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2018年03月22日

失行について 〜医療・介護スタッフ、家族向け〜

皆さんこんにちは。
桃の助です

このページでは、脳卒中後に発症しやすい失行についてお話ししたいと思います。
失行は一般の方にはあまり聞きなれない病気だと思いますので、医療・介護スタッフ、家族向けとして書かせて頂きます。

失行とは

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運動器官に異常が無いにも関わらず、目的の運動を実施できない状態の事を失行といいます。

失行患者は運動麻痺や失調などの運動障害がない、またはあったとしてもそれだけでは説明できない行動の困難さがあります。

失行とみなすには、失語による理解障害や、認知症、全般的注意障害、対象の認知障害、その他に課題遂行を阻害するような症状が直接的な原因と考えられないことが前提となります。
(ただし、認知症では失行に似た症状が出現します。ここでは脳卒中後の純粋な失行を書きます。)

例えば、注意の持続が悪いく、課題を遂行できない場合には失行とはなりません。

失行の分類と症状

観念運動失行

責任病巣:頭頂葉または前頭葉の障害
物品を使用しない単純な運動や、単一物品を対象とする運動が口頭命令、模倣、物品の使用のいずれでも困難な状態です。

例えば、歯を磨く動作を身振りで求めても、実際の物品使用でも正しく遂行できない状態です。
他には、敬礼の模倣や手招きの模倣なども出来なくなります。

誤り方の種類としては、無反応、拙劣、遅延、保続、異なる動作、意味不明な動作などがあります。
こういった誤りは、日常生活ではあまり見られませんが、検査場面では出る事が多いです。

観念失行

責任病巣:頭頂葉後方または側頭・頭頂・後頭接合部などの後方領域
観念失行では個々の運動は可能ですが、複雑な一連の操作が必要な行為が障害されます。

例えば、「お茶をいれる」動作には茶筒、やかん、湯飲みなど複数の物品を用いた複数の動作を正しい順番で行う必要がありますよね。
動作の順番を間違えたり、やかんにお茶の葉を入れたり、手順が分からずに戸惑ってしまったりしてしまいます。

観念失行は検査場面だけでなく、日常生活でもよく見られます。

観念失行は単発症状として出現することは少なく、観念運動失行と合併して出現することが多いです。

肢節運動失行

責任病巣:左右いずれかの中心前回または後回
肢節運動失行は主に手と指による動作の遂行が、不完全、拙劣、途切れ途切れとなる症状です。

例えば、ボタンをはめる、本のページをめくる、物をつまむなど、ごく簡単な熟練動作が極端に不器用な状態となります。

日常生活でも症状は出現するため、患者さんから訴える事が多いです。

その他の失行

・口腔顔面失行:中大脳動脈の梗塞に伴って出現し、失語症と合併することが多いです。前方の病巣ではブローカ失語を、後方の病巣ではウェルニッケ失語を合併します。
指示に従って舌打ちをしたり、口笛をしたり、咳ばらいをしたりする事が出来なくなります。
自動的、反射的運動は保たれます。

・着衣失行:その名の通り、着衣の失行です。服の上下左右が見分けられず、袖ではない部分に手を通したりします。検査場面でも日常生活でも症状はみられます。右頭頂葉損傷による半側空間無視との合併が多いです。


いかがだったでしょうか?
失行は患者さんの日常生活での行動の阻害要因となるものばかりです。
患者さんの周りの人が症状を理解し手助けをすれば、患者さんはある程度自立した生活ができると思います。

それではまた。
桃の助でした


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皆さんはじめまして! 日々、病院で言語聴覚士として勤務している桃の助といいます。 言語聴覚士として実際場面にいることで知り得る情報を皆さんに発信していきたいと思います。 子どもの発達や障害、大人の障害はもちろんですが、健康や予防方法についてもお話ししたいと思います。 何か気になることなどあればコメントを宜しくお願いします。
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