2010年01月25日
自賠とトラブル
自賠を行って、損害保険会社との間でトラブルが発生したとよく耳にします。
a) 医師の診断名に対して柔道整復師の傷病名が多いケース
医師の診療報酬は傷病の数に反映されません。
ですから、医師は主だった傷病とかについてのみ診断名をつける場合があります。
a) トラブルの予防法
患者さんを1回診察してみて、自分で傷病名を確定します。施術料金の請求に用いる傷病名を確定させるということですね。
そして、それを保険会社の担当の人に伝えます。
そこで、その傷病名で請求することについて保険会社の人に同意を取り付けておけば良いのです。
その際、医師の方から出ている診断名よりもこちらが提示した傷病名の方が多ければ、差が生じている傷病名について根拠を提示すれば良いでしょう。
例えば、医師が「頸椎捻挫」の診断名しか出ていないのに、自分では「頸椎捻挫」と「右肘関節捻挫」の2つがあるとします。
その場合は、「右内側側副靭帯部に圧痛を認めるほか、肘関節屈曲痛があります。これは、交通事故に際して受傷した捻挫と思われますが・・・。」というように、その症状を医学的に述べれば良いでしょう。
保険会社の人がこの傷病について交通事故との因果関係があると判断してくれればその後、請求が認められますね。
このトラブルが発生する多くの場合は、保険会社の人が予想している傷病名よりも異なった傷病名が、余計に請求されてきた場合に発生します。
患者さんに対する施術を初めて行った段階(初検)で傷病名を確定し、例えそれが1部位であったとしても保険会社に連絡しておきましょう。
2部位や3部位になる場合であればなおさらです。
なお、初検の段階では認められなかった傷病名が、何日か施術を続けているうちに出現したというケースもあるようです。
この場合は、交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうね。
でも、ある意味ではその後から出てきた傷病を、初検の段階で見抜けていなかったという柔道整復師の落ち度も考えられますね。
後から傷病が出てきてそれも請求に加えようとするのであれば、すぐにでも保険会社の人に連絡すべきでしょう。
ただし、初検の段階で認められていないのですから、前述した交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうし、この場合はなかなか認めてはもらいにくいでしょうね。
やはり、初検の段階で、患者さんから発生機序について十分に情報を得て、身体に加わっている外力を元にどの部位に損傷が生じるか推測し、それらの部位に損傷がないかどうか確かめる必要があります。
初検の段階で損傷程度が極めて軽度であるものは傷病名に加えませんが、保険会社の人に傷病名を連絡する時にそのことも言い添えておけば、後発した傷病の追加も認められやすくなりますね。
b) 頸椎カラーなどの材料費の請求が認められないケース
むち打ち症で来院された患者さんには頸椎カラー、関節部分であればサポーターを装着してもらうことがありますね。
健康保険施術であれば、これらの材料費は健康保険の適用外ということを患者さんに説明した上で、代金は患者さんに支払ってもらいますね。
この時、患者さんに対しては「@頸椎カラーの必要性」と「A健康保険適用外」という2点について説明していると思います。
b) トラブルの予防法
できれば患者さんに頸椎カラーを装着させる前に、保険会社の担当の人に対して頸椎カラーの必要性とその材料費の請求について了解を得るようにしましょう。
例えば、「むち打ち症状が強く、頸椎カラーなしでは頭部の重みによって筋緊張を招き、かえって症状を悪化させてしまいます。急性期症状を早く取り除くためにも頸椎カラーを装着した方が早く治るでしょう。ですから、頸椎カラーを装着することについて同意をお願いします。」という必要性の提示、そしてそれに対する同意。
そして、「ついては頸椎カラーの代金を請求の中に入れさせて頂きます。」という頸椎カラーの請求に対する同意。
前述した同意を事前に得ていれば、頸椎カラーを患者さんに装着してもらって、施術料金の請求のときに材料費の請求も可能となりますね。
装着の前に保険会社の了解を取り付けるのが理想的でしょうが、時間の都合などで事後に保険会社に連絡する場合はできるだけ早いうちにした方が了解が得られやすいですね。
ここで、頸椎カラーの材料費の問題が生じます・・・すなわち、いくらで材料費を請求するか?ですね。
頸椎カラーなど材料費の請求を行う場合は、施術料金明細書と一緒に、その材料費の納品書のコピーを添えるようにしています。
時にはその納品書に代金が書かれていないことがあります。
その場合は、頸椎カラーの代金がわかる請求書のコピーなどを添付すれば良いでしょう。
このように、材料費の請求をしようとする場合も事前に保険会社に連絡して同意を得ることがポイントですね。
c) 施術料金が高額という理由で減額を求められるケース
自賠は健康保険や労災保険のように施術協定料金が定められていません。
自賠責の場合、施術料金を自分で決めれば良いわけです。
早く治せれば1回あたりの対価は高いでしょうし、治すのに手間取るようであれば1回あたりの対価は安くなりそうですね。
