2016年12月09日
【ばらかもん】マンガ 感想&あらすじ 自然豊かな五島を舞台にした青年書道家の成長と島民とのふれ合いを描いたハートフルストーリー
ガンガンパワード→ガンガンONLINE。2008年4月号より連載中。既刊13巻
作者:ヨシノサツキ
他作品:はんだくん
書道の授賞パーティで自分の作品を酷評した書道界の重鎮を殴ってしまい、見かねた父親によって日本最西端にある五島に送られた書道家の青年・半田清舟。
山と海と畑ばかりが広がり、島民とすらなかなか巡り合えず、なんとか見つけた第1村人の助けを借りてようやくこれから暮らすことになる住居へたどり着いた半田。家の中を見て回っていると、隠れ潜んでいた幼い少女と出会い、妙に懐かれてしまうことに。
内心ではあまり反省する気のなかった半田だったが、島で出会った琴石なるや自由で気ままな個性豊か過ぎる島民達と交流を重ねていくうちに、次第に未熟だった自分を見つめ直すようになり、その心の変化は彼の書にも影響を与えることになっていく。
自由で開放的な五島を舞台に、なかなか1人にさせてもらえない青年書道家の、騒々しいけど温かな新生活が幕を開けた。
・半田 清舟
主人公。23歳のイケメン書道家。島では「先生」と呼ばれています。頑固でプライドが高く、神経質で繊細なめんどくさい青年。自分の作品を酷評した書道の重鎮館長を殴ったことで、書道家の父に「頭を冷やしてこい」と言われ島へ送られました。意外と好奇心旺盛で面倒見の良いところもあり、島の子供たちに懐かれています。幽霊と虫が苦手。猫が大好きなのにアレルギー持ちのためさわることはできません。
・琴石 なる
島に住む小学1年生の少女。7歳。左手のミサンガ、サイドに束ねた髪が特徴。明るく活発、自由奔放な性格をしており、元気の塊みたいな子です。半田先生と仲良くなったことで彼の借りた家に入り浸るようになります。その先生に恋人がいるかもという話になったときは慌てふためき、一時東京へ帰省した際には抜け殻になるほど、彼のことが大好きなようです。セミの抜け殻を集めているなど昆虫が好き。
・山村 美和
島に住む中学2年生。14歳。実家は酒屋。髪を短髪にしているボーイッシュな少女。誰に対しても明るくフレンドリーに振舞い、年上にも物怖じせず振舞っています。半田先生が借りた空き家を遊び場にしていました。いたずら好きでもあり、なるによからぬことを吹き込み半田を困らせることもしばしば。
・新井珠子
島に住む中学2年生。14歳。通商「タマ」。自称文学少女。三つ編みと眼鏡が特徴の少女。親友の美和やなると一緒に、半田先生の借りた家を隠れ家にして遊んでいました。漫画家を目指しており、グロシーン多めの漫画を雑誌へ投稿しています。BLネタに対して敏感な反応を示し、本人は否定し嫌悪しているが、完全に腐女子。
・木戸浩志
島に住む高校3年生。郷長夫婦の息子。金髪にした髪が特徴。昔からやること全てが平均的で中途半端な少年。両親からも「平凡」と言われ、中途半端に荒れてました。半田先生の努力を目の当たりにし、自分の不甲斐なさに気づき改心。料理を得意としており、清舟の助言からそれを将来へ生かそうと動き出します。
・久保田陽菜
島に住む小学1年生。7歳。通商「ひな」。なるの親友。ロングにした黒髪と髪飾りが特徴の女の子。人見知りが激しく、哀しくても嬉しくても泣いてしまいます。自由に涙を流すこともでき、懐いている半田先生を困らせて楽しむこともあります。ほっぺたが柔らかい。
【eBookJapan】 ばらかもん 無料で試し読みできます
書道家の父親によって、人間として欠けているものを見つけさせるために離島へ送られた青年が、自然豊かな島で暮らしていく中で、個性立ちまくりな島民たちと交流し、様々な経験を経て、書道家として、そして人として成長していく姿を描いた物語。
ハートフルなアイランド青春コメディ。2014年には全12話からなるアニメも放送されています。さらに本編の6年前、半田清舟の高校生時代を描いたスピンオフ作品『はんだくん』も全7巻で発売。私は漫画もアニメも全部見ました。
最近は田舎でのスローライフを描いた作品を多く見かけますね。見上げればさえぎるものが何もない青い空、目の前に広がる雄大な海、草木が生い茂る山や澄んだ川。そのような自然の風景を目にするだけでも心癒される魅力があります。この『ばらかもん』もその魅力を存分に味わえる作品。
