2009年06月25日
膝の滑液包炎
膝の周囲には15個程度の滑液包があると言われています。
滑液包の作用は腱や靭帯から受ける衝撃を吸収し、摩擦を軽減し、機械的な刺激や圧迫を緩衝しています。しかし、炎症を起こすと滑液が増え、脹れや痛みを引き起こします。
原因の大半は打撲や使い過ぎ、変性(老化現象)などによって起こります。しかし、中には感染や炎症性疾患(痛風、関節リウマチなど)によって起こることもあります。
膝周辺の代表的な滑液包炎としては、
@ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)
A膝蓋前滑液包炎、
B鵞足滑液包炎
などが挙げられます。
@べーカー嚢腫:膝窩部の腓腹筋半膜様筋滑液包が炎症を起こし、腫瘤状の外観を呈する事より嚢腫と名付けられました。
症状は膝窩部に脹れを認めます。
痛みを訴えることは少なく、膝屈曲時に圧迫感や違和感を訴えます。時に、巨大化して周囲の血管や神経を圧迫し、膝の痛みや下腿の腫れ、静脈炎などを起こすこともあります。
症状がなければ特に治療しません。しかし、痛みや膝関節の運動制限を認めれば、穿刺して滑液を取り除きます。
A膝蓋前滑液包炎:打撲や機械的な刺激(膝立ちの様な作業)などにより炎症を起こした状態。
大半は無症状で、腫れを認めるだけです。大きくなると、日常の生活動作や外見上問題となります。
保存的療法が原則です。滑液の穿刺しますが、頑固な症例ではドレナージ法を行います。これらにて改善しない症例では滑液包摘出術を検討します。
時に、化膿性膝蓋前滑液包炎を経験する事があります。
B鵞足滑液包炎・鵞足炎
鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋から構成されており、脛骨粗面内側部に付着しております。
鵞足炎とは、膝の変形(変形性膝関節症、O脚、X脚)や腫瘍(脛骨外骨腫、ガングリオン)、スポーツ活動、外傷(打撲など)により鵞足部が炎症を起こした状態を言います。さらに、鷲足の下部には鵞足滑液包が存在するため、大半が鵞足滑液包炎を合併しております。
症状は鵞足部の痛みや腫れです。痛みは運動にて増悪します。
保存的治療が原則です。急性期は痛みを誘発するような動作を控え、短期間の非ステロイド系抗炎症剤を処方し、リハビリテーションとしては温熱療法や鷲足のストレッチングを指導します。頑固な症例ではステロイド腱内注射を試みます。
再発を繰り返す症例ではフットプリンターを用いて鵞足部に負担がかからな様な足底板装具を着用させます。尚、外骨腫やガングリオンなどの腫瘍が原因の症例では腫瘍摘出術を検討します。
参考:
膝蓋前滑液包炎かと思いましたが蜂窩織炎(ほうかしきえん)の可能性大です!
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