2019年12月20日
【ネタバレあり】『DEATH NOTE』を語る・死神編
夜分遅くに今晩は。
漫画『DEATH NOTE』の死神ではリュークが一番好きな、「暇人の独り言」管理人です。
異形と言える姿ながらロックな雰囲気があって格好良いのと、時折物語の展開に絡む台詞を口にするのが気に入っています。
特に、第1話で自身の理想を語るライトに言った「そんなことしたら性格悪いのお前だけになるぞ」や、第1部終了時にこぼした「もう あまり面白い物は期待できないな…」には、共感するばかりです。
さて、今回の記事では『DEATH NOTE』に登場した死神の中から、人間界に降り立ったリューク・レム・シドウについて喋ってみます。
毎度のことながらネタバレ全開なので、閲覧注意です。
・リューク
「退屈」を嫌い、わざと人間界へデスノートを落とした死神です。
『DEATH NOTE』の物語における全ての根源、何ならキラ事件の真の元凶とも言えます。
ほとんどが昼寝か博打をしてばかりの死神にしては珍しく、実に好奇心旺盛な個体。
同じ事の繰り返しである毎日に辟易した末にデスノートを人間界へ落とすと、それを拾った夜神月(やがみ ライト)が犯罪者を裁く神「キラ」となって起こす行動と、そのライトを追う名探偵L(エル)の熾烈な頭脳戦を観察し、楽しみました。
デスノートを持った人間には元持ち主の死神が憑くという掟に従い、ほとんどのシーンでライトにまとわりついています。
ただし、自身も語っているように「ライトの味方でもLの味方でもない」ため、特に誰かに協力することはありません。
ライト宅に監視カメラが仕掛けられた際や、死神シドウが現れて事態がややこしくなった件ではキラ側についていますが、それらも「監視カメラがあっては部屋の中で大好物のリンゴを口にできない」「騙し取ったデスノートだと明かさなかったせいでライトの策を失敗させた」といった特別な事情からであり、その他のシーンでは全編にわたって中立の傍観者を貫いていました。
ひょうきんそうな雰囲気を持ち、それに合致したお茶目な側面も間々見せていますが、性分は冷淡な部類で、人間に対して愛着は持ちません。
ライトに共鳴する弥海砂(あまね ミサ)から寿命の半分を代償とする「死神の目」の取引を求められると、それが彼女にとって2度目であるのもさして気に掛けずに応じたほか(「半分にした寿命をそのまた半分にしていいんだな?」と最終確認はしたが)、長年様子を見て来たライトでさえも、追い詰められた末に自分に助けを求めて来ると見切りを付け、あっさりと葬ってしまいました。
…しかし、ライトを始末したのは、例えるなら「漫画を読んでいたけれど面白くなくなったので本を閉じた」といったところです。
それは、「退屈」を嫌い「娯楽」を欲しがる者であれば、人間でも平気でやる行いなのは、言わずもがな。
そう考えると、見込んだ人間には愛情を惜しまないレムや、やたらと臆病なシドウ以上に、人間臭い死神と映ります。
キラにもLにも味方しない事と言い、実は最も読者の立ち位置に近いキャラクターなのかもしれません。
解説本に収録された読切版『DEATH NOTE』にも、主人公の鏡太郎(かがみ たろう)に憑く死神として登場。
こちらでは、デスノートの威力に恐れを抱きながらも「このノートは持っていた方がいいかな」と口にした太郎に向かって「もっと臆病な奴かと思ってたが気に入った 何でも協力するぜ」と、多少は人間に肩入れしたような発言をする1コマがありました。
本編のリュークもこんな死神であったら、どこかのタイミングで人間のために命を落とすことがあったかも…?