物語の舞台になるのは著者であるヨシノサツキさんの出身地、九州最西端に位置する長崎県の五島列島です。都会の喧騒からかけ離れ、時間がゆっくり流れているかのような錯覚に陥り、山や海など豊かな自然が広がるのどこかな離島です。作中に登場する島民たちは五島列島の方言を話し、地域の文化も数多く登場します。あと、田舎特有の習慣なんかも覗けるのも一つのお楽しみポイント。
ちなみに、タイトルの「ばらかもん」というのは、五島列島の方言で「元気者」という意味です。
私の実家もここまでではないですけど少し田舎寄りということもあって、子供の頃を思い出させてもらえました。実際の田舎はもっと閉塞的ですし、利便性やプライバシーの問題もあるので良いことづくめというわけにはいきませんが、この作品読んでると煩わしさから離れて島へ移住したくなりますね。
ただのスローライフを楽しむだけの漫画ではなく、主人公の半田清舟をはじめとした登場人物たちの成長と心の変化を描いた作品でもあります。
基本の内容は島で繰り広げられる日常系ほのぼのコメディ。騒がしい島民たちに振り回されてあたふたしている半田先生を見て楽しみ、自然の風景や心温まる言葉や振る舞いに癒されるという内容。
その半田先生が呆れるほどめんどくさい性格をしています。プライドが高く頑固なんだけど基本ネガディブなことからすぐに落ち込み、さらに神経質でガラスのハートのような繊細でピュアな心の持ち主。さらに、書道ばかりに取り組んでいたので世間知らずでもあり、書道界ではその名を知らぬ者などいないほど有名な父を持つため、コンプレックスも尋常ではありません。
近くにこのような人がいたら扱いに困りそうですね。保護欲をくすぐるタイプというところもやっかい。
そんなめんどくさい先生が島での暮らしの中で様々なものに触れ、少しずつ成長していきます。普通は田舎に馴染むまで多少時間かかるものですけど、先生は引っ越してきてそうそう多くの子供たちに懐かれていたことから、その光景を見たり人から聞いた大人たちからも温かく迎え入れてもらっています。
先生は基本ネガティブですけど好奇心旺盛で子供っぽいところもあり、何よりからかいがいがあるため、めんどくさいと思われながらもいじられ、子供からも大人からも気に入られていることがよく伝わってきます。
当初は自分のことだけで精一杯だった先生も、なるたちに(強引に)ひっぱられて様々なことを初体験し、多くの人たちと出会い、ときには別れを経験したことで、彼の心境には明らかに変化が見られます。誰かと一緒にいることが当たり前にもなっていますし、他人のことを強く心配するようにもなり、自分の将来を自分だけのことではないと考えを改め、誰かを絡ませて人生や将来を考えることができるにまで成長しています。
島独特の人間関係の中で、主人公がまたさらにどう変わっていくのかはこれからも見ものですね。
心に沁み入るセリフが多いのも良いところですね。豊富な人生経験からくる大人たちの悟っているかのような重みのある言葉、子供たちの素直な感性によって紡がれる、飾り気のないありのままの純粋な言葉など、心に残るセリフが多い。
1番うなずいたのは、
何度も読み返してしまう面白さがありますね。今回の感想は半田先生のことばかりでしたが、他の登場人物もそれぞれ個性が立っていて、出てくる人たち皆好きになってしまうほど魅力に溢れていました。なるの自由奔放で無邪気なところはとても微笑ましい気持ちにさせてくれますね。
半田先生が今後どういう決断をし、どこへ向かっていくのか、とても気になってます。島に残るのか、東京へ帰るのか、書道家として生きていくのか、別の生き方を見つけるのかなど、どういう展開になるか楽しみです。あと、13巻に出てきた女性とは今後も繋がっていくのかもかなり気になっています。
笑いあり、感動あり、時には涙もあり、島の豊かな自然と愉快な島民たちとのふれ合いを見てると、心が洗い流されていく気分になります。もっと読みたい、もっとこの空気に浸かっていたいと思わせてくれる作品ですので、よければ読んでみてください。自身を持って強くおすすめさせていただきます。
作者:ヨシノサツキ
他作品:はんだくん
