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2021年12月31日

「床上手」とは如何云う意味か・・・「色好み」に象徴される女性像



 「床上手」とは如何云う意味か・・・

 江戸時代の遊廓で女性達が体現して居た「色好み」




   12-31-1.png 1/11(木) 15:16配信




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  豊国『浮絵新吉原夜遊之図』に見える吉原入り口の面番所  出典『遊廓と日本人』11-11-20


 過つて日本には〔遊廓・ゆうかく〕と云う場所が在った。ソコでは〔遊女〕と云う女性達が客を取り、金銭を稼いだ。法政大学名誉教授の田中優子さんは「遊女達は、日本文化の核心で在る『色好み』の体現者として、豪商や富裕な商人・大名・高位の武士達と教養の共有を果たして居た」と云う・・・

 本稿は、田中優子『遊廓と日本人』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。




       11-11-21.jpg

             文章 法政大学名誉教授 田中優子 


 ■京都の文化人で豪商の正妻に為った吉野太夫  

 一体、遊廓に暮らす遊女とはドンな人達だったのでしょうか? 江戸時代の遊廓は平安時代以来の日本文化の一つの表現でした。それは遊女の在り方に最も現れて居ました。一例を挙げます。  

 江戸時代の京都の島原遊廓に吉野太夫と云う人が居ました。太夫(後に「花魁おいらん」「呼び出し」とも言う)とは、遊廓で最高位の遊女の事です。吉野太夫は或る豪商から結婚を申し込まれました。しかしその豪商の親族に反対されましたので諦めて郷里に帰る事にしました。そして最後だから、とその親族の女性達を集めて持て成したのです。
 前掛けをして自ら立ち働き、女性達が集まると琴を弾き・笙(しょう)を吹き・和歌を詠み・茶を点(たて)て・花を生け・時計の調整をし・碁の相手をし・娘さん達の髪を結い・面白い話で人を引き込みました。
 
 因みに「時計の調整」とは、江戸時代の大名家や大店にだけ在った和時計の歯車の調整の事です。和時計は太陽の動きに時計を合わせるので常に調整が必要でした。この技術を持つと云う事は、大名家や大店の夫人並みの見識が在ると云う事でした。
 その様な吉野を見て遊女に偏見を持って居た親族の奥方達は、吉野の面白さ・優しさ・品格・教養にスッカリ引き込まれ、寧ろ結婚を勧める様に為りました。この吉野は実在の人物で、京都の文化人で豪商で在った佐野紹益(さのしょうえき)の正妻に為った人です。

 ■教養が在り人柄も好い「何もかも揃った人」  

 実際、多くの太夫は和歌を詠み、手紙を見事な筆跡で書きます。俳諧・狂歌も出来、漢詩を作る事も在りました。平安時代の貴族の様に髪や着物に伽羅(きゃら・輸入された香木)を焚きしめ、着物のセンスが在り着熟(きこな)しが上手く人前で食事をしません。
 後に芸能は芸者達に任せられますが、それ迄は琴や三味線を弾き・唄を唄い・踊りや能の舞も披露して居ました。  

 太夫(たゆう)と云う呼称は、初期の遊女達が能の舞を見せる芸能者で或る〔能太夫・のうだゆう〕だったので、ソコに由来すると言われて居ます。太夫達の人柄も後世に伝えられて行きます。人に物を強請らず・欲張らず・鷹揚でユッタリして居るのが太夫の特徴でした。  
 それ程何もかも揃った人が本当に居たのだろうか? と思うかも知れませんネ。確かに、これは一種の理想像だと思われますが、実在の太夫に付いて語り伝えられ、それ等が集合した像で在る事は確かです。

 ■「色好み」の日本文化  

 此処に並べた遊女の能力や人柄は、和歌や文章や筆等平安時代の文学に関わる事・琴や舞等音曲や芸能に関わる事・中世の能や茶の湯や生け花・漢詩・俳諧等武家の教養に関わる事・着物や伽羅や立ち居振る舞い等生活に関わる事等・・・殆どが日本文化の真髄(しんずい)に関係して居ます。
 そしてこれ等の、特に和歌や琴や舞等の風流・風雅を好む人を平安時代以来〔色好み〕と呼んで居ました。〔色〕には恋愛や性愛の意味も在りますが、元々は〔恋愛と文化的美意識が組み合わさった〕もので、その表現としての和歌や琴の音曲を含むものだったのです。  

