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2017年05月31日

数学: 圏の骨格の定義

今日までで圏の骨格 (skeleton) を圏として構成する問題で, 対象の集まりと射の集まりを定義するところまで辿り着いた.
対象と射の定義は何度もやり直している. 今回の定義も明日以降に慎重に見直してみないといけない.
後は圏の要件となる 4 つの関数を定義して 4 種類の図式の可換性を示せばよい (†).



†: 圏の要件となる 4 つの関数とそれらが満たす 4 種類の図式

$\mathscr{C}$ を任意の圏とする.
圏の骨格の射の集まりを $A$, 対象の集まりを $O$ とおく.

4 つの関数 $d^0$, $d^1$, $u$, $m$ は以下のように定義される.
(1) $d^0, d^1 : A \to O$
$A$ に属する任意の射 $f : X \to Y$ に対してそのソースとターゲットを与える:
\begin{equation*}
d^0(f) = X, \quad d^1(f) = Y
\end{equation*}
(2) $u : O \to A$
$O$ に属する任意の対象 $X$ に対してその上の恒等射を与える:
\begin{equation*}
u(X) = (\mathrm{id}_{X} : X \to X)
\end{equation*}
(3) $m : P \to A$
集まり $P$ を
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A,\, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
と定義する. $(f, g) \in P$ ならば $f$ のソースと $g$ のターゲットは等しく射の合成が可能である. その $f$ と $g$ の合成を与える.
\begin{equation*}
m(f, g) = f \circ g
\end{equation*}

圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ を 6 つ組
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
として定義する.
$\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ が以下の4 種類の図式を可換にするならば $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ は圏である (図式による圏の定義).
(1) 恒等射のソースとターゲットが等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[rd]_{d^0} & O \ar[l]_{u} \ar[d]^{\mathrm{id}_{O}} \ar[r]^{u} & A \ar[ld]^{d^1} \\
~ & O &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(2) 射 $f$ と $g$ の合成 $m(f, g) = f \circ g$ のソースは $g$ のソースに等しく, ターゲットは $f$ のターゲットに等しいことを示す 2 つの図式 (以下の図式において $p_1, p_2$ は座標関数 ── $p_1(f, g) = f$, $\,p_2(f, g) = g$):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_2} & A \ar[d]^{d^0} & P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_1} & A \ar[d]^{d^1} \\
A \ar[r]_{d^0} & O & A \ar[r]_{d^1} & O
}
\end{xy}
\end{equation*}
(3) 任意の射に対して右から恒等射を合成した結果および左から恒等射を合成した結果はどちらも元の射に等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[r]^{(\mathrm{id}_{A}, u \circ d^0)} \ar[rd]_{\mathrm{id}_{A}} & P \ar[d]^{m} & A \ar[l]_{(u \circ d^1, \mathrm{id}_{A})} \ar[ld]^{\mathrm{id}_{A}} \\
~ & A &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(4) 射の合成が結合律を満たすことを示す図式 (ここで集まり $Q$ を
\begin{equation*}
Q = \left\{\, (f, g, h) \mid f, g, h \in A,\, d^0(f) = d^1(g),\, d^0(g) = d^1(h) \,\right\}
\end{equation*}
として定義する):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
Q \ar[d]_{m \times \mathrm{id}_{A}} \ar[r]^{\mathrm{id}_{A} \times m} & P \ar[d]^{m} \\
P \ar[r]_{m} & A
}
\end{xy}
\end{equation*}
posted by 底彦 at 23:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学
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