンB1やビタミンB6、ビタミンB12が含まれることから、健康にいいという理由で、愛飲されています。





 「コンブチャ」の成分については、以前から世界中で研究が重ねられてきました。これまでの研究結果によると、整腸作用や抗酸化作用、消化の促進などが報告されています。





 「コンブチャ」を自宅でつくる場合は、ティーバックなどで市販されている紅茶あるいは緑茶などの茶葉をお湯で抽出し、砂糖を加え、放冷した後、市販されている「コンブチャ」用の菌を加えます。容器に移し替え、密封しない程度に蓋をし、10〜14日間発酵させます。酵母が糖質を分解することで二酸化炭素とアルコールが生成し、酢酸菌によってアルコールが分解され、有機酸となることで酸味が生じます。さらに砂糖を追加して、発酵をさせると炭酸が強くなります。また、このときにショウガやレモン、ぶどう、スパイスを加え、特有のフレーバーを付与することもできます。完成した「コンブチャ」は、冷蔵により発酵を緩やかにすることで、保存が可能です。





 なお、日本の大手飲料メーカーからも、「コンブチャ」が販売されています。



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まとめ


 昆布茶は、昆布を乾燥させ細かく刻むか、あるいは粉末状にしたものにお湯を注いで飲む飲物です。塩味を付与したタイプや玉露を加えたタイプもあります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることから、昆布茶はうま味調味料の代替品として使用されています。





 アメリカをはじめ、海外の人が、「コンブチャ」と聞いて思い浮かべるものは、中国東北部を原産とする酸性度の高い発酵茶です。この「コンブチャ」は、日本で言う「紅茶キノコ」を指しています。「コンブチャ」は、茶葉に砂糖、酢酸菌や酵母菌を加えて発酵させて作られる飲物です。1週間以上の発酵過程の中で、菌が糖質と茶葉を分解し、甘酸っぱい風味の炭酸飲料をつくります。飲物には、発酵過程で生成するビタミンB群や有機酸、抗酸化成分などのほか、微量のアルコールを含んでいます。





 さらにショウガやレモン、ぶどう、スパイスなどを加え、飲物に独特なフレーバーを持たせることもあります。





 機会があれば、「昆布茶」と「コンブチャ」を飲み比べてみては、いかがでしょうか。



posted by Kaoru at 05:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品
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