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2019年09月26日

軽減税率が「平成最悪の経済政策」と評される訳




 軽減税率が 「平成最悪の経済政策」と評される訳


           〜プレジデントオンライン 9/26(木) 11:15配信〜


 〜10月1日からの消費増税に合わせて導入される「軽減税率」中央大学法科大学院の森信茂樹特任教授は「平成以降最悪の経済政策だ。政治の介入により安易に軽減税率の適用範囲が拡大される様な事があれば、経済の歪みや、国民のアンチ消費税の感情を増幅し兼ね無い」と云う〜


              9-26-24.jpg

            東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹氏

 軽減税率導入の裏には政治的事情がある

 2019年10月1日からの消費税率10%への引き上げを目前に、連日消費者や小売店の「混乱」振りが報道されて居る。その原因は、消費税率の引き上げと云うより「酒類・外食を除く飲食料品と新聞購読料(週2回以上発行)」に対して導入される軽減税率である。
 更に、増税に伴う経済への悪影響の緩和とキャッシュレス推進の一石二鳥を狙って導入されるポイント還元策が、混乱に拍車を掛けて居る。

 筆者は軽減税率制度は、平成(適用されるのは令和だが)最悪の経済政策だとこれ迄批判して来た。現在の混乱振りを見るに着け、改めて軽減税率の導入と云う政府の政策の意義や問題点、数少ないメリット等を検証してみたい。

 導入決定時の経緯を振り返ると、社会保障・税一体改革、三党合意を経て自民党に再び政権交代して3年目の、平成28年度税制改正に遡(さかのぼ)る。自民党と公明党の幹事長レベルでの話し合いが進まず、最終的に安倍総理が、当時の自民党税制調査会長であった野田毅氏を更迭して、10%引き上げ時の導入を決めたものである。
 当時安倍政権最大の課題であった安保法制協力への「お礼」として、軽減税率を主張して来た公明党の主張を取り入れたものと言われて居る。この様な極めて政治色の強い政策決定の為、軽減税率の導入の是非、代替案との比較等、国民的な議論は殆ど行われて居ない。その証拠に、新聞に軽減税率が適用されると云う事を未だ多くの国民は知ら無い。

 金持ち程得をすると云う奇妙なカラクリ
 
 この制度の問題点を指摘すると以下の通りである。

 第1に、軽減税率の導入により、消費税の持つ、広い課税ベースで経済への影響(ゆがみ)を最小限に抑えつつ税収を調達すると云う機能・長所が失われる事である。
 OECD(経済協力開発機構)は、先進国が消費税により如何に効率的に税収を調達して居るかと云う事を数値化して公表して居る。C-Efficiencyと称される指標で「消費税収をその課税対象と為る消費支出額で割ったもの(実際の消費税負担割合)」と「標準税率」とを比べたものである。OECDはこの指標を公表し、各国の消費税率の効率性を高める様に求めて来た。

 軽減税率や非課税品目が多く設けられたり、事業者免税点制度の範囲が広かったりするとこの数値は悪化する。我が国の消費税の有効度は、ニュージーランド、ルクセンブルク、エストニア、スイス、イスラエルに次いで世界で6番目に高いと云う評価が為されて来た。しかし今回の軽減税率の導入により、経済に与える歪みが少無いと云う消費税の長所を損なう事に為る。

 2番目は、軽減税率導入の政策意義が不明であると云う点だ。消費税は高所得者程所得に対する負担割合が低く為ると云う逆進性を持って居る。しかし飲食は、高所得者程支出額が大きいので、軽減税率の導入により金額ベースで利益を受けるのは、圧倒的に高所得者である。
 高級ステーキ肉を購入する金持ちは軽減税率(8%)牛丼を食べる低所得者は標準税率(10%)と、本末転倒の事が生じ、金持ち優遇税制と云う批判さえ受け兼ね無い。逆進性を軽減する為の政策としては、低所得者に限定した給付や給付付き税額控除を行う方がより効率的である。

 消費者・事業者・税務当局に多大なコストが

 第3に、連日話題に為って居る様に、判り難い価格表示や複数の仕分け・記帳等、消費者・事業者・税務当局に多大なコストを掛ける事である。取り分け標準税率(10%)である外食と、軽減税率(8%)の適用を受ける飲食料品との区分は難しい。
 外食の定義は「その場で飲食させるサービスの提供を行う事業を営む者が、テーブル・椅子その他のその場で飲食させる為の設備(飲食設備)を設置した場所で行う食事の提供」とされて居る。従ってイートインコーナーの設置されたコンビニ・スーパーで飲食料品を買う場合、お店はその都度お客にテークアウト(飲食料品・軽減税率)かイートイン(外食・標準税率)かを確認する必要が出て来る。

 更には、事後的に、事業者の申告が正しいかどうか税務当局が調査する必要が生じる。軽減税率の適用されるテークアウトの比率を実際より多くすれば納税額は少なくて済むからである。ドイツでは、ファストフード店に、テークアウトとイートインの比率が申告通りかどうか抜き打ちの税務調査が行われて居る。
 周知の様に、外食か食料品(軽減税率)かの区分を巡っては欧州諸国でも長年議論が続いて居り、英国の様に温度(温かいものは食料品)で判断したり、カナダの様に個数(ドーナツ6個以上の購入は食料品、5個以下は外食)で判断したりと、極めて煩雑なものと為って居る。

 この様な消費者・事業者・税務当局の追加的なコストは、最終的には国民負担と為って跳ね返って繰る訳で、事前にその事が判って居たにも関わらず軽減税率制度を導入した我が国の政策決定には大いに問題ありと言え様。

 適用拡大を巡って利権型政治が復活する可能性も
 
 4番目は、財源の問題である。軽減税率を導入すると毎年消費税収が1兆円少無く為る。今回この財源は、たばこ税と所得税の増税分(約3000億円)やインボイス導入により免税事業者の手元に残る「益税」の解消(約2000億円)で賄われるが、インボイス導入による増収は、後述の様に4年後以降の話であり、言わば見切り発車によるものと為って居る。
 又軽減税率による減収は恒久的に続く訳で、今後必要財源を消費税で賄う場合には、その分税率が高く為らざるを得無いと云う問題が生じる。

 最後に、今後軽減税率の適用拡大を巡って、利権型政治が復活する可能性がある。英国等欧州では、選挙の度に軽減税率の範囲が拡大して来たと言われて居る。我が国でも、医師会等軽減税率の適用を政治家に働き掛ける動きが見受けられたが、今後様々な業界団体が軽減税率の導入を目指して政治家に接触する可能性があり、過つて見られた様な、業界の利害を汲んだ利権政治が復活する可能性がある。

 では軽減税率に全くメリットは無いのだろうか。政府の立場に為って考えると、以下の点がメリットと言え様。

 第1に、今後消費税率の引き上げが議論と為る際、軽減税率を据え置く事で、消費税率引き上げに対する国民の反対が緩和されると云う効果が期待出来る。ドイツでは、2007年、メルケル大連立政権の下で消費税の標準税率の16%から19%に引き上げられたが、スムーズに行われた理由の一つに、生活必需品の軽減税率を据え置いた事が指摘されて居る。

 軽減税率は経済の歪みや反消費税感情を引き起こす

 次に、軽減税率制度が始まるのに伴って2023年10月からインボイス(我が国では適格請求書)が導入されるので、消費税制度に対する信頼性が高く為ると云う事である。
 インボイスとは、取引に際して発行される書類で、取引事業者の住所氏名、税率毎に合計した対価の額(税抜き又は税込み)、適用税率・消費税額が記された書類の事である。課税事業者だけが発行出来、今後はこれを保存して居なければ消費税の仕入れ税額控除は出来無い。
 現在、免税事業者からの仕入れに突いても仕入税額控除が出来るので「益税」を発生させて居たが、これが出来無く為り「益税防止」に繋がるので、消費税制度の信頼を高める効果がある。更に大きな効果は、事業者間の取引が、インボイスにより消費税を別記して取引される事に為るので、事業者間の価格転嫁が容易に為ると云う点である。

 3番目に、レジの普及により、小売り事業の生産性向上が見込まれると云う効果が期待出来る。我が国の小売業界は、小規模な小売事業者が多く、生産性が諸外国に比べて低い事が指摘されて来たが、レジの導入はその流れを変えて行くと予想されて居る。

 消費税は、先進国で最も高齢化が進んで居る我が国の社会保障費を賄うには不可欠な税制である。更には財政健全化を進めて行く必要もあり、今後も更なる引き上げは不可避と言え様。
 政治の介入により安易に軽減税率の適用範囲が拡大される様な事があれば、消費税の経済に与える歪みが拡大したり、国民のアンチ消費税感情に火を付けたりする事に為り兼ね無い。大きな役割の期待される消費税への信頼を失う事の無い様に政策運営して行く必要がある。




       森信 茂樹(もりのぶ・しげき) 中央大学法科大学院 特任教授

 法学博士。東京財団政策研究所研究主幹。1950年広島生まれ、1973年京都大学法学部卒業、大蔵省入省。英国駐在大蔵省参事 主税局税制第二課長 総務課長 東京税関長 2004年プリンストン大学で教鞭を執り、財務省財務総合研究所長を最後に06年退官。
 大阪大学教授 東京大学客員教授 コロンビアロースクール客員研究員等を歴任。ジャパン・タックス・インスティチュート所長。著書に『デジタル経済と税』『税で日本はよみがえる』(以上、日本経済新聞出版社)など


