リーガルは、老舗の靴メーカーで、IVYやトラッドファッション好きにとっては、高級な神ブランドであった。私と同年代の人には、今でもずーっとリーガルだけを履いているという人もたくさんいる。
この見出しを見て、ブルックスブラザーズのお店が閉店したニュースを思い出した。どちらも、オーセンティックなファッションの基本を教えてくれた憧れのブランドである。ブルックスと同様に、やはり客離れなのか?と心配したが、在宅勤務が原因ということは、これもまたコロナVの影響ともいえるかもしれない。歩かなくなると靴も減らない?というわけでもあるまいが、ビジネスシューズがあまり必要ではなくなったということなのだろうか?
画像のロゴは、たぶん今は使われていないが、我々にとってリーガルブランドはこのデザインだ。現在のロゴは、もっとすっきりした現代的なものに変わっている。ファッションも今では様変わりして、若いサラリーマンなどでは、トラッドファッションを見かけることは少なくなったように思う。
私と同年代の人は、今でもかたくなに同じようなテイストの洋服を着ている人が多い。若い人の中でもシンプルでトラッドテイストの普段着を着ている人を見かけると、実はユニクロだったりする。
しかし、ユニクロというのは、実はトラッドな味わいのある服が中心である。柳井さんは、昔からバリバリのトラッドファッション好きである。だから、彼がコントロールするブランドは、当然その味わいを反映した服になっている。ユニクロが登場した頃には、オーセンティックな服のテイストやルールと、ある程度のクオリティを持っていて安い、というユニクロは、それこそ我々の世代をとらえた。そして、我々が家庭を持って子供ができても、自分の趣味にあったユニクロの服を子供たちにも着せるという流れで、ブランドは生き続けて大きく育っていったのだと思う。今や、親子二代、いや三代のブランドになりつつある。
安くてそこそこの品質であれば、それで良い。ブルックスのトレーナーやシャツと似たような服がユニクロで手に入ると、そちらに流れてしまう。ビジネスシーンに、背中に背負うデイパック型の鞄などが流行りだしたころから、靴も、リーガルのようなしっかりした高級な靴でなく気軽にはけるウォーキングシューズでも良いという自由さも出てきた。かくいう私もその一人で、サラリーマン生活の終わり頃の数年は、黒いウォーキングシューズと、背負うこともできる布バッグで通勤していた。リーガルの靴は正装用の一足だけになっていた。
在宅勤務になるとますますしっかりした靴の出番はなくなってしまったということなのだろうか?
もっと本質的な市場の変化もそこに潜んでいるのではないか、という気もしてブランドの行方を心配してしまう。
その昔、寄席などの木戸番と呼ばれる人たちや、旅館の玄関で靴を預かる人たちは、履物を見ただけで客の品定めができたという。しかし、先の見えない時代になって、足元だけでは、品定めも未来予測もできなくなってきている。足元を固める靴メーカーのニュースは、先行きの見えない時代の象徴でなければ良いのだが・・・
#リーガル
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