リューク「そんなことする死神がいるとは思えないけどな」
ライト「そうだな… 少なくともリュークは絶対なさそうだ」(4巻収録「爆弾」より)
連載前の読切と本編の両方で物語の起点となっており、他のどのキャラクターよりも『DEATH NOTE』を象徴している感があります。
おそらく、このリュークが生み出されなければ、『DEATH NOTE』も生み出されなかったでしょう。
作品のメインである頭脳戦にはまるで参戦していなかったものの、『DEATH NOTE』ファンにとっては大きな存在です。
なお、余談の中でも凄まじい余談ですが、管理人は解説本に収録されているキャラクター診断を遊んでみたところ、このリュークタイプになったことがありました。
診断結果曰く「あなたは人間じゃありません」とのことです。
…ほう。
・レム
リュークに次いで人間界に現れた死神で、ミサに憑いた個体です。
元は人間界と無縁でいても不思議でなかったものの、ミサに好意を持ち、毎日死神界から彼女を見ていたジェラスとの関わりによって、運命が大きく変わりました。
ジェラスは、ミサを殺そうとしたストーカーをデスノートで葬り、彼女を救出。
しかし、「死神は好意を持った特定の人間を助ける目的でデスノートを使うと自分が死ぬ」に当てはまり、ジェラス自身も絶命してしまいます。
そんなジェラスが遺したデスノートを拾い、そしてミサに与えた死神こそ、このレムでした。
存命中のジェラス共々ミサを見ていたことから情が移っており、「この子の不幸は見たくない」と言い切る程に、彼女を大切に思っています。
そのため、ミサに危害を及ぼす人間には警戒心剥き出しで、彼女を利用して切り捨てる気満々だったライトに対しても「ミサを殺そうとすれば 私がお前を殺す」という旨の牽制をしていました。
実行すればジェラスの二の舞になるのも当然把握していながら、「それでも構わない」と冷静に言ってのける姿には、何よりも「愛情」を貴ぶ心意気が満ち満ちています。
ところが、その愛情深い性格を、ライトに利用されました。
ライトは、宿敵のLと邪魔者のレムを両方消すため、ミサがキラとして捕らえられる状況を故意に作り出します。
そうして、自分とミサのどちらが屍になるかの選択を迫られたレムは、ライトの思惑を理解しながらもミサの幸せを尊重。
Lの名前を自分のデスノートに刻んで彼を葬り、そのかどで自分も死を迎えたのです。
死神でありながら人間のために命を落とすとは、リューク曰く「ただ漠然と死にたくないから 人の寿命をいただき漠然と生きている」死神達からは、さぞや笑い者にされてしまうことでしょう。
しかも、そうまでして助けたミサは、ライトの事ばかり考えている人種。
自分を助けてくれたレムにさして感謝もしていなければ、その死にも大した関心を寄せていない節があります。
どう見ても報われていませんが、ひたすらミサの幸せを第一としていた当のレムにとっては、これで構わなかったのだと思われます。
身も蓋もない言い草をすれば思い切り自己満足でしかない状態となっているわけですが、そんな有様すら厭わないとは、素直に天晴というところです。
不合理で不可思議でありながら気高さに満ちている『愛情』というものの妙味を見せてくれた、『DEATH NOTE』においては際立って貴重なキャラクターでした。
ちなみにレムは生前、「ミサを守るのは私の意地のようなもので 愛とは少し違う 私もメスだしね」と語っていました。
…骨のように真っ白なスカスカした姿のレムが女性だとは、死神達の性別は読めたものではありません…
DSソフト『DEATH NOTE キラゲーム』収録のifストーリーでは、原作と真逆の役割を担いました。
キラ捜査本部からの疑惑を払うためにライトが捏造した『第三のキラ』が逮捕されると、以後はライトの指示を受けたミサが犯罪者殺しを再開。
当然、Lはそんなミサに疑惑を募らせます。
そして、Lが「ミサさんが自由になった途端ですね… まるでミサさんがキラ…」と言い出したところに、「彼女は以前 何日もの間 拘束されていただろう! なら彼女は潔白じゃないのか?」と口走ってしまったのです。
捜査本部の誰一人としてミサの監禁を口にしなかった中でのこの台詞は、レムとミサに関わりがあった(ミサがデスノートを所有していた)証明に他なりません。
つまり、ミサが第二のキラだったのをバラしたわけです。
ミサを救うつもりが逆にその首を絞めるとは、原作における魅上照(みかみ てる)すら比じゃないドジっぷり。
そのせいで、Lによって「夜神月がキラ」「弥海砂が第二のキラ」との通達が全世界へ向けて発信され、もはやLを殺そうとワタリを殺そうと捜査本部の全員を殺そうとライトもミサも逃げられない状況を作らせてしまいました。
原作と『キラゲーム』のifストーリーとで結末は真逆になっていますが、いずれのパターンにせよ、ライトとLの決着に不可欠なキャラクターだったと言っていいでしょう。
自分の命を失った代わりにミサのごく短い間の幸せを守れた原作と、ミサが第二のキラとして正式に逮捕された一方で自分は死なずに済んだ『キラゲーム』のifストーリーではどちらが良かったのかと、ライトの父である夜神総一郎と似た疑問も湧きますが…
レムならきっと、原作の展開に満足するのだろう。
・シドウ
第2部に短期間登場した死神で、リュークがわざと人間界に落としたデスノートの、本来の持ち主です。
ある意味キラ事件の被害者?
