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2016年11月20日
【紹介した作品の新刊発売情報】鬼灯の冷徹 第23巻 他7作品
2016年11月21日〜11月27日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。
鬼灯の冷徹 第23巻 2016年11月22日発売
鬼灯の冷徹の過去記事はこちら
鬼灯の冷徹 シロの足跡(1) (KCデラックス なかよし)
鬼灯の冷徹 シロの足跡 第1巻 2016年11月22日発売
マージナル・オペレーション 第7巻 2016年11月22日発売
マージナル・オペレーションの過去記事はこちら
僕のランチを邪魔するな! 第2巻 2016年11月22日発売
僕のランチを邪魔するな!の過去記事はこちら
ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。 第3巻 2016年11月22日発売
ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。
ろんぐらいだぁす! 第8巻 2016年11月26日発売
ろんぐらいだぁす!
試し読みをして気になった作品もふたつ紹介します。
ソフトメタルヴァンパイア 第01巻
著者:遠藤浩輝
掲載:アフタヌーンKC
2016年11月22日発売
世界の支配権は人類の手から離れ、「彼ら」の統制によって世界は成り立っていた。
銀を自在に操る力を持つ斎美井香は、父から「その力を誰にも見せるな」と言われていたが、彼女が10歳になる頃にはその力は消えていた。時を同じくして、新たな支配者によって銀の所有・採掘・加工・流通・販売が世界中で禁止され、国家が所有していたプルトニウム・ガリウム合金も姿を変え、今では人々の頭上を回っていた。
いつも通りの朝を迎えた美井香は、学校に登校する途中謎のイケメンと出会い頭にぶつかり、直後「僕の子供を沢山生んでくれるかい?」と告白される。変態をハイキックで撃退し学校に急いだ美井香だったが、転校生としてやってきた彼と再び出会い、今度は結婚を申し込まれることに・・・。この少女と少年の出会いが世界を変える。
吸血族(ヴァンピール)の統制下で平和に暮らしていた少女が、吸血族の少年・アラン砂辺と出会ったことを皮切りに命を狙われ、平穏な日々から残酷で過酷な世界へと飛び出していく話。
『オールラウンダー廻』の著者・遠藤浩輝さんによるSFファンタジー作品。前作もそうでしたが、またガラっとジャンル変えてきましたね。
人類が吸血族(ヴァンピール)という種族の統制下にある世界。人間は採血を義務づけられていること以外はいたって普通に生活してますね。吸血族は「窒素族使い」「炭素族使い」など元素を操る能力を有しているようです。
主人公の美井香は恐らく吸血族が苦手とする銀を操ることから命を狙われてると思われます。作中の表記からすると銀使いではなく、「銅族使い」になるのかな?幼い頃にその力は消えたようですが、人間の彼女がなぜ使えたのかは不明。
久々に食パン加えて「ちこく、ちこく」からの出会い頭にイケメンとぶつかるという構図を見ました。このイケメン少年・アランがとんだ変態少年だったことで、その後の展開はおまわりさん呼ばれてもおかしくない展開になったわけですけど。
元素など化学を交えてはいますけど難しい話ではなく、むしろテンポよく進むので分かりやすく読みやすかったですね。もちろんまだ分からないことだらけではありますが、ユニークなキャラと続きが気になる物語は面白かったです。グロ描写あるので苦手な人は注意。
試し読みはアフタヌーンさんのサイトで1話配信しています。
初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス)
初めて恋をした日に読む話 第01巻
著者:持田 あき
掲載:マーガレットコミックス
2016年11月22日発売
春見順子、31歳独身。東大に落ち、就職活動に失敗し、31になっても家を出ず、ぼんやり予備校講師を務め、適齢期に焦ってなんとなく付き合っていた男性にも振られてしまった厄年女性。受験に失敗してからは情熱も目標も失い、母親とも決まづい関係になり、気づけば自分からは何もできない31歳になっていた。自分の人生はこのまま何もないまま終わってしまうと思っていた順子は、ある日バイクに乗った不良の匡平(きょうへい)と出会う。後日務めている塾で父親に連れられた匡平と再会した順子は、父親の息子に対する言動に反発して言いたい放題言っててしまったことでクビを覚悟するのだが・・・。
情熱も夢も目標も男も失くした31歳の女性予備校講師と、予備校にやってきた不良少年との・・・・・何でしょ?1話の時点ではどういう展開に持ち込むのかはちょっと分かりませんね。
講師として生徒と共に東大を目指す物語、あるいはその過程で芽生える年の差恋愛を描いた物語、主人公が青春時代に置いてきた情熱とやり残したことを取り戻す物語、このあたりですかね。
主人公の順子は恋も仕事も勉強もやりきれなかった後悔から、「あの頃に戻ってやり直したい」という思いを強く持つ女性です。情熱を無くしていた順子ですが、匡平に対する彼の父親の言動に激しく反発してしまい、クビを覚悟したこときっかけに今度こそ一生懸命がんばろうと決意。決意を新たにしたところに、予備校には入らないと父親に反発していた匡平が現われ、「俺を東大に入れてくんない?」と言い入学?かな。
話のテンポが良く、シリアスとコミカルのバランスもちょうどいいバランスで読みやすいですね。順子と匡平の家族関係や過去の後悔などにより暗く重い話になりそうになるんですが、綺麗な絵と明るいギャグとノリで明るさと爽やかさを出していました。
2人は今後どんな関係になっていくのか、情熱も目標も亡くしていた順子は匡平と関わることでどう変わるのか、続きが楽しみですね。
試し読みは集英社Cookieさんのサイトで1話配信しています。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。
鬼灯の冷徹 第23巻 2016年11月22日発売
自身のルーツを求めてエジプトに渡り、バステト神と意気投合! かと思えば、ボリウッド映画を完コピしようとしてギックリ腰になっちゃったり…。宋帝庁の看板猫は今日もとってもマイペース! 特にフィーチャーしようとしたわけでもないのに、漢さんの存在感が何故だか際立つ23巻! (Amazonより引用)
鬼灯の冷徹の過去記事はこちら
鬼灯の冷徹 シロの足跡(1) (KCデラックス なかよし)
鬼灯の冷徹 シロの足跡 第1巻 2016年11月22日発売
累計1000万部超え!アニメ化大人気作品、初の公式スピンオフがついに発売!「鬼灯の冷徹」の世界の中でも人気の地獄の獄卒犬・シロを中心とした、キャラクターたちのシュールでブラックな4コマ&ショートストーリーがついに登場! ファンなら絶対必読です。柴もなか先生×江口夏実先生のスペシャルコラボ企画も収録! (Amazonより引用)
マージナル・オペレーション 第7巻 2016年11月22日発売
少年兵、少女兵を活用し、合理的なオペレーションで生き抜いてきたフリーランスの庸兵指揮官「子供使い」。もとニートの日本人青年・新田良太(通称アラタ)は、はずみで入社した軍事企業の赴任先、中央アジアで未来のない少年兵たちと出会って以来、子供たちが戦うことなく暮らしていける世界を模索する。タイでスラムの子供たちを食い物にする悪徳業者から救い、自分たちの部隊へのリクルートを依頼されたアラタは苦悩する。 (Amazonより引用)
マージナル・オペレーションの過去記事はこちら
僕のランチを邪魔するな! 第2巻 2016年11月22日発売
それでも邪魔(つまみ食い)せずにはいられない。 おいしいランチにすべてをかける、男子高校生 米田育。けど、群がるはらぺこ共とのランチが妙に恋しかったり、料理を教えちゃったり、ダイエットに最適レシピを作ってあげたり…。なんだかんだで、彼らに邪魔される日々をおたのしみ中なようで。
「10分ハンバーグ」「チキン南蛮サンド」「いちごのミルフィーユ」「ヘルシー担担麺」etc...今回もハラペコまっしぐらなレシピ目白押し!
米田のつくる絶品ランチを召し上がれ☆ (ガンガンONLINEより引用)
僕のランチを邪魔するな!の過去記事はこちら
ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。 第3巻 2016年11月22日発売
「私はこの距離を詰めたいのか? 誰と? これと?」 上司のお世話で苦労が絶えない、サルガタナス。女性にだらしのないアスタロトに振り回されながらも、ある日ふと二人の距離について考える…。
ゆるふわ魔界の日常4コマ、密かに恋も進行中!? (ガンガンONLINEより引用)
ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。
ろんぐらいだぁす! 第8巻 2016年11月26日発売
まったり楽しくロングライドしましょ♪
自転車女子の魅力が満載!