 法学博士(租税法) 中央大学法科大学院特任教授 東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹  以上



 【管理人のひとこと】

 消費税とその軽減税率の問題点に付いて、その欠点と利点を確かに詳細に説明頂いた。しかし、氏の目線は、飽く迄も為政者側・執行官僚側に立った一方的な解釈で終わって居る。逆進性が高いと欠点を指摘するだけで素通りし、利点へと話を摩り替えてしまう。
 「大きな役割の期待される消費税への信頼を失う事の無い様に政策運営して行く必要がある」と最後に結んで居るが、今までの消費税の在り方を考えると、この話の何処迄を信用して好いのか・・・果たして消費税が多くの国民に期待されたのか、そしてその様な使われたのか、大きな効果が挙げられたのか・・・が一番に指摘するべきだろう。詳しく丁寧な解説なのだが、骨と為るべき根本的な思想が欠如して居る。










米国とイランは何故対立するのか?半世紀以上も続く「危うい構図」




 米国とイランは何故対立するのか? 半世紀以上も続く「危うい構図」


           〜ダイヤモンド・オンライン 9/26(木) 6:01配信〜


           9-26-10.jpg

         三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究主幹 鈴木明彦氏 

 〜イランと米国は何故何時も対立するのか。背景には半世紀以上に渉るお互いの憎しみがあり、簡単に和解等出来るものでは無い〜


 




 半世紀以上も続く イランの反米感情

 米国とイランの緊張が高まって居る。何故何時も対立するのかと云う印象もあろうが、背景には半世紀以上に渉るお互いの憎しみがあり、簡単に和解等出来るものでは無い。
 イランの米国に対する憎しみの構図は、1950年代初めに迄さかのぼる事が出来る。当時、イランのモサッデク首相は、石油国有化政策を打ち出して英米と対立して居り、英国は原油を買い付けに来たタンカーの撃沈を表明して居た。

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                 パフレヴィー2世 

 イランと英米との対立が続く中、1953年にモサッデク首相は皇帝派のクーデターで失脚してしまうが、その背後で動いたのが米CIA(中央情報局)だと言われて居る。クーデターによって石油国有化政策が頓挫する一方、実権を取り戻したパフレヴィー2世は米国の援助を受けながら近代化を推進する事に為る。
 皇帝主導の急速な欧米化は、イスラム教シーア派の宗教指導者からの反発を生んだ。又同時にイラン国民の間では、背後でクーデターを工作しモサッデク首相を失脚させ、石油国有化政策を頓挫させた米国に対する反感も高まる事に為った。
 ちなみに、英国による封鎖を掻い潜って、自社保有の日章丸でイランから原油を買い付けたのが出光興産の出光佐三社長だ。この一件が、その後の日本とイランの友好的な関係をもたらした背景の1つとされて居る。

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                  出光佐三社長

 イラン革命で対米関係が一変 米国の怒りに火を点けた大使館人質事件

 パフレヴィー2世の専制的な政治と近代化政策に反発を強めた宗教勢力が起こしたのがイラン革命である。亡命して居た宗教指導者ホメイニ氏が帰国し、1979年にはイスラム法学者が統治するイラン・イスラム共和国が樹立された。

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                 宗教指導者ホメイニ氏

 パフレヴィー2世は国外に退出した後、米国への亡命が受け入れられたが、これに反発したイランの学生が1979年11月米国大使館に侵入し、大使館員等を人質にして立て篭った。これだけでも米国に取っては屈辱的な事であり、米国はイランとの国交断絶・経済制裁に踏み切ったが、その後実行した人質救出作戦が米国側に死者を出す形で失敗した事で、米国の怒りは倍増する。
 米国では、人質救出作戦の失敗で弱いアメリカの象徴と為ったカーター大統領が再選出来ず、強いアメリカを取り戻すと云うレーガン大統領が誕生する事と為った。

 大使館の人質は、パフレヴィー2世が、最終的な亡命先であるエジプトで死去した事もあって、1981年1月に解放される事に為った。しかしこの事件以降、米国に取ってイランは憎むべき相手であって、徹底的に叩くべき対象と為り、今もそれが続いて居る。







 シーア派イランは中東の少数派 多数派スンナ派と連携して来た米国

 米国とイランの対立は根深いものだが、これに更に根深いイスラム教のシーア派とスンナ派の対立が絡むことによって、中東情勢は一段と不安定なものに為る。
 イランは人口8000万人と中東の中では大国であるが、民族はペルシャ人宗教はイスラム教シーア派であり、アラブ人、スンナ派が多数を占める中東の中では少数派である。イランを敵視する米国は、中東の多数派と連携する事によってイランを叩こうとした。

 シーア派とスンナ派の対立は、イスラム教のカリフ(後継者・代理)の地位を巡る解釈の違いが背景にある様で、この2つの宗派が融和する事は先ず無い。シーア派の代表であるイランでは、イラン革命後にイスラム法学者が支配する国が誕生した。
 イラン革命の考えに立てば、スンナ派の国を支配して居る国王は、その資格が無いと云う事に為る。それだけに、イラン革命が他国に広がることは、スンナ派の国々として何としても避けたかった。

 1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争は、ペルシャ湾岸の油田と輸送用河川を巡る経済的な争いであったが、スンナ派の国々に取っては、シーア派のイラン革命の広がりを抑えると云う政治的な目的もあった。
 イラクはシーア派が国民の多数を占めるが、当時は少数派のスンナ派であるフセインが支配して居た。スンナ派のアラブ諸国は、イラクを支持し米国もイラクを支援した。

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               イラクの故・フセイン氏

 長きにわたるイラン・イラク戦争は中東に取って重荷に為った事は勿論だが、ここで米国がイラクに供与した武器がイラン・イラク戦争後のクウェート侵攻に使われ、その後の湾岸戦争をもたらす事に為った。最終的に米国は、大量破壊兵器の保有(実際にはその様な兵器は発見出来無かったが)を理由にイラク戦争を起こし、過つて米国に代わってイランと戦ったイラクのフセイン政権を倒してしまう。
 イラン憎しの米国の行動が、シーア派とスンナ派の対立を拡大させ、中東に大きな混乱を引き起こすことに為る。そして世界の原油供給を支える中東の混乱は、世界全体の不安定要因と為った。

 シェール革命で米国は産油大国に 中東「地政学リスク」の高まり

 米国が、イラクのフセイン政権を打倒した2000年代初め頃から、イランの核開発が国際的な問題に為って来る。2015年には、イランと米英仏独中ロの6ヵ国会議との間で核開発施設の縮小等の合意が成立し、中東情勢も安定するかに見えたが、他方で中東の地政学リスクを左右する新たな変化が生じて来た。

 先ず、シェール革命によって米国が、サウジアラビア、ロシアを抜いて世界最大の産油国と為った事だ。米国は、未だ石油の純輸出国には為って居ないが、輸入依存度が低下して居り、米国に取っての中東の重要性が低下して居る。
 又、トランプ大統領の政治スタンスにも影響されて居るが、米国に取っての中東の重要性が低下するのと軌を一にして、米国の政策がイスラエル寄りにシフトして居る。エルサレムへの米国駐イスラエル大使館の移転もその一例だが、イスラエルが反対して居たイラン核合意から離脱しイランへの制裁を一方的に再開した事は唐突であった。イランの反発を招き中東情勢を一気に不安定にしてしまった。

 米国とイスラエルが対イランで協調する事は当然の様に思えるかも知れないが、イラン・イラク戦争の頃は、イスラエルはイラクと敵対し、イラク国内の原子炉を空爆したりして居た。詰まり、敵の敵は味方と云う事で、イスラエルはイラン側に立って居た。
 更に、米国の中東離れに呼応する形で、ロシアと中東の関係が深まって居る。同じ産油国として、米国の増産に対抗する形で、OPECとロシアとの間での協調減産が行われる様に為った。


 




 イランと米国の対立が 再びシーア派とスンナ派の対立に?