人間を殺しての延命を長きにわたって怠っていたらしく、第2部序盤にて「そろそろ人間殺さないとヤバい」と語るくらいには追い詰められていました。
しかし、迂闊にも自身のデスノートを紛失していたシドウは、それを回収するべく一時期人間界に降り立つ破目に。
死神界ではその出発の際に「シドウが始動したぞ」「あいつの頭じゃ 人間から取り戻すの難しいだろうな」「利用されまくりそうだ」と散々に言われていたり、後にはリュークからも「そこまで考えて動けるとも思えない」と評されるなど、切れ者とは程遠いのが強調されています。
そうした評判通り、Lの後継者候補にしてデスノートを押さえていた張本人のメロと、そのメロからノートを奪還しようと奮戦するライト達キラ捜査本部の双方に度々あっさり言いくるめられ、利用され続ける姿を見せました。
リュークの話で聞いただけで実際に顔を合わせてはいなかったライトにさえ「しっかりした死神ではなさそうだ」と断じられるのも納得。
最終的に、キラ捜査本部がメロ達から取り返したデスノートを受け取って死神界に帰還し、出番は終了。
ノートを取り戻したのを喜びつつ人間界から去って行きましたが、シドウの寿命のために人間達が犠牲にされると思うと、複雑なものがあります。
『DEATH NOTE』の世界における、人間と死神の間の摂理なので、とやかく言っても仕方ありませんが…
化物じみた外見に似合わず性格は臆病で、解説本によれば嫌いなものは「オバケ」とのこと。
鏡見せてやろうか
死神界の掟に震え上がるのはまだ良いとして、人間であるメロにさえ怯える始末で、彼について「人間のくせに怖(こえ)〜」との印象を抱いていました。
…どちらかと言えば、シドウが「死神のくせに情けない」気がします。
また、Lの後継者候補の1人であるニアの仲間を、メロが大量に殺めた件についても、「人間って怖いな… ノートの使い方間違ってるだろ」と、コメントしていました。
同じ出来事について「だから面白いんじゃん」と考えるリュークとは、馬が合わなさそうです。
『DEATH NOTE』の死神達は、銃で撃たれようとナイフで刺されようと死なない存在です。
仮にも「神」である彼らを人間の手で殺めるのは困難を極めており、実質不可能とも言えます。
…とは言え、死神達も決して死なない訳ではありません。
死神達が命を失う要因が少なくとも3つ、劇中で示されていました。
死を司る死神が、死ぬ。
そんな興味深い可能性について語り、本記事の結びとしておきます。
・デスノートで人間を殺すことを怠る
死神が死ぬ要因のうち、リュークの台詞から明らかになったものです。
死神達は人間をデスノートで殺し、その人間が使わなかった寿命をいただくことで永らえています。
例えば、60歳まで生きるはずだった人間を40歳の時に殺すと「60-40=20」で20年の寿命が死神のものになる、という具合。
おかげで死神達は、よほど人間殺しを怠けていない限り、寿命が尽きる心配もなく生きていられるわけです。
「いつか必ず死ぬ」我々人間にとっては、羨ましかったり、絶望的だったり?
