2016年07月04日
【ましろのおと】マンガ 感想&あらすじ 三味線に情熱を注ぐ奏者たちの演奏と人間ドラマを描いた青春ストーリー
月刊少年マガジン。2010年5月号から連載中。既刊17巻
作者:羅川真里茂
他作品:しゃにむにGO
青森の津軽で生まれ、小さい頃から祖父・松五郎の三味線を聞いて育った澤村雪。松五郎がこの世を去ってしまったことで自分の「音」まで見失った雪は、無くした何かを見つけるために三味線を携え単身上京する。
松五郎が床に伏せっていた折、
「それじゃじっちゃんの真似だ。じっちゃんが死んだら三味線弾くな。みっともない音出してるって気づくまで引いたらダメだ」
そう言われたことが原因でしばらく弾くことが出来ずにいた。しかし、自分には他に何もないことに気づき、再び三味線を手に取る雪。学園での友人たちとの出会いや、様々な三味線奏者との交流を通じて、雪は人として、演奏者として、不器用ながらもゆっくり成長していくのだった。
・澤村雪(さわむら せつ)
青森で生まれ育った16歳の少年。師でもあった祖父が亡くなったことで失った自分の音を探すために単身上京。他人と関わることが少し苦手で、普段はあまり表情を変えないクールな性格ですが、意外と感情は読み取り安く、熱い心を持っています。祖父譲りの高い三味線の才能を持つものの、未熟ゆえに演奏の出来は落差が激しく、あまり安定しません。誰かの為など、明確な目的がある場合は比較的良い演奏になります。
・澤村松吾郎(さわむら まつごろう)
雪の祖父で、全盲の三味線奏者。世の中に名前が広がっているわけではありませんが、その演奏に魅入られた人は少なくもなく、特に三味線奏者の間では高く評価されています。一応雪の師匠ではありますが、手取り足取り指導をすることはなく、「奪え」と言うだけでした。
・その他
弟思いの優しい雪の実兄で、三味線の兄弟子にもあたる全国有数の実力者の澤村若菜(さわむら わかな)。
ビューティー関連の「梅丸」という会社の女社長を務めている雪と若菜の母親で、雪の才能を世に知らしめようとしている澤村梅子(さわむら うめこ)。
雪のライバルで自称友達の、全国大会準優勝の実力を持つ田沼総一(たぬま そういち)。
【eBookJapan】 ましろのおと 無料で試し読みできます
名人とまで言われた三味線奏者の祖父・松吾郎の才能を受け継いだ沢村雪が、三味線を通じて多くの人達と出会い、様々な経験のなかで、挫折や苦悩、喜びや楽しさを受け止めながら成長していく物語。
「三味線」をメインテーマとして据え、もうひとつ「自分探し」も重要なテーマになってる作品。三味線は渋くて大人が嗜むイメージが強く、若い子にとっては馴染みの薄い世界でしょうが、この漫画に描かれている演奏シーンを見れば地味なイメージは吹き飛びますね。
見所はなんといっても雪の成長と変化です。物語開始当初の雪は勝負の勝ち負けにはあまり関心を持たず、自分の納得できるような音さえ出せれば満足といった感じでした。しかし、学園の仲間たちと一緒に演奏したこと、ライバル達の見事な演奏を聞いていくなかで、彼の勝負事に対する姿勢に少しずつ変化が出始めます。
さらに、民謡居酒屋でお客の前に立って演奏を披露する経験をしたことで、自分が納得する為だけではなく、誰かに聴かせる音についても学ぶようになります。それまでの雪の演奏は自分に向けて弾いていましたから、それではダメだということに気づいたことで、三味線演奏者として進歩がみられるようになりました。
成長を伺えるのは何も主人公の雪だけではありません。登場人物がとても多い作品ではありますが、サブキャラ一人一人にしっかりした背景があり、個性もそれぞれ立っているのでどの子にも魅力を感じますね。
そんな彼らも、雪や周囲の人達との交流から影響を受け、そして誰かの演奏を聴くことで感化され、抱えている悩みやトラウマ、コンプレックスに立ち向かおうとする成長と変化を見せてくれます。
雪の成長や演奏だけではなく、キャラクター同士の人間ドラマも見所のひとつかと。
当ブログでも何冊か音楽系のマンガを紹介しましたが、耳では聴こえない音を表現するのはホントに難しいことだと分かります。
このマンガでも擬音、奏者や聴き手の表情、心象風景など、いろいろな手法を巧みに駆使して、読者に音とその中に込められた想いを伝えようとしています。情熱的に心へ訴えかけてくるような力強い音や、包み込まれているかのような優しい音、それから音の緩急、熟達した音から未熟な音まで、様々な音を巧みに表現されていたと思います。
三味線というマイナーな楽器を扱った珍しい作品でありながら、夢中になって読み通してしまう熱さがある面白い作品。三味線には地味で固そうなとっつき難いイメージがあるかもしれませんが、演奏シーンは迫力があるだけではなく、うっとり見惚れてしまう美しさもありました。
絵に関しては少女マンガっぽいので好き嫌い分かれそうですが、個人的には美しさや繊細さを表現するには合ってると思います。
演奏だけでなくあっちこっちの人間ドラマにも要注目しているので、これからの展開が楽しみです。音楽モノ、学園モノ、青春モノが好きな方なら楽しめると思いますので、よければ読んでみてください。
