2017年02月03日
【とめはねっ!鈴里高校書道部】マンガ 感想&あらすじ 書道に打ち込む高校生たちの青春物語
週刊ヤングサンデー→ビッグコミックスピリッツ。2007年2号から2015年16号まで連載。全14巻
作者:河合克敏
他作品:モンキーターン
神奈川県鎌倉市のはずれにある私立鈴里(すずり)高校。この学校へ入学したカナダからの帰国子女である大江縁は、長年の海外暮らしにより日本語がまだ上手く話せないため、友だちが出来ず1人で過ごすことが多くなっていた。
ある日、先生に頼まれて書道教室へ荷物を運びに行った縁は、偶然中に居た女生徒の着替えを覗いてしまい、その弱みをネタに脅され、部員数不足で廃部危機にあった書道部へ半ば強制的に入部させられてしまう。
少し書道に興味を持ち始めた矢先、同じクラスの望月結希が男性生徒から強引に言い寄られている現場を目撃した縁は、ガラにもなく助けに入ろうとしたのだが、柔道の実力者であった彼女の背負い投げに巻き込まれ右腕を骨折してしまった。
部員獲得のチャンスと見た書道部の先輩たちは、縁のときと同様弱みというネタに携え柔道部へ乗り込んでしまい、元々責任感の強かった望月さんは掛け持ちで入部することになった。
こうして、愉快で迷惑な先輩たちに翻弄されながらも、奥深い書道の世界に惹かれた縁と望月さんは、仲間たちと共に高校書道最高峰の舞台「書の甲子園」への出展を目指し日々己の書と向き合う。
・大江縁(おおえ ゆかり)
主人公。鈴里高校に通う1年生→2年生。小学2年生から鈴里高校に入学するまでカナダのプリンスエドワード島で暮らしていた帰国子女。日本の文化に疎く、日本語会話も多少苦手ではありますが、カナダ在住の頃から日本の祖母と頻繁に文通を交わしていたことで達筆な字が身に付いています。真面目で大人しい穏やかな性格をしていますが、負けず嫌いな一面もあります。眠たそうな目をしているため、ガチャピンに似ていると言われます。
・望月結希(もちづき ゆき)
ヒロイン。鈴里高校に通う1年生→2年生。柔道部と掛け持ちの臨時書道部員。容姿端麗ではあるものの、気が強くてガサツなため女性らしさは欠如。柔道部のホープでその実力は全国優勝するほどの逸材。女性らしい綺麗な字に憧れを持っています。同級生の縁にライバル心を抱いており、元々勝負事には熱くなる性格のため何かと張り合おうとしています。恋愛事には鈍感なので縁からの好意にも当然気づいてません。
・日野 ひろみ(ひの ひろみ)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部部長。眼鏡をかけたツインテールの少女。真面目で優しく面倒見の良い性格。書道に関しては自分にも他人にも厳しく、その腕前は県内でも名が知られているほど優秀。見た目は瓜二つだけど性格は真逆な双子の妹がいます。根は乙女なので恋バナには目がないため、人の恋愛事に首を突っ込むこともしばしば。
・加茂 杏子(かも きょうこ)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部副部長。背は175cmの長身でスタイル抜群。性格は男勝りがさつだが、恋愛には奥手な純情娘。中学生の頃はヤンキーとして名が知られており、腕っ節も強い。下着姿を見られたネタを使い縁を強引に入部させた張本人。当初は不真面目でしたが、後輩のがんばりに触発され真剣に取り組むようになりました。
・三輪 詩織(みわ しおり)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部会計。端正な顔立ちをした美少女だが、悪知恵を働かせる腹黒い性格。廃部を回避するため縁や結希を入部させるための計画を立てた策士。加茂同様、後輩に触発されたことで真剣に書道へ打ち込むようになります。中学の時はおしゃれ系グループのリーダーとして現在は仲の良い加茂と対立関係でした。
・影山 智(かげやま さとる)
鈴里高校教諭。書道部顧問。専門は世界史。加茂や三輪から「ハゲ山」と馬鹿にされていたため部室には近づかないようになっていたが、縁たちが入部したことをきっかけに顧問として励むようになりました。中国史に関してはオタクレベルで詳しく、書道への造詣も深い。三国志愛読者。鵠沼書道部顧問の笠置奈津子に想いを寄せています。
【eBookJapan】 とめはねっ!鈴里高校書道部 無料で試し読みできます
