私は、大ファンと言うわけではないが、個性的なそのキャラクターには、心惹かれることが多かった。我々の世代には、やはり加山雄三の若大将シリーズにおける困ったボンボン役である青大将の印象が、残っている。そして北の国からのK板五郎役は強烈なものがあり、昨日から今日にかけて、やはりこの作品の映像が再三流れている。
時には唾を飛ばしながら一生懸命に心情を吐露する姿には、演技を越えた一本気さを感じていたが、やはり彼を評するコメントの多くに、真面目、一生懸命という言葉が繰り返されていた。NHK初の女性ニューヨーク支局長をつとめた田中淳子氏は、邦衛さんの長女である。テレビで拝見するたびに、お父さんに良く似ていらっしゃるなあなどと眺めていたが、国際畑をずっと歩んでこられた優秀な方で、彼女を見ていても、真面目にお子さんを育てられたのであろうという田中邦衛さんの愛情が伝わってくる気がした。
一生懸命で、真面目で、一途だけどぶきっちょ、そんな男の役にはぴったりだった。
そのせいだろうか、真面目でぶきっちょな役の多い高倉健さんとも、網走番外地で競演されていた。
なかにし礼さんが亡くなった時にも、昭和の終わりと書いたような気がする。彼のようなタイプの俳優は、まさに昭和的なのかもしれない。
昭和の人情は、令和になってかなり形を変えつつある。もはや人情という言葉も死後になりつつあるかもしれない。いやいや、世界に冠たる真面目な国日本、人情と言う言葉が失われるようなことには、なってほしくないものだ。
心からご冥福をお祈りしたい。合掌。
#田中邦衛 #北の国から
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