 遊女が貴族や大名の娘の様に多くの教養を積んで居たのは、日本文化の核心で在る色好みの体現者と為り、豪商や富裕な商人・大名・高位の武士達と教養の共有・・・詰まり色好みの共有を果たす事が求められて居たからでしょう。これ等の伝統的文化に遊ぶ事コソが、彼等に取っての〔遊び〕だったのです。  
 しかし遊廓にはもう一つの側面が在ります。それが〔売色〕です。色を好み趣味を共有する、その〔色〕の中には〔恋愛・性愛〕が含まれました。  

 〔性愛〕そのものは人類の存続を支えるもので、人の愛情の根幹を成すものです。恋愛は人間の精神に取って大切な感情です。だからコソ人権に価値を置く時代に為れば、恋愛や性愛は力の不均衡・不平等の基では成り立た無いのです。独立した人格を認め合い尊敬し合う関係の中で、初めて価値を持つのです。  

 遊女の物語の中には、客との間に正に友情と言えるものを作り上げる話も在ります。しかし遊廓の制度そのものは既に述べた様に、女性を借金の抵当や担保として位置付ける制度でした。借金をするのは大抵の場合家族で、遊女達の多くは家族の為に借金を返し終わる迄、又は最初に交わした契約の中に在る年季の終わる迄遊廓で客を取り続けます。
 稀に女性が芸能を楽しむ為に客として来る例外も在りますが、殆どは男性で、茶屋を介して遊女の抱え主に金銭を支払います。遊女の抱え主は、借金の〔型〕が逃げ無い様管理を怠りません。そしてコノ制度は、幕府に公式に認定されて居た〔公娼制度・こうしょうせいど〕でした。

 ■女性が遊女に為るのはドンな時か  

 これは女性の人生に取っては、一時的な拘束ですので決して奴隷制度では在りません。大いに稼げば早く辞める事が出来ますし、誰かが借金を全額払って呉れれば直ぐにでも遊廓を出られます。その後、吉野太夫の様に結婚する人も居ます。しかし一時的にせよ自由を拘束されます。
 では、そう云う遊女達を抱える遊廓は何故存在出来たのか? その根本を考えると、女性が単独で働く場所が限られて居る事に気付きます。

 江戸時代の農漁山村では家族全員で働きましたし、商家でも夫婦で働きました。都会でも殆どの女性が何等かの仕事を持って居ました。専業主婦と云う存在は在りませんでした。質素でもコツコツと生活の為に働く道は女性にも開かれて居たのです。  
 それでも遊女に為る選択をし無ければ為ら無い場合が在るとしたら、それは一度に大きなお金が必要な時です。そう云う時、自分が遊女に為る事で両親や兄弟が安心して暮らせるとしたら、情と思い遣りが在る程、その道を選ぶ女性は居たでしょう。
 
 例え結婚したとしても、経済的貧困で家庭生活が成り立た無く為る事も在り、そう云う時は既婚者でも遊女に為りました。身分に関わり無くそう云う事態は起こり得て、江戸時代の初期の遊女には、お家取り潰し等で職を失った武家の娘が多かったと言われます。  
 今は家を購入したり家族が病気に為る等、手元に在るお金で足り無い時、正規の会社員であれば女性で在っても銀行はお金を貸して呉れます。借りたお金は給与から返して行けば好い訳です。ソコには企業の給与に対する〔信用〕が在ります。

 しかし江戸時代では、女性が大きなお金を借りる時、最も信用が在るのが遊廓での働きだったのかも知れません。ソコでは毎日大きなお金が動くからです。貧困に立ち向かう時、女性は如何生きたら好いのか?どの様な道が在るのか?  
 江戸時代だけで無く、その多くが非正規雇用者で在る現代日本の女性達も依然として同じ問題を抱えて居るのは驚くべき事です。

 ■井原西鶴は女性を如何見て居たか  

 処で『世間胸算用』で井原西鶴は、遊女では無い普通の女性(地女・ちおんな)を辛辣に書いて居ます。気持ちが鈍感で物言いがクドクて・卑しい所が在って文章が可笑しく・酒の飲み方が下手で唄も唄え無くて・着物の着方が野暮で・立ち居振る舞いが不安定で歩けばフラフラして・一緒に寝ると味噌や塩の話をして・ケチで鼻紙を一枚ずつ使うし・伽羅は飲み薬だと思い込んで居る・・・と、詰まりコレをヒックリ返したのが遊女でした。  
 香水の無かった当時、髪や着物に伽羅を焚き締めた遊女はとても良い香りがして、それだけで天女の様な存在だったのですが、それだけで無く、人の気持ちに敏感で物欲が無く・余計な事を言わずにサッパリとした物言いをし・酒を適度に飲み唄が上手く・着物のセンスが抜群で・素晴らしい手紙を書き・腰が座って背筋の伸びた美しい歩き方をしたのです。実際に遊女は客の前でものを食べる事と金銭に触れる事、又金銭の話をする事等を禁じられて居ました。

