2020年10月13日
【リアルとバーチャル】食品メーカーとデジタル社会
食品業界は不況に強いと言われています。経済が不況であっても、食品摂取量は大きく変わらないため、それなりに市場規模を維持できるからです。
しかし、日本における少子高齢化や人口減少の傾向は、食品業界の市場規模を徐々に減少させていく方向に影響するものと認識されています。この場合、食品メーカーとしては、自社の市場シェア拡大による売上規模の維持向上、同業他社との合併により規模の経済性による収益性の向上、海外市場進出による売上規模の拡大などを実施されることが多くなります。
他方、インターネットなどによるデジタル社会が進むことで、食品メーカーとして簡便に消費と者と接点を持つ手段が増えてきています。このような状況下、食品メーカー から消費者までの流通構造は変化するのでしょうか。
これまで多くの食品メーカーでは、自社製品の出荷データやPOSデータから、小売業での販売データを入手分析し、営業やマーケティングなどの検討に役立ててきました。しかし、POS販売データからは何がどれだけ出荷され、販売されたかについての定量データは把握できますが、なぜそうなったのかの要因究明は、想定するか、あるいは別途調査する必要があります。
近年では、ビッグデータを経営に活用することが当たり前になりつつあります。そのようなデータのひとつとして、ソーシャルネットワークサービス(SNS)が挙げられます。SNSは、人と人がつながるサービスですが、その普及により消費者が情報を発信し、その情報を共有する状況により、製品開発や販売活動など企業活動にも大きな影響を与えています。これは一過性の流行ではなく、今後のさらに社会経済に深く根付いていく方向です。SNSから、POSデータでは把握が難しい消費者の購買の心理や利用場面などが把握できます。
食品メーカーの流通構造は、食品メーカーから卸業者、小売店を経て、消費者という流れです。食品メーカーとしては、全国的に直接消費者と接点を持つことが難しいため、テレビコマーシャルなどマスメディアに広告を出して、製品を宣伝し、消費者への製品認知を強化することや、小売店向けの営業で販促企画を提案して、製品の店頭販売強化に努めています。
さらに食品メーカーの中には、ホームページに留まらず、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアカウントを開設して、顧客接点を強化しているところも増えてきています。しかしながら、製品の流通を自社で担うのは、コストの関係で難しいため、卸業者や小売店に物流を依存する構造を変えることは容易ではありません。
大手スーパーでは、ネットスーパーの取り組みが既に始まっています。配送料に関しては、500〜1,000円前後かかりますが、購入金額が5,000円を超えると配送無料としていることもあります。大手ECサイト楽天などがネットスーパーの取り組みを開始しており、その配送料は大手スーパーによるネットスーパーと類似しています。大手ECサイトAmazonでも食品を取り扱っており、配送料は有料のものも多いですが、プライム会員になると送料無料となったりすることもあります。現状では各社のネットスーパーにおける販売金額はまだまだで、今後利用者が増えることにより販売量が増え、配送料も下がれば、従来の店舗の販売金額を上回ることも想定されます。
このような状況になると、食品メーカーとしては、ネットスーパーへ誘導することで、自社製品の購入を促進することが重要となります。また、ネットスーパー向けの営業販促活動も食品メーカーとしては必須となります。このことから食品メーカーとしては、既存の営業やマーケティングが通用しなくなるかもしれません。一方、従来の店舗での流通という状況のもとでは、顧客との接点を持つことが困難でしたが、インターネットによる食品の流通が加速する状況下では、消費者との接点を強化して、コミュニケーションを増大させることができる可能性があります。
ネットスーパーの台頭は、すぐれた製品を販売している地域の食品メーカーにとって、大手食品メーカーに対抗する絶好の機会が訪れたとも言えます。既存店舗の棚に並べられる製品の数には限りがありますが、ネットスーパーだとその制約はありません。ネットスーパーの世界では、市場における製品の中でもあまり売れることのない、少数派の市場の製品も売れる可能性があります。これは、インターネットが普及したことに伴い、消費者が自分に必要なものを検索して、膨大な量の製品の中から、容易に探し出すことができるようになったことからです。ネットスーパーにとって販売金額の少ない製品であっても、多品種を販売することで、それなりの売上高を上げることができます。そもそも消費者としては、売れ筋製品だけを購買したいわけではなく、小売店での陳列状況や売れ筋製品に偏った販促情報しかなかったので、偏った購買行動をしていた可能性もあります。
ネットスーパーにおける食品の流通が拡大していくなかで、大手食品メーカーであっても、地域の食品メーカーあっても、可能性を秘めたネットスーパーへの対応次第で、今後の栄枯盛衰に大きく影響していくことは確かです。消費者に寄り添い、押し売りせずに有益な情報を継続して提供することが、大切なのではないでしょうか。
ネットスーパーの躍進は、既存の流通を突き崩す破壊的イノベーションです。この破壊的イノベーションとは、「イノベーションのジレンマ」の著者となるクレイトン・クリステンによって提唱され、確立された技術やビジネスモデルによって形成された既存市場が、新たな技術やビジネスモデルによって破壊され、既存の業界構造が劇的に変化してしまうことです。
インターネットなどによるデジタル社会が進むことで、食品メーカーとして簡便に消費と者と接点を持つ手段が増えてきています。このような状況下、食品メーカー から消費者までの流通構造は変化するのでしょうか。
SNSは、人と人がつながるサービスですが、その普及により消費者が情報を発信し、その情報を共有する状況により、製品開発や販売活動など企業活動にも大きな影響を与えています。これは一過性の流行ではなく、今後のさらに社会経済に深く根付いていく方向です。SNSから、POSデータでは把握が難しい消費者の購買の心理や利用場面などが把握できます。食品メーカーの中には、ホームページに留まらず、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアカウントを開設して、顧客接点を強化しているところも増えてきています。
食品メーカーの流通構造は、食品メーカーから卸業者、小売店を経て、消費者という流れです。一方で、小売店となる大手スーパーでは、ネットスーパーの取り組みが既に始まっています。大手ECサイトもネットスーパーの取り組みを開始しており、大手スーパーによるネットスーパーと類似しています。現状では各社のネットスーパーにおける販売金額はまだまだで、今後利用者が増えることにより販売量が増え、配送料も下がれば、従来の店舗の販売金額を上回ることも想定されます。このような状況になると、食品メーカーとしては、ネットスーパーへ誘導することで、自社製品の購入を促進することが重要となります。従来の店舗での流通という状況のもとでは、顧客との接点を持つことが困難でしたが、インターネットによる食品の流通が加速する状況下では、消費者との接点を強化して、コミュニケーションを増大させることができる可能性があります。
ネットスーパーの台頭は、すぐれた製品を販売している地域の食品メーカーにとって、大手食品メーカーに対抗する絶好の機会が訪れたとも言えます。既存店舗の棚に並べられる製品の数には限りがありますが、ネットスーパーだとその制約はありません。ネットスーパーの世界では、市場における製品の中でもあまり売れることのない、少数派の市場の製品も売れる可能性があります。これは、インターネットが普及したことに伴い、消費者が自分に必要なものを検索して、膨大な量の製品の中から、容易に探し出すことができるようになったことからです。ネットスーパーにおける食品の流通が拡大していくなかで、大手食品メーカーであっても、地域の食品メーカーあっても、可能性を秘めたネットスーパーへの対応次第で、今後の栄枯盛衰に大きく影響していくことは確かです。
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