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スープ皿の人生

 メイン・インフルエンスは、Beatlesだと思います。
 とってもポップで、キュートなメロディを書く人です。

 この人は、60s70sロックが大好きな人に違いないと思いました。
 それに加えて、トップ40に入るような、よく出来たヒット曲というものが好きな人かも知れません。



Misadventures In Stereo
Jim Boggia

Side One : My Misadventures
1. Johnnie's Going Down (Boggia)
2. To and Fro (Boggia)
3. No Way Out (Boggia)
4. So (Boggia)
5. Nothing's Changed (Boggia)
Side Two : Other People's Misadventures
6. 8Track (Boggia)
7. Listening to NRBQ (Boggia)
8. Chalk One Up for Albert's Side (Asher)
9. On Your Birthday (Poe)
10. Three Weeks Shy (Boggia)

 このアルバムは、08年にリリースされた3rdアルバムだと思われます。

 Jim Boggiaというのは、アメリカのアーティストだと思いますが、おそらく60s70sのロックやポップス、とりわけ60年代黄金時代のポップなロックに強い共感を持っている人だと思います。

 ビートルズ、ビーチボーイズを始め、サイモン&ガーファンクルやボックストップスも好きらしいです。

 この人は、自作中心のアルバムを作っていますが、ステージでは有名ヒットのカバーをいくつも披露しているようで、YouTubeを検索するといくつも興味深い動画がヒットします。

 ポールやジョンのナンバーはもちろん、ポリスなんかもやっているようです。
 スプリングスティーンの「サンダー・ロード」をマンドリンの弾き語りでやったりもしています。

 このあたりが、私がこの人はよく出来たヒット曲というものが好きなのでは、と思う理由です。
 この人には、別のアルバムの自作曲として、"Bubblegum 45s"という曲があります。

 弾き語りでのぬくもり感が、この人を理解する大きなとっかかりになるのではと思いました。
 ただ、スタジオ盤でのサウンドは、既存のものには単純に例えづらいです。

 コーラスの感じなどからは、中期以降のビートルズを連想させられます。
 実際どうかはともかく、私は、多重録音が好きそうな人だなと想像してしまいます。

 一方で、矛盾するようですが、色々な既存曲を連想させる部分があり、これは、そこかしこに、有名曲の美味しい部分、ポップス・ファン向けのくすぐりが入っているからだと思います。

 さて、私が本盤を知ったのはごく最近ですが、あるいは一部では有名なアイテムかも知れません。
 その理由は、トラック7に入っている、"Listening to NRBQ"という曲の存在です。

 皆さんは、"Pie In The Sky"や"Keep This Love Goin'"は、当然聴かれたことと思います。
 "Join The Crowd"も含め、ここ数か月は、待ち遠しかった贈り物が、相次いで届いた嬉しい時期でした。

 それぞれの受け取り方があると思いますが、今この時期に本盤を聴くのも、一つの機会として面白いのではないかと思います。

 "Listening to NRBQ"は、多分、ある程度の年輪を重ねた夫婦が、「あんなことやこんなんことがあったね」と恋人時代を回想するストーリーではないかと思いながら聴きました。
 様々な思い出のそのこかしこで、NRBQが流れていたということでしょう。

 彼女の誕生日に、片道4時間をかけて、デトロイトでのNRBQのショーに滑り込んだら、テリーがソロを弾き始めた、なんていうフレーズは、ファンにはたまらないくすぐりですね。

 どこがどうとは言えませんが、いかにもNRBQがやっていてもおかしくないと思わせる、甘酸っぱいメロディの響きにぐっときます。


 ところで、本盤はCDですが、アナログLPのように、前後半それぞれに副題が付けられています。
 あるいは、実際にLP盤が出ているのかも知れません。
 ここで気になるのが、そのタイトルてす。
 「ぼくの災難」、「他人の災難」とはどういうことでしょう。

 この曲が、「他人の災難」サイドに入っているのはなぜでしょう。
 あるいは、「他人のやっかいごと」くらいの柔らかいニュアンスかも知れませんが、どう言い換えようとそれでも違和感があります。
 幸せな思い出の曲にはふさわしくないですね。

 もしかしたら、私の解釈違いで、若いころNRBQを一緒に観た女性は妻ではなく、結ばれなかった恋人なのかも知れません。

 妻や子とのおだやかな幸福を手に入れた男性が、ふと振り返り、あるいはたどったかも知れない別の人生への分岐路を、失われた青春を想う歌だったのかも知れません。




Listening to NRBQ by Jim Boggia









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