 イランと米国の対立、そしてシーア派とスンナ派の対立が続く事は、どちらも中東における宿命の様なものだ。しかしイラン・イラク戦争の時の様に、この2つの対立が融合する恐れが出て来た事に注意が必要だ。

 イラン・イラク戦争の時に比べて、シーア派の勢力は広がって居る。皮肉な事に米国がイラクのフセイン政権を打倒した事によって、イラクは多数派であるシーア派の国と為った。この結果、イラン、イラク、そして少数派であるがシーア派が支配して居るシリアとの3国で横の連携が出来て居る。
 米国がイランを経済封鎖しようとしても、国境を接しているイラクとの間では様々な取引が行われ、シリアとの間ではイランのタンカーが一時拿捕された事からも推察出来る様に、原油を輸出する動きがありそうだ。

 既に、シーア派とスンナ派の戦いは始まって居る。イエメンで続く内戦では、サウジアラビアを中心にスンナ派諸国が支援する大統領側と、イランが支援するシーア派の一派であるフーシ派が戦って居る。
 先日のサウジアラビア石油施設の攻撃は、フーシ派が実行声明を出す一方で、米国とサウジアラビアはイランが関与したと主張して居る。何れにしても、シーア派によるスンナ派の盟主であるサウジアラビアに対する攻撃である。
 イランと米国に対話の動きが出て来た処で起きた今回の事件は、イランと米国の対立をシーア派とスンナ派の対立に拡大させ、イランと米国の対立をエスカレートさせ様とする勢力が行ったとも考えられる。米国が迂闊に動くと又深みに嵌ってしまう。

 米中の第二次冷戦が始まり イラン・イラク戦争時より状況は深刻

 最近の米中の対立は貿易戦争に留まらず、ロシアも加わって米国と中・ロの間の第2次冷戦の様相を呈して来て居る。イランと米国の対立がシーア派とスンナ派の対立に広がる事も大きなリスクだが、そこに中ロも加わって大国同士の対立に為ると可なり深刻な状況に為る。
 イラン・イラク戦争は米ソの冷戦下で起きたが、米国だけで無く中国もソ連もイラクを支援した。詰まり、米ソ2大国の代理戦争には為ら無かった。しかし、今は中国とロシアが米国に対抗してイランの側に立って居り、イランと米国の対立は中東における深刻な地政学リスクと為って居る。

 イランもトランプ大統領もそれを望んで居る訳では無かろうが、偶発的な衝突が戦争に繋がるリスクは否定出来無い。


   三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究主幹 鈴木明彦   以上



 




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アメリカを滅茶苦茶にしたトランプ それでも支持する労働者達の「思い込み」




 




 アメリカを滅茶苦茶にしたトランプ それでも支持する労働者達の「思い込み」

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                グレン・カール氏


            〜ニューズウィーク日本版 9/25(水) 17:49配信〜


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  サウスカロライナ州で開かれた集会でトランプの旗を振る支持者 RANDALL HILL-REUTERS


 人口動態や経済の現状を見れば敗北は確実だが 選挙結果を左右するのは有権者の認知の歪だ

 アメリカの民主主義は今血を流して居る。「トランプ大統領がアメリカを救う」と未だに信じて居る人達も居るが「アメリカを滅茶苦茶にした」と云うのが大方の見方だ。現実的に考えれば2020年の大統領選でトランプが再選される事は有り得無い。
 だが、いかんせんその可能性は十分にある。この危機の最中に在っても、有権者は自分の暮らし向きと自分が属する集団への忠誠心から候補者を選ぶだろう。候補者選びでは、理性的な判断は常に後回しに為る。だからこそ2016年の大統領選ではトランプが勝った。加えて2016年にはロシアの情報機関の工作がトランプの勝利を助けたが、2020年にもロシアはトランプに肩入れするだろう。

 ここ十数年、アメリカの有権者は社会的な階層や学歴によって共和党支持か民主党支持かに色分けされる様に為った。主に白人の比較的学歴の低い層が共和党とトランプを支持し、より高学歴の裕福な層が民主党支持に回った。
 ブルーカラーの有権者はこの2年間に暮らし向きが良く為ったと思い込んで居る。「労働者の味方」を標榜するトランプと共和党が政権を握ったお蔭だと云うのだ。(ちなみに「労働者」と云う言葉は「低学歴の白人」を指す隠語と為った感もある)逆に、高学歴の富裕層は経済状況が改善されて居ないと思い込んで居る。

 実際はどうか。データを見る限り、トランプの経済政策は人種を問わずブルーカラーに打撃を与え「1%」の富裕層に恩恵を与えた事が分かる。







 公正で民主的な選挙なら

 事実はどうあれ、トランプはグローバル化の進展や価値観の多様化に不安を抱く貧しい白人の味方を自任して居る。だからと言って選挙で勝てるとは限ら無い。反トランプ派(その多くは非白人)は数ではトランプ派より優勢だ。その証拠に2016年の大統領選ではヒラリー・クリントンが得票数でトランプを300万票近く上回った。
 アメリカでは2044年迄に白人が少数派に転じる。トランプの白人労働者中心、白人至上主義的な立ち位置では劣勢に追い込まれ兼ね無いのだ。

 只アメリカの選挙制度では、白人が多く住む農業州の比重が大きい。人口が最も少ないワイオミング州の1票の重みは人口最多のカリフォルニア州の約3.7倍だ。前回トランプが得票数でクリントンに負けながら勝利を収めたのはその為だ。だがそれを考慮しても、2020年の大統領選では人口動態の推移で民主党候補が有利に為るだろう。

 トランプの支持基盤も遂に事態に気付き始めた

 これに対し共和党の州知事や州当局者は、恥知らずにも非白人の投票を制限しようと画策して来た。ノースカロライナ等一部の州では投票時に身分証明書の提示を義務付ける州法等が制定され、身分証明書を持た無い人が投票出来無い事態が起きた。
 こうした州法には相次いで違憲判決が下されて居るが、共和党はアノ手コノ手で同種の画策を続けるだろう。

 アメリカ社会の分断を狙うロシアの情報機関は2020年にもトランプ陣営にテコ入れする可能性が高い。おまけにトランプは前回の大統領選で自分が勝た無ければ、選挙の正当性を認め無いと言い放った男だ。
 一方で、米中貿易戦争や富裕層優遇の経済政策のツケがジワリと庶民の暮らしを締め付け始めても居る。トランプの支持基盤である農家、更には工場労働者も経済の先行きに不安を覚え始め、トランプ再選には黄色信号が灯って居る。
 公正で民主的な選挙が行われれば、民主党候補が誰であれトランプに勝ち目は無い。共和党が投票制限をし、ロシアが選挙介入をしてもトランプが負ける確率は高い。

 只問題は有権者の「思い込み」がシバシバ現実よりも強力に選挙結果を左右する事だ。そこにロシアが流すフェイクニュースが加われば、有り得無い事が起きる。2016年11月に起きた悪夢のように......。

  <本誌2019年10月1日号掲載> グレン・カール(本誌コラムニスト・元CIA工作員)

                   以上


 




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田原総一朗「衰える日本企業が『失敗の博物館』から抜け出すには」




 田原総一朗 「衰える日本企業が『失敗の博物館』から抜け出すには」

          〜〈週刊朝日〉AERA dot. 9/25(水) 7:00配信〜


          9-26-6.jpg

     ジャーナリストの田原総一朗氏は「失敗の時代」に付いて考察する

 田原総一朗(たはら・そういちろう)1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て1977年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社


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          東京大学大学院情報学環教授 吉見俊哉氏     

 吉見俊哉氏(東京大学大学院情報学環教授)が『平成時代』(岩波新書)で「平成30年間は、失敗の時代で在った」と言い切って居る。1989(平成元)年、世界の企業の時価総額ランキングで、日本企業は上位50社の内32社を占めて居た。1位はNTT・2位が日本興業銀行・3位は住友銀行で在った。
 処が、2018年には同じランキングで、上位50社の中に残って居るのは35位のトヨタ自動車だけで、他の31社は全て消えた。上位を占めて居るのは、アップルやアマゾン・グーグル・マイクロソフト・フェイスブック等米国のIT企業である。何故、日本の大手企業は壊滅してしまったのか。

 吉見氏は、山一証券・北海道拓殖銀行・日本長期信用銀行等の金融大手が破綻した理由を判り易く解説して居る・・・バブルの崩壊である。金融業だけでは無い。NEC・東芝・富士通・パナソニック・シャープ等電機産業が、ドンドン衰退する事に為った。そして2010年代には、10年前の約半分の規模に縮んでしまった。







 失敗の第一の要因は、日本の主要な電機産業が、テレビ時代の終焉とモバイル型ネット社会の到来を余り認識して居なかった事であり、もう一つの原因は、グローバルな規模で進んだ水平分業の仕組みに日本企業が適応出来無かった事だと指摘して居る。
 そして、吉見氏は現在の日本の重大問題を、2000年代に為って日本社会が上流階級と下流階級に分断された事だと捉えて居る。詰まり、非正規雇用の人間が約4割に達し、特に就職氷河期以後の世代で急増したと云うのである。階級社会と為り、収入が少ない非正規雇用者は子供が産め無い。これが人口減少の要因に為って居ると云うのである。

 吉見氏は「平成とは、失敗の博物館」だとも決め着けて居る。そして、9月18日付の朝日新聞で、出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)が「失敗の博物館」を立て直すには「イノベーションが必要だ」と語って居る。

 「平成の30年間に、日本の国際競争力は1位から30位に落ちた」それは「ユニコーン」詰まり評価額が10億ドル以上の未上場企業・・・要するに新たな事業を起こす企業が世界には380社あり、米国には200社弱・中国には100社弱あるのに、日本には3社しか無い為だと云う。

 「製造業のウェートはGDPで2割、雇用は17%しか無い。そして、この割合はドンドン下がる。だから新しい産業を生み出す以外に無いのだが、日本の企業が求める人材は、協調性があって言う事を聞く人間で、これでは新しいアイデアは出て来ないし、新しい産業は生まれ無い」
 私は過つて、ソニーの盛田昭夫氏やホンダの本田宗一郎氏に何度も会って話を聞いた。彼等は何れも「日本に無いモノをどう遣って作るのか。既に有るモノを作って居たのでは、より安く売るしか無い。これでは企業は遣って行けない。何とかして、日本に無いモノを作らねば為ら無いのだ」と強調して居た。

 そして、本田氏は「失敗賞」為る賞を作った。失敗した事を表彰するのである。だが、残念ながら現在の多くの企業では失敗が許されず、守りの経営で、これではイノベーションが起きる筈が無い。出口氏は「人とは違う、多様な変態を育てて新たな産業で稼げ」と主張して居る。

 ※週刊朝日  2019年10月4日号   以上






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2019年09月25日

安倍政権 本気で経済政策に励め


 

          安倍政権 本気で経済政策に励め!!