 ■「遊廓言葉」の一部は後に上流階級の山の手言葉に  

 初期の遊女は三味線・唄・踊りも得意でしたが、既に述べた様に、次第に芸能の分野は芸者に任せる様に為りました。その結果、吉原芸者は他の何処の芸者より優れた芸人に為ったのです。しかし芸能を行わ無く為った後も、遊女は和歌・俳諧・漢文等の文学的な能力が在り、文人達とそう云う話も出来ましたし、着物の上に武家の女性の様な打ち掛けを着けました。詰まり正装をして居たのです。  

 又独特の語尾を持つ人工の遊廓言葉を話しましたが、その中で「ざんす」「ざいます」等は後に上流階級の山の手言葉に為ります。教養高く優れた人柄の遊女が沢山居て文学にも書かれました。

 ■〔床上手〕が意味して居た事  

 〔床上手〕と云う事も遊女の大事な要素でした。此処では、井原西鶴『好色一代男』と『諸艶大鑑(しょつやたいかん)(好色二代男)』に登場する遊女を何人か見てみましょう。  

 野秋と云う遊女に付いては「一緒に床に入ら無ければ判ら無い処が在る」と書いて居ます。肌が麗(うるわ)しく暖かく、その最中は鼻息高く、髪が乱れても構わ無い位夢中に為るので、枕が何時の間にか外れてしまう程で、目は青み掛かり、脇の下は汗ばみ、腰が畳を離れて宙に浮き、足の指は屈(かが)み、それが決してワザとらしく無いと。  

 もう一つは、度々声を挙げ乍ら、男が達しようとする処を九度も押さえ着け、ドンな精力強靱な男でも乱れに乱れてしまう処だと。更に、その後で灯を灯して見るその美しさ。別れる時に「さらばや」と言うその落ち着いた優しい声。これが遊女の〔床上手〕の意味でした。  

 初音と云う遊女は、席がしめやかに為ると笑わせ、通ぶった客は丸め込み、初心な客は涙を流さんばかりに喜んだそうです。床に入る前には、丁寧に何度もうがいをしてユックリ髪を解かし、香炉で袖や裾を焚き締め、横顔迄鏡に映して気を付けました。  
 世之介(『好色一代男』の主人公です)が眠って居ると「アレ蜘蛛が、蜘蛛が」と言ったので世之介は起きてしまいました。すると「女郎蜘蛛が取り付きます」と抱き着いて来て肌を合わせ、背中をさすり、ふんどしの所迄手を遣って「今迄は何処の女がこの辺りを触ったのかしら」と言います。西鶴は、駆引きが類まれな〔床振り〕だと書いて居ます。

 ■被差別民の客が来れば、衣装に「非人の印」を縫い着けた  

 「床上手にして名誉の好きにて」と言われた夕霧は、化粧もせず素顔で素足、肉付きは好いのにホッソリと淑(しと)やかに見え、眼差しに抜かりが無く、声が好く、肌が雪の様だったそうです。
 実は初期の遊女は髪に簪(かんざし)も殆ど着けず、多くの人が化粧もしませんでした。飾りが一切要ら無い位の本来の美しさを目指して居たのです。夕霧は更に琴・三味線の名手で、座の捌(さば)きに卒(そつ)が無く、手紙文が素晴らしく、人に物を強請らず、自分の物を惜しみ無く人に遣り、情が深かったそうです。

 また三笠と云う名の遊女は、情が在って大気(おおらかで小さな事に拘ら無いこと)、衣装を素晴らしく着こなし、座は賑やかにしたかと思うと、床ではしめやかな雰囲気を作ります。誰にでも思いを残させ、又会いたいと思わせる人でした。  

