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2024年06月09日

別の世界

そもそも私の中では、B界は存在しない。

それは生まれた時からずっとそうだった。

B界では周り人の目がつり上がっていて、目が三角に見え、いつもイライラしているように見えた。

時には差別を受けたり、いじめに遭ったりした。

そして、私はいつの頃からか、A界を味方につけるようになった。

本当はずっとA界の中にいたけれど、B界という架空の概念の中にいたため、その感覚を忘れていた。

だからこそ、心の奥底にあるA界を意識的に味方につける必要があった。

今思うと、B界は異様だった。

B界はあたり一面が針のむしろでおおわれていて、いつも嵐が吹き荒れていた。

B界は出口のない、小さなフィールドの中で、有限のものを奪いあうような世界だった。

そこには私が求めているものはなく、そこにいればいるほど、どんどん状況は悪化していくように見えた。

十数年前、そんなB界に嫌気がさした時、自分の中にA界があることを知った。

A界はいつも穏やかな春の陽気で、心底から心地よくいられる場所だった。

その時はA界の存在はわずかにしか感じられなかったけれど、A界が存在していることが分かっただけでも嬉しく思った。

私はB界から抜け出るための光の道を求めてずっと歩いてきた。

そして、ようやく異様で混沌としたB界から抜け出ることができた。

今、B界は見えてはいるが、私の中ではB界は存在せず、A界の中で生きている。
posted by えすさん at 13:33| ☆おはなし処☆
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