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2022年07月06日
【鬼滅×呪術】単話「オニガリ」
制服を貫通して皮膚にまで達した鋭い爪が、ズグリと嫌な音を立てた。次の瞬間、僅かな吐息と共に振り抜いた男の掌が、俺の腕を引き裂く。
「ん゛ん゛ーっ!!」
痛みで集中力が途切れ、木刀を握る手が緩む。咄嗟に後退って構えを直したが、何故か、男はそれ以上追っては来ずに、怪訝な表情で俺の顔を見つめていた。
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「ん゛ん゛ーっ!!」
痛みで集中力が途切れ、木刀を握る手が緩む。咄嗟に後退って構えを直したが、何故か、男はそれ以上追っては来ずに、怪訝な表情で俺の顔を見つめていた。
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2022年06月06日
【鬼滅 if 現代編】第4話「鈴割り」
「…で、可楽の事は『護身術の先生だ』って言っといたわ」
「そうか、弟に足取りを追われていたか…」
「もちろん、親には絶対に言わないように、キツく念押ししといたけど…」
「まぁ、家族と同居している時点で、露見するのは時間の問題であったからな」
昨日、弟の善照に放課後の行動を追跡されていた次第を、燈子は焦り半分、怒り半分の面持ちで可楽に報告した。脅しが効いたのか、一夜明けてから下校の時刻に至るまで、善照は特に何も言ってはこなかった。
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「そうか、弟に足取りを追われていたか…」
「もちろん、親には絶対に言わないように、キツく念押ししといたけど…」
「まぁ、家族と同居している時点で、露見するのは時間の問題であったからな」
昨日、弟の善照に放課後の行動を追跡されていた次第を、燈子は焦り半分、怒り半分の面持ちで可楽に報告した。脅しが効いたのか、一夜明けてから下校の時刻に至るまで、善照は特に何も言ってはこなかった。
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2022年05月24日
【鬼滅 if 現代編】第3話「疑い」
朝6時ちょうど、家の門をカチャリと開ける音が軽く響き、燈子の一日の始まりを告げ知らせる。今日もまた、その音で目を覚ました弟の善照(よしてる)は大きく欠伸をしながらカーテンを少し開けて、徐々に小さくなっていく姉の背中を見送った。
(おかしい、何かがおかしい…)
姉の燈子が毎朝のジョギングを始めてから、一ヶ月ほどが過ぎようとしていた。もちろん、それだけの事であれば何ら訝しむ要素は無いのだが、日常生活の中のあらゆる言動がそれまでとは大きく変わり、一言で表すなら”怖いぐらいに静か”になったのだ。
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(おかしい、何かがおかしい…)
姉の燈子が毎朝のジョギングを始めてから、一ヶ月ほどが過ぎようとしていた。もちろん、それだけの事であれば何ら訝しむ要素は無いのだが、日常生活の中のあらゆる言動がそれまでとは大きく変わり、一言で表すなら”怖いぐらいに静か”になったのだ。
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2022年05月12日
【鬼滅 if 現代編】第2話「岩の柱」
「た・お・れ・ろぉぉぉぉっ!!」
「こらっ、やめなさい!!なんなんだ、君は!?」
太腿へのミドルキック、脹脛(ふくらはぎ)へのローキック、鳩尾(みぞおち)と金的への前蹴り、爪先への踏みつけ、そして側頭部への跳び回し蹴り…その全てを防がれて、燈子の焦りは頂点に達していた。
路上格闘の王者となる為に、そのデビュー戦として彼女が選んだ対戦相手は、身長が2メートルはあろうかという巨漢だった。
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「こらっ、やめなさい!!なんなんだ、君は!?」
太腿へのミドルキック、脹脛(ふくらはぎ)へのローキック、鳩尾(みぞおち)と金的への前蹴り、爪先への踏みつけ、そして側頭部への跳び回し蹴り…その全てを防がれて、燈子の焦りは頂点に達していた。
路上格闘の王者となる為に、そのデビュー戦として彼女が選んだ対戦相手は、身長が2メートルはあろうかという巨漢だった。
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2022年04月24日
【呪術廻戦】第1話「未練」
死滅回游の術式崩壊に伴い、数日前まで結界に閉ざされていた街に人々が戻り始めていた。行政と土木業者、そしてボランティアの人々が一致団結しながら、街中の至るところに散らばっている瓦礫を撤去したり、倒壊しかけている橋や建物を安全柵で囲っている光景が見受けられた。