 名妓達の良さとして特に強調されるのは、下の者に対する優しさでした。夕霧は八百屋や魚屋が遣っ遣ッテきても決して馬鹿にする事無く喜ばせました。三笠は、客の召し使いや駕籠かきに迄気を遣い、禿(遊廓で修行中の少女たち)が居眠りをすると庇って遣りました。  
 金山と云う遊女は、或る被差別民の客が身分を隠して遣って来てそれが噂に為ると、衣装に敢えて欠け碗、めんつう(器)、竹箸、と云う非人の印を縫い着け「世間晴れて我が恋人を知らすべし。人間に何れか違い在るべし」と言い放ったと云うから見事です。人権派の遊女と云う所です。吉野の話は既に冒頭で紹介しましたね。遊女の魅力は第一に人間的魅力だったのです。

 ■客と別れる為の作戦  

 遊女は、馬鹿にされたら引っ込ま無いと云う強さも必要でした。客が他の遊女に惹かれた時は、チャンと理由を言って遊女の名誉を傷着ける事無く綺麗に別れる必要が在りました。しかし時にはその遊女の欠点を探し(ナカナカ見付かりませんが)、それを理由に別れる客が居ます。それを〔口舌〕と言い、卑怯な遣り方です。遊女は自力で自分の名誉を守ら無くては為りません。  

 吉田と云う遊女は、或る客が口舌で別れようとして居る事を見抜き方法を考えました。吉田が座敷を出た処でオナラの音がしたので「これぞ好い機会!」と客は喜びます。別れる理由にしようとしたのです。  
 しかし彼女が同じ廊下を歩いて帰って来た時、フト立ち止まって迂回して座敷を回りました。客は「アレ?」と思います。サッキのは廊下のキシミだったのだろうか?吉田は判断に困って居る客に「今日限り愛想が尽きました」と自分から別れ話を切り出します。
 その噂は遊廓中に広まって客の方が面目を失ったのです。決着が着いた後、吉田は「いかにも(おならの)こき手はこの太夫じゃ」と言い放ったのでした。

 遊女は、誰にでも惚れて居る振りをする訳ではありません。小太夫と云う遊女は客から「惚れて居ると云う誓紙を書け」と言われましたが、言う通りにしませんでした。「貴方は大変良くして下さるのですが、どう云う訳か私は左程に思え無いのです。噓を着く訳にいきません。惚れて居ない、と云う誓紙なら書きましょう」と言ったそうです。その後も二人はとても好い関係が続きました。
 ヤガテその客が遊廓通いはもう辞めにすると云う時、小太夫はその男性の紋を付けた着物を10枚作らせて贈り、遊女に為った時から今日迄の事を書き綴った〔我が身の上〕と云う文章を彼に捧げたのです。

 男として好きに為れ無くとも、噓を着かず、世話に為った恩は忘れず、長い間別れの時の準備を怠らなかったのです。遊女と客の関係でも男女の友情は可能だったのです。



 田中 優子 (たなか・ゆうこ) 法政大学 名誉教授  1952年神奈川県横浜市生まれ 法政大学社会学部教授 社会学部長 法政大学総長等を歴任 専門は日本近世文学 江戸文化 アジア比較文化 2005年紫綬褒章受章 
 著書に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫/芸術選奨文部大臣新人賞受賞) 『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』(ちくま文庫/芸術選奨文部科学大臣賞 サントリー学芸賞受賞)等多数 近著に『日本問答』『江戸問答』(岩波新書/松岡正剛との対談)など




 【管理人のひとこと】

 遊女とは、女性が単独で働こうする場合の職業の中では最大・最適のものだったのでしょう。女性が働くのは、小娘として子守や子育ての手伝い、結婚して農家や商家の夫の手伝い位で、今とは異なりそれ程女性が単独で働く環境が少なかったのですね。
 ですから、素晴らしい〔遊女の嗜み〕とは、単に遊郭勤めの女性を対象とするだけで無く〔世間一般の女性の嗜み〕の理想を説いたものなのでしょう。この様な女性がザラに居る訳では無く〔この様な女性に為りなさい・・・・〕と夜の嗜みだけで無く、全ての事に秀でた婦人の目標として挙げられた教育本だったのでしょう。無いもの強請り・・・と言い換えても宜しいのでは・・・













2021年12月30日

日活ロマンポルノ50周年 堕ちてコソ神々しい谷ナオミ・・・



 日活ロマンポルノ50周年 堕ちてコソ神々しい谷ナオミ・・・

 今も色褪せ無い3人の女優達



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                 谷ナオミ(1974年撮影)12-30-11