作者:羅川真里茂
他作品:しゃにむにGO
あらすじ・概要
青森の津軽で生まれ、小さい頃から祖父・松五郎の三味線を聞いて育った澤村雪。松五郎がこの世を去ってしまったことで自分の「音」まで見失った雪は、無くした何かを見つけるために三味線を携え単身上京する。
松五郎が床に伏せっていた折、
「それじゃじっちゃんの真似だ。じっちゃんが死んだら三味線弾くな。みっともない音出してるって気づくまで引いたらダメだ」
そう言われたことが原因でしばらく弾くことが出来ずにいた。しかし、自分には他に何もないことに気づき、再び三味線を手に取る雪。学園での友人たちとの出会いや、様々な三味線奏者との交流を通じて、雪は人として、演奏者として、不器用ながらもゆっくり成長していくのだった。
登場人物
・澤村雪(さわむら せつ)
青森で生まれ育った16歳の少年。師でもあった祖父が亡くなったことで失った自分の音を探すために単身上京。他人と関わることが少し苦手で、普段はあまり表情を変えないクールな性格ですが、意外と感情は読み取り安く、熱い心を持っています。祖父譲りの高い三味線の才能を持つものの、未熟ゆえに演奏の出来は落差が激しく、あまり安定しません。誰かの為など、明確な目的がある場合は比較的良い演奏になります。
・澤村松吾郎(さわむら まつごろう)
雪の祖父で、全盲の三味線奏者。世の中に名前が広がっているわけではありませんが、その演奏に魅入られた人は少なくもなく、特に三味線奏者の間では高く評価されています。一応雪の師匠ではありますが、手取り足取り指導をすることはなく、「奪え」と言うだけでした。
・その他
弟思いの優しい雪の実兄で、三味線の兄弟子にもあたる全国有数の実力者の澤村若菜(さわむら わかな)。
ビューティー関連の「梅丸」という会社の女社長を務めている雪と若菜の母親で、雪の才能を世に知らしめようとしている澤村梅子(さわむら うめこ)。
雪のライバルで自称友達の、全国大会準優勝の実力を持つ田沼総一(たぬま そういち)。
【eBookJapan】 ましろのおと 無料で試し読みできます
感想
名人とまで言われた三味線奏者の祖父・松吾郎の才能を受け継いだ沢村雪が、三味線を通じて多くの人達と出会い、様々な経験のなかで、挫折や苦悩、喜びや楽しさを受け止めながら成長していく物語。
「三味線」をメインテーマとして据え、もうひとつ「自分探し」も重要なテーマになってる作品。三味線は渋くて大人が嗜むイメージが強く、若い子にとっては馴染みの薄い世界でしょうが、この漫画に描かれている演奏シーンを見れば地味なイメージは吹き飛びますね。
見所はなんといっても雪の成長と変化です。物語開始当初の雪は勝負の勝ち負けにはあまり関心を持たず、自分の納得できるような音さえ出せれば満足といった感じでした。しかし、学園の仲間たちと一緒に演奏したこと、ライバル達の見事な演奏を聞いていくなかで、彼の勝負事に対する姿勢に少しずつ変化が出始めます。
さらに、民謡居酒屋でお客の前に立って演奏を披露する経験をしたことで、自分が納得する為だけではなく、誰かに聴かせる音についても学ぶようになります。それまでの雪の演奏は自分に向けて弾いていましたから、それではダメだということに気づいたことで、三味線演奏者として進歩がみられるようになりました。
成長を伺えるのは何も主人公の雪だけではありません。登場人物がとても多い作品ではありますが、サブキャラ一人一人にしっかりした背景があり、個性もそれぞれ立っているのでどの子にも魅力を感じますね。
そんな彼らも、雪や周囲の人達との交流から影響を受け、そして誰かの演奏を聴くことで感化され、抱えている悩みやトラウマ、コンプレックスに立ち向かおうとする成長と変化を見せてくれます。
雪の成長や演奏だけではなく、キャラクター同士の人間ドラマも見所のひとつかと。
当ブログでも何冊か音楽系のマンガを紹介しましたが、耳では聴こえない音を表現するのはホントに難しいことだと分かります。
このマンガでも擬音、奏者や聴き手の表情、心象風景など、いろいろな手法を巧みに駆使して、読者に音とその中に込められた想いを伝えようとしています。情熱的に心へ訴えかけてくるような力強い音や、包み込まれているかのような優しい音、それから音の緩急、熟達した音から未熟な音まで、様々な音を巧みに表現されていたと思います。
三味線というマイナーな楽器を扱った珍しい作品でありながら、夢中になって読み通してしまう熱さがある面白い作品。三味線には地味で固そうなとっつき難いイメージがあるかもしれませんが、演奏シーンは迫力があるだけではなく、うっとり見惚れてしまう美しさもありました。
絵に関しては少女マンガっぽいので好き嫌い分かれそうですが、個人的には美しさや繊細さを表現するには合ってると思います。
演奏だけでなくあっちこっちの人間ドラマにも要注目しているので、これからの展開が楽しみです。音楽モノ、学園モノ、青春モノが好きな方なら楽しめると思いますので、よければ読んでみてください。
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