ゆるふわ系?自転車漫画♪ (一迅社WEBより引用)
ろんぐらいだぁす!
試し読みをして気になった作品もふたつ紹介します。
ソフトメタルヴァンパイア 第01巻
著者:遠藤浩輝
掲載:アフタヌーンKC
2016年11月22日発売
世界の支配権は人類の手から離れ、「彼ら」の統制によって世界は成り立っていた。
銀を自在に操る力を持つ斎美井香は、父から「その力を誰にも見せるな」と言われていたが、彼女が10歳になる頃にはその力は消えていた。時を同じくして、新たな支配者によって銀の所有・採掘・加工・流通・販売が世界中で禁止され、国家が所有していたプルトニウム・ガリウム合金も姿を変え、今では人々の頭上を回っていた。
いつも通りの朝を迎えた美井香は、学校に登校する途中謎のイケメンと出会い頭にぶつかり、直後「僕の子供を沢山生んでくれるかい?」と告白される。変態をハイキックで撃退し学校に急いだ美井香だったが、転校生としてやってきた彼と再び出会い、今度は結婚を申し込まれることに・・・。この少女と少年の出会いが世界を変える。
吸血族(ヴァンピール)の統制下で平和に暮らしていた少女が、吸血族の少年・アラン砂辺と出会ったことを皮切りに命を狙われ、平穏な日々から残酷で過酷な世界へと飛び出していく話。
『オールラウンダー廻』の著者・遠藤浩輝さんによるSFファンタジー作品。前作もそうでしたが、またガラっとジャンル変えてきましたね。
人類が吸血族(ヴァンピール)という種族の統制下にある世界。人間は採血を義務づけられていること以外はいたって普通に生活してますね。吸血族は「窒素族使い」「炭素族使い」など元素を操る能力を有しているようです。
主人公の美井香は恐らく吸血族が苦手とする銀を操ることから命を狙われてると思われます。作中の表記からすると銀使いではなく、「銅族使い」になるのかな?幼い頃にその力は消えたようですが、人間の彼女がなぜ使えたのかは不明。
久々に食パン加えて「ちこく、ちこく」からの出会い頭にイケメンとぶつかるという構図を見ました。このイケメン少年・アランがとんだ変態少年だったことで、その後の展開はおまわりさん呼ばれてもおかしくない展開になったわけですけど。
元素など化学を交えてはいますけど難しい話ではなく、むしろテンポよく進むので分かりやすく読みやすかったですね。もちろんまだ分からないことだらけではありますが、ユニークなキャラと続きが気になる物語は面白かったです。グロ描写あるので苦手な人は注意。
試し読みはアフタヌーンさんのサイトで1話配信しています。
初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス)
初めて恋をした日に読む話 第01巻
著者:持田 あき
掲載:マーガレットコミックス
2016年11月22日発売
春見順子、31歳独身。東大に落ち、就職活動に失敗し、31になっても家を出ず、ぼんやり予備校講師を務め、適齢期に焦ってなんとなく付き合っていた男性にも振られてしまった厄年女性。受験に失敗してからは情熱も目標も失い、母親とも決まづい関係になり、気づけば自分からは何もできない31歳になっていた。自分の人生はこのまま何もないまま終わってしまうと思っていた順子は、ある日バイクに乗った不良の匡平(きょうへい)と出会う。後日務めている塾で父親に連れられた匡平と再会した順子は、父親の息子に対する言動に反発して言いたい放題言っててしまったことでクビを覚悟するのだが・・・。
情熱も夢も目標も男も失くした31歳の女性予備校講師と、予備校にやってきた不良少年との・・・・・何でしょ?1話の時点ではどういう展開に持ち込むのかはちょっと分かりませんね。
講師として生徒と共に東大を目指す物語、あるいはその過程で芽生える年の差恋愛を描いた物語、主人公が青春時代に置いてきた情熱とやり残したことを取り戻す物語、このあたりですかね。
主人公の順子は恋も仕事も勉強もやりきれなかった後悔から、「あの頃に戻ってやり直したい」という思いを強く持つ女性です。情熱を無くしていた順子ですが、匡平に対する彼の父親の言動に激しく反発してしまい、クビを覚悟したこときっかけに今度こそ一生懸命がんばろうと決意。決意を新たにしたところに、予備校には入らないと父親に反発していた匡平が現われ、「俺を東大に入れてくんない?」と言い入学?かな。
話のテンポが良く、シリアスとコミカルのバランスもちょうどいいバランスで読みやすいですね。順子と匡平の家族関係や過去の後悔などにより暗く重い話になりそうになるんですが、綺麗な絵と明るいギャグとノリで明るさと爽やかさを出していました。
2人は今後どんな関係になっていくのか、情熱も目標も亡くしていた順子は匡平と関わることでどう変わるのか、続きが楽しみですね。
試し読みは集英社Cookieさんのサイトで1話配信しています。
2016年11月19日
漫画『ボクラノキセキ』1巻の感想とあらすじ
『ボクラノキセキ』1巻の感想。
ボクラノキセキ
著者:久米田 夏緒
掲載:コミックZERO-SUM
1巻発売日:2009年2月25日
現世とは異なる魔法が存在する世界に、かつてゼレストリアという名の古の国があった−−。
現代に生きる高校生・皆見晴澄は、幼い頃から亡国の姫・ベロニカとしての記憶を持っていた少年。小学生の時に自分が持つ前世の記憶をクラスメイトに話したことで、周囲からは敬遠されるようになり、その後も馴染むことができないまま学校生活を送ることになってしまった。
自分だけしか記憶を持っていないことに心が揺らいでいた皆見だったが、中学時代に起きたある事件によって、記憶の中にある姫としての日々は妄想ではなかったと確信する。
高校に入ってからは記憶のことは伏せ、周囲の人達とも普通に接していたのだが、記憶のことを書き綴っていたノートをクラスメートに見られたことがきっかけになり、前世から巡る運命が大きく動き出すことに・・・。
前世の記憶を持つ高校生たちが、記憶の中の出来事に心を揺り動かされ、運命に振り回されながらも、記憶と向き合って今自分たちが存在するこの世界で生きていこうともがく物語・・・だと思います。
現代に転生した高校生たちの、前世の記憶をめぐる学園ファンタジー漫画。転生+学園+ファンタジー+恋愛(?)作品。
以前から気になっていた作品だったので読んでみました。ちなみに表紙の2人組みは、主人公の現世(男)と前世(女)の姿です。
物語の主な舞台となるのは皆見たちが通う普通の高校ですが、彼の前世とされるベロニカ王女が生きていた国はこの現世とは異なる世界にあるようです。
剣と魔法による戦争を永らく続けていた世界。そのどこかにある小国ゼレストリアが前世の物語になっている舞台。
幼い頃からどこかの国の王女だった前世の記憶を持つ皆見。その記憶を周りに話したせいで小学校・中学校生活は周りと馴染めないまま過ごすことになり、前世の記憶を妄想ではない確かに存在した事実と自覚しながらも、高校ではそれを子供の妄想だったということにしてクラスに馴染もうとしています。
現世に転生した人間は皆見だけではないですね。皆見がゼレストリアの言語で前世の記憶について書き記したノートがきっかけとなり、それを見た者の中から記憶を持つ物が目覚めているようです。1巻に出てきた転生者は皆見を除くと2名いましたが、ラストの雰囲気や話の流れからすると他にもかなり多くいそうです。
まだ例が少ないので確かなことは言えませんが、前世の記憶はかなり色濃く現世での人格に影響を及ぼすように見えました。もちろん混乱もあるのでしょうが、彼らが影響を受けやすい年代というのも大きな原因になっていると思います。
なので、自我や精神が前世と現世どちらにどれほど傾いているのかは気になります。このあたりで個人差を出してくれると面白くなりそうですね。
主人公の皆見がまた微妙な位置で揺れ動いています。前世での記憶を確かな事実と認めていながらも、その記憶にひきずられないように、そして今の人生に持ち込まないように心掛け、現世に地に足つけて皆見晴澄として生きていこうとしているように見えました
