それは生まれた時からずっとそうだった。
B界では周り人の目がつり上がっていて、目が三角に見え、いつもイライラしているように見えた。
時には差別を受けたり、いじめに遭ったりした。
そして、私はいつの頃からか、A界を味方につけるようになった。
本当はずっとA界の中にいたけれど、B界という架空の概念の中にいたため、その感覚を忘れていた。
だからこそ、心の奥底にあるA界を意識的に味方につける必要があった。
今思うと、B界は異様だった。
B界はあたり一面が針のむしろでおおわれていて、いつも嵐が吹き荒れていた。
B界は出口のない、小さなフィールドの中で、有限のものを奪いあうような世界だった。
そこには私が求めているものはなく、そこにいればいるほど、どんどん状況は悪化していくように見えた。
十数年前、そんなB界に嫌気がさした時、自分の中にA界があることを知った。
A界はいつも穏やかな春の陽気で、心底から心地よくいられる場所だった。
その時はA界の存在はわずかにしか感じられなかったけれど、A界が存在していることが分かっただけでも嬉しく思った。
私はB界から抜け出るための光の道を求めてずっと歩いてきた。
そして、ようやく異様で混沌としたB界から抜け出ることができた。
今、B界は見えてはいるが、私の中ではB界は存在せず、A界の中で生きている。
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