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2023年03月25日
【鬼滅の刃】「奴隷日記 〜珠世様にお仕えした日々〜」前編
今、小生は珠世様の御御足(おみあし)の裏側の感触を後頭部に感じながら、額を床に付けて平伏している次第でございます。
「まったく、お前はどこまで汚らしいのかしら!?」
頭上から聞こえる、珠世様の冷たく崇高なる御声。
しかし、その冷たさが小生の背骨をゾクゾクと震わせるものですから、益々、主(あるじ)の御前で醜悪なる愚行を働いてしまうわけでございます。
ああ、珠世様、どうかこの愚かな蛆虫(うじむし)めを、もっともっと断罪して下さいませ。
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「まったく、お前はどこまで汚らしいのかしら!?」
頭上から聞こえる、珠世様の冷たく崇高なる御声。
しかし、その冷たさが小生の背骨をゾクゾクと震わせるものですから、益々、主(あるじ)の御前で醜悪なる愚行を働いてしまうわけでございます。
ああ、珠世様、どうかこの愚かな蛆虫(うじむし)めを、もっともっと断罪して下さいませ。
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2023年02月08日
【鬼滅 if 現代編】第10話「盃」
殺しに行った相手に、逆に窘められて帰るという顛末は、燈子の短い生涯の中でも特に忘れ得ぬ記憶として刻まれる事となった。いつの間にか降り始めた小雨は次第に強くなり、敗北感に打ちひしがれた燈子の頭を、追い討ちをかけるように小突き回す。
「あーあ、何やってんだろ、私」
濡れた制服に体温を奪われ、何度もブルリと震えながら、足は自然と可楽の居る道場へと向かっていた。
「で、可楽に会ってどんな顔を向けるんですか??ありのままに全て話しますか?それとも、何も無かった事にして、いつも通りに振る舞いますか?」
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「あーあ、何やってんだろ、私」
濡れた制服に体温を奪われ、何度もブルリと震えながら、足は自然と可楽の居る道場へと向かっていた。
「で、可楽に会ってどんな顔を向けるんですか??ありのままに全て話しますか?それとも、何も無かった事にして、いつも通りに振る舞いますか?」
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2023年01月01日
【鬼滅の刃】単話「子種」(こだね)
2022年09月11日
【鬼滅 if 現代編】第7話「毒」
「竈門 禰󠄀豆子は完全に人間に戻ったワケではなく、『鬼の遺伝子』とでも呼ぶべきモノを体内に残していた可能性はありませんか?」
胡蝶記念病院の理事長室を訪れていた竈門 カナタは、挨拶もそこそこに、核心に迫る質問を投げかけた。理事長は敢えて即答せずに、壁に飾られた歴代の理事長の写真を一瞥しながら、慎重に言葉を選んだ上で口を開いた。
「その可能性はゼロではありません…が、それを現時点で検証するのは不可能です」
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胡蝶記念病院の理事長室を訪れていた竈門 カナタは、挨拶もそこそこに、核心に迫る質問を投げかけた。理事長は敢えて即答せずに、壁に飾られた歴代の理事長の写真を一瞥しながら、慎重に言葉を選んだ上で口を開いた。
「その可能性はゼロではありません…が、それを現時点で検証するのは不可能です」
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2022年08月24日
【鬼滅 if 現代編】第6話「更なる疑い」
「燈子ちゃんの様子が、おかしいって?どういう風に?」
「なんかもう、別人になっちゃったみたいなんだよ…」
我妻 善照は、姉の燈子が約一ヶ月前から早朝のジョギングを始めた事、それ以降、自分との会話が極端に減り、必ず一人で下校するようになった事、そして……
武道場のような建物に入って行った件を問い質したところ、怒りを露にして両親には秘密にするように念を押された事を、順を追って竈門 カナタに説明した。
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「なんかもう、別人になっちゃったみたいなんだよ…」
我妻 善照は、姉の燈子が約一ヶ月前から早朝のジョギングを始めた事、それ以降、自分との会話が極端に減り、必ず一人で下校するようになった事、そして……
武道場のような建物に入って行った件を問い質したところ、怒りを露にして両親には秘密にするように念を押された事を、順を追って竈門 カナタに説明した。
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2022年08月09日
【鬼滅 if 現代編】第5話「今時のJK」
その日、燈子は殊の外に機嫌の良い表情で電車に揺られながら、鼻歌交じりで窓の外を流れる景色を眺めていた。
先日の防御技の習得の際に(訳は分からなかったが)可楽に褒められた事に加えて、今日はいよいよ、次なる対戦予定者の顔と対戦予定地の確認に向かっている最中であり、嬉しい事続きで否応もなく気持ちは昂る。
