もっと深い所で、極めて重要な構造変化が進行しているのである。
共和党は従来、富裕層の為の党だったが、労働者や農民の支持者が増えている。
一方の民主党は貧しい人々の党だったが、最近は I T など専門職に就くエリート層にも支えられている。
皮肉な事に、民主党は昔と比べ、平均的国民より裕福な層を代表する様になっている。
共和党は且つて自由貿易を重視していた。
だが、平均的な労働者は(安い外国製品の流入を招く)貿易は自分たちを苦しめると考えている。
共和党は最早自由貿易の旗振り役ではない。
米政治史を通じ、この様に大きな変容はこれまでに2度あった。
最初は1830年代から50年代半ば。
次は南北戦争(61〜65年)の再建期が終わってから1915年頃の間だ。
二大政党の支持層が(部分的に)入れ替わり、各党の理念と齟齬を来している。
この(「第3の波」とも言える)構造変化こそ問題の核心なのだ。
処が、共和党について言えば、指導部はそれを直視せず、労働者や農民の為に声を上げていない。
トランプ氏はその現実に光を当て、取り残されたと感じている人々に耳を傾けた。
彼らは世の中の流れに腹を立てている。
白人が支配していた伝統的なキリスト教世界に回帰したいと願っている。
トランプ氏はそんな人々の本音を代弁した。
その結果、共和党は今や「 MAGA 党員」が主流と化している。
それを物語るのがマコネル上院院内総務の指導部引退表明だ。
それは共和党に限った話ではない。
民主党でも機会均等を謳う未来志向の党の性格が変質している。
車の運転に例えるなら、今の米国は党派を問わず(過去を映す)バックミラーを見ながら前に進んでいる。
日本や欧州の同盟国はスーパーチューズデーを経て、その行き着く先と向き合う事になる。
米戦略国際問題研究所 ジョン・ハムレ所長 1950年、米サウスダコタ州生まれ。
ジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院( SAIS )博士。
クリントン元政権の国防副長官を経て2000年から米戦略国際問題研究所( CSIS )所長兼最高経営責任 者。 16年に旭日大綬章受賞。
愛媛新聞 特別評論から
支持層が反転してるらしい。
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