 2021年は、日活ロマンポルノが50周年を迎えた節目の年だった。東京・渋谷で開かれた記念上映イベントには、往年のファンは勿論の事、若い世代の姿も多く見られた。ロマンポルノは、何と云っても「女優」の存在抜きには語れ無い。ライターの亀山早苗氏が、今も魅力を放ち続ける3人の女優達を紹介する。

                  * * *



 映画産業が斜陽と為った1971年、日活が社運を賭けて路線変更を図ったのが〔日活ロマンポルノ〕である。当時は日米安保・学生運動の裏で、若者達が虚無的に為り「シラケ世代」が台頭して来て居た。一方で高度成長期に突入し、社会は混沌としながらも活気に満ちて行った。そんな時代に、ロマンポルノは封切られたのだ。

 反体制を貫き通せず、それでも何処かで革命の夢を見て居た若い人々の熱狂的な支持も在ってマンポルノは受けた。10分に1度の濡れ場・作品は70分前後と云うルールさえ守れば、比較的自由に撮れた為、若い監督達がその才能を遺憾無く発揮、神代辰巳・小沼勝・加藤彰・田中登・曽根中生等の名監督が生まれた。  
 ロマンポルノの第一作は誰もが聞いた事の在るタイトル『団地妻 昼下がりの情事』(西村昭五郎監督・白川和子主演)だ。
 以降の17年間で公開された作品は、約1,100本・50年経った今も色褪せず、旧ファンも新ファンも熱くロマンポルノを語る。50周年のイベントで4週間に渉ってロマンポルノを上映した渋谷の映画館には、男性のみ為らず女性ファンの姿も多かった。
 
 ロマンポルノと云えば「女優」で在る。スクリーンで輝きを放つ女優達は数多居るが、心を鷲掴みされるに違い無い3人を挙げるとしたら・・・悩みつつ紹介したい。

 男に崩されるのでは無く、自ら崩れて行く

 先ずは初代SMの女王と呼ばれている谷ナオミだろうか。その豊満で美しい肉体に先ず圧倒される。ドンなに脱いでも縛られても、彼女からは冒される事の無い気品が漂う。代表作『花と蛇』も好いが、谷ナオミの魅力が凝縮されて居るのは同じ小沼勝監督の『花芯の刺青 熟れた壷』(1976年)だ。

 人形作家の未亡人の谷と義理の娘の嫉妬と葛藤。薄幸の未亡人が堕ちて行った時、ソコに渦巻く女の凄絶なエロスを谷ナオミはその肉体で思う存分表現する。堕ちて尚神々しい、嫌、堕ちてコソ神々しい谷ナオミ。
 更にこの映画では彫師の蟹江敬三が又、凄まじい演技を見せる。彫る男と彫られる女・・・その緊張感が解けた時、エロスは爆発する。

 彼女の目線一つで、柔な男はイチコロに為るのでは無いか。畏れ多くて話し掛ける事も出来無いかも知れない。強固な意志が肉体の快楽に依って崩れて行く。男に崩されるのでは無く、自ら崩れて行くのが谷ナオミ演じる女なのだ。ソコに同性として堪ら無いエロスを覚える。  
 そんな女王の意外な魅力を発掘したのが神代辰巳監督だ。『悶絶!! どんでん返し』(1977年)では、谷ナオミの素晴らしいコメディエンヌ振りを見る事が出来る。少し頭のネジが緩んで居る様な、それで居て本質を突く様な言葉を吐く女を、彼女は軽々と演じて見せる。女の可愛らしさをこれ迄かと見せ着ける彼女の演技の幅の広さに驚かされるだろう。

 本能だけで繋がる男と女の方が動物としては正しい


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          1973年「四畳半襖の裏張り」撮影現場での宮下順子 12-30-12


 谷ナオミが「エロスの象徴」なら「色気の代表」は宮下順子だ。それも作品に依って「色気の色」が違うのが魅力的だ。  
 例えば『実録 阿部定』(1975年・田中登監督) 昭和11年、思想弾圧の厳しく為った日本。2月には二・二六事件が起こって居る。その3ヶ月後、東京・荒川区の待合で、妻在る男を愛した女・阿部定が、彼を殺害、局部を切り取って逃走した事件の映画化だ。この作品を観ると、恐らく阿部定と云うのはこう云う女だったに違い無いと思えて来る。  