乙骨 憂太と烏鷺 亨子(うろ たかこ)は、まさに街を破壊して瓦礫を撒き散らした張本人としてその場に居合わせるのは気が引けたのか、少し離れた河原から人々の様子を眺めていた。
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乙骨 憂太と烏鷺 亨子(うろ たかこ)は、まさに街を破壊して瓦礫を撒き散らした張本人としてその場に居合わせるのは気が引けたのか、少し離れた河原から人々の様子を眺めていた。
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2022年03月25日
【鬼滅×呪術】単話「無尽月刃」
双子の弟である縁壱が二十五歳を超えてもなお生存していたという事実と、ある意味で”勝ち逃げ”とでも言うべき交戦中の臨終は、黒死牟の心を酷く痛ませる事となった。
無論、その顛末を主人である鬼舞辻に報告したものの、『勝手に死んだのなら好都合ではないか』と一笑に付される始末であった。まるで、決して消化できぬ石の塊がいつまでも胃袋の中でゴロゴロと転がっているかのような、絶え間のない不快感を覚えたまま、黒死牟は”柱狩り”の任に当たっていた。
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無論、その顛末を主人である鬼舞辻に報告したものの、『勝手に死んだのなら好都合ではないか』と一笑に付される始末であった。まるで、決して消化できぬ石の塊がいつまでも胃袋の中でゴロゴロと転がっているかのような、絶え間のない不快感を覚えたまま、黒死牟は”柱狩り”の任に当たっていた。
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2021年12月31日
【鬼滅×るろ剣】単話「龍を狩る虎」
炎柱・煉獄 杏寿郎を目の前で失った事は、炭治郎だけでなく伊之助の心にも暗い影を落とした。無論、生まれた時から学問とは縁が無かった彼にしてみれば、鬼と鬼殺隊の千年に渡る戦いの歴史の重さを頭で理解する事は難しかった。
しかし、その中でも歴代の柱と十二鬼月が占めてきた「戦いの比重」に関しては、否が応でも肌で感じ取る結果となった。
下手をすれば炭治郎と共に自分までもが殺されていたかもしれない状況に於いて、他人に『身代わり』になってもらったという事実は、伊之助の闘争心を容赦なく地べたに叩きつけたのだ。
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しかし、その中でも歴代の柱と十二鬼月が占めてきた「戦いの比重」に関しては、否が応でも肌で感じ取る結果となった。
下手をすれば炭治郎と共に自分までもが殺されていたかもしれない状況に於いて、他人に『身代わり』になってもらったという事実は、伊之助の闘争心を容赦なく地べたに叩きつけたのだ。
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2021年12月23日
【鬼滅 if 現代編】第1話「蹴り鬼」
地面に蹲って呻き声を上げていた三人のチンピラが、やっとの思いでヨロヨロと立ち上がった。何かしら捨て台詞でも吐くかと思ったが、私の方を振り返りもせずに身体を引き摺りながら去って行った。
それを見届けるようにして、事の一部始終を建物の影から覗いていた視線の主が、私の前に姿を現した。
年齢こそ六十歳を過ぎた感じではあるが、切れ長の鋭い目つきと豊かな白髪が、時代劇に登場する剣豪を連想させる。
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それを見届けるようにして、事の一部始終を建物の影から覗いていた視線の主が、私の前に姿を現した。
年齢こそ六十歳を過ぎた感じではあるが、切れ長の鋭い目つきと豊かな白髪が、時代劇に登場する剣豪を連想させる。
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【鬼滅×呪術】単話「呪い」
「おぉ、久しいな、鬼舞辻 無惨!!」
「お前は、宿儺…」
「相も変わらず、お花探しか?」
「黙れ、貴様には関係ない」
「つれないな、たとえ一時といえど助け合った仲であろう?」
「その馴れ馴れしい物言いが私の癇に障るのだと、何故分からぬ…」
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「お前は、宿儺…」
「相も変わらず、お花探しか?」
「黙れ、貴様には関係ない」
「つれないな、たとえ一時といえど助け合った仲であろう?」
「その馴れ馴れしい物言いが私の癇に障るのだと、何故分からぬ…」
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