ただ、それは自分自身にそう言い聞かせてるだけのようにも見えます。身近な人たちの多くの死を目の当たりにしたという大きな失望と後悔、決して忘れることも端に追いやることもできない事実としてあった記憶。これが、別の人間に起こったことと割り切れるものなら悩む必要もないんでしょうが、自分自身のものとして受け入れているので大きくのしかかっていますね。
それに、周囲の状況もそれを寛容に許してはもらえなさそうです。なんといっても王女という立場にいたわけですから、自分がどうあれ周りが動き出してしまったら、否が応でも関わらずにいられるわけがないですよね。
レビューで指摘されていた通り少しだけ見分けがつきにくいですね。絵自体が下手というわけではなく、キャラデザも背景も綺麗なのでむしろ個人的には好きな部類に入るんですが、キャラの描き分けはちょっと下手。まあ、致命的なレベルではないですので、慣れればどうってことないんですけどね。
1巻の時点ではまだ導入ということもあって「面白い!」とは断言できませんが、とにかく続きが気になる作品。転生・前世という珍しくない題材を扱っていながら、ストーリーは今まで読んだことのない新鮮味があり、主人公も魅力的。
恋愛要素も強めならこれまたややこしいことになりそうですね。前世に親しかった相手がいたかもしれませんし、王女という立場にいたのだから婚約者がいてもおかしくないですからね。その相手が転生していたとしたら・・・、現世と前世の人間関係が交差して面白くなりそうです。
他の転生者はどれほどいるのか、前世で何が起こったのか、そもそもなぜ転生できたのか、謎が多くて続きも非常に気になっているので、2巻以降も読んでみようと思います。
【eBookJapan】 ボクラノキセキ
↑無料で立ち読みできます
ボクラノキセキ
著者:久米田 夏緒
掲載:コミックZERO-SUM
1巻発売日:2009年2月25日
現世とは異なる魔法が存在する世界に、かつてゼレストリアという名の古の国があった−−。
現代に生きる高校生・皆見晴澄は、幼い頃から亡国の姫・ベロニカとしての記憶を持っていた少年。小学生の時に自分が持つ前世の記憶をクラスメイトに話したことで、周囲からは敬遠されるようになり、その後も馴染むことができないまま学校生活を送ることになってしまった。
自分だけしか記憶を持っていないことに心が揺らいでいた皆見だったが、中学時代に起きたある事件によって、記憶の中にある姫としての日々は妄想ではなかったと確信する。
高校に入ってからは記憶のことは伏せ、周囲の人達とも普通に接していたのだが、記憶のことを書き綴っていたノートをクラスメートに見られたことがきっかけになり、前世から巡る運命が大きく動き出すことに・・・。
前世の記憶を持つ高校生たちが、記憶の中の出来事に心を揺り動かされ、運命に振り回されながらも、記憶と向き合って今自分たちが存在するこの世界で生きていこうともがく物語・・・だと思います。
現代に転生した高校生たちの、前世の記憶をめぐる学園ファンタジー漫画。転生+学園+ファンタジー+恋愛(?)作品。
以前から気になっていた作品だったので読んでみました。ちなみに表紙の2人組みは、主人公の現世(男)と前世(女)の姿です。
物語の主な舞台となるのは皆見たちが通う普通の高校ですが、彼の前世とされるベロニカ王女が生きていた国はこの現世とは異なる世界にあるようです。
剣と魔法による戦争を永らく続けていた世界。そのどこかにある小国ゼレストリアが前世の物語になっている舞台。
幼い頃からどこかの国の王女だった前世の記憶を持つ皆見。その記憶を周りに話したせいで小学校・中学校生活は周りと馴染めないまま過ごすことになり、前世の記憶を妄想ではない確かに存在した事実と自覚しながらも、高校ではそれを子供の妄想だったということにしてクラスに馴染もうとしています。
現世に転生した人間は皆見だけではないですね。皆見がゼレストリアの言語で前世の記憶について書き記したノートがきっかけとなり、それを見た者の中から記憶を持つ物が目覚めているようです。1巻に出てきた転生者は皆見を除くと2名いましたが、ラストの雰囲気や話の流れからすると他にもかなり多くいそうです。
まだ例が少ないので確かなことは言えませんが、前世の記憶はかなり色濃く現世での人格に影響を及ぼすように見えました。もちろん混乱もあるのでしょうが、彼らが影響を受けやすい年代というのも大きな原因になっていると思います。
なので、自我や精神が前世と現世どちらにどれほど傾いているのかは気になります。このあたりで個人差を出してくれると面白くなりそうですね。
主人公の皆見がまた微妙な位置で揺れ動いています。前世での記憶を確かな事実と認めていながらも、その記憶にひきずられないように、そして今の人生に持ち込まないように心掛け、現世に地に足つけて皆見晴澄として生きていこうとしているように見えました
ただ、それは自分自身にそう言い聞かせてるだけのようにも見えます。身近な人たちの多くの死を目の当たりにしたという大きな失望と後悔、決して忘れることも端に追いやることもできない事実としてあった記憶。これが、別の人間に起こったことと割り切れるものなら悩む必要もないんでしょうが、自分自身のものとして受け入れているので大きくのしかかっていますね。
それに、周囲の状況もそれを寛容に許してはもらえなさそうです。なんといっても王女という立場にいたわけですから、自分がどうあれ周りが動き出してしまったら、否が応でも関わらずにいられるわけがないですよね。
レビューで指摘されていた通り少しだけ見分けがつきにくいですね。絵自体が下手というわけではなく、キャラデザも背景も綺麗なのでむしろ個人的には好きな部類に入るんですが、キャラの描き分けはちょっと下手。まあ、致命的なレベルではないですので、慣れればどうってことないんですけどね。
1巻の時点ではまだ導入ということもあって「面白い!」とは断言できませんが、とにかく続きが気になる作品。転生・前世という珍しくない題材を扱っていながら、ストーリーは今まで読んだことのない新鮮味があり、主人公も魅力的。
恋愛要素も強めならこれまたややこしいことになりそうですね。前世に親しかった相手がいたかもしれませんし、王女という立場にいたのだから婚約者がいてもおかしくないですからね。その相手が転生していたとしたら・・・、現世と前世の人間関係が交差して面白くなりそうです。
他の転生者はどれほどいるのか、前世で何が起こったのか、そもそもなぜ転生できたのか、謎が多くて続きも非常に気になっているので、2巻以降も読んでみようと思います。
【eBookJapan】 ボクラノキセキ
↑無料で立ち読みできます
2016年11月18日
【ドリフターズ】マンガ 感想&あらすじ 異世界に呼び出された歴史上の英傑たちによる夢の共演
ヤングキングアワーズ。2009年6月号より連載中。既刊5巻
作者:平野耕太
他作品:HELLSING
1600年関ヶ原、烏頭坂。戦国武将島津家家臣・島津豊久、天下分け目の大戦にて、叔父・義弘を逃がすため島津の退き口を展開し、井伊直政に一矢報いるも単身での突撃により自身も瀕死の重傷を負う。戦場を彷徨う豊久だったが、生死の狭間で現れた謎の男により、突如異世界へと飛ばされてしまった。
見た事もない種族を目にした直後に気を失い、連れられた先で目を覚ました豊久の前に現れたのは、自身と同じように飛ばされてきたという織田前右将信長、さらに那須資隆与一と名乗る英傑たちだった。
成り行きでエルフの村を開放した豊久たちは、ある軍団に対抗するため、異世界での国盗りへと舵を取る。
・島津豊久
主人公。漂流者の1人。戦国時代における戦闘民族・島津家の武将。30歳。関ヶ原、島津の退き口での死闘により瀕死の重傷を負ったところを転送。首級をあげることに強い執着を示し、ついたあだ名が「妖怪首おいてけ」。常人離れした身体能力を持ち、考えるより本能に従い行動に移す単純な性格。
・織田信長
戦国三英傑の1人。第六天魔王と自称した戦国武将・大名。49歳。本能寺の変にて、乱丸と共に脱出しようとした折に転送。無精髭を生やし、眼帯を付けた愉快なおじさん。卓越した智略・戦術眼を持つ冷徹非常な策略家。自らは裏に回り、豊久を王にするため行動しています。