もっともリュークによれば、何百年も人間の名前を書くことを忘れて暮らしたために死んだ死神もいたそうです。
…無様。
ちなみにシドウもそうなる可能性があった
・特定の人間に好意を持ち、その人間を助ける目的でデスノートを使う
レムの発言から発覚した、死神が死に至る要因の1つ。
死神は、好意を持った人間の寿命を延ばす目的でデスノートを使うと、砂とも錆とも分からない物に変わり、死んでしまいます。
劇中でこれに該当して命を失ったのは、ジェラスとレム。
両者とも、好意を持って助けた人間は、ミサでした。
解説本にて「意図せず異性を虜にする魔性の持ち主」と評されていながら、よく見ると本編では特段人間にモテている様子のないミサですが、死神には大層好かれるようです。
ミサ「死神に愛されたって困るし…」(6巻収録「先走」より)
しかもレムに至っちゃ異性じゃないしね
「死神を殺す方法」として挙げられたものではありましたが、この現象を狙って引き起こそうと思えば並大抵でない下準備が必要なのは、論を俟ちません。
…しかし、ライトはそれさえ意図的にやってのけ、死神であるレムまでも死に至らしめました。
そのレムから「死神を超えている」とまで言われている通り、まさしく常人離れした知恵と悪どさの持ち主と言うほかないでしょう。
余談ながらレムによると、好意を持っていなければ、特定の人間を助ける形となっても死なずに済むようです。
仮定の話に過ぎませんが、ジェラスやレムも、延命目的の人間殺しでミサの命を脅かす者達を偶然葬っていたとしたら、消えなかったということになります。
さらに人間の場合、好意を持った特定の人間を助ける目的でデスノートを使っても、死なない模様。
ライトを意識するミサのように、自分ではなく他人のためにノートを使用する人種には、ありがたい話かもしれません。
・死神界の掟を破り、3級以上の罪を受ける
シドウの持っていた、死神界の掟を記した紙から分かった事実です。
いい加減なように見えて死神界にも、あれこれと細かい掟があります。
それらの掟を破った死神は、全9段階ある罪(低い方から8級〜1級+最上級である特級)のいずれかを喰らい、3級以上だった場合は苦しみを課せられた後に死ぬことになるのです。
例として、死神がデスノート以外の方法で人間を殺した場合は特級の罪を喰らうそうな。
このため、人間を殺さなければ寿命が危うかったシドウは、デスノートを取り戻すために散々苦労することになっていました。
そもそもノート落とさなければ済んでた話だけどね
劇中でこれに該当して死んだ死神はいませんでしたが、死神達も多種多様にして千差万別の者達。
しかも、リュークの台詞から察するに何百年も存在しているとなれば、過去には掟に背いて命を失った個体もいたのかもしれません。
こうして読者の想像を広げてくれる設定は、実際のストーリー上で活かされることがなくとも、見ているだけで面白いものです。
『DEATH NOTE』の死神について語る記事は、これまでとしておきます。
ここまで御覧下さった訪問者様、ありがとうございました。
『DEATH NOTE』のキャラクターについてはあと1度、これまで触れなかった者達を何人か選んで語ってみようかと思っています。
面白い事を言えるかどうかは、別問題ですが。
それでは、また。
漫画『DEATH NOTE』の死神ではリュークが一番好きな、「暇人の独り言」管理人です。
異形と言える姿ながらロックな雰囲気があって格好良いのと、時折物語の展開に絡む台詞を口にするのが気に入っています。
特に、第1話で自身の理想を語るライトに言った「そんなことしたら性格悪いのお前だけになるぞ」や、第1部終了時にこぼした「もう あまり面白い物は期待できないな…」には、共感するばかりです。
さて、今回の記事では『DEATH NOTE』に登場した死神の中から、人間界に降り立ったリューク・レム・シドウについて喋ってみます。
毎度のことながらネタバレ全開なので、閲覧注意です。
・リューク
「退屈」を嫌い、わざと人間界へデスノートを落とした死神です。
『DEATH NOTE』の物語における全ての根源、何ならキラ事件の真の元凶とも言えます。
ほとんどが昼寝か博打をしてばかりの死神にしては珍しく、実に好奇心旺盛な個体。
同じ事の繰り返しである毎日に辟易した末にデスノートを人間界へ落とすと、それを拾った夜神月(やがみ ライト)が犯罪者を裁く神「キラ」となって起こす行動と、そのライトを追う名探偵L(エル)の熾烈な頭脳戦を観察し、楽しみました。
デスノートを持った人間には元持ち主の死神が憑くという掟に従い、ほとんどのシーンでライトにまとわりついています。