c) トラブルの予防法
今回のトラブルも保険会社の人が予期しない料金設定だから(予期した料金設定を上回っている)起こるようです。
ですから、施術料金の設定についても自賠責保険施術の開始と同時に保険会社の人に提示しておきます。
私の場合は、「平成12年に自賠責保険施術料金の上限の目安というものがありましたが、その料金設定で請求させてもらいます。それでよろしいですか?」というふうに言います。
それで保険会社の人の了解が得られれば、後になって料金が高いだのとクレームが出てくることはありません。
なお、私の場合は原則、多部位逓減や長期逓減は行いません。
とは言え、自己判断であまりにも経過が不良で長期に及んだ場合などは3か月をはるかに過ぎてから長期逓減を行う場合もあります。
ケースバイケースですね。
d) 施術期間に関するトラブル
自賠責保険施術を開始して何か月か加療していると、「あとどれくらいの期間を要する見込みですか?」などと問い合わせてくる保険会社があります。
これらの対応は保険会社によってまちまちですが、平均して加療開始から3か月を経過した頃にこのような問い合わせが入ってくる場合が多いでしょうか。
保険会社にしてみると、できるだけ早いうちに被害者の人との間で示談を済ませたいところです。
しかし、傷病が治らないことには示談交渉が開始できません。
また、治るまでに長期を要すれば要するほど医療費がかさむだけでなく、慰謝料などの経費もかさんできますからね。
d) トラブルの予防法
施術料金の請求は、毎月行うのが良いでしょうね。
それには毎月、傷病が治っていく様子が書かれています。
また、保険会社にしても月々の施術料金が把握しやすいでしょうからね。
さらに、トラブルに備えて、自賠責保険施術を行う場合は必ず、提携整形外科の先生に対診を行います。
初検時に対診を行うと、整形外科の方からは患者さんの症状に応じて「週に1回は(整形外科の方に)通わせて」などと指導があります。
自分と、整形外科の方でも診療を担当してもらうわけですね。
そうすれば、保険会社からの催促に対しても、「治癒の診断は整形外科の先生にお願いしていますので」と言い逃れられるわけですね。
「もう治癒したかな?」と思われる段階で整形外科の先生にその旨を記した文書(依頼状)を出します。
そうすると、「そうですね。もう治癒で良いでしょう」とか「今の症状はまた再発する可能性があるので今月いっぱいは加療しましょう」などと指導してくれます。
このように、自賠責保険施術の場合は整形外科の先生の力も借りるようにすれば、今回のようなトラブルは回避できそうです。
a) 医師の診断名に対して柔道整復師の傷病名が多いケース
医師の診療報酬は傷病の数に反映されません。
ですから、医師は主だった傷病とかについてのみ診断名をつける場合があります。
a) トラブルの予防法
患者さんを1回診察してみて、自分で傷病名を確定します。施術料金の請求に用いる傷病名を確定させるということですね。
そして、それを保険会社の担当の人に伝えます。
そこで、その傷病名で請求することについて保険会社の人に同意を取り付けておけば良いのです。
その際、医師の方から出ている診断名よりもこちらが提示した傷病名の方が多ければ、差が生じている傷病名について根拠を提示すれば良いでしょう。
例えば、医師が「頸椎捻挫」の診断名しか出ていないのに、自分では「頸椎捻挫」と「右肘関節捻挫」の2つがあるとします。
その場合は、「右内側側副靭帯部に圧痛を認めるほか、肘関節屈曲痛があります。これは、交通事故に際して受傷した捻挫と思われますが・・・。」というように、その症状を医学的に述べれば良いでしょう。
保険会社の人がこの傷病について交通事故との因果関係があると判断してくれればその後、請求が認められますね。
このトラブルが発生する多くの場合は、保険会社の人が予想している傷病名よりも異なった傷病名が、余計に請求されてきた場合に発生します。
患者さんに対する施術を初めて行った段階(初検)で傷病名を確定し、例えそれが1部位であったとしても保険会社に連絡しておきましょう。
2部位や3部位になる場合であればなおさらです。
なお、初検の段階では認められなかった傷病名が、何日か施術を続けているうちに出現したというケースもあるようです。
この場合は、交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうね。
でも、ある意味ではその後から出てきた傷病を、初検の段階で見抜けていなかったという柔道整復師の落ち度も考えられますね。
後から傷病が出てきてそれも請求に加えようとするのであれば、すぐにでも保険会社の人に連絡すべきでしょう。
ただし、初検の段階で認められていないのですから、前述した交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうし、この場合はなかなか認めてはもらいにくいでしょうね。
やはり、初検の段階で、患者さんから発生機序について十分に情報を得て、身体に加わっている外力を元にどの部位に損傷が生じるか推測し、それらの部位に損傷がないかどうか確かめる必要があります。
