2018年、私は、富山県美術館で、この襖絵の原画展を見た。これまで様々なアーチストの美術展に足を運んできたが、絵を見て体が震えるような感動を覚えたのは、千住さんのこの展覧会を見た時が初めてだったかもしれない。滝と崖、いずれも圧倒的な迫力だった。東京と違って客の少ない美術館の中で、展示室の椅子に腰掛けながら、30分くらいも滝の絵を眺め続けた。崖の絵では、和紙をくしゃくしゃにするなど様々なテクニックにチャレンジしながら作品を完成させたという。その力強いビジュアルも、強烈に私の心をとらえた。
すごいなあ、この人は。素直にそう感じた。そして、機会があれば、ぜひこれが襖になったところを見たい、とも強く思った。
この絵を創作するプロセスについては、確か2018年か19年にNHKが特番にしていた。その番組も素晴らしいものだった。
千住博は、アメリカに住みながら作品を書いている。絵を描く和紙選びから画材まで、全ての創作プロセスを、極めてストイックに組み立てている。本当にすごい才能だと思う。
ご存知の通り、彼の妹は世界的なバイオリニストの千住真理子で、弟は、素晴らしい作品を数多く生み出している作曲家の千住明、まさしく天才3兄弟である。
以前も投稿した気がするけれど、3人とも独身で、この兄弟の素晴らしい遺伝子は、残念ながら、今のところ、継承されることはなさそうだ。
しかし、3人の生み出している数多くの作品は、間違いなく後世にも残っていき、これからも人の心に感動をあたえていくことだろう。
#千住博 #高野山金剛峰寺襖絵
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