ただし、自身も語っているように「ライトの味方でもLの味方でもない」ため、特に誰かに協力することはありません。
ライト宅に監視カメラが仕掛けられた際や、死神シドウが現れて事態がややこしくなった件ではキラ側についていますが、それらも「監視カメラがあっては部屋の中で大好物のリンゴを口にできない」「騙し取ったデスノートだと明かさなかったせいでライトの策を失敗させた」といった特別な事情からであり、その他のシーンでは全編にわたって中立の傍観者を貫いていました。
ひょうきんそうな雰囲気を持ち、それに合致したお茶目な側面も間々見せていますが、性分は冷淡な部類で、人間に対して愛着は持ちません。
ライトに共鳴する弥海砂(あまね ミサ)から寿命の半分を代償とする「死神の目」の取引を求められると、それが彼女にとって2度目であるのもさして気に掛けずに応じたほか(「半分にした寿命をそのまた半分にしていいんだな?」と最終確認はしたが)、長年様子を見て来たライトでさえも、追い詰められた末に自分に助けを求めて来ると見切りを付け、あっさりと葬ってしまいました。
…しかし、ライトを始末したのは、例えるなら「漫画を読んでいたけれど面白くなくなったので本を閉じた」といったところです。
それは、「退屈」を嫌い「娯楽」を欲しがる者であれば、人間でも平気でやる行いなのは、言わずもがな。
そう考えると、見込んだ人間には愛情を惜しまないレムや、やたらと臆病なシドウ以上に、人間臭い死神と映ります。
キラにもLにも味方しない事と言い、実は最も読者の立ち位置に近いキャラクターなのかもしれません。
リュークについての余談
解説本に収録された読切版『DEATH NOTE』にも、主人公の鏡太郎(かがみ たろう)に憑く死神として登場。
こちらでは、デスノートの威力に恐れを抱きながらも「このノートは持っていた方がいいかな」と口にした太郎に向かって「もっと臆病な奴かと思ってたが気に入った 何でも協力するぜ」と、多少は人間に肩入れしたような発言をする1コマがありました。
本編のリュークもこんな死神であったら、どこかのタイミングで人間のために命を落とすことがあったかも…?
ライト「そうだな… 少なくともリュークは絶対なさそうだ」(4巻収録「爆弾」より)
連載前の読切と本編の両方で物語の起点となっており、他のどのキャラクターよりも『DEATH NOTE』を象徴している感があります。
おそらく、このリュークが生み出されなければ、『DEATH NOTE』も生み出されなかったでしょう。
作品のメインである頭脳戦にはまるで参戦していなかったものの、『DEATH NOTE』ファンにとっては大きな存在です。
なお、余談の中でも凄まじい余談ですが、管理人は解説本に収録されているキャラクター診断を遊んでみたところ、このリュークタイプになったことがありました。
診断結果曰く「あなたは人間じゃありません」とのことです。
…ほう。
・レム
リュークに次いで人間界に現れた死神で、ミサに憑いた個体です。
元は人間界と無縁でいても不思議でなかったものの、ミサに好意を持ち、毎日死神界から彼女を見ていたジェラスとの関わりによって、運命が大きく変わりました。
ジェラスは、ミサを殺そうとしたストーカーをデスノートで葬り、彼女を救出。
しかし、「死神は好意を持った特定の人間を助ける目的でデスノートを使うと自分が死ぬ」に当てはまり、ジェラス自身も絶命してしまいます。
そんなジェラスが遺したデスノートを拾い、そしてミサに与えた死神こそ、このレムでした。
存命中のジェラス共々ミサを見ていたことから情が移っており、「この子の不幸は見たくない」と言い切る程に、彼女を大切に思っています。
そのため、ミサに危害を及ぼす人間には警戒心剥き出しで、彼女を利用して切り捨てる気満々だったライトに対しても「ミサを殺そうとすれば 私がお前を殺す」という旨の牽制をしていました。
実行すればジェラスの二の舞になるのも当然把握していながら、「それでも構わない」と冷静に言ってのける姿には、何よりも「愛情」を貴ぶ心意気が満ち満ちています。
ところが、その愛情深い性格を、ライトに利用されました。
ライトは、宿敵のLと邪魔者のレムを両方消すため、ミサがキラとして捕らえられる状況を故意に作り出します。
そうして、自分とミサのどちらが屍になるかの選択を迫られたレムは、ライトの思惑を理解しながらもミサの幸せを尊重。
Lの名前を自分のデスノートに刻んで彼を葬り、そのかどで自分も死を迎えたのです。
死神でありながら人間のために命を落とすとは、リューク曰く「ただ漠然と死にたくないから 人の寿命をいただき漠然と生きている」死神達からは、さぞや笑い者にされてしまうことでしょう。