廃部寸前だった書道部に半ば強制的に入部させられた2人の新入生を中心に、学び成長する中で書の世界の奥深さを知ると共に、大きな目標に向け日々書道に励む高校生たちの姿を描いた物語。
高校書道部の活動を描いた青春漫画。著者は『モンキーターン』『帯をギュッとね!』で有名な河合克敏さん。書道監修には大河ドラマ『天地人』を始め、数々の題字やデザインロゴ手掛けている書道家の武田双雲さんが担当しています。2010年には同タイトルでドラマ化もされました。
書道をメインの題材に据えた珍しい作品。書を学びながらじっくり読むこともできれば、学園コメディとして軽く読むこともできる内容になってます。
『書道』は言わずと知れた日本を代表する伝統文化なわけですが、現在ではそんな日本人にとっても馴染みが薄い分野になっていると思います。かくゆう私も学校の習字やお正月の書初めぐらいしか経験はなく、書道の教室や部活で学んだこともないため、基本中の基本をうろ覚えしてる程度の浅い知識しか持っていません。
この作品を通して書道が辿ってきた歴史、そして現在の伝統を重んじながらも時代と共に変化してきた形など、知らなかったことを数多く知ることができたのはとてもタメになりまりた。
書の世界というと馴染みない人にとってはお堅い印象を持たれやすいかもしれませんが、この作品は「書道ってなんですか?」みたいな人でも全然問題なく読めますので大丈夫です。むしろ、私のような書道初心者だからこそ楽しめる作品ではないかと思っています。
それはと言いますと、この作品のメインとなる2人も高校から書道を始めることになる初心者だからです。主人公は幼い頃から長く海外で暮らしていたため習字すら知らなかった帰国子女の少年、片やヒロインは柔道で全国に名を馳せているバリバリの体育会系女子。この2人の初心者を中心に話は進行されるので、同じように学び理解を深めながら読むことができます。
最初は「永字八法」という書の基本的な技法8種類が含まれているという「永」の一文字や、「一」と「十」をただひたすら繰り返し書くところから始まります。一見簡単そうに見える縦と横に一本ずつ線を引くだけという行為ではありますが、意外と上手く書けなかったりしますね。そんな基礎の部分から書道部の先輩や顧問の先生が丁寧に解りやすく教えてくれます。余白も字の一部であること、腕だけでなく体全体で書くことなど、知るとたまらなく書いてみたくなる衝動に駆られます。こんなふうに子供の頃教えてもらっていたら自分も書道に興味持ってたかも、なんて思ってしまいました。字を上手く書けるコツの教え方がとても優しくて上手いので、自分も書けるかもと思わせてくれるのは大きいですね。教科書としても使えるのではとさえ思ってます。
字を教えるとともに日本や中国に実在した書家や歴史も絡めており、たまに解説過多になってることもありますが、その中にもクスっと笑える小ネタを仕込んでいるので面白い。学ぶことが面白いと感じる日がくるとは、昔の自分からは想像も出来ませんね。
一枚、一文字に対して真摯に向き合う高校生の姿勢はかっこいいと思いました。「書の甲子園」という最高峰の舞台に出展する作品を書くため、壁にぶつかり苦悩しながら自分が何を書きたいものを見つけ出します。そこから何時間、ときには何日かけても納得いく1枚はなかなか生まれませんが、だからこそ苦悩を乗り越えて完成された1枚は見る者を感動させてくれまね。正直な話、ここまで感動できる漫画になるとは思っていませんでした。
作品の雰囲気は、解説が多いので若干硬い部分もありますが、全体的には軽めだとと思います。登場人物がクセの強いキャラクターばかりなのでノリは明るく、ところどころにギャグも被せられていて結構笑えますね。
学園青春漫画らしく恋愛や友情の要素もかなり強めに絡められており、読んでるとニヤニヤしてしまうこともしばしば。
楽しみながら学ぶこともできる良く出来た作品でしたね。大きな伏線もないため、深読みする必要なく楽な気分で読めるというのも良かったです。
書道というテーマの珍しさから手に取った作品ではありましたが、非常に面白かったです。真摯に取り組む高校生たちの姿勢、文字の美しさと迫力、さらに終盤に登場したある1枚の衝撃作品から、書道に持っていた地味なイメージを見事に覆してくれました。あの1枚はやばかった・・・。
笑いも感動もあり、楽しみながらタメにもなる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。