 2人は待合に籠もって、風呂にも入らず殆ど裸のママ延々とマグワイ続ける。部屋に2人の体臭や粘液の匂いが籠もって居るのが映像から伝わって来るのが凄まじい。定は、唯々男を自分のものにしたかったのだ。その心理の揺れを、宮下順子が丁寧に演じて居る。
 黙々と男の局部を切り取る彼女の後ろ姿や真剣な横顔からは、男と一緒に居たいだけだと云う真摯な思いが判る。

 阿部定をモチーフにした映画作品は数々在るが、実録と銘打って居るだけ在って、コレが実際の阿部定の心境に近いのだろうと妙な納得感が在る。それ程宮下順子の演技に説得力が在るのだ。

 赫い髪の女は、インスタントラーメンもロクに作れ無い。水を入れた鍋をガスコンロに乗せて台所から炬燵の上に持って来る時、水がバシャバシャと零れるが、女は全く意に介さ無い。かと思うと「アンタ、ラーメン食べるか」と光造に聞いて作り始めるのだが、卵を買って来なかったと突然ヒステリックに泣き出したりする。訳の判ら無い女なのだ。それでも光造に只管「して」とセガム。

 自分の欠落した場所を補って貰うかの様に男を求め続ける女に対して、最初は哀れさを覚えるのだが、仕舞には逞しさが漂って居る事に驚かされる。「訳の判ら無い女」を、これ程説得力を以て見せる事が出来るのは宮下順子以外に居ないだろう。
 恋だの愛だのと言って居る内は、男と女の事等判り様が無いのではないか。言葉で判ろうとする事等本来不要で、本能だけで繋がる男と女の方が動物としては正しいのではないか。そんな風にさえ思えて来る。
 
 光造は、生まれて初めて〔嫉妬〕と云う感情を覚える。それが女を愛する事に繋がって行く。女は「男の為の道具では無い」のだと思い知った光造は自分の姉夫婦に女を会わせる。だが、姉夫婦のデリカシーの無い発言に彼女は傷着く。
 何かを抱えた女を、光造は只只管抱き締める。周りが何を言おうと女が何処から来ようと関係無い。目の前の、この肉体を持った女を彼は本気で愛したのだ。

 女が愛されて居る事に満足して居るのか如何かは判ら無い。そこが又、宮下順子の凄い処だ。もしかしたら、又此処から不意に居なく為るのでは無いかと云う不安定さをズッと保ち続けて居る。不安定は色気に繋がる。
 こう遣ってこの男女は繋がって行くのか、或るいは突然関係が終わるのか。判ら無いママに映画は終わる。宮下順子の何処か寂しそうな笑顔、感じた時の輝く表情、不安そうな眼差し等が、何時までも脳裏に残る作品である。

 3人目は矢張り・・・



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        1984年放送のドラマ「昨日、悲別で」に出演した際の芹明香 12-30-13


 モッと挙げたい女優は居るのだが、3人と為ると最後は芹明香(きんめいか)だろう。熱烈なファンが居る女優で在る。華奢でスレンダーな肉体だが、この人の凄さは圧倒的な存在感だ。演技をして居るのか如何かさえ判ら無いのに、全てを凌駕する存在感は他に例を見無い程だと思う。  
 代表作は『(秘)色情めす市場』(1974年・田中登監督)だ。国宝級と迄言われるこのモノクロ作品の中で、芹明香演じるトメは娼婦で在る。大阪釜ヶ崎のあいりん地区を舞台に、「ひとりで稼ぐわ」と男に管理される事を嫌って生きるトメの姿を描いて居る。



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 「うち、何や逆らいたいんや」

 芹明香はそう呟く。男に後ろから突かれながらタバコを加え、ヤクザに殴られても一歩もヒケを取らずに抵抗し続ける。彼女は、矢張り娼婦の母親に路上で産み落とされた。今も男の顔色を伺い、男に縋る母を嫌い、自分はアアは為りたく無い、男に引きズラレル人生は真っ平だと思いながら彼女は生きて居る。
 彼女には知的障害を持つ弟が居る。弟を見詰める芹明香の目は限り無く優しい。何もかも受け入れ何もかも与える聖母である。  