初検の段階で損傷程度が極めて軽度であるものは傷病名に加えませんが、保険会社の人に傷病名を連絡する時にそのことも言い添えておけば、後発した傷病の追加も認められやすくなりますね。
b) 頸椎カラーなどの材料費の請求が認められないケース
むち打ち症で来院された患者さんには頸椎カラー、関節部分であればサポーターを装着してもらうことがありますね。
健康保険施術であれば、これらの材料費は健康保険の適用外ということを患者さんに説明した上で、代金は患者さんに支払ってもらいますね。
この時、患者さんに対しては「@頸椎カラーの必要性」と「A健康保険適用外」という2点について説明していると思います。
b) トラブルの予防法
できれば患者さんに頸椎カラーを装着させる前に、保険会社の担当の人に対して頸椎カラーの必要性とその材料費の請求について了解を得るようにしましょう。
例えば、「むち打ち症状が強く、頸椎カラーなしでは頭部の重みによって筋緊張を招き、かえって症状を悪化させてしまいます。急性期症状を早く取り除くためにも頸椎カラーを装着した方が早く治るでしょう。ですから、頸椎カラーを装着することについて同意をお願いします。」という必要性の提示、そしてそれに対する同意。
そして、「ついては頸椎カラーの代金を請求の中に入れさせて頂きます。」という頸椎カラーの請求に対する同意。
前述した同意を事前に得ていれば、頸椎カラーを患者さんに装着してもらって、施術料金の請求のときに材料費の請求も可能となりますね。
装着の前に保険会社の了解を取り付けるのが理想的でしょうが、時間の都合などで事後に保険会社に連絡する場合はできるだけ早いうちにした方が了解が得られやすいですね。
ここで、頸椎カラーの材料費の問題が生じます・・・すなわち、いくらで材料費を請求するか?ですね。
頸椎カラーなど材料費の請求を行う場合は、施術料金明細書と一緒に、その材料費の納品書のコピーを添えるようにしています。
時にはその納品書に代金が書かれていないことがあります。
その場合は、頸椎カラーの代金がわかる請求書のコピーなどを添付すれば良いでしょう。
このように、材料費の請求をしようとする場合も事前に保険会社に連絡して同意を得ることがポイントですね。
c) 施術料金が高額という理由で減額を求められるケース
自賠は健康保険や労災保険のように施術協定料金が定められていません。
自賠責の場合、施術料金を自分で決めれば良いわけです。
早く治せれば1回あたりの対価は高いでしょうし、治すのに手間取るようであれば1回あたりの対価は安くなりそうですね。
c) トラブルの予防法
今回のトラブルも保険会社の人が予期しない料金設定だから(予期した料金設定を上回っている)起こるようです。
ですから、施術料金の設定についても自賠責保険施術の開始と同時に保険会社の人に提示しておきます。
私の場合は、「平成12年に自賠責保険施術料金の上限の目安というものがありましたが、その料金設定で請求させてもらいます。それでよろしいですか?」というふうに言います。
それで保険会社の人の了解が得られれば、後になって料金が高いだのとクレームが出てくることはありません。
なお、私の場合は原則、多部位逓減や長期逓減は行いません。
とは言え、自己判断であまりにも経過が不良で長期に及んだ場合などは3か月をはるかに過ぎてから長期逓減を行う場合もあります。
ケースバイケースですね。
d) 施術期間に関するトラブル
自賠責保険施術を開始して何か月か加療していると、「あとどれくらいの期間を要する見込みですか?」などと問い合わせてくる保険会社があります。
これらの対応は保険会社によってまちまちですが、平均して加療開始から3か月を経過した頃にこのような問い合わせが入ってくる場合が多いでしょうか。
保険会社にしてみると、できるだけ早いうちに被害者の人との間で示談を済ませたいところです。
しかし、傷病が治らないことには示談交渉が開始できません。
また、治るまでに長期を要すれば要するほど医療費がかさむだけでなく、慰謝料などの経費もかさんできますからね。
d) トラブルの予防法
施術料金の請求は、毎月行うのが良いでしょうね。
それには毎月、傷病が治っていく様子が書かれています。
また、保険会社にしても月々の施術料金が把握しやすいでしょうからね。
さらに、トラブルに備えて、自賠責保険施術を行う場合は必ず、提携整形外科の先生に対診を行います。
初検時に対診を行うと、整形外科の方からは患者さんの症状に応じて「週に1回は(整形外科の方に)通わせて」などと指導があります。
自分と、整形外科の方でも診療を担当してもらうわけですね。
そうすれば、保険会社からの催促に対しても、「治癒の診断は整形外科の先生にお願いしていますので」と言い逃れられるわけですね。
「もう治癒したかな?」と思われる段階で整形外科の先生にその旨を記した文書(依頼状)を出します。
そうすると、「そうですね。もう治癒で良いでしょう」とか「今の症状はまた再発する可能性があるので今月いっぱいは加療しましょう」などと指導してくれます。
このように、自賠責保険施術の場合は整形外科の先生の力も借りるようにすれば、今回のようなトラブルは回避できそうです。
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