しかも、そうまでして助けたミサは、ライトの事ばかり考えている人種。
自分を助けてくれたレムにさして感謝もしていなければ、その死にも大した関心を寄せていない節があります。
どう見ても報われていませんが、ひたすらミサの幸せを第一としていた当のレムにとっては、これで構わなかったのだと思われます。
身も蓋もない言い草をすれば思い切り自己満足でしかない状態となっているわけですが、そんな有様すら厭わないとは、素直に天晴というところです。
不合理で不可思議でありながら気高さに満ちている『愛情』というものの妙味を見せてくれた、『DEATH NOTE』においては際立って貴重なキャラクターでした。
ちなみにレムは生前、「ミサを守るのは私の意地のようなもので 愛とは少し違う 私もメスだしね」と語っていました。
…骨のように真っ白なスカスカした姿のレムが女性だとは、死神達の性別は読めたものではありません…
レムについての余談
DSソフト『DEATH NOTE キラゲーム』収録のifストーリーでは、原作と真逆の役割を担いました。
キラ捜査本部からの疑惑を払うためにライトが捏造した『第三のキラ』が逮捕されると、以後はライトの指示を受けたミサが犯罪者殺しを再開。
当然、Lはそんなミサに疑惑を募らせます。
そして、Lが「ミサさんが自由になった途端ですね… まるでミサさんがキラ…」と言い出したところに、「彼女は以前 何日もの間 拘束されていただろう! なら彼女は潔白じゃないのか?」と口走ってしまったのです。
捜査本部の誰一人としてミサの監禁を口にしなかった中でのこの台詞は、レムとミサに関わりがあった(ミサがデスノートを所有していた)証明に他なりません。
つまり、ミサが第二のキラだったのをバラしたわけです。
ミサを救うつもりが逆にその首を絞めるとは、原作における魅上照(みかみ てる)すら比じゃないドジっぷり。
そのせいで、Lによって「夜神月がキラ」「弥海砂が第二のキラ」との通達が全世界へ向けて発信され、もはやLを殺そうとワタリを殺そうと捜査本部の全員を殺そうとライトもミサも逃げられない状況を作らせてしまいました。
原作と『キラゲーム』のifストーリーとで結末は真逆になっていますが、いずれのパターンにせよ、ライトとLの決着に不可欠なキャラクターだったと言っていいでしょう。
自分の命を失った代わりにミサのごく短い間の幸せを守れた原作と、ミサが第二のキラとして正式に逮捕された一方で自分は死なずに済んだ『キラゲーム』のifストーリーではどちらが良かったのかと、ライトの父である夜神総一郎と似た疑問も湧きますが…
レムならきっと、原作の展開に満足するのだろう。
・シドウ
第2部に短期間登場した死神で、リュークがわざと人間界に落としたデスノートの、本来の持ち主です。
ある意味キラ事件の被害者?
人間を殺しての延命を長きにわたって怠っていたらしく、第2部序盤にて「そろそろ人間殺さないとヤバい」と語るくらいには追い詰められていました。
しかし、迂闊にも自身のデスノートを紛失していたシドウは、それを回収するべく一時期人間界に降り立つ破目に。
死神界ではその出発の際に「シドウが始動したぞ」「あいつの頭じゃ 人間から取り戻すの難しいだろうな」「利用されまくりそうだ」と散々に言われていたり、後にはリュークからも「そこまで考えて動けるとも思えない」と評されるなど、切れ者とは程遠いのが強調されています。
そうした評判通り、Lの後継者候補にしてデスノートを押さえていた張本人のメロと、そのメロからノートを奪還しようと奮戦するライト達キラ捜査本部の双方に度々あっさり言いくるめられ、利用され続ける姿を見せました。
リュークの話で聞いただけで実際に顔を合わせてはいなかったライトにさえ「しっかりした死神ではなさそうだ」と断じられるのも納得。
最終的に、キラ捜査本部がメロ達から取り返したデスノートを受け取って死神界に帰還し、出番は終了。
ノートを取り戻したのを喜びつつ人間界から去って行きましたが、シドウの寿命のために人間達が犠牲にされると思うと、複雑なものがあります。
『DEATH NOTE』の世界における、人間と死神の間の摂理なので、とやかく言っても仕方ありませんが…
化物じみた外見に似合わず性格は臆病で、解説本によれば嫌いなものは「オバケ」とのこと。
死神界の掟に震え上がるのはまだ良いとして、人間であるメロにさえ怯える始末で、彼について「人間のくせに怖(こえ)〜」との印象を抱いていました。
…どちらかと言えば、シドウが「死神のくせに情けない」気がします。