作者:河合克敏
他作品:モンキーターン
あらすじ
神奈川県鎌倉市のはずれにある私立鈴里(すずり)高校。この学校へ入学したカナダからの帰国子女である大江縁は、長年の海外暮らしにより日本語がまだ上手く話せないため、友だちが出来ず1人で過ごすことが多くなっていた。
ある日、先生に頼まれて書道教室へ荷物を運びに行った縁は、偶然中に居た女生徒の着替えを覗いてしまい、その弱みをネタに脅され、部員数不足で廃部危機にあった書道部へ半ば強制的に入部させられてしまう。
少し書道に興味を持ち始めた矢先、同じクラスの望月結希が男性生徒から強引に言い寄られている現場を目撃した縁は、ガラにもなく助けに入ろうとしたのだが、柔道の実力者であった彼女の背負い投げに巻き込まれ右腕を骨折してしまった。
部員獲得のチャンスと見た書道部の先輩たちは、縁のときと同様弱みというネタに携え柔道部へ乗り込んでしまい、元々責任感の強かった望月さんは掛け持ちで入部することになった。
こうして、愉快で迷惑な先輩たちに翻弄されながらも、奥深い書道の世界に惹かれた縁と望月さんは、仲間たちと共に高校書道最高峰の舞台「書の甲子園」への出展を目指し日々己の書と向き合う。
主要登場人物
・大江縁(おおえ ゆかり)
主人公。鈴里高校に通う1年生→2年生。小学2年生から鈴里高校に入学するまでカナダのプリンスエドワード島で暮らしていた帰国子女。日本の文化に疎く、日本語会話も多少苦手ではありますが、カナダ在住の頃から日本の祖母と頻繁に文通を交わしていたことで達筆な字が身に付いています。真面目で大人しい穏やかな性格をしていますが、負けず嫌いな一面もあります。眠たそうな目をしているため、ガチャピンに似ていると言われます。
・望月結希(もちづき ゆき)
ヒロイン。鈴里高校に通う1年生→2年生。柔道部と掛け持ちの臨時書道部員。容姿端麗ではあるものの、気が強くてガサツなため女性らしさは欠如。柔道部のホープでその実力は全国優勝するほどの逸材。女性らしい綺麗な字に憧れを持っています。同級生の縁にライバル心を抱いており、元々勝負事には熱くなる性格のため何かと張り合おうとしています。恋愛事には鈍感なので縁からの好意にも当然気づいてません。
・日野 ひろみ(ひの ひろみ)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部部長。眼鏡をかけたツインテールの少女。真面目で優しく面倒見の良い性格。書道に関しては自分にも他人にも厳しく、その腕前は県内でも名が知られているほど優秀。見た目は瓜二つだけど性格は真逆な双子の妹がいます。根は乙女なので恋バナには目がないため、人の恋愛事に首を突っ込むこともしばしば。
・加茂 杏子(かも きょうこ)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部副部長。背は175cmの長身でスタイル抜群。性格は男勝りがさつだが、恋愛には奥手な純情娘。中学生の頃はヤンキーとして名が知られており、腕っ節も強い。下着姿を見られたネタを使い縁を強引に入部させた張本人。当初は不真面目でしたが、後輩のがんばりに触発され真剣に取り組むようになりました。
・三輪 詩織(みわ しおり)
鈴里高校に通う2年生→3年生。書道部会計。端正な顔立ちをした美少女だが、悪知恵を働かせる腹黒い性格。廃部を回避するため縁や結希を入部させるための計画を立てた策士。加茂同様、後輩に触発されたことで真剣に書道へ打ち込むようになります。中学の時はおしゃれ系グループのリーダーとして現在は仲の良い加茂と対立関係でした。
・影山 智(かげやま さとる)
鈴里高校教諭。書道部顧問。専門は世界史。加茂や三輪から「ハゲ山」と馬鹿にされていたため部室には近づかないようになっていたが、縁たちが入部したことをきっかけに顧問として励むようになりました。中国史に関してはオタクレベルで詳しく、書道への造詣も深い。三国志愛読者。鵠沼書道部顧問の笠置奈津子に想いを寄せています。
【eBookJapan】 とめはねっ!鈴里高校書道部 無料で試し読みできます
感想・見所
廃部寸前だった書道部に半ば強制的に入部させられた2人の新入生を中心に、学び成長する中で書の世界の奥深さを知ると共に、大きな目標に向け日々書道に励む高校生たちの姿を描いた物語。