 管理人・・・安倍政権は、歴代で最低な政治を永い期間続けた。日本の経済は先進国で最低にランクされ、国民の窮乏が激しい。これは、一重に彼を支持し彼に政権を預けた私達国民・有権者の責任だ。俺は、彼は支持し無かったと言っても遅いのである。
 メディアがその様な民意を盛り上げ〈アベノミクスのお蔭で豊かに為った〉と散々ブチアゲ、その結果の様なのである。安倍外交は全て失敗し、拉致家族は帰らず北方領土も諦め、日米貿易には煮え湯を飲まされ高価な武器を買わされ続けた。そして、昨今は韓国とも史上最悪の関係へと落ち込んだ。
 安倍氏には外交のセンスを期待しても全てダメなのだ。彼には、日本経済をここ迄ダメにした責任を取って貰いたいのだが、残りの任期期間はジックリと経済政策に取り組んで、責めてデフレの克服位は成し遂げて頂きたい。








 「批判してばかりでは経済は良く為ら無い」と云う話が大嘘であるこれだけの理由


        9-25-3.jpg

              経済評論家 加谷珪一氏


            〜ニューズウィーク日本版 9/25(水) 16:53配信〜
 

 日本はどの政権でも経済成長出来て居ない

 〜人手不足・貧困・女性の社会進出・・・もう少し早い段階で手を打って居れば違った、と思う人は少なく無い筈だ。しかし面白い事に、こうした主張をすると「過去を批判するだけではダメだ!」「対案を出せ」と言ったお決まりの反論が遣って来る。嫌々、対案等議論する迄も無く、既に全部出揃って居るではないか〜


 日本経済が袋小路に入り込み、先が見通せ無い状況と為って居る事は、多くの人に取って共通認識と為って居る。一部の論者は、日本経済は力強く成長して居ると主張して居るが、賃金が増えず物価だけがジワジワと上がる状況では、大半の国民が豊かさを感じられ無いのも当然だろう。
 日本人は予め答が一意的に決まって居る受験勉強型の思考回路に慣れ切って居り、状況を一発で解決出来る(と期待させて呉れる)安易で分かり易い手法を求め勝ちである。だが現実社会は複雑で混沌として居り、一つの方策で問題を解決出来る様なものでは無い。

 アベノミクス以降、民主党政権時代の失策によって日本経済がダメに為ったと云う認識が標準的に為って居る。そうだからコソ、アベノミクスには大きな期待が集まり、日本経済を復活させるには「これしか無い」と云った言い回しが多用された。
 だが筆者に言わせれば民主党時代もアベノミクスも大した違いは無い。民主党政権が経済政策に付いてホボ無策だったのは事実だが、だからと云ってアベノミクスで日本経済が復活した訳でも無いからだ。無策だった民主党時代においても政策を総動員したアベノミクスにおいても、十分な経済成長を実現出来無かったと云う現実を考えると、経済政策の違いは日本の成長に余り寄与して居ないと考えるのが合理的だろう。


 




 この話は、数字にも確り表われて居る

 アベノミクスと民主党政権時代、そして小泉政権時代を比較すると、アベノミクスにおける年平均の実質GDP(国内総生産)成長率は1.2%で2番目に高いが(四半期ベースのGDPを元に年率換算)、もっとも経済が成長したのは意外にも民主党政権で1.6%だった。小泉政権はアベノミクスより少し悪く1.0%である。只、民主党時代にはリーマンショック後の反動によるGDPの大幅増と云うボーナスが有った事を考えると、結局の処どの政権も似たり寄ったりである。

 民主党時代に目立った経済政策は行われず、小泉政権では規制緩和が行われ、アベノミクスでは量的緩和策が行われたが、成長率に大きな違いは見られ無かった。ちなみに巨額の公共事業と云う財政政策が行われた橋本政権・小渕政権の平均成長率もほぼ1.0%なので矢張り大きな違いは無い。
 各政権が行った経済政策は全くの別ものであり、経済学的には対極ですらあるが、この結果を見ても分かる様に、過去20年において経済政策の違いは殆ど成長率に影響を与えて居ないのだ。これは経済政策以前の話であり、日本経済には、もっと深刻で根本的な問題が横たわって居ると認識すべきだろう。

 日本では何十年も前から同じテーマが議論され続けて居る

 では日本経済に横たわる根本的な問題とは何だろうか。それコソ学校のテストの様に簡単に解ける話では無いのだが、雇用・労働環境・教育・グローバル化・ネガティブな社会風潮等、昨今、日常的に議論されて居るテーマは全て該当すると考える事も出来る。
 夫々の局面で課題とされて居る事を一つずつ、そして着実に解決して行けば、その分だけ状況が改善する可能性は高く、逆に言えば、こうした個別の問題をお座なりにして来た事コソが、マクロ的な成長を阻害して居る。

 例えば日本では30年以上も前から女性の社会進出が議論の的と為って居り、女性の就労を阻む諸制度や労働環境の是正が必要であると指摘されて来た。日本における女性の社会進出の遅れを象徴して居るのが「M字カーブ」と呼ばれるグラフである。
 女性の年齢別の就業率をグラフにすると、日本の場合、子育ての時期と重なる25歳から35歳の部分で顕著な数字の低下が観察される。40代に為るとパート等、非正規労働者として再び働き始める人が多い事から、就業率は再び上昇するので、グラフの形は30代の部分を中心に窪んだ形(詰まりM字型)に為る。

 この特殊な就業形態が経済全体にマイナスの影響を及ぼして居るのは明らかであり、Mカーブの解消が必要だと云う話は20年以上も前からズッと議論され続けて来たが、保育施設の問題ひとつトッテモ一向に改善される気配は無い。処が近年、M字カーブは別の理由によって急速に解消が進んで居る。それは極端な人手不足と労働者の実質賃金の低下である。
 2017年における、女性(30〜34歳)の労働力人口は264万人となり、全人口に占める割合も75.2%と過去最高を記録。長年の課題だったM字カーブはアッと言う間に解消されてしまった。

 説明する迄も無く、M字カーブが解消した理由は、政府の子育て支援が充実した事では無く、出産しても働き続け無いと生活を維持出来無い程、世帯が貧しく為ったからである。これに加えて、高齢化の進展による人手不足問題を放置し、労働者の確保が極めて困難に為った事も影響して居るだろう。


 




 目の前の課題に対処する事コソが最大の「経済政策」であり「対案」だ!

 女性の社会進出も高齢化による人手不足も、20年以上も前から議論され続けて来たテーマである。抜き差し為ら無い状況に為ってから対処するのでは無く、もう少し早い段階で手を打って置けば、今の日本経済は全く違う姿に為って居た筈だ。

 こうした主張をすると「過去を批判するだけではダメだ!」「対案を出せ」と云ったお決まりの反論が遣って来るのだが、対案等議論する迄も無く、既に全部、出揃って居る。諸問題をお座なりにした結果、日本経済が低迷して居るのであれば、今、課題とされて居るテーマに付いて確りと対処すれば、それだけでも相応の効果が期待出来る筈だ。  
 壮大で目眩がする様なマクロ経済政策をブチ上げる必要等サラサラ無く、今、目の前にあるミクロな問題に確り対処する事コソが、最大の経済政策なのである。

 女性の就業率は上昇し、M字カーブは解消されたが、お世辞にも日本の子育て環境は充実して居るとは言い難い。保育施設の充実等、僅かな予算を手当すれば実現可能な話であり、必要なのは本気で実行する意思のみである。(詰まり、どの様な利権によって、この政策が邪魔されて居るのか、正面から議論する事である)
 日本社会が先進諸外国と比較してIT化が遅れて居ると云うのも、以前からズッと指摘されて来た事実である。だが、9月11日の内閣改造でIT担当相に就任したのは、行政の電子化に待ったを掛け、印鑑存続を強く求めて来た印章業界との関係が深い竹本直一議員であった。(竹本氏は就任早々、記者会見で印鑑を残す方針を表明して居る)

 遣るべき事は幾らでもある

 こう云った話はマダマダある。日本では、諸外国から事実上の奴隷制度であると厳しく批判されて居る外国人研修制度・技能実習制度を未だに継続して居り、一部の事業者は外国人を極めて劣悪な環境で働かせて居る。(先進諸外国でも悪徳企業が外国人を酷使するケースはあるが、政府自らがこうした制度を運用して居る国は例が無い)
 この制度が人権上、大問題であるのは当然の事だが、不当に安く外国人を雇用する事で、国内の雇用を奪い、日本人の賃金を引き下げて居る事は明白である。日本人労働者に対しても労働法制を無視した雇用を行って居る業界が幾つかあり、政府も何故かこれを黙認して居る。

 この様な状況を放置して置いて、賃金上昇や潜在成長率等に付いて小難しい議論をしても何の意味も無い。 筆者の現在の職業は経済評論家だが、自ら会社を立ち上げ経営して来た経験を持って居る。ミクロ的な取り組みの重要性に付いて強く認識して居り、民主国家として遣るべき事に確り対処するだけで、一定の効果は確実に得られると確信して居る。
 その先の高い成長を実現する為のマクロ経済政策に付いては、最低限の事が実現されてから議論すれば好いだけの話だ。


