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チャールズ・ブラウン、レイモンド・ロビンスンの憧れ

 急に寒くなってきました。
 私は、先ほどから、もう何度も用をたすために、立っては座りを繰り返しています。
こういうのは、寒いではなく、冷えるというべきでしょう。
 私は、いつも深夜に音楽を聴きながらタイプしているんですが、落ち着かない今夜の私が選んだのは、この1枚です。


Honey Dripper
Charles Brown

1. News All Over Town
2. I Cried Last Night
3. When Did You Leave Heaven
4. There Is No Greater Love
5. If I Had You
6. Gee
7. The Very Thought Of You
8. You Won't Let Me Go
9. The Honey Dripper
10. They All Say I'm The Biggest Fool
11. At Your Beck And Call
12. Everyday I Have The Blues
13. Precious Lord
14. Charles Brown's Thank You


 前夜に続いて、ナイト・ミュージックをチョイスしました。
 昨日のドクター・ジョンのアルバムで、感謝の意が寄せられていた、Charles Brownです。

 私は、ブラウンのヴィンテージ期の録音は、一応聴いていますが、さほどお気に入りというわけではないです。
 でも、この96年リリースのアルバムは、なぜか繰り返し聴いているアルバムなのです。

 聴きどきは、やはり就寝前、お気に入りの文庫本を持って布団にもぐりこむ時です。

 中身は、ブラウンお得意の、静かで物憂げなブルースと、スタンダードのブルー・ラヴ・バラード、そしてほんの少しのゴスペルです。

 とはいっても、就寝前に「ながら聴き」をしていることが多いので、じっくりと聴いたことは、ほとんどありません。
 大抵は、アルバムの中ほどまでいったあたりで、眠ってしまうからです。
そのせいもあって、何度も耳タコで聴いた曲と、そうでない曲で大別されています。

 アルバムの冒頭曲は、7分を超える長尺曲なんですが、この曲の存在が何度も再生してしまう要因かもしれません。
 私が最も気に入っている曲です。

 演奏のスタイルは、ブラウンの歌と彼自身が弾くピアノが中心ですが、そこへジャズ風のサックスなどが被さってきます。
 そして、特に私が気に入っている1曲目、News All Over Townでは、ダニー・キャロンというギターリストが、まんまTボーン・ウォーカー、と言いたくなるようなギターを弾いていて、Tボーン好きにはたまりません。

 この曲が特に顕著ですが、ほかの数曲でも、そういった雰囲気のプレイがいくつかあって、思わず「もっとやれーっ」と言いたくなるのでした。
 ただし、ここでやっているのは、ヒューストン・ジャンプとか、ブギとかのたぐいではなく、バラードやジャジーな曲でのTボーンのプレイのデフォルメといった感じです。

 私には、スタンダード系の曲について、ほとんど知識がありませんが、どのような曲でも、ブラウン・スタイルに昇華しているんだろうな、とは思います。

 けだるく歌う、その歌いくちは、時にレイ・チャールズが時折り聴かせる、少し気取った歌い回しとそっくりだと思う箇所があります。
 もちろん、レイの方が、ブラウンの影響を受けているのです。

 かつて、ジェイムズ・ブラウンが、最もオリジナリティに溢れたシンガーとして、チャールズ・ブラウンの名前を上げていたことがありました。
 ルイ・ジョーダンの影響力の強さというのは、ようやく分かってきた気がしますが、チャールズ・ブラウンの深さについては、日本人には永久に謎かもしれません。

 アルバムは、ブルージーで気だるいバラードにアレンジされた、大有名ゴスペルを経て、リスナーへのブラウンの感謝の挨拶で終わります。
 何年ぶりでしょう。
 久しぶりに、最後まで聴き通しました。





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