・那須与一
源平時代の弓の名手。19歳。女性のような美しい容貌を持つ美少年。上に10人に兄がおり、兄弟の中で自分が一番ブサイクとのこと。主であった義経に対しては手段を選ばない卑劣さから快く思っていませんが、強制することをしない豊久には好感を持っているようです。麗しい見た目に反してかなりの戦闘狂。
・オルミーヌ
導師結社「十月機関」の構成員。眼鏡をかけ金髪ツインテールにした巨乳の女性。安倍晴明の支持により豊久一行を監視していたが、あっさりバレてしまい拘束され、その後はこの世界の説明をしながら行動を共にしています。信長からは「オッパーヌ」「オッパイメガネ」などといじられ、まともに名前を呼んでもらえずにいます。
・安倍晴明
平安時代の陰陽師。導師結社「十月機関」の長。構成員からは「大師匠」と呼ばれています。見た目は20代男性にしか見えないが、実際の年齢は83歳のおじいさん。符術の達人。間違いは正さなければいけないという考えから、廃棄物をこの世界から滅ぼすために「十月機関」を結成。
・黒王
亜人種を従える廃棄物の王。素顔も正体も全てが謎に包まれた存在。かつては人を救おうとしたが、その人間に拒絶され、今では強い憎しみを抱き世界から滅ぼそうとしています。手を触れただけで傷を癒し、食糧を増やす特殊な能力を持つ。手のひらには杭で打たれたような穴が開いています。
【eBookJapan】 ドリフターズ 無料で立ち読みできます
様々な時代から異世界に飛ばされてきた<漂流者(ドリフターズ)>と呼ばれる歴代の英傑たちと、同じように呼び出された世界の全てを憎む英傑・<廃棄物(エンズ)>たちとの世界の存続をかけた戦いを描いた物語。
『HELLSING』で有名な著者・平野耕太さんによる、様々な歴史上の英傑・偉人が登場する異世界ファンタジーアクション漫画です。アニメ化にもなり、2016年10月より放送中です。
物語の舞台となるのは、人間種のみならず、エルフやドワーフ、オークやゴブリンなどの亜人種、はてはドラゴンまで存在する世界。
世界観を簡単に説明しますと、日本の武将や軍人、ローマの英雄、カルタゴの戦術家、西部劇に出てくるガンマンなど、歴史上の様々な英傑・偉人、有名人が一つの世界、同じ時代に終結し、関ヶ原での東軍・西軍のように<漂流者(ドリフターズ)>側と<廃棄物(エンズ)>側に別れ、世界の命運をかけて争っている世界。歴史上の有名人達によるフェスティバルと言っても良いかもしれません。
「紫」という謎の男に呼び出された者達が<漂流者(ドリフターズ)>。生死の狭間をさまよっていた者達が死の間際に飛ばされ、意識も能力も現実世界そのままの状態で残っています。生死不明とされている人物などで構成されてますね。
「EASY」という謎の少女に呼び出されているのが<廃棄物(エンズ)>。深い恨み憎しみを抱きながら非業の死をとげた者達によって構成されており、溢れ出る負の感情により正常な精神を喪失しています。炎や氷などを操る異能持ち。
これは明確に説明されているわけではないため、何か別の理由があるかもしれません。
何と言っても魅力は濃すぎる登場人物たち。そして、その人物たちによる夢の共演ですね。
織田信長や安部清明、ジャンヌ・ダルクにハンニバルなど、様々な作品で主役級を張るキャラが次から次へと登場してくる作品です。異世界に飛ばされたのが仮にその中の1人や2人だけでも物語は十分面白くなるところ、沢山集めて戦わせてしまおうというのだから胸踊ります。
勇猛な気質を持つ戦闘に特化した一族である島津の武将・豊久と、士道を貫く幕末の戦闘集団新撰組の副局長・土方との戦い。
日ノ本に変革をもたらし統一まであと一歩にまで迫った戦国のカリスマ・織田信長と、ロマノフ王朝を裏から操り滅亡に追い込んだ怪僧・ラスプーチンとの国乗っ取り合戦。
あと、戦闘機とドラゴンの戦いなど、現実では決してお目にかかれない者同士の立合いは必見。
人物像は作者さんの独自解釈が強めなのか、信長にしろハンニバルにしろ、彼らが登場する他作品とは違った性格をしているのも面白いところですね。
さらに面白いポイントが、当時はなかった、あるいはこの世界にはなかった武器や戦術を、過去の武人・軍人・戦術家や異世界の種族が知ったらどうなるのか?というところにもあると思います。
信長やハンニバルが機関銃や戦闘機を持っていたらどんな戦術を立てるのか、考えただけでも身震いします。ハンニバルの機関銃を見たときの「なにこれすごい。これくれ、ちょっとローマ滅ぼしてくる」には笑いましたね。
本来交わることのなかった者(物)が巡り合い、新たな展開が生まれようとしている様からは、次に何が起きるのかという興味が尽きません。
この作品の最大の謎、「黒王」の正体は誰?というところにあり、私も非常に気になっています。
現時点でも変わらずフードを深々と被っているため素顔すら判然とせず、イエス・キリスト、神武天皇、天草四郎時貞説など、様々な予想が飛び交ってますね。
手の平にある杭で打たれたような穴、傷を癒し食料を増やす奇跡の技、無花果など、彼の発するセリフからもイエス・キリストを思わせる要素が多いんですよね。だからこそ、あまりにも思わせぶりな要素が多すぎることからして、私はキリストはミスリードだと思っています。
とは言っても、「なら誰?」と聞かれたら困ってしまうわけですけど。私は天草四郎時貞説を推してたんですが、近代戦術を知ってるあたり実はオルテ建国したヒトラーなんじゃないか?とも思っています。彼が死んだと言われてから国王が出てきた気もしますから。ただ、黒王は生前人々を救おうとした人物ということなので、それを考えるとヒトラーは難しいですよね。もう完全に迷走中です。
とにかく面白いです。キャラクター、ストーリー共に最高の出来に仕上がっている作品だと思います。ギャグとシリアスのバランスもよくとれているので、軽くなりすぎることも重くなりすぎることもなく読み易い。『HELLSING』でも見られた圧倒的な画力による迫力と深みのある絵は今作でも発揮されています。
難点をあげるとしたら、なかなか新刊出ないことですね。2009に開始したのに現時点で発行されたのはまだたったの5巻ですから。
各種クセの強い作風ではありますが、ハマる人はそのクセにこをとことんハマる面白さがありますので、よければ読んでみてください。強くおすすめさせていただきます。
作者:平野耕太
他作品:HELLSING
あらすじ・概要
1600年関ヶ原、烏頭坂。戦国武将島津家家臣・島津豊久、天下分け目の大戦にて、叔父・義弘を逃がすため島津の退き口を展開し、井伊直政に一矢報いるも単身での突撃により自身も瀕死の重傷を負う。戦場を彷徨う豊久だったが、生死の狭間で現れた謎の男により、突如異世界へと飛ばされてしまった。
見た事もない種族を目にした直後に気を失い、連れられた先で目を覚ました豊久の前に現れたのは、自身と同じように飛ばされてきたという織田前右将信長、さらに那須資隆与一と名乗る英傑たちだった。
成り行きでエルフの村を開放した豊久たちは、ある軍団に対抗するため、異世界での国盗りへと舵を取る。
主要登場人物
・島津豊久
主人公。漂流者の1人。戦国時代における戦闘民族・島津家の武将。30歳。関ヶ原、島津の退き口での死闘により瀕死の重傷を負ったところを転送。首級をあげることに強い執着を示し、ついたあだ名が「妖怪首おいてけ」。常人離れした身体能力を持ち、考えるより本能に従い行動に移す単純な性格。
・織田信長
戦国三英傑の1人。第六天魔王と自称した戦国武将・大名。49歳。本能寺の変にて、乱丸と共に脱出しようとした折に転送。無精髭を生やし、眼帯を付けた愉快なおじさん。卓越した智略・戦術眼を持つ冷徹非常な策略家。自らは裏に回り、豊久を王にするため行動しています。
・那須与一
源平時代の弓の名手。19歳。女性のような美しい容貌を持つ美少年。上に10人に兄がおり、兄弟の中で自分が一番ブサイクとのこと。主であった義経に対しては手段を選ばない卑劣さから快く思っていませんが、強制することをしない豊久には好感を持っているようです。麗しい見た目に反してかなりの戦闘狂。