           加谷珪一(経済評論家)   以上


 




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中国が日本を「豊かさ」で抜く その時起きる戦慄すべき事態


 

 中国が日本を「豊かさ」で抜く

 その時起きる戦慄すべき事態 それは2046年に遣って来る


          9-25-2.jpg

    野口 悠紀雄 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 一橋大学名誉教授

 〜中国と日本の豊かさ(1人当たりGDP)の差は、急速に縮まって居る。この傾向は将来も続く。従って、何処かの時点で中国は日本より豊か国に為る。これは、日本と中国との関係が現在のそれとは質的に全く異なるものに為る事を意味する。それは、様々な面で、日本人に取って受け入れ難い大変化をもたらすだろう〜







 2040年代に中国は日本より豊かな国に為る

 世界経済の長期予測が幾つか為されて居る。日本経済研究センターが行なった2060年迄の長期経済予測は、中国が2030年代前半に経済規模で米国を抜くとした。「2030年展望と改革」(内閣府)によると、2030年で、中国のGDPの世界シェア 23.7%はアメリカの20.2%より高く為る。
 これ以外にも幾つかの長期推計があるが、それ等の殆どは、2030年代前半に中国がGDPの規模で世界最大に為ると予測して居る。中国の人口は巨大だから、経済規模が世界最大に為るのは、指して驚くべき事では無いかも知れない。

 日本との関係でより重要な意味を持つのは「豊かさ」だ。以下では、ドル表示で見た1人当たりGDPに付いて、日本と中国を比較してみよう。

  9-25-5.png

       図1 日中の1人当たりGDPの推移 (単位:ドル、資料:IMF)

 図1に見る様に、2010年には、中国の値は日本のホボ10分の1であった。その後、2012年から15年に円安が進んだ為日本の値は低下した。この間においても中国は成長を続けたので、2018年において、中国の一人当たりGDPは日本の4分の1程度に為った。
 図表1の2019年以降の値は、IMFによる推計である。これによると、2023年に中国は日本の3分の1程度に為る。更に将来の時点ではどう為るだろうか?以下では、過去の傾向が将来も継続するとしたらどう為るかを計算してみよう。

 上で見た円安による影響を取り除く為に、2014年から2023年迄の年平均成長率を見ると、日本は2.6%中国は7.8%だ。

  9-25-6.png

         図2 日中の1人当たりGDPの予測(単位ドル・筆者試算)

 図2は、この成長率が将来も続くとした場合の結果だ。中国の1人当たりGDPは、2032年に日本のホボ2分の1に為る。そして、中国が日本と同じ豊かさに為る「Xデイ」が訪れる。図2によれは、それは2046年だ。
これは、それ程遠い未来のこととは言え無い。現在の日本人の8割位の人々は、生きて居る間に、Xデイを経験する事に為るだろう。
 同じ趨勢が続くとすれば、その後は、中国の方が豊かな国に為る。2060年には、日本のホボ2倍に為る。なお、この時点では、中国の値はアメリカの水準をも抜いて居る。

 以上は過去のトレンドが続くとした場合のものだから、これとは違う結果に為る事は十分在り得る。実際、OECD予測では、2040年における中国の一人当たりGDPは、日本のそれの6割程度だ。2060年に為っても、未だ日本の方が高い。(Economic Outlook No 95 - May 2014 - Long-term baseline projections)
 米中貿易戦争で中国の経済成長率が大幅に鈍化すれば、Xデイの実現は先に為る。日本が構造改革に成功し、新しい産業が登場して経済成長率が高まれば、矢張りXデイは先に為る。 (或は回避出来るかも知れ無い)しかし、これ迄のトレンドが続けばXデイは避けられ無い。







 出稼ぎ労働の方向は逆転する

 中国の成長率が高いことは広く認識されて居るが、飽く迄も「中国は日本より貧しい」と云う大前提の下のものだ。中国が日本より豊かに為ればこの大前提が覆えされる。2つの地点の高さが逆転すれば、水の流れの向きは逆に為る。それと同じ事が起きるのだ。Xデイの到来は、まさにパラダイムの転換であリ、様々な面で日中関係に大きな質的変化をもたらす。

 第一は労働力の国際間移動だ。人口高齢化によって、将来の日本が深刻な労働力不足経済に突入することは好く知られて居る。これに対処する手段として、高齢者や女性の労働力率の引き上げが考えられる。こうした事は行われるべきだ。しかし、これ等の実現の為には様々な支援策等が必要であり、手放しで簡単に実現出来る訳では無い。
 そこで、外国人労働者の受け入れ拡大が不可欠に為る。この必要性は認識されて居り、2018年には、出入国管理法が改正されて、新しい受け入れ枠が作られた。但し、多くの日本人は、日本が受け入れ枠を拡大すれば、外国人労働者が増えると考えて居る。しかし、これは甘い考え方だ。何故なら、日本の賃金が高いからコソ、外国人労働力を呼び寄せられるからだ。日本の賃金の方が低く為れば、外国人労働力は来無い。これ迄述べた様に、日中間においてこれは現実の問題と為る。

 処で、現在、日本の外国人労働力の最大の供給源は中国である。

 (2018年10月で外国人労働者数は 1,460,463 人。内、中国が389,117 人で、全体の 26.6% 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)

 従って、中国人労働者を得られ無く為る事の影響は大きい。ベトナム等東南アジアからの労働者が期待されるかも知れないが、そうした人々は中国に行くだろう。中国の方が豊かに為った時代には、日本人が中国に出稼ぎに行か無ければ為ら無い事態に為るかも知れない。
 こう為った場合に、日本の労働力問題は、現在予想されて居るよりも更に厳しく為るだろう。若い人口が日本から居なく為れば、社会保障の維持も更に困難に為るだろう。







 豊かさの逆転で日本国内の秩序が撹乱される

 中国の方が賃金が高く為れば、中国に立地して居る日本の製造業は、低賃金労働を享受出来無い事に為る。寧ろ、日本が低賃金労働を提供する可能性がある。この結果、産業における日中間分業の姿は、現在とは可なり変わるだろう。貿易構造も変わる。

 予想される第二の問題は、中国人の行動によって日本国内の秩序が撹乱される事だ。観光公害は、日本各地で既に危機的状態に為って居る。京都・北海道・富士山周辺等では、外国人旅行客が住民の日常生活圏にも入り込んで来て居ると言われる。東京都心では、目抜き通りに観光バスが駐車し、大量の観光客が通りを占拠して居る。中国人の購買力が高まれば、こうした傾向がもっと一般化する可能性がある。
 影響は以上で見た事に限られ無い。不動産市場が撹乱される可能性は大きい。既に東京のタワーマンション等で、そうした事態が生じて居ると言われる。又、北海道のニセコ等の不動産が買占められて居るとも言われる。これ等に限らず、日本国内の不動産が広く購入されて居る可能性がある。

 中国人の富裕層は、資産を何とかして海外に持ちたいと考えて居る。中国国内では不動産の所有権を獲得する事が出来無いので、海外の不動産が標的と為る。だから、海外投資の傾向は今後も続くだろう。そして、中国人の購買力が増大に伴って、それが拡大する可能性がある。
 金融面でも支配される可能性がある。仮に中国資本が日本国債を大量に購入すれば、日本の金融政策も影響を受ける。株式市場も、中国からの投資で動かされるだろう。

 日本の直ぐ隣に、日本より豊かで10倍以上の経済規模を持つ国が出現すると云う事は、その一挙手一投足によって日本が振り回されると云う事なのだ。電子マネーアリペイが日本国内で広く使われる可能性もある。顔認証の為に顔情報を提供すれば、日本人の個人情報が中国に握られる。

 支配され無い為には強い経済力を持つ必要

 最近「日本は、我武者羅に成長し無くても好いではないか」と云う意見が聞かれる。「ソコソコの豊かさで満足すれば好いだろう」「世界の片隅であっても、静かに、自分達だけの社会を維持出来れば好い」と云う考えだ。そうした願望を理解出来無い訳では無い。
 実際、不動産市場等が撹乱される可能性を考えると、 鎖国して殻に閉じ篭りたい気持ちに為ってしまう。しかし、現実の国際社会では、そうした願望を実現するのは不可能だ。支配されず撹乱され無い為に必要なのは、事態に積極的に立ち向かう事だ。

 日本が自立を続けるには、強い経済力を持つ他は無い。


                  以上







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 【経済思考】過つて中国は「株式会社」を持た無かったが故に没落した




 【経済思考】過つて中国は「株式会社」を持た無かったが故に没落した


           〜現代ビジネス 9/24(火) 6:01配信〜


          9-25-1.jpg

                野口 悠紀雄氏

 〜中国は人類の長い歴史の中で、世界の先頭に在った。しかし、明朝の頃を境にして没落した。これは何故だろうか?「株式会社が無かったから」と云うのが私の考えだ。中国が日本を「豊かさ」で抜く、その時起きる戦慄すべき事態とは〜


 

 


