これは、7日に国連総会において、ロシアの人権理事会の理事国資格を停止する決議の投票結果である。93カ国の賛成多数で採択されたわけだが、反対も24、そして棄権が、58であった。確かに賛成多数ではあるが、反対と棄権を合わせれば、82票となり賛成票に迫る勢いである。
国連加盟の半数以上の国が、ロシアの排除に賛成したが、しかし、自国の立場を懸念して棄権に回った国も数多い。この投票結果には、やはり、今後の国際社会が大きな変化に直面していることを表しているように思える。ロシア、そして中国などロシアと関係の深い国と西欧諸国との間の分断は、これまでのいかなる戦争の前後よりも強烈な構図となっている。
あり得ないことだろうが、仮にプーチンが、トップの座から追われたとしても、ロシア国内の中枢にかかわる人材は、プーチンと大同小異ではないだろうか?ゴルバチョフのような人は、少なくともあと半世紀くらいは、出てこないのではないか?あらためて思い返すと、ゴルビーが登場したことは、奇跡のように思えてくる。
国際社会が、戦争に参加する以外の方法でロシアに対応するには、経済制裁によって、国力を弱らせ、ロシアの国民世論を動かし、プーチンを政権の座から引きずり下ろすしかないという構造だ。しかし、プーチン自身は、こうした国際社会の動きによって反省するはずもなく、その取り巻きも思いの違いはあっても運命共同体である。だから、反発こそすれ悔い改めることは決してないだろう。
ロシア国内に流れるニュースは、もはやロシア政府によってコントロールされたプロパガンダの公共放送しか機能していないから、多くの国民は、西欧諸国は悪で、プーチンが善であるということになっているだろう。それが、プーチン支持が、8割を超えているという現状を生み出している。
国連での投票結果は、国際社会に新たに生まれた大きな溝の深さと、これから先の国際関係の多難さを象徴しているように思えてならない。
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