・オルミーヌ
導師結社「十月機関」の構成員。眼鏡をかけ金髪ツインテールにした巨乳の女性。安倍晴明の支持により豊久一行を監視していたが、あっさりバレてしまい拘束され、その後はこの世界の説明をしながら行動を共にしています。信長からは「オッパーヌ」「オッパイメガネ」などといじられ、まともに名前を呼んでもらえずにいます。
・安倍晴明
平安時代の陰陽師。導師結社「十月機関」の長。構成員からは「大師匠」と呼ばれています。見た目は20代男性にしか見えないが、実際の年齢は83歳のおじいさん。符術の達人。間違いは正さなければいけないという考えから、廃棄物をこの世界から滅ぼすために「十月機関」を結成。
・黒王
亜人種を従える廃棄物の王。素顔も正体も全てが謎に包まれた存在。かつては人を救おうとしたが、その人間に拒絶され、今では強い憎しみを抱き世界から滅ぼそうとしています。手を触れただけで傷を癒し、食糧を増やす特殊な能力を持つ。手のひらには杭で打たれたような穴が開いています。
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感想
様々な時代から異世界に飛ばされてきた<漂流者(ドリフターズ)>と呼ばれる歴代の英傑たちと、同じように呼び出された世界の全てを憎む英傑・<廃棄物(エンズ)>たちとの世界の存続をかけた戦いを描いた物語。
『HELLSING』で有名な著者・平野耕太さんによる、様々な歴史上の英傑・偉人が登場する異世界ファンタジーアクション漫画です。アニメ化にもなり、2016年10月より放送中です。
物語の舞台となるのは、人間種のみならず、エルフやドワーフ、オークやゴブリンなどの亜人種、はてはドラゴンまで存在する世界。
世界観を簡単に説明しますと、日本の武将や軍人、ローマの英雄、カルタゴの戦術家、西部劇に出てくるガンマンなど、歴史上の様々な英傑・偉人、有名人が一つの世界、同じ時代に終結し、関ヶ原での東軍・西軍のように<漂流者(ドリフターズ)>側と<廃棄物(エンズ)>側に別れ、世界の命運をかけて争っている世界。歴史上の有名人達によるフェスティバルと言っても良いかもしれません。
「紫」という謎の男に呼び出された者達が<漂流者(ドリフターズ)>。生死の狭間をさまよっていた者達が死の間際に飛ばされ、意識も能力も現実世界そのままの状態で残っています。生死不明とされている人物などで構成されてますね。
「EASY」という謎の少女に呼び出されているのが<廃棄物(エンズ)>。深い恨み憎しみを抱きながら非業の死をとげた者達によって構成されており、溢れ出る負の感情により正常な精神を喪失しています。炎や氷などを操る異能持ち。
これは明確に説明されているわけではないため、何か別の理由があるかもしれません。
何と言っても魅力は濃すぎる登場人物たち。そして、その人物たちによる夢の共演ですね。
織田信長や安部清明、ジャンヌ・ダルクにハンニバルなど、様々な作品で主役級を張るキャラが次から次へと登場してくる作品です。異世界に飛ばされたのが仮にその中の1人や2人だけでも物語は十分面白くなるところ、沢山集めて戦わせてしまおうというのだから胸踊ります。
勇猛な気質を持つ戦闘に特化した一族である島津の武将・豊久と、士道を貫く幕末の戦闘集団新撰組の副局長・土方との戦い。
日ノ本に変革をもたらし統一まであと一歩にまで迫った戦国のカリスマ・織田信長と、ロマノフ王朝を裏から操り滅亡に追い込んだ怪僧・ラスプーチンとの国乗っ取り合戦。
あと、戦闘機とドラゴンの戦いなど、現実では決してお目にかかれない者同士の立合いは必見。
人物像は作者さんの独自解釈が強めなのか、信長にしろハンニバルにしろ、彼らが登場する他作品とは違った性格をしているのも面白いところですね。
さらに面白いポイントが、当時はなかった、あるいはこの世界にはなかった武器や戦術を、過去の武人・軍人・戦術家や異世界の種族が知ったらどうなるのか?というところにもあると思います。
信長やハンニバルが機関銃や戦闘機を持っていたらどんな戦術を立てるのか、考えただけでも身震いします。ハンニバルの機関銃を見たときの「なにこれすごい。これくれ、ちょっとローマ滅ぼしてくる」には笑いましたね。
本来交わることのなかった者(物)が巡り合い、新たな展開が生まれようとしている様からは、次に何が起きるのかという興味が尽きません。
この作品の最大の謎、「黒王」の正体は誰?というところにあり、私も非常に気になっています。
現時点でも変わらずフードを深々と被っているため素顔すら判然とせず、イエス・キリスト、神武天皇、天草四郎時貞説など、様々な予想が飛び交ってますね。
手の平にある杭で打たれたような穴、傷を癒し食料を増やす奇跡の技、無花果など、彼の発するセリフからもイエス・キリストを思わせる要素が多いんですよね。だからこそ、あまりにも思わせぶりな要素が多すぎることからして、私はキリストはミスリードだと思っています。
とは言っても、「なら誰?」と聞かれたら困ってしまうわけですけど。私は天草四郎時貞説を推してたんですが、近代戦術を知ってるあたり実はオルテ建国したヒトラーなんじゃないか?とも思っています。彼が死んだと言われてから国王が出てきた気もしますから。ただ、黒王は生前人々を救おうとした人物ということなので、それを考えるとヒトラーは難しいですよね。もう完全に迷走中です。
とにかく面白いです。キャラクター、ストーリー共に最高の出来に仕上がっている作品だと思います。ギャグとシリアスのバランスもよくとれているので、軽くなりすぎることも重くなりすぎることもなく読み易い。『HELLSING』でも見られた圧倒的な画力による迫力と深みのある絵は今作でも発揮されています。
難点をあげるとしたら、なかなか新刊出ないことですね。2009に開始したのに現時点で発行されたのはまだたったの5巻ですから。
各種クセの強い作風ではありますが、ハマる人はそのクセにこをとことんハマる面白さがありますので、よければ読んでみてください。強くおすすめさせていただきます。
2016年11月17日
漫画『青Ao-Natsu夏』1巻の感想とあらすじ
『青Ao-Natsu夏』1巻の感想。
青Ao-Natsu夏
著者:櫓刃鉄火
掲載:good!アフタヌーン
1巻発売日:2016年9月7日
巷ではモテ高として有名な女子高に通う1年生の船見理緒は、恋人との運命の出会いを夢見る女の子。夏休みは友人に誘われた合コン祭りに参加するはずだったが、家の事情で弟と一緒におばあちゃんのいる田舎でひと夏を過ごすことになってしまった。
友達と会えないことに寂しさを感じながら祖母の営む蕎麦屋に到着した理緒は、そこで飲み物を配達に来ていた同年代の男子・泉吟蔵と出会った。郵便を出すついでに町を散策しに出かけると、さっき会ったばかりの吟蔵と偶然巡り合い、案内してもらいながら楽しい一時を過ごす。
理緒はかねてから思い描いていた運命の出会いを吟蔵に感じたのだが、おばあちゃんの孫だと知った途端に彼の態度は一変し、理緒に対して「最悪だな」と言い捨ててその場を去ってしまった。
突然夏休みの間田舎にいる祖母の家で過ごすことになった少女が、その町で硬派だけど少しイジワルな少年と出会い、田舎ライフを送るなかで次第に彼への想いを募らせていく恋物語。
爽やかな田舎での甘酸っぱい恋を描いた少女漫画。最近なんだか妙に恋愛漫画を読みたい気持ちが湧いてしまい、いろいろ漁ってるときに出会ったのがこの作品。表紙イラストに描かれた少女と青空の爽やかさに引かれました。
季節は夏、舞台は山や田畑に囲まれ、魚が泳ぐ澄んだ綺麗な川が流れ、人の出す音よりも虫の鳴き声が大きく響き渡る田舎町です。私も現在は離れてますが、実家が少しだけ田舎方面にあるので自然に囲まれた生活は懐かしくなります。
都会で暮らしている理緒たちの反応には新鮮味があり、田舎の良さをを改めて実感させてもらえるのも良かったです。多少美化されすぎな気もしますが、空気は確かに都会とは違いますし、その中で見る空や山などの自然も一層鮮やかに見えたりしますね。