 改革開放後の中国の成長は株式会社による

 現代世界で、経済活動を行ない、新しいフロンティアを開いて居るのは企業である。取り分け、株式会社と云う形態の組織だ。これが、大航海時代以降のヨーロッパ社会の成長を実現して来た。
 処が、中国には、長い歴史の中で、企業、特に株式会社が存在し無かった。文化大革命後の改革開放政策によって、中国に始めて株式会社と云う形態の社会組織が誕生した。これが中国の驚異的な発展を実現したのだ。株式会社が誕生し無かったら、中国の経済成長は有り得無かった。最近では、中国企業の発展は目覚ましい。日本の企業よりズッと活力に溢れて居る。
 株式会社の成長コソが、中国経済発展の本質なのである。従って、中国の経済発展を理解し、将来を予測するには、株式会社の役割を見る事が重要だ。

 何故この様な変化が起きたのか?それはどの様な役割を果たしたか?中国の企業は西側諸国の企業と同じものか?或は、表面的に似て居るだけで異質のものなのか?今後の中国企業は、どの様な方向に発展して行くのか?中国経済の問題を理解するには、これ等を明確にする事が何よりも重要だ。

 中世末期のイタリアで発明された会社組織

 株式会社と云う組織は、中世末期のイタリアで発明された仕組みを元にして居る。この頃、イタリア諸都市で、船舶所有者と出資者が「コンメンダ」と呼ばれる契約を締結する様に為った。これは、事業者と出資者で利益を分け合う仕組みだ。ヴェネツィアやジェノバでは「ソキエタス・マリス」と云う名称で、同じ様な仕組みが始まった。
 これ等の仕組みによると、多数の出資者を募る事が出来る為にリスクが分散される。コンメンダとソキエタスとは次第に結合されて、合資会社 (マグナ・ソキエタス) と云う形態に発展した。

 こうして、商人達が危険な航海に出資出来る様に為った。15世紀の末から始まるヨーロッパの大航海を可能にしたのは商人達の出資だ。歴史の教科書には、コロンブスの場合にはスペインのイサベラ女王が、マゼランの場合はスペイン王カルロス1世が、航海のパトロンに為ったと書いて有る。しかし、王室だけで航海費用を賄えた訳では無い。
 大航海時代の最初の頃、王室のサポートは、多分に「お墨付き」の性格が強かったと思われる。シュテファン・ツヴァイクの『マゼラン』 (みすず書房1998年)によると、マゼランは、スペイン王室に対して「私が必要とするのは資金では無いのです。スペインの国旗の下に航海しても好いと云う栄誉だけを頂きたい」と言って居る。

 マゼランの航海を資金面で支えたのは、セビーリャの回漕問屋クリストファ・デ・アロだった。スペインの御前会議は「アロの様な老獪(ろうかい)な事業家が私財を継ぎ込む事を見れば、利益が特別多いに違い無い」と考えて王室財産の投資を決めたのだ。
 16世紀初頭に為っても、ポルトガル王室はインドに送る船団の費用の4分の1未満しか準備出来ず、残りはジェノバや南ドイツの商人から借りた。大航海は、地中海貿易に比べて遥かに危険な企てだった。最初は目的地迄のルートが在るかどうかさえ分から無い航海だったのだから、信じられ無い程リスクが高かった。これ程大きなリスクから出資者を守るには、これ迄述べた様な仕組みが不可欠だったのだ。







 ヨーロッパ型国家の原型はローマ共和国

 以上で見た様に、ヨーロッパ型の国家と中国では、社会の基本的な仕組みが違う。では、株式会社を生み出したヨーロッパ型国家の基本的な性格とは、具体的にはどの様なものか?ヨーロッパの中世を支配したのはカトリック教会であり。これは、或る種の官僚組織だ。
 しかし、ルネサンス以降のヨーロッパ国家の原型と為ったのは、カトリック教会では無く、古代のローマ帝国だ。その基本形は、帝国に為る以前のローマ共和国に見られる。これは、小さな官僚機構しか持た無い分権国家であり、商業的な利益を守るのがその基本的な性格だ。アウグストゥスが築いたローマ帝国は、この理念を現実化したものだ。「帝国」と云う名とは裏腹に分権国家だったのだ。(アウグストゥス自身は、「帝国」という言葉を避けている)
 
 ローマ帝国は滅びたが、その後のヨーロッパに誕生した国家は、フランスやスペインを除けば、基本的にはローマ共和国的な性格の国家であり経済的利益を重視した。取り分け、イングランド・オランダがそうである。神聖ローマ帝国(ドイツ)も極めて分権的な国家だ。又、国家では無いが、ハンザ同盟の様な商業都市の連合体もあった。この様なヨーロッパ型国家が、株式会社を作り大航海を実現したのだ。
 ヨーロッパの大航海は、新しいフロンティアを求めた。それは商業的利益の追求に導かれたものではあったが・・・と云うよりは、商業的利益に導かれたものであった為に世界を大きく変えた。この流れが産業革命をもたらしたのだ。

 産業革命以降の時代は、株式会社によって切り開かれた。 株式会社が無ければ、産業革命が世界を変える事は無かっただろう。この様に、大航海時代以降の世界史をリードして来たのは、中国的な理念では無くローマ共和国的理念だった。
 この為、ローマ共和国の理念は、単にヨーロッパ社会やアメリカだけでは無く、人類的な普遍性を持つものに為った。アメリカ建国の父達は、ローマ共和国を理想国家像とした。アメリカ合衆国は、ローマ共和国の再現を目的とした。だから、アメリカの基本思想と中国の基本思想は本来は決して相容れ無いものだ。

 では、改革開放後の中国に登場した株式会社は、中国社会の基本的性格が、長い歴史を持つ「中国的」なものから変質して居る事を意味するのか?それとも、それは、ヨーロッパで生まれた株式会社とは表面的に似て居るだけで、本質的には異質のものなのか?これコソが、人類の未来を決める重要なポイントだ。


            野口 悠紀雄   以上






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2019年09月24日

技能実習制度の闇 奴隷労働を放置し加害雇用主を罰せず




 


 

 技能実習制度の闇 奴隷労働を放置し加害雇用主を罰せず
 
 被害者の実習生を罰する日本政府

          〜HARBOR BUSINESS Online 9/24(火) 8:31配信〜


 人権侵害が相次ぐ東京入管

 〜現在、日本で働く外国人労働者が増加して居る。特にアジアの途上国から多額の借金をして日本に出稼ぎに来る技能実習生と留学生が急増して居る。だが、夢見た日本で待って居るのは「奴隷労働」である〜

 保守言論誌『月刊日本』では、保守の立場からこの問題を常に追及。前号9月号から、定期的に連載を始めた。その第一回が、1か月の給料がマイナス2万円の明細書と云う衝撃的な実態であった。「低賃金」処か「無賃金」と云う奴隷労働の実態。10月号掲載の第2回は、技能実習制度に焦点を当て、奴隷労働の実態をデータから浮き彫りにして居る。

 国連と米国から「奴隷労働」と批判される技能実習制度

 読者の中には「奴隷労働とは大袈裟では無いか」と思われる方が居るかも知れない。しかし、それは本誌の独断では無い。実は、日本の「奴隷労働」は10年前から国際的に問題視されて居たのである。2009〜10年に国連の特別報告官が訪日調査の結果をまとめたレポートを発表して居る。重要な部分を引用しよう。

 ・研修生や技能実習制度内での虐待がある……人身取引に相当する様な条件での搾取的な低賃金労働に対する需要を刺激して居るケースも多く見られる。
 ・研修・技能実習制度は、往々にして研修生・技能実習生の心身の健康・身体的尊厳・表現・移動の自由等の権利侵害と為る様な条件の下、搾取的で安価な労働力を供給し、奴隷的状態に迄発展して居る場合さえある。


 実習生は「奴隷的状態」で「人身取引」(人身売買)に当たる様な条件での労働を強いられて居たと云う事だ。これは過去の話では無い。米国務省人身取引監視対策部が発表して居る「人身取引報告書」は、次の様に指摘している。

 ・主にアジアからの移住労働者は男女共に、政府の技能実習制度を通じた一部の事案を含め、強制労働の状態に置かれて居る(2016年)
 ・技能実習制度における労働搾取を目的とする人身取引犯罪の可能性に関して、非政府組織からの報告や申し立てにも関わらず、政府は、如何なる技能実習生も人身取引被害者として認知せず、又技能実習生の使用に関わった如何なる人身取引犯も人身取引犯として訴追する事は無かった(2017年)


 実習生は「強制労働の状態」に置かれて居り、その背後には「技能実習制度における労働搾取を目的とする人身取引犯罪の可能性」があるが、日本政府はそれを無視して居ると云う事だ。
 そもそも技能実習制度の仕組みは人身売買的である。実習生は「送り出し機関(本国)監理団体(日本)受け入れ企業(日本)」と云うルートで送り出される仕組みに為って居るが、実際には現地のブローカーから送り出し機関に送られる場合も少なく無い。詰まり、実習生は先ずブローカーから送り出し機関に「売られ」次に送り出し機関から監理団体に「売られ」最後に監理団体から受入企業に「売られる」と云う事だ。

 技能実習制度そのものが「二重、三重の人身売買」と言えるが、その過程で実際に「人身取引犯罪」が行われて居る可能性が指摘されて居るのだ。引用を続けよう。

 ・報告によれば、技能実習生の中には、契約した職場での虐待的環境から逃れた事により、在留資格に違反する事に為り、失業中の身で人身取引の被害を受け易く為った者も居た(2018年)
 ・これらの労働者の中には、移動の自由を制限され、パスポートを没収され、強制送還の脅しを受け、その他の強制労働の状態に置かれた者も居た……報告によると、契約を結んだ技能実習の仕事から逃れた実習生の中には、性的搾取目的の人身取引の被害者に為る者も居る(同)