あらすじ・概要
書道の授賞パーティで自分の作品を酷評した書道界の重鎮を殴ってしまい、見かねた父親によって日本最西端にある五島に送られた書道家の青年・半田清舟。
山と海と畑ばかりが広がり、島民とすらなかなか巡り合えず、なんとか見つけた第1村人の助けを借りてようやくこれから暮らすことになる住居へたどり着いた半田。家の中を見て回っていると、隠れ潜んでいた幼い少女と出会い、妙に懐かれてしまうことに。
内心ではあまり反省する気のなかった半田だったが、島で出会った琴石なるや自由で気ままな個性豊か過ぎる島民達と交流を重ねていくうちに、次第に未熟だった自分を見つめ直すようになり、その心の変化は彼の書にも影響を与えることになっていく。
自由で開放的な五島を舞台に、なかなか1人にさせてもらえない青年書道家の、騒々しいけど温かな新生活が幕を開けた。
主要登場人物
・半田 清舟
主人公。23歳のイケメン書道家。島では「先生」と呼ばれています。頑固でプライドが高く、神経質で繊細なめんどくさい青年。自分の作品を酷評した書道の重鎮館長を殴ったことで、書道家の父に「頭を冷やしてこい」と言われ島へ送られました。意外と好奇心旺盛で面倒見の良いところもあり、島の子供たちに懐かれています。幽霊と虫が苦手。猫が大好きなのにアレルギー持ちのためさわることはできません。
・琴石 なる
島に住む小学1年生の少女。7歳。左手のミサンガ、サイドに束ねた髪が特徴。明るく活発、自由奔放な性格をしており、元気の塊みたいな子です。半田先生と仲良くなったことで彼の借りた家に入り浸るようになります。その先生に恋人がいるかもという話になったときは慌てふためき、一時東京へ帰省した際には抜け殻になるほど、彼のことが大好きなようです。セミの抜け殻を集めているなど昆虫が好き。
・山村 美和
島に住む中学2年生。14歳。実家は酒屋。髪を短髪にしているボーイッシュな少女。誰に対しても明るくフレンドリーに振舞い、年上にも物怖じせず振舞っています。半田先生が借りた空き家を遊び場にしていました。いたずら好きでもあり、なるによからぬことを吹き込み半田を困らせることもしばしば。
・新井珠子
島に住む中学2年生。14歳。通商「タマ」。自称文学少女。三つ編みと眼鏡が特徴の少女。親友の美和やなると一緒に、半田先生の借りた家を隠れ家にして遊んでいました。漫画家を目指しており、グロシーン多めの漫画を雑誌へ投稿しています。BLネタに対して敏感な反応を示し、本人は否定し嫌悪しているが、完全に腐女子。
・木戸浩志
島に住む高校3年生。郷長夫婦の息子。金髪にした髪が特徴。昔からやること全てが平均的で中途半端な少年。両親からも「平凡」と言われ、中途半端に荒れてました。半田先生の努力を目の当たりにし、自分の不甲斐なさに気づき改心。料理を得意としており、清舟の助言からそれを将来へ生かそうと動き出します。
・久保田陽菜
島に住む小学1年生。7歳。通商「ひな」。なるの親友。ロングにした黒髪と髪飾りが特徴の女の子。人見知りが激しく、哀しくても嬉しくても泣いてしまいます。自由に涙を流すこともでき、懐いている半田先生を困らせて楽しむこともあります。ほっぺたが柔らかい。
【eBookJapan】 ばらかもん 無料で試し読みできます
感想
書道家の父親によって、人間として欠けているものを見つけさせるために離島へ送られた青年が、自然豊かな島で暮らしていく中で、個性立ちまくりな島民たちと交流し、様々な経験を経て、書道家として、そして人として成長していく姿を描いた物語。
ハートフルなアイランド青春コメディ。2014年には全12話からなるアニメも放送されています。さらに本編の6年前、半田清舟の高校生時代を描いたスピンオフ作品『はんだくん』も全7巻で発売。私は漫画もアニメも全部見ました。
最近は田舎でのスローライフを描いた作品を多く見かけますね。見上げればさえぎるものが何もない青い空、目の前に広がる雄大な海、草木が生い茂る山や澄んだ川。そのような自然の風景を目にするだけでも心癒される魅力があります。この『ばらかもん』もその魅力を存分に味わえる作品。