主人公の船見理緒は運命の出会いを夢見る少女。夏休みの間は田舎ライフを送ることになり、予定していた合コン祭りは頓挫。しかし、理緒は運命の出会いに憧れているため、友達に会えないことは残念に思っている反面、内心では行かなくてよくなったことにはホっと安堵してます。
夢見る少女ということから、最初はふわふわした子か少し暗い性格の子かのどちらかを想像してましたが、蝉を躊躇なく素手で捕え、イナゴの佃煮もへっちゃらで食すなど、むしろ都会にいた時よりも明るく生き生きしてるように見えました。
そんな理緒が出会った少年・泉吟蔵は、祖母の営む蕎麦屋に飲み物を配達しに来る酒屋「泉屋」の跡取りです。
あらすじで理緒に対して「最悪だな」と言って態度を変えたと書きましたが、あれは彼の誤解から生じた態度であったことが判明。吟蔵はおばあちゃんに対して実の孫のように懐いているため、あまり田舎に来ない理緒たち家族に対して、婆ちゃんをほったらかしにしてる悪い奴と思っていたようです。
このあたりは少女マンガらしい王道の展開ですかね。誤解からギスギスした険悪な関係になり、口喧嘩して少女が飛び出し、真実を知った少年は自分の間違いに気づいて相手の元へ駆け出す。すれ違いや事件によって相手への想いを改め、または恋が芽生えるきっかけにもなるという1つのイベントですね。よくあるパターンではありますけど、それが良いというより、それで良いんじゃないかと思ってます。
さらに話を盛り上げてくれる万里香というライバルの登場。泉屋の近くに店を構えている商店の娘であり、親同士は両家のためにも2人にはぜひくっついてもらいたいということらしいです。
ただ、ギスギスしたりバチバチ火花散らす展開にはなりませんでした。万里香が気さくで明るい性格だったので理緒とも仲良くなり、吟蔵とも恋愛関係にあるわけではありません。
万里香の現時点での吟蔵に対する想いは少し伺えましたが、吟蔵の万里香に対する想いはまだよくわかりませんね。
王道の少女マンガという感じの内容と雰囲気でした。気になるのはこの物語は40日間という夏休み期間内での話で終わるのか、それとも休み明け後もストーリーは進んでいくのかですね。40日間ではさすがに短い気もしますが、私的にはできたら舞台は都会に移さず、田舎のままストーリーを進めて欲しいと思ってます。
夢見る少女のはずが、運命を自分で切り開こうとする理緒には好感が持て、都会育ちなのに都会人らしさのないところも魅力的。少しイジワルだけど優しい吟蔵、明るい美少女の万里香など、登場キャラクターのバランスも良かったかと。
この夏の間にどのような恋物語が繰り広げられていくのか、とても気になるので続きも読んでみたいと思います。
【eBookJapan】 青Ao-Natsu夏
↑無料で立ち読みできます
青Ao-Natsu夏
著者:櫓刃鉄火
掲載:good!アフタヌーン
1巻発売日:2016年9月7日
巷ではモテ高として有名な女子高に通う1年生の船見理緒は、恋人との運命の出会いを夢見る女の子。夏休みは友人に誘われた合コン祭りに参加するはずだったが、家の事情で弟と一緒におばあちゃんのいる田舎でひと夏を過ごすことになってしまった。
友達と会えないことに寂しさを感じながら祖母の営む蕎麦屋に到着した理緒は、そこで飲み物を配達に来ていた同年代の男子・泉吟蔵と出会った。郵便を出すついでに町を散策しに出かけると、さっき会ったばかりの吟蔵と偶然巡り合い、案内してもらいながら楽しい一時を過ごす。
理緒はかねてから思い描いていた運命の出会いを吟蔵に感じたのだが、おばあちゃんの孫だと知った途端に彼の態度は一変し、理緒に対して「最悪だな」と言い捨ててその場を去ってしまった。
突然夏休みの間田舎にいる祖母の家で過ごすことになった少女が、その町で硬派だけど少しイジワルな少年と出会い、田舎ライフを送るなかで次第に彼への想いを募らせていく恋物語。
爽やかな田舎での甘酸っぱい恋を描いた少女漫画。最近なんだか妙に恋愛漫画を読みたい気持ちが湧いてしまい、いろいろ漁ってるときに出会ったのがこの作品。表紙イラストに描かれた少女と青空の爽やかさに引かれました。
季節は夏、舞台は山や田畑に囲まれ、魚が泳ぐ澄んだ綺麗な川が流れ、人の出す音よりも虫の鳴き声が大きく響き渡る田舎町です。私も現在は離れてますが、実家が少しだけ田舎方面にあるので自然に囲まれた生活は懐かしくなります。
都会で暮らしている理緒たちの反応には新鮮味があり、田舎の良さをを改めて実感させてもらえるのも良かったです。多少美化されすぎな気もしますが、空気は確かに都会とは違いますし、その中で見る空や山などの自然も一層鮮やかに見えたりしますね。
主人公の船見理緒は運命の出会いを夢見る少女。夏休みの間は田舎ライフを送ることになり、予定していた合コン祭りは頓挫。しかし、理緒は運命の出会いに憧れているため、友達に会えないことは残念に思っている反面、内心では行かなくてよくなったことにはホっと安堵してます。
夢見る少女ということから、最初はふわふわした子か少し暗い性格の子かのどちらかを想像してましたが、蝉を躊躇なく素手で捕え、イナゴの佃煮もへっちゃらで食すなど、むしろ都会にいた時よりも明るく生き生きしてるように見えました。
そんな理緒が出会った少年・泉吟蔵は、祖母の営む蕎麦屋に飲み物を配達しに来る酒屋「泉屋」の跡取りです。
あらすじで理緒に対して「最悪だな」と言って態度を変えたと書きましたが、あれは彼の誤解から生じた態度であったことが判明。吟蔵はおばあちゃんに対して実の孫のように懐いているため、あまり田舎に来ない理緒たち家族に対して、婆ちゃんをほったらかしにしてる悪い奴と思っていたようです。
このあたりは少女マンガらしい王道の展開ですかね。誤解からギスギスした険悪な関係になり、口喧嘩して少女が飛び出し、真実を知った少年は自分の間違いに気づいて相手の元へ駆け出す。すれ違いや事件によって相手への想いを改め、または恋が芽生えるきっかけにもなるという1つのイベントですね。よくあるパターンではありますけど、それが良いというより、それで良いんじゃないかと思ってます。
さらに話を盛り上げてくれる万里香というライバルの登場。泉屋の近くに店を構えている商店の娘であり、親同士は両家のためにも2人にはぜひくっついてもらいたいということらしいです。
ただ、ギスギスしたりバチバチ火花散らす展開にはなりませんでした。万里香が気さくで明るい性格だったので理緒とも仲良くなり、吟蔵とも恋愛関係にあるわけではありません。
万里香の現時点での吟蔵に対する想いは少し伺えましたが、吟蔵の万里香に対する想いはまだよくわかりませんね。
王道の少女マンガという感じの内容と雰囲気でした。気になるのはこの物語は40日間という夏休み期間内での話で終わるのか、それとも休み明け後もストーリーは進んでいくのかですね。40日間ではさすがに短い気もしますが、私的にはできたら舞台は都会に移さず、田舎のままストーリーを進めて欲しいと思ってます。
夢見る少女のはずが、運命を自分で切り開こうとする理緒には好感が持て、都会育ちなのに都会人らしさのないところも魅力的。少しイジワルだけど優しい吟蔵、明るい美少女の万里香など、登場キャラクターのバランスも良かったかと。
この夏の間にどのような恋物語が繰り広げられていくのか、とても気になるので続きも読んでみたいと思います。
【eBookJapan】 青Ao-Natsu夏
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2016年11月16日
【火ノ丸相撲】マンガ 感想&あらすじ 巨漢ひしめく相撲の世界に挑む小兵の熱き物語
週刊少年ジャンプ。2014年26号より連載中。既刊12巻
作者:川田
通称『ダチ高』と呼ばれる千葉県にある大太刀高校。そこの相撲部は一応活動しているものの、部員はたったの1名、相撲道場は不良の溜まり場、練習場は学校の隅に部長が拵えた土俵という劣悪な環境。そんなひっそりと活動を続けていた相撲部に、1人の小さな新入生が現れた。