高校書道部の活動を描いた青春漫画。著者は『モンキーターン』『帯をギュッとね!』で有名な河合克敏さん。書道監修には大河ドラマ『天地人』を始め、数々の題字やデザインロゴ手掛けている書道家の武田双雲さんが担当しています。2010年には同タイトルでドラマ化もされました。
書道をメインの題材に据えた珍しい作品。書を学びながらじっくり読むこともできれば、学園コメディとして軽く読むこともできる内容になってます。
『書道』は言わずと知れた日本を代表する伝統文化なわけですが、現在ではそんな日本人にとっても馴染みが薄い分野になっていると思います。かくゆう私も学校の習字やお正月の書初めぐらいしか経験はなく、書道の教室や部活で学んだこともないため、基本中の基本をうろ覚えしてる程度の浅い知識しか持っていません。
この作品を通して書道が辿ってきた歴史、そして現在の伝統を重んじながらも時代と共に変化してきた形など、知らなかったことを数多く知ることができたのはとてもタメになりまりた。
書の世界というと馴染みない人にとってはお堅い印象を持たれやすいかもしれませんが、この作品は「書道ってなんですか?」みたいな人でも全然問題なく読めますので大丈夫です。むしろ、私のような書道初心者だからこそ楽しめる作品ではないかと思っています。
それはと言いますと、この作品のメインとなる2人も高校から書道を始めることになる初心者だからです。主人公は幼い頃から長く海外で暮らしていたため習字すら知らなかった帰国子女の少年、片やヒロインは柔道で全国に名を馳せているバリバリの体育会系女子。この2人の初心者を中心に話は進行されるので、同じように学び理解を深めながら読むことができます。
最初は「永字八法」という書の基本的な技法8種類が含まれているという「永」の一文字や、「一」と「十」をただひたすら繰り返し書くところから始まります。一見簡単そうに見える縦と横に一本ずつ線を引くだけという行為ではありますが、意外と上手く書けなかったりしますね。そんな基礎の部分から書道部の先輩や顧問の先生が丁寧に解りやすく教えてくれます。余白も字の一部であること、腕だけでなく体全体で書くことなど、知るとたまらなく書いてみたくなる衝動に駆られます。こんなふうに子供の頃教えてもらっていたら自分も書道に興味持ってたかも、なんて思ってしまいました。字を上手く書けるコツの教え方がとても優しくて上手いので、自分も書けるかもと思わせてくれるのは大きいですね。教科書としても使えるのではとさえ思ってます。
字を教えるとともに日本や中国に実在した書家や歴史も絡めており、たまに解説過多になってることもありますが、その中にもクスっと笑える小ネタを仕込んでいるので面白い。学ぶことが面白いと感じる日がくるとは、昔の自分からは想像も出来ませんね。
一枚、一文字に対して真摯に向き合う高校生の姿勢はかっこいいと思いました。「書の甲子園」という最高峰の舞台に出展する作品を書くため、壁にぶつかり苦悩しながら自分が何を書きたいものを見つけ出します。そこから何時間、ときには何日かけても納得いく1枚はなかなか生まれませんが、だからこそ苦悩を乗り越えて完成された1枚は見る者を感動させてくれまね。正直な話、ここまで感動できる漫画になるとは思っていませんでした。
作品の雰囲気は、解説が多いので若干硬い部分もありますが、全体的には軽めだとと思います。登場人物がクセの強いキャラクターばかりなのでノリは明るく、ところどころにギャグも被せられていて結構笑えますね。
学園青春漫画らしく恋愛や友情の要素もかなり強めに絡められており、読んでるとニヤニヤしてしまうこともしばしば。
楽しみながら学ぶこともできる良く出来た作品でしたね。大きな伏線もないため、深読みする必要なく楽な気分で読めるというのも良かったです。
書道というテーマの珍しさから手に取った作品ではありましたが、非常に面白かったです。真摯に取り組む高校生たちの姿勢、文字の美しさと迫力、さらに終盤に登場したある1枚の衝撃作品から、書道に持っていた地味なイメージを見事に覆してくれました。あの1枚はやばかった・・・。
笑いも感動もあり、楽しみながらタメにもなる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。
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