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 実習生は実習先の受入企業で「強制労働の状態」「虐待的環境」に置かれて居るが、そこから逃げ出した後で実際に「人身取引」の被害者に為るケースが在ったと云う事だ。法務省によると、人身取引の被害者数は2016年21名、2017年20名、2018年9名である(被害者の国籍はフィリピン・タイ・ベトナム・モンゴル・カンボジア)
 日本の技能実習制度において「人身取引犯罪」が行われて居る可能性があるが、何れにせよ実習の現場では「奴隷的状態」「強制労働の状態」「搾取的な低賃金労働」「虐待的環境」が蔓延して居り、そこから逃げ出した実習生が「人身取引の被害者」に為った実例もある。技能実習制度の実態は「犯罪的」処か「犯罪」そのものでは無いか。







 奴隷労働を放置する政府
 
 しかも、そもそも技能実習制度は国の制度では無いか。国際貢献を目的とする国の技能実習制度が「人身売買制度」「奴隷労働制度」に為って居るとは笑え無い冗談である。国の制度管理はどう為って居るのか。
 国際的な批判を請けて、政府は2016年に「技能実習法」(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)を制定した。この取り組みは評価出来るが、実効性は乏しい。具体的なデータを見てみよう。

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 技能実習制度の所管官庁は法務省と厚労省であり、監理団体や実習実施者(受け入れ企業など)を監督して居る。しかし、その対応は全く不十分だ。
 法務省は監理団体や実習実施者に対して「不正行為」の通知や「行政処分」を行って居る。同省によると、これ迄に「不正行為」を通知した監理団体、実習実施者の数は273(2015年)239(2016年)、213(2017年)又、現在迄に法務省が公開した「行政処分」は、実習実施者に対する改善命令3件、認定取り消し11件、監理団体に対する認可取り消し1件である。
 技能実習生が劣悪な実習先から逃げ出す失踪は年々増加して居るが(後述)、それに反して「不正行為」の通知は減少して居る。「行政処分」の件数も少な過ぎる。法務省は真面目に制度を管理して居るのか。

 一方、厚労省は実習実施者に対する監督指導を行って居る。同省によると、2018年に全国の労働基準監督機関が行った監督指導は7334件、その内5160件(70・4%)で労基法違反が認められ、19件が送検された。2017年は5966件、そのうち4226件(70・8%)が労基法違反、34件が送検。2016年は5672件、その内4004件(70・6%)が労基法違反、40件が送検。
 労基法違反の内、主な違反は労働時間・安全基準・賃金・割増賃金の支払い等だった。或る縫製業の事業場では、実習生6名に対して10か月間、月平均178時間の時間外労働を行わせる一方、賃金は半年以上全く支払わず、未払い賃金の総額は約1000万円に上って居たと云う。この事例は送検されたが、その後の経緯は不明である。

 詰まり、技能実習の現場では過去3年で1万3390件の労基法違反があり、少なくとも数万人の実習生が労基法違反の状態で働かされて居たと云う事である。しかし、労基法違反の件数に対して送検の件数が少な過ぎる。これでは労基法違反を抑止する処か助長するだけではないか。
 今年5月、岐阜労基署は最低賃金法違反等の疑いで岐阜市の縫製会社社長を逮捕したが、弁護士によると、労基法違反での逮捕は極めて珍しく、年間数件程度しか無いと云う。圧倒的大多数の違反者は野放しかお咎め無しだと云う事だ。

 法務省は監理団体や企業は全くと言って好い程取り締まって居ないが、その一方で劣悪な労働環境から逃げ出した実習生はドンドン摘発して居る。2016〜18年の過去三年間で、実習先から失踪した実習生は5058人・7089人・9052人と年々増加して居り、それと連動して元実習生の不法滞在者も6518人・6914人・9366人と増え続けて居る。一方、過去3年間で退去強制措置が取られた元実習生は3343人・3146人・3461人である。
 失踪者、不法滞在者が急増して居るが、強制退去者は横バイであり、法務省の対応が追い付いて居ないと云う事だ。だが、法務省が確りと監理団体や企業を取り締まって居れば、これ程失踪者らが増える事は無かった筈だ。







 日本人加害者を罰せず、アジア人被害者を罰する

 前出の「人身取引報告書」は、この様な日本政府の対応を問題視して居る。

 ・技能実習生の強制労働に関与した者に有罪判決を下したと云う政府報告は何も無かった(2018年)
 ・当局は、契約している機関での強制労働やその他の虐待的環境から逃れて来た技能実習生、特にベトナムからの実習生を引き続き逮捕し、強制送還した(同)

 
 日本政府は強制労働をさせた日本企業を罰せず、強制労働から逃げ出した実習生を逮捕・強制送還して居ると云う事である。詰まり、技能実習制度では日本人の加害者が罰せられず、外国人の被害者が罰せられて居るのだ。日本は政府と企業が一体に為ってアジアの若者達を文字通り使い捨てて居るのである。

 これまで技能実習制度が「奴隷制度」と化して居ると指摘して来た。だが、或る面では、実習生は奴隷よりも酷い扱いを受けて居る。一口に奴隷と言っても時代や地域、様態によって様々であり、一概に言う事は出来無いが、主人に取って奴隷は「貴重な労働力」であり「重要な財産」として大切にされる事が在ったのも事実である。しかし企業に取って実習生は「安い労働力」に過ぎず「交換可能な消耗品」として使い捨てられて居る。これは一部の奴隷より酷い扱いである。

 技能実習制度は必ず将来に禍根を残す。現在、日本は戦時中に朝鮮人に強制労働をさせた「徴用工問題」に直面して居るが、技能実習制度は「現代の徴用工問題」であると言っても過言では無い。
 或る支援者は「今日本は国策として『親日』のアジア人を『反日』に変えて送り返して居るのです」と嘆いて居た。「反日」と云う俗語は使いたく無いが、現状では将来的にアジアの国々が「反日」に一変するのは必至である。このママでは、21世紀の日本は「アジアの孤児」に為るしか無い。



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 取材・文/月刊日本編集部

【月刊日本】げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

        ハーバービジネスオンライン    
以上


 




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山口二郎氏水野和夫氏による平成史を総括



 

 ゼロから分かる「日本の格差社会」その元凶と絶望的な「未来予想図」


             〜現代ビジネス 9/24(火) 11:01配信〜


 




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                   山口二郎氏

 平成史を総括

 〜行動する政治学者の山口二郎氏と金融実務に通暁したエコノミストの水野和夫氏による『資本主義と民主主義の終焉』は、平成史を総括する優れた対談本だ〜

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                エコノミストの水野和夫氏

 ・・・山口氏は、田中角栄元首相の系統の自民党経世会が20世紀型の利益誘導政治のヒナ形を作って居た事に付いてこう説明する。

 20世紀型利益誘導政治は、経世会の政治家が頑張って、大蔵省や建設省(現・国土交通省)や農林水産省の官僚を動かし、地元にカネを引っ張って来ては、道路や橋等の公共工事を行なうと云うものです。それ等は成果物として、地域の人達の目に見えるモニュメントに為って行く。その一方で、無駄な公共事業を抱え、財政赤字は膨らんで行きました。
 21世紀に入ると、小泉は旧来の自民党の象徴であり、本丸でもあった経世会を攻撃する事で、このシステムを解体して行きます。そして、新たな利益誘導型政治が始まるのです。


 ・・・小泉純一郎政権によって行われた改革は、利益誘導政治の根絶では無かった。規制緩和と云うスローガンで、裨益する人々を変えた新たな利益誘導政治だったのだ。
 
 21世紀型利益誘導政治は、政府が経済に関わらずに純粋な市場経済を作るのでは無く、ルールを変える事に依って特定の人達がもっと儲かる様にして行くシステムです。その典型例が、雇用です。労働基準法、職業安定法等の雇用に関する規制を緩和する(ルールを変更する)事で、雇用の流動性が生まれましたが、不安定な非正規雇用が増え、経営者等強い者が益々儲かる様に為って行くのです。
 21世紀型利益誘導政治は、20世紀型とは異なり、カネの流れは余り目に見えません。ルールを変えるのですから、明らかに不公平ですが、政治的な力を使って特定の集団にカネを挙げる訳ではありません。市場におけるモノやサービスの取引を通して、特定の処に利益がより多く流れる仕組みを作るのです。これが、新自由主義的な構造改革のひとつのポイントです。


 ・・・山口氏のこの分析に評者も賛成だ。小泉政権は規制緩和による経済成長を実現し、税収を増やすと云う目標を立てた。水野氏は、この目標が達成されて居ないことを実証的に明らかにする。

 歳入の基本と為る税収は1990年度の60.1兆円がピークであり、約30年後と為る2018年度は59.1兆円(予算ベース)と、これを若干下回って居ます。この間、名目GDPは451.7兆円(1990年度)から548.9兆円(2018年度)に拡大して居ますから、税収の源である経済規模は大きく為って居るにも関わらず、税収は増えて居ない。詰まり「小さな政府」による財政再建とは名バカリの政策だったのです。


 