 ヤサグレて居る様に見えて、心の中に純粋で透明な太い軸を持って居る女を、芹明香はまるで自分の日常を見せるかの様に軽やかに演じて居る。逞しく生きて行く女・逃げ無い女・自分の足で歩く女を芹明香は見せ続ける。
 ロマンポルノの他作品にも多く出演して居るが、ドンな小さな役で在っても彼女は常に印象に残るのが不思議だが、だからコソの人気なのだろう。芹明香と聞くと、彼女のファンのみ為らずロマンポルノファンの目が輝くのは、誰の心の中にも「自分だけの芹明香」が居るからかも知れ無い。男性だけでは無く、その骨太な存在感は女性からの支持も高い。



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 ロマンポルノ第一作から半世紀。それでも多くの作品が色褪せず、今観ても心から面白いと思えるのは、ジャンルが時代劇からコメディ迄と幅が広いこと、当時、脂の乗ったクリエイター達が心血を注いで、あらゆる工夫を重ねながら愛する映像を作り上げた事等、様々な理由が在る。

 自分に取っての「この1本」が見付かったら、繰り返し観るのも楽しい。年を経るに連れ見えるものが違って来るからだ。今や映画作りの古典として、大学の芸術学部では講義もされて居るロマンポルノ。
映画の大事なものが沢山詰まった、日本文化のレジェンドで在り、レガシーと為って居るのでは無いだろうか。 DVDや動画配信、CS放送等でも観られるので、ご興味が在れば、是非。




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          亀山早苗(かめやま・さなえ) フリーライター 12-30-18 
 
 プロフィール 男女関係 特に不倫に付いて20年以上取材を続け『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』等著書多数

 デイリー新潮編集部 新潮社













 

芸能人が〔クスリとセックス〕に溺れる迄の全真相



 
 ザ・芸能界  テレビが映さ無い真実

 芸能人が〔クスリとセックス〕に溺れる迄の全真相




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               田崎 健太 ノンフィクションライター

 プロフィール 1968年3月13日京都市生まれ ノンフィクション作家 早稲田大学法学部卒業後小学館に入社 『週刊ポスト』編集部などを経て1999年末に退社 著書に『W杯に群がる男たち――巨大サッカービジネスの闇』(新潮文庫) 『辺境遊記』(英治出版) 『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社) 『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル) 『ザ・キングファーザー』(カンゼン) 『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞) 『真説・長州力 1951-2018』(集英社) 『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書) 『真説・佐山サトル』(集英社インターナショナル) 『全身芸人』(太田出版) 『ドラヨン』(カンゼン)など 
 最新刊は『スポーツアイデンティティ どのスポーツを選ぶかで人生は決まる』(太田出版) 2019年より鳥取大学医学部附属病院広報誌「カニジル」編集長を務める 



 〜跡を絶た無い薬物乱用に依る芸能人の逮捕劇。芸能界はそれ程迄に汚染されて居るのか。何故、どの様にして彼等はクスリにハマって行くのか。そこには知られざる「システム」が存在する〜


 渋谷と西麻布のバーで

 清原和博・ASKA・押尾学・酒井法子・小向美奈子・・・ココ数年、薬物で逮捕された芸能人で在る。清原は元プロ野球選手だが、引退後メディアに露出していたと云う意味では広義の芸能人に含んで好いだろう。何故彼等、彼女等、芸能界の人間はクスリに溺れるのか。先ず指摘出来るのは、彼等は一般人よりも遥かに、日常生活の中でクスリと接する可能性が高いと云う事だ。


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                押尾学氏 12-30-2


 「渋谷の一角に過つてバーが在った。目立た無いが、芸能事務所関係者・マスコミの人・海外の芸能関係者迄集う知る人ぞ知る店。ソコが『買える』と云う事で有名だったんです」

 こう語るのは、芸能関係者のXである。Xは「今からでも2時間貰えれば、直ぐにクスリを手に入れて来ますよ」と豪語する。Xは現在は薬物を断って居るが、数年前に覚醒剤による逮捕歴が在る。現在も芸能界に関わって居る為匿名とする。



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                    酒井法子氏 12-30-3


 「クスリを手に入れる事の出来るバーは僕が知って居るだけで、現在も都内に5つは在る。経営者の方針にも依りますが、自らが売らずに客同士に取引の場所を貸すパターンが多い。そう云う噂の在るバーは、外国人モデルが沢山遊びに来て居て流行って居る」

 その中の一つ、西麻布のバーでの事だ。

 「在る程度人数が集まったら、店を閉めちゃうんですよ。そしてテーブルをピカピカに磨いて、クスリ(コカイン)をザーッとテーブルの上に白線の様に撒いて、皆で鼻から吸って行く。その場には、何人も芸能人が居ましたよ」