また、Lの後継者候補の1人であるニアの仲間を、メロが大量に殺めた件についても、「人間って怖いな… ノートの使い方間違ってるだろ」と、コメントしていました。
同じ出来事について「だから面白いんじゃん」と考えるリュークとは、馬が合わなさそうです。
『DEATH NOTE』の死神達が死ぬ可能性
『DEATH NOTE』の死神達は、銃で撃たれようとナイフで刺されようと死なない存在です。
仮にも「神」である彼らを人間の手で殺めるのは困難を極めており、実質不可能とも言えます。
…とは言え、死神達も決して死なない訳ではありません。
死神達が命を失う要因が少なくとも3つ、劇中で示されていました。
死を司る死神が、死ぬ。
そんな興味深い可能性について語り、本記事の結びとしておきます。
・デスノートで人間を殺すことを怠る
死神が死ぬ要因のうち、リュークの台詞から明らかになったものです。
死神達は人間をデスノートで殺し、その人間が使わなかった寿命をいただくことで永らえています。
例えば、60歳まで生きるはずだった人間を40歳の時に殺すと「60-40=20」で20年の寿命が死神のものになる、という具合。
おかげで死神達は、よほど人間殺しを怠けていない限り、寿命が尽きる心配もなく生きていられるわけです。
「いつか必ず死ぬ」我々人間にとっては、羨ましかったり、絶望的だったり?
もっともリュークによれば、何百年も人間の名前を書くことを忘れて暮らしたために死んだ死神もいたそうです。
…無様。
・特定の人間に好意を持ち、その人間を助ける目的でデスノートを使う
レムの発言から発覚した、死神が死に至る要因の1つ。
死神は、好意を持った人間の寿命を延ばす目的でデスノートを使うと、砂とも錆とも分からない物に変わり、死んでしまいます。
劇中でこれに該当して命を失ったのは、ジェラスとレム。
両者とも、好意を持って助けた人間は、ミサでした。
解説本にて「意図せず異性を虜にする魔性の持ち主」と評されていながら、よく見ると本編では特段人間にモテている様子のないミサですが、死神には大層好かれるようです。
ミサ「死神に愛されたって困るし…」(6巻収録「先走」より)
「死神を殺す方法」として挙げられたものではありましたが、この現象を狙って引き起こそうと思えば並大抵でない下準備が必要なのは、論を俟ちません。
…しかし、ライトはそれさえ意図的にやってのけ、死神であるレムまでも死に至らしめました。
そのレムから「死神を超えている」とまで言われている通り、まさしく常人離れした知恵と悪どさの持ち主と言うほかないでしょう。
余談ながらレムによると、好意を持っていなければ、特定の人間を助ける形となっても死なずに済むようです。
仮定の話に過ぎませんが、ジェラスやレムも、延命目的の人間殺しでミサの命を脅かす者達を偶然葬っていたとしたら、消えなかったということになります。
さらに人間の場合、好意を持った特定の人間を助ける目的でデスノートを使っても、死なない模様。
ライトを意識するミサのように、自分ではなく他人のためにノートを使用する人種には、ありがたい話かもしれません。
・死神界の掟を破り、3級以上の罪を受ける
シドウの持っていた、死神界の掟を記した紙から分かった事実です。
それらの掟を破った死神は、全9段階ある罪(低い方から8級〜1級+最上級である特級)のいずれかを喰らい、3級以上だった場合は苦しみを課せられた後に死ぬことになるのです。
例として、死神がデスノート以外の方法で人間を殺した場合は特級の罪を喰らうそうな。
このため、人間を殺さなければ寿命が危うかったシドウは、デスノートを取り戻すために散々苦労することになっていました。
劇中でこれに該当して死んだ死神はいませんでしたが、死神達も多種多様にして千差万別の者達。
しかも、リュークの台詞から察するに何百年も存在しているとなれば、過去には掟に背いて命を失った個体もいたのかもしれません。
こうして読者の想像を広げてくれる設定は、実際のストーリー上で活かされることがなくとも、見ているだけで面白いものです。
次回はその他のキャラクターについてもう少し
『DEATH NOTE』の死神について語る記事は、これまでとしておきます。
ここまで御覧下さった訪問者様、ありがとうございました。
『DEATH NOTE』のキャラクターについてはあと1度、これまで触れなかった者達を何人か選んで語ってみようかと思っています。
面白い事を言えるかどうかは、別問題ですが。
それでは、また。
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