 ・・・財政再建は出来ず、国の借金は益々増えて行った。
 
 山口先生のご指摘通り、小泉政権は強者が更に勝つルールを作って行きました。非正規雇用を増やすと云う事は、企業が負担して居た社会保障負担を減らすと云う事です。その分を誰も補填し無ければ、これはタダタダ非正規社員が自己責任でリスクを被ると云う事に為ります。
 2016年の非正規社員の平均年収は175.1万円ですが(国税庁「民間給与実態統計調査」より)、これでは、個人年金に入る等、老後資金を蓄えること等、到底無理です。国民年金しか入る事が出来ません。


 ・・・と水野氏は指摘する。国民年金だけで老後に尊厳を持った文化的生活をする事は出来無い。個人によって資産を蓄える余力の無い人は、生活保護に頼る他無い。しかし、そう為ると生活保護費が膨らみ、財政赤字が一層拡大する。水野氏は、日本政府の租税政策が富裕層を優遇して居る点に着目する。

 所得税の最高税率は、1983年まで75%でしたが、その後は段階的に引き下げられ、1999年には37%と大幅に低下しました(2019年現在45%) この様に、2000年代前半は、労働者側が経営者・資本家側に大敗北を喫し「社会的弱者」「持たざる個人」と為った時代と総括出来ます。その背景に、小泉首相・竹中平蔵が進めた新自由主義に基づく政策があった事は間違いありません。
 最も、最高税率75%の累進課税を課し続けて居たならば、ヒト、モノ、カネの動きが自由なグローバリゼーションが進んだ状況で富裕層は最高税率の低い外国に移住してしまう。45%の最高税率でも、年間5億円を超える収入がある超富裕層は日本に留まら無い。超富裕層から着実に徴税する為には、最高税率を極度に上げる事は出来無いのである。
 法人税に関しても、同じ事が言える。そもそも新自由主義における自由の主体は、一般市民では無く、巨大な資本を持った企業だ。従って、改革路線は全て企業寄りに為る。何れに背よグローバリゼーションと云う条件の下では、所得税や法人税の増税と云うシナリオは取り難い。

 現実的には、消費増税によって、社会保障や教育を充実すると云う政策しか無いのであるが、日本は増税に対する抵抗感が極端に強い。増税による福祉や教育の充実を唱える候補者は、選挙で落選する可能性が高い。この様な状況で、日本政府が取る事の出来る現実的な政策としては、国債発行しか残されて居ない。
 子育てや教育に関しては、裨益する子供達が30年後に返還すれば良いとの理由で、教育国債が導入される可能性が十分あると評者は見て居る。イノベーションによる飛躍的な経済成長の可能性が低い現状で、日本が袋小路から脱出する為の方策を誰も見出す事が出来て居ない現状が本を読むと好く判る。



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     『週刊現代』2019年9月14・21日号より 佐藤 優    以上














不合理極まり無い軽減税率 大企業優遇の不公平な税制が加速する




  不合理極まり無い軽減税率 大企業優遇の不公平な税制が加速する



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      〜HARBOR BUSINESS Online <早川忠孝氏> 9/23(月) 8:32配信〜


 消費税増税は日本経済に大打撃を与える

 イヨイヨ10月から消費税が引き上げられる事に為る。消費税は、1989年4月1日に3%で導入され、1997年に5%に、2014年に8%に引き上げられて来た。導入当時「直間比率の是正が必要」「税金は薄く広く負担すべき」と言った議論が展開された。
 だが、元々消費税は格差拡大型の税制だ。所得が少無い人程所得に占める消費税の割合は上がるからだ。そして、消費増税は法人税引き下げによる税収減を補う為に推進されて来たのだ。

 このママ庶民の所得を大企業に奪われる様な税制を放置すれば、消費は更に冷え込み、五輪特需の反動で日本経済は奈落の底に叩き落されるだろう。『月刊日本 10月号』では「消費税のカラクリ 貴方の所得が大企業に奪われる」として、消費税に関する特集記事を組んで居る。同特集の中から、元衆議院議員であり弁護士である早川忠孝氏の軽減税率に関する論考を紹介しよう。


 不合理極まり無い新聞への軽減税率適用

 ・・・消費増税に伴って軽減税率が導入され、10%と8%の2種類の税率が混在する事に為ります。例えば、酒類に分類されるみりんは10%に為り、アルコール度数が低いみりん風調味料は8%。又、ファストフード店でハンバーガーとドリンクのセット商品を購入し、ハンバーガーは店で食べてドリンクだけ持ち帰った場合には、軽減税率が適用されません。消費者は混乱します。

 軽減税率の導入は何の合理性も無い愚策です。複雑な税制を導入して喜ぶのは、IT事業関連業者や税理・会計業務に関わって居る人達だけでしょう。私は軽減税率が何とか撤回される事を期待して居ましたが、最終的に導入される事に為ってしまいました。

 ・・・8月24日付の主要全国紙・地方紙には「今、軽減税率対応のレジを導入すればレジ・システム補助金が使えます」と云う全面広告が一斉に掲載されました。経済産業省、中小企業庁の連名広告です。7〜8月だけで、企業向け消費税対策広告に15億円もの税金が使われました。

 合理性の無い軽減税率導入の為に、余計なコストが発生した事は否定出来ません。只、決まった事ですから、少しでも混乱を避ける為に知恵を絞り、順応して行くしかありません。

 ・・・何故混乱を招く軽減税率を導入する事に為ったのですか。

 軽減税率は、庶民の味方と云うイメージをアピールしたい公明党が、可なり早い時期に言い出したものです。自民党は、消費増税に対する公明党の支持を得る為に、公明党に配慮する形で軽減税率導入に踏み切ったと云う事です。公明党としては「公明党には政治を変える力がある」と云う事を支持者にアピールする事が出来ました。
 新聞への軽減税率適用も不合理極まり無い事です。これも又公明党への配慮と同じ構造です。政権は新聞の消費増税反対論を封じ込める為には、新聞に軽減税率を適用する必要があると判断したのでしょう。軽減税率を適用して貰った新聞は、政権を批判し難く為ったと指摘されて居ます。政権に対する新聞の忖度を強めた可能性はあります。

 ・・・消費増税に伴い「ポイント還元策」も導入され、キャッシュレス決済の場合には5%又は2%のポイントが還元されます。中小企業や個人が経営する小売、飲食等は5%還元で、コンビニ等のフランチャイズチェーンは2%です。
 同じ食品を買っても、キャッシュレスで買うか現金で買うか、又何処で買うか、更に店内で食べるか待ち帰るかによって、10%、8%、6%、5%、3%の5段階の複数税率が併存する事に為ります。


 ポイント還元は、キャッシュレス決済を普及させたい財務省の意向に沿ったものだと思います。財務省は、マイナンバーの導入と合わせ、電子マネーの普及によって資産の隠匿や脱税が容易に出来無い様にしたいと考えて居るのです。

 納税を逃れる大企業

 ・・・消費増税自体についてはどう考えて居ますか。

 私は消費税引き上げ、法人税引き下げと云うこれ迄の税制の流れに付いて、それ程大きな疑問を抱く事はありませんでした。しかし、今回の参院選で「れいわ新選組」の山本太郎氏が消費税廃止を掲げ、税の問題について正面から問題提起しました。
 これ迄は消費税に対する厳しい批判は与党からも野党からも出ませんでした。ソモソモ今回の消費増税は民主党の野田佳彦政権時代の2012年に決められたものです。その為、民主党の流れを汲む野党からは、ナカナカ消費税に対する批判が出て来ませんでした。

 そうした中で、山本氏は消費税が庶民の生活を圧迫して居ると明確に述べました。そして、大企業が税金を払って居ないと指摘し、富の集中が進んで居る事を厳しく批判しました。こうした議論を聞いて、私自身も反省する処がありました。当然の様に、安定的な税収を確保する為には、消費増税は避けられ無いだろうと考えて来ました。
 又、間接税の方が公平だと信じて居ました。又、法人税を下げないと、日本企業が海外の企業との競争に敗けてしまうと云う強迫観念を持って居ました。しかし、改めて税制に付いて考え直し、認識が変わりつつあります。大企業に有利な税制を進め過ぎたのではないか、経済界の要望を受け入れ過ぎたのではないかと。

 我々は、企業優遇税制と言われる租税特別措置による政策減税を進めて来ましたが、その結果抜け穴が大きく為り過ぎて、大企業が納税し無いで済む状況をもたらしてしまった。又、輸出業者には消費税が還付される「消費税還付制度」があります。
 利益を上げて居る大企業はキチンと税を負担すべきだと思います。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表される巨大IT企業に対しても、その税逃れを許してはいけ無いと云う国際的な世論が高まって居ます。G20も、巨大IT企業の課税逃れを防ぐ国際的な「デジタル課税」の統一ルール取りまとめを進めようとして居ます。

 次の衆議院選挙で、野党は消費税5%引き下げを掲げて戦う事に為るかも知れません。税の在り方が本格的な議論に為るでしょう。これ迄の税制が本当に公平だったのか、改めて議論をすべきときだと思います。


  (聞き手・構成 坪内隆彦) <記事提供元/月刊日本> 

早川忠孝 自民党所属の前衆議院議員 現弁護士。司法、行政、立法が連動し、協働する社会を目指して読者参加型のブログ『弁護士早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」』を毎日更新中

【月刊日本】げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。


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