力士どころか高校生にすら見えない小柄な体格の1年生・潮火ノ丸。実は小学生時代にこども相撲で日本の頂点を極めた火ノ丸は、その強さから『鬼丸』と呼ばれる実力者だった。ところが、中学に入ったところで体の成長が止まってしまい、今までの相撲がまるで通用しなくなったことで、次第に鬼丸の名を人々の記憶から薄れていった。
しかし、相撲への情熱は一切弱まることなく火ノ丸の心を燃やし続け、表舞台の裏で体と技を鍛え続けた火ノ丸は、再び夢への道を歩み始めるのだった。
・潮 火ノ丸
主人公。大太刀高校の1年生。将来の夢は大相撲の横綱。小学生時代は他を寄せ付けない実力を誇り、その実績から国宝「鬼丸国綱」の異名で呼ばれていました。中学に入り身長が伸びず不遇の時代を送るが、屈することなく鍛え続け、体格差をものともしない力と足腰の強さを身に付けました。真っ向勝負が信条。曲がったことを嫌う実直な性格、面倒見がよく周囲からは「兄貴」と呼び慕われています。学業の成績も優秀。
・小関 信也
大太刀高校相撲部部長の3年生。周囲から嘲笑われながらも、火ノ丸が入部するまでたった1人で相撲部を守っていた人物。面倒見がよく、優しく穏やかな性格。卑屈で気弱なところもあるが、相撲に対する想いは誰よりも強く、ここ1番での迫力は他校の猛者を怯ませるほど。典型的な相撲取り体系、火ノ丸も認めるほどの足腰の強さを持ちます。
・五條 佑真
大太刀高校の3年生。相撲道場を占領していた不良グループのリーダー。空手の有段者で、ケンカの強さから「ダチ高最強の男」と呼ばれていました。火ノ丸との勝負に敗れ道場を明け渡し、自分の小ささを思い知ったことでプライドを捨て、部長に頭を下げ相撲部への入部を決めます。空手で培った技術を生かし、突きを主体に攻める相撲をとります。意外と繊細な性格。
・國崎 千比路
大太刀高校の2年生。レスリングの日本国体王者。将来の目標は総合格闘技のプロになり頂点をとること。相撲を軽く見ていたが文化祭でのイベントで火ノ丸に敗れ、そのことから相撲を自分の格闘技に取り入れるため入部。類稀な身体能力と格闘技センス、戦った相手の技をも盗む高い観察眼を持ちます。頭で考えるのは苦手。学業の成績も悪いです。
・三ツ橋 蛍
大太刀高校の1年生。気弱な性格、小柄で貧相な体格。運動部に入ったことはなく、これまではバリバリの文科系少年。自分と同じぐらいの背丈しかない火ノ丸が國崎を倒したことに感動し、自分を変えるため入部。技術も力も体もまだまだ伴っていないが、チームの勝利に貢献する1勝をあげるため、日々基礎練習に勤しんでいます。
・辻 桐仁
大太刀高校の1年生。火ノ丸の親友。かつては火ノ丸と共に稽古を励んでいたが、肺に障害を抱えているため20秒程度しか戦えなくなり相撲を断念。関東新人戦後に火ノ丸の力になるため監督として入部。部員の欠点を指摘し、長所を伸ばす練習メニューを考えるなど、サポート役としてダテ高相撲部を支える存在。選手として相撲に関わることは諦めていたが・・・。
・五條 礼奈
大太刀高校の2年生。五條佑真の妹。仕事はしないが生徒会副会長であり、さらに「ミスダチ高」。腹黒だが兄想い。兄がまわしを付け汗を流し相撲をとる姿を「カッコワルイ」と思い廃部に追いやろうと企てたが、佑真や火ノ丸の熱意を受け、次第に相撲への興味を持つようになります。現在はマネージャーとして相撲部へ入部。
【eBookJapan】 火ノ丸相撲 無料で立ち読みできます
小学生時代に相撲で他を圧倒する強さを誇っていた少年が、中学では身長が伸びず屈辱の時代を送るも、屈することなく先を見据えて鍛え続けたことで手に入れた肉体を携え、仲間と共に高校相撲の頂点を目指すため奮闘する物語。
熱血相撲漫画。私が現在注目しているもう1つの相撲漫画『バチバチ』のような大相撲を舞台にした内容ではなく、学生相撲を題材にした作品です。
「これぞジャンプ作品」と称しても差し支えないであろう、今現在では逆に珍しい「友情・努力・勝利」を体現し、読者の心を熱く燃え滾らせてくれる作品です。
私が子供の頃はまだこういった作品を多く目にしましたね。ですが、時代の流れ、読者の嗜好や読者層などの変化・多様性などから、それらしい作品はあってもどこかで変化球を交えたものが増えていったように思えます。別にどちらが良い悪いの話ではないのですが、ド直球で少年漫画の王道を行く作品に出会えると、最近はなんか妙にうれしい気持ちにもなりますね。年かな?
主人公は小柄な高校生力士の潮火ノ丸。大相撲の最高位・横綱になることを目標にしているのですが、「心・技・体」全てを必要とする力士において、彼は最低ラインとも言える「体」に恵まれなかった不遇な少年です。
大相撲新弟子検査では体格検査があり、身長167cm、体重67kg以上という規定を敷いています。肝心の火ノ丸の身長はというと、規定には10cm以上も足りない152cmという高校生にしては小柄すぎる体格。
普通のメンタルの持ち主なら仕方ない、縁がなかったと断念してしまうと思いますが、火ノ丸は足りない部分を補って余りある強靭な「心」の持ち主でした。
検査では通らなくても、まだ1本だけ道は残されていたんですね。高校相撲IHで優勝して「高校横綱」になることで全日本選手権への出場権を獲得でき、そこで優秀な成績を残した者には「幕下付出」が与えられます。それを火ノ丸が目指す理由、幕下付出を有する者はプロ入りの際「体格は不問」という要項があるからです。
険し過ぎる道ではあります。でも、1本だろうと、どんなに細く過酷な道であろうと、まだ歩みを進められる道があるなら進み続けるのが火ノ丸という男です。
火ノ丸は強靭な「心」は持つけど身長不足という「体」に恵まれなかったと書きましたが、彼の熱いところはその「体」を捨てなかったところにあります。
相撲界というのは高校生であろうと100kgを超えるような巨人ひしめく世界。にもかかわらず、彼がとるのはどんな相手であろうと真っ向からぶち当たる横綱相撲です。小兵が巨大な相手を技だけでなく力でも捻じ伏せるという光景、熱くならざるおえないです。
それを可能にするのが鍛えに鍛え抜かれた彼の肉体。中学では公式戦は出場せず、先を見越した強化特訓をこなし続け、そうして手に入れたのが大男をも押し出すパワーを発揮する強靭な肉体と体幹です。今現在は「技」にも磨きをかけ、さらなる成長を遂げています。
主人公のみならず、好感を持てる仲間やライバルたちが多く登場します。不快に思うキャラがあまりいませんでした。最初は不良だった人、卑屈すぎる人、おっかない人、嫌味な人など、登場時こそ不快に思うキャラはいますが、火ノ丸の熱意にあてられて心境を変化させたり、抱えているものがあるからこその態度だったりと、1人1人丁寧にキャラ作りされているのでストーリーが進むにつれ興味が深まる子たちばかり。
ルールが単純だからこそなのか、この作品は漫画の面白さをいかんなく発揮しています。一瞬で勝負が決する相撲、でもその一瞬の中にも多くの攻防があり、その中には熱い想いやこれまで費やしてきた時間も詰まっています。それらを1つの勝負の中にうまく描かれていたと思います
高い画力とバランスの良いコマ割りによって生まれるスピード感と迫力、二転三転する勝負の展開は緊張感もあって素晴らしい出来栄えでしたね。
「面白い!」と自信を持って言える作品。ストーリー展開、キャラクター、取組シーン、どれも読む人の心を熱くさせてくれるものばかりでした。相撲に詳しくない人でも問題なく読めるように、わかり易く簡単な説明・解説も入っているので読み易いと思います。
昨今、実際の大相撲でも日本人力士がようやく優勝を飾れるようになってきて盛り上がり出していますが、この漫画も負けないぐらいの熱さ、面白さを放っています。強大な相手に怯むことなく立ち向かっていく火ノ丸たちの姿、そこから「強さ」とは何なのかを知ることもできるんじゃないかと思います。
是非ともまずは1巻だけでも読んでみてほしいので、お近くの書店にでも立ち寄ったら手にとってみてください。おすすめします。
作者:川田
あらすじ・概要
通称『ダチ高』と呼ばれる千葉県にある大太刀高校。そこの相撲部は一応活動しているものの、部員はたったの1名、相撲道場は不良の溜まり場、練習場は学校の隅に部長が拵えた土俵という劣悪な環境。そんなひっそりと活動を続けていた相撲部に、1人の小さな新入生が現れた。