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先日の防御技の習得の際に(訳は分からなかったが)可楽に褒められた事に加えて、今日はいよいよ、次なる対戦予定者の顔と対戦予定地の確認に向かっている最中であり、嬉しい事続きで否応もなく気持ちは昂る。
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2022年06月06日
【鬼滅 if 現代編】第4話「鈴割り」
「…で、可楽の事は『護身術の先生だ』って言っといたわ」
「そうか、弟に足取りを追われていたか…」
「もちろん、親には絶対に言わないように、キツく念押ししといたけど…」
「まぁ、家族と同居している時点で、露見するのは時間の問題であったからな」
昨日、弟の善照に放課後の行動を追跡されていた次第を、燈子は焦り半分、怒り半分の面持ちで可楽に報告した。脅しが効いたのか、一夜明けてから下校の時刻に至るまで、善照は特に何も言ってはこなかった。
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「そうか、弟に足取りを追われていたか…」
「もちろん、親には絶対に言わないように、キツく念押ししといたけど…」
「まぁ、家族と同居している時点で、露見するのは時間の問題であったからな」
昨日、弟の善照に放課後の行動を追跡されていた次第を、燈子は焦り半分、怒り半分の面持ちで可楽に報告した。脅しが効いたのか、一夜明けてから下校の時刻に至るまで、善照は特に何も言ってはこなかった。
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2022年05月24日
【鬼滅 if 現代編】第3話「疑い」
朝6時ちょうど、家の門をカチャリと開ける音が軽く響き、燈子の一日の始まりを告げ知らせる。今日もまた、その音で目を覚ました弟の善照(よしてる)は大きく欠伸をしながらカーテンを少し開けて、徐々に小さくなっていく姉の背中を見送った。
(おかしい、何かがおかしい…)
姉の燈子が毎朝のジョギングを始めてから、一ヶ月ほどが過ぎようとしていた。もちろん、それだけの事であれば何ら訝しむ要素は無いのだが、日常生活の中のあらゆる言動がそれまでとは大きく変わり、一言で表すなら”怖いぐらいに静か”になったのだ。
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(おかしい、何かがおかしい…)
姉の燈子が毎朝のジョギングを始めてから、一ヶ月ほどが過ぎようとしていた。もちろん、それだけの事であれば何ら訝しむ要素は無いのだが、日常生活の中のあらゆる言動がそれまでとは大きく変わり、一言で表すなら”怖いぐらいに静か”になったのだ。
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2022年05月12日
【鬼滅 if 現代編】第2話「岩の柱」
「た・お・れ・ろぉぉぉぉっ!!」
「こらっ、やめなさい!!なんなんだ、君は!?」
太腿へのミドルキック、脹脛(ふくらはぎ)へのローキック、鳩尾(みぞおち)と金的への前蹴り、爪先への踏みつけ、そして側頭部への跳び回し蹴り…その全てを防がれて、燈子の焦りは頂点に達していた。
路上格闘の王者となる為に、そのデビュー戦として彼女が選んだ対戦相手は、身長が2メートルはあろうかという巨漢だった。
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「こらっ、やめなさい!!なんなんだ、君は!?」
太腿へのミドルキック、脹脛(ふくらはぎ)へのローキック、鳩尾(みぞおち)と金的への前蹴り、爪先への踏みつけ、そして側頭部への跳び回し蹴り…その全てを防がれて、燈子の焦りは頂点に達していた。
路上格闘の王者となる為に、そのデビュー戦として彼女が選んだ対戦相手は、身長が2メートルはあろうかという巨漢だった。
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2021年12月23日
【鬼滅 if 現代編】第1話「蹴り鬼」
地面に蹲って呻き声を上げていた三人のチンピラが、やっとの思いでヨロヨロと立ち上がった。何かしら捨て台詞でも吐くかと思ったが、私の方を振り返りもせずに身体を引き摺りながら去って行った。
それを見届けるようにして、事の一部始終を建物の影から覗いていた視線の主が、私の前に姿を現した。
年齢こそ六十歳を過ぎた感じではあるが、切れ長の鋭い目つきと豊かな白髪が、時代劇に登場する剣豪を連想させる。
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それを見届けるようにして、事の一部始終を建物の影から覗いていた視線の主が、私の前に姿を現した。
年齢こそ六十歳を過ぎた感じではあるが、切れ長の鋭い目つきと豊かな白髪が、時代劇に登場する剣豪を連想させる。
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