物語の舞台になるのは著者であるヨシノサツキさんの出身地、九州最西端に位置する長崎県の五島列島です。都会の喧騒からかけ離れ、時間がゆっくり流れているかのような錯覚に陥り、山や海など豊かな自然が広がるのどこかな離島です。作中に登場する島民たちは五島列島の方言を話し、地域の文化も数多く登場します。あと、田舎特有の習慣なんかも覗けるのも一つのお楽しみポイント。
ちなみに、タイトルの「ばらかもん」というのは、五島列島の方言で「元気者」という意味です。
私の実家もここまでではないですけど少し田舎寄りということもあって、子供の頃を思い出させてもらえました。実際の田舎はもっと閉塞的ですし、利便性やプライバシーの問題もあるので良いことづくめというわけにはいきませんが、この作品読んでると煩わしさから離れて島へ移住したくなりますね。
ただのスローライフを楽しむだけの漫画ではなく、主人公の半田清舟をはじめとした登場人物たちの成長と心の変化を描いた作品でもあります。
基本の内容は島で繰り広げられる日常系ほのぼのコメディ。騒がしい島民たちに振り回されてあたふたしている半田先生を見て楽しみ、自然の風景や心温まる言葉や振る舞いに癒されるという内容。
その半田先生が呆れるほどめんどくさい性格をしています。プライドが高く頑固なんだけど基本ネガディブなことからすぐに落ち込み、さらに神経質でガラスのハートのような繊細でピュアな心の持ち主。さらに、書道ばかりに取り組んでいたので世間知らずでもあり、書道界ではその名を知らぬ者などいないほど有名な父を持つため、コンプレックスも尋常ではありません。
近くにこのような人がいたら扱いに困りそうですね。保護欲をくすぐるタイプというところもやっかい。
そんなめんどくさい先生が島での暮らしの中で様々なものに触れ、少しずつ成長していきます。普通は田舎に馴染むまで多少時間かかるものですけど、先生は引っ越してきてそうそう多くの子供たちに懐かれていたことから、その光景を見たり人から聞いた大人たちからも温かく迎え入れてもらっています。
先生は基本ネガティブですけど好奇心旺盛で子供っぽいところもあり、何よりからかいがいがあるため、めんどくさいと思われながらもいじられ、子供からも大人からも気に入られていることがよく伝わってきます。
当初は自分のことだけで精一杯だった先生も、なるたちに(強引に)ひっぱられて様々なことを初体験し、多くの人たちと出会い、ときには別れを経験したことで、彼の心境には明らかに変化が見られます。誰かと一緒にいることが当たり前にもなっていますし、他人のことを強く心配するようにもなり、自分の将来を自分だけのことではないと考えを改め、誰かを絡ませて人生や将来を考えることができるにまで成長しています。
島独特の人間関係の中で、主人公がまたさらにどう変わっていくのかはこれからも見ものですね。
心に沁み入るセリフが多いのも良いところですね。豊富な人生経験からくる大人たちの悟っているかのような重みのある言葉、子供たちの素直な感性によって紡がれる、飾り気のないありのままの純粋な言葉など、心に残るセリフが多い。
人に取られたものを欲しがる必要はなか 諦める必要もなか 譲ってやってもっと大きな餅ば狙え1巻でのキヨさんの言葉は強く残ってます。
1番うなずいたのは、
イケメンの醜態ほど笑えるものはないですけどね。
何度も読み返してしまう面白さがありますね。今回の感想は半田先生のことばかりでしたが、他の登場人物もそれぞれ個性が立っていて、出てくる人たち皆好きになってしまうほど魅力に溢れていました。なるの自由奔放で無邪気なところはとても微笑ましい気持ちにさせてくれますね。
半田先生が今後どういう決断をし、どこへ向かっていくのか、とても気になってます。島に残るのか、東京へ帰るのか、書道家として生きていくのか、別の生き方を見つけるのかなど、どういう展開になるか楽しみです。あと、13巻に出てきた女性とは今後も繋がっていくのかもかなり気になっています。
笑いあり、感動あり、時には涙もあり、島の豊かな自然と愉快な島民たちとのふれ合いを見てると、心が洗い流されていく気分になります。もっと読みたい、もっとこの空気に浸かっていたいと思わせてくれる作品ですので、よければ読んでみてください。自身を持って強くおすすめさせていただきます。
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