力士どころか高校生にすら見えない小柄な体格の1年生・潮火ノ丸。実は小学生時代にこども相撲で日本の頂点を極めた火ノ丸は、その強さから『鬼丸』と呼ばれる実力者だった。ところが、中学に入ったところで体の成長が止まってしまい、今までの相撲がまるで通用しなくなったことで、次第に鬼丸の名を人々の記憶から薄れていった。
しかし、相撲への情熱は一切弱まることなく火ノ丸の心を燃やし続け、表舞台の裏で体と技を鍛え続けた火ノ丸は、再び夢への道を歩み始めるのだった。
主要登場人物
・潮 火ノ丸
主人公。大太刀高校の1年生。将来の夢は大相撲の横綱。小学生時代は他を寄せ付けない実力を誇り、その実績から国宝「鬼丸国綱」の異名で呼ばれていました。中学に入り身長が伸びず不遇の時代を送るが、屈することなく鍛え続け、体格差をものともしない力と足腰の強さを身に付けました。真っ向勝負が信条。曲がったことを嫌う実直な性格、面倒見がよく周囲からは「兄貴」と呼び慕われています。学業の成績も優秀。
・小関 信也
大太刀高校相撲部部長の3年生。周囲から嘲笑われながらも、火ノ丸が入部するまでたった1人で相撲部を守っていた人物。面倒見がよく、優しく穏やかな性格。卑屈で気弱なところもあるが、相撲に対する想いは誰よりも強く、ここ1番での迫力は他校の猛者を怯ませるほど。典型的な相撲取り体系、火ノ丸も認めるほどの足腰の強さを持ちます。
・五條 佑真
大太刀高校の3年生。相撲道場を占領していた不良グループのリーダー。空手の有段者で、ケンカの強さから「ダチ高最強の男」と呼ばれていました。火ノ丸との勝負に敗れ道場を明け渡し、自分の小ささを思い知ったことでプライドを捨て、部長に頭を下げ相撲部への入部を決めます。空手で培った技術を生かし、突きを主体に攻める相撲をとります。意外と繊細な性格。
・國崎 千比路
大太刀高校の2年生。レスリングの日本国体王者。将来の目標は総合格闘技のプロになり頂点をとること。相撲を軽く見ていたが文化祭でのイベントで火ノ丸に敗れ、そのことから相撲を自分の格闘技に取り入れるため入部。類稀な身体能力と格闘技センス、戦った相手の技をも盗む高い観察眼を持ちます。頭で考えるのは苦手。学業の成績も悪いです。
・三ツ橋 蛍
大太刀高校の1年生。気弱な性格、小柄で貧相な体格。運動部に入ったことはなく、これまではバリバリの文科系少年。自分と同じぐらいの背丈しかない火ノ丸が國崎を倒したことに感動し、自分を変えるため入部。技術も力も体もまだまだ伴っていないが、チームの勝利に貢献する1勝をあげるため、日々基礎練習に勤しんでいます。
・辻 桐仁
大太刀高校の1年生。火ノ丸の親友。かつては火ノ丸と共に稽古を励んでいたが、肺に障害を抱えているため20秒程度しか戦えなくなり相撲を断念。関東新人戦後に火ノ丸の力になるため監督として入部。部員の欠点を指摘し、長所を伸ばす練習メニューを考えるなど、サポート役としてダテ高相撲部を支える存在。選手として相撲に関わることは諦めていたが・・・。
・五條 礼奈
大太刀高校の2年生。五條佑真の妹。仕事はしないが生徒会副会長であり、さらに「ミスダチ高」。腹黒だが兄想い。兄がまわしを付け汗を流し相撲をとる姿を「カッコワルイ」と思い廃部に追いやろうと企てたが、佑真や火ノ丸の熱意を受け、次第に相撲への興味を持つようになります。現在はマネージャーとして相撲部へ入部。
【eBookJapan】 火ノ丸相撲 無料で立ち読みできます
感想
小学生時代に相撲で他を圧倒する強さを誇っていた少年が、中学では身長が伸びず屈辱の時代を送るも、屈することなく先を見据えて鍛え続けたことで手に入れた肉体を携え、仲間と共に高校相撲の頂点を目指すため奮闘する物語。
熱血相撲漫画。私が現在注目しているもう1つの相撲漫画『バチバチ』のような大相撲を舞台にした内容ではなく、学生相撲を題材にした作品です。
「これぞジャンプ作品」と称しても差し支えないであろう、今現在では逆に珍しい「友情・努力・勝利」を体現し、読者の心を熱く燃え滾らせてくれる作品です。
私が子供の頃はまだこういった作品を多く目にしましたね。ですが、時代の流れ、読者の嗜好や読者層などの変化・多様性などから、それらしい作品はあってもどこかで変化球を交えたものが増えていったように思えます。別にどちらが良い悪いの話ではないのですが、ド直球で少年漫画の王道を行く作品に出会えると、最近はなんか妙にうれしい気持ちにもなりますね。年かな?
主人公は小柄な高校生力士の潮火ノ丸。大相撲の最高位・横綱になることを目標にしているのですが、「心・技・体」全てを必要とする力士において、彼は最低ラインとも言える「体」に恵まれなかった不遇な少年です。
大相撲新弟子検査では体格検査があり、身長167cm、体重67kg以上という規定を敷いています。肝心の火ノ丸の身長はというと、規定には10cm以上も足りない152cmという高校生にしては小柄すぎる体格。
普通のメンタルの持ち主なら仕方ない、縁がなかったと断念してしまうと思いますが、火ノ丸は足りない部分を補って余りある強靭な「心」の持ち主でした。
検査では通らなくても、まだ1本だけ道は残されていたんですね。高校相撲IHで優勝して「高校横綱」になることで全日本選手権への出場権を獲得でき、そこで優秀な成績を残した者には「幕下付出」が与えられます。それを火ノ丸が目指す理由、幕下付出を有する者はプロ入りの際「体格は不問」という要項があるからです。
険し過ぎる道ではあります。でも、1本だろうと、どんなに細く過酷な道であろうと、まだ歩みを進められる道があるなら進み続けるのが火ノ丸という男です。
火ノ丸は強靭な「心」は持つけど身長不足という「体」に恵まれなかったと書きましたが、彼の熱いところはその「体」を捨てなかったところにあります。
相撲界というのは高校生であろうと100kgを超えるような巨人ひしめく世界。にもかかわらず、彼がとるのはどんな相手であろうと真っ向からぶち当たる横綱相撲です。小兵が巨大な相手を技だけでなく力でも捻じ伏せるという光景、熱くならざるおえないです。
それを可能にするのが鍛えに鍛え抜かれた彼の肉体。中学では公式戦は出場せず、先を見越した強化特訓をこなし続け、そうして手に入れたのが大男をも押し出すパワーを発揮する強靭な肉体と体幹です。今現在は「技」にも磨きをかけ、さらなる成長を遂げています。
主人公のみならず、好感を持てる仲間やライバルたちが多く登場します。不快に思うキャラがあまりいませんでした。最初は不良だった人、卑屈すぎる人、おっかない人、嫌味な人など、登場時こそ不快に思うキャラはいますが、火ノ丸の熱意にあてられて心境を変化させたり、抱えているものがあるからこその態度だったりと、1人1人丁寧にキャラ作りされているのでストーリーが進むにつれ興味が深まる子たちばかり。
ルールが単純だからこそなのか、この作品は漫画の面白さをいかんなく発揮しています。一瞬で勝負が決する相撲、でもその一瞬の中にも多くの攻防があり、その中には熱い想いやこれまで費やしてきた時間も詰まっています。それらを1つの勝負の中にうまく描かれていたと思います
高い画力とバランスの良いコマ割りによって生まれるスピード感と迫力、二転三転する勝負の展開は緊張感もあって素晴らしい出来栄えでしたね。
「面白い!」と自信を持って言える作品。ストーリー展開、キャラクター、取組シーン、どれも読む人の心を熱くさせてくれるものばかりでした。相撲に詳しくない人でも問題なく読めるように、わかり易く簡単な説明・解説も入っているので読み易いと思います。
昨今、実際の大相撲でも日本人力士がようやく優勝を飾れるようになってきて盛り上がり出していますが、この漫画も負けないぐらいの熱さ、面白さを放っています。強大な相手に怯むことなく立ち向かっていく火ノ丸たちの姿、そこから「強さ」とは何なのかを知ることもできるんじゃないかと思います。
是非ともまずは1巻だけでも読んでみてほしいので、お近くの書店にでも立ち寄ったら手にとってみてください。おすすめします。