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                 俳優・成宮寛貴氏 12-30-7


 昨年12月に『FRIDAY』で報じられた俳優・成宮寛貴の薬物使用疑惑の写真も、マンションの一室で撮られたとされるものだった。成宮自身が薬物を使用して居たか否かは今も定かでは無いが、こうした都心のクローズドな場所で、密かにクスリは取引され使用されて居るのである。
 Xは自ら薬物を使用する他〔運び屋〕でも在った。芸能事務所の人間・テレビ局員等に毎日の様に覚醒剤を運んで居たと云う。

 「カジュアルに付き合おうと思えば出来るんですよ。最初は葉巻みたいな感覚。マア、在ったら気持ちが好いよな、程度です。『覚醒剤を常用して居ると、身も心もボロボロに為る』と言いますが、必ずしもそう為ら無い人も居る。15年・20年遣り続けて、中毒に為ら無い人も知って居ます」

 Xも又〔カジュアル〕に覚醒剤に手を出した。そして、その量は次第に増えて行った。

 「僕の場合、仕事が忙しい時は遣ら無かった。クスリを遣ると、自分では能率が上がって居る積りでも、実際の作業は遅くそして雑に為る。遣りたく為るのは盆暮れとか暫く人に会わ無くて好い時。クスリを遣って人に会うとバレてしまいますから。
 清原さんが『週に一度、子供と会った後、寂しく為って覚醒剤を使って居た』と云う報道が在りました。でも、覚醒剤を遣った事の在る僕達から見ると『来週迄子供に会わ無いのだから、クスリを使えると考えたんじゃないか』と勘ぐってしまうんです」


 「1回1000万円」の女

 ノンフィクション作家の溝口敦は著書『薬物とセックス』の中でこう書いて居る。

 〈覚醒剤は好く「前借りのクスリ」と云われる。寝無いで頭や身体を動かして居たければ、明日の分、明後日の分迄エネルギーを前借り出来る。(中略)しかし前借りの利息はベラボウに高く、300%・500%の利息では済まず、場合に依っては一生涯掛けても払い切れ無い程の利息を要求して来る〉

 逮捕される直前の2年間は、重度の中毒に為って居たとXは振り返る。

 「友達や女の子の家で(薬物を使用する)行為に没頭してました。仕事に穴を空けた事も在ります。家族も居ますし何度も辞めようと思ったんですよ。何度も覚醒剤を捨てました。川に投げた事もトイレに流した事も在る。
 でも、精々我慢出来て3週間。運び屋を遣って居たので、その間もチョイチョイ誘いや問い合わせが来るんです。最後はコレは長く続か無いな、早く捕まら無いかなと思って居ました」


 Xも又、その利息を逮捕と云う形で払う事に為った。もう一つ、芸能界で薬物が横行する大きな原因として、薬物が性行為と結び着いて居る事をXは指摘する。

 「薬物の快楽と云うのは、バクチ、或いはセックスと一緒に遣ると掛け算に為る。女性の側に使用する気が無くても、知ら無い間にコンドームにシャブを塗られたり、と様々な遣り方が在ります。僕の実体験では、女性の方が一度経験するとクスリに夢中に為り易い」

 芸能界には、タレント、或いはタレント志望の女性が溢れて居る。その為、芸能界とクスリは親和性が在るのだ。

 「芸能界でノシ上がって行くには、クスリか女のドチラかを手配出来る事が必要なんです」

 芸能界に関する噂として、所謂〔枕営業〕の話が在る。これに関連して、事務所やマスコミ関係者に対する「営業」とは限ら無いにせよ、芸能人やモデルとの売買春を斡旋する〔交際クラブ〕が存在するのは事実だとXは言う。

 「或るモデル事務所の人間と会った時、引っ切り無しに電話が掛かって来る。『どうしたの?』と聞くと『今から(モデルを)手配出来ないかと言われた』と言うんです。
 ひと昔前迄は『芸能人を抱く』何てヤクザしか遣って居無かった様な事を、今は小金が在れば誰でも出来る様に為って居ます。5万〜10万円払って会員登録すると、最初は女子大生何かを紹介して貰えるんですが、金を出せばそれだけ女性のランクも上がって行く」


 そう言ってXはスマホを取り出し、女性の顔写真が並んだ交際クラブの会員向けサイトを見せて呉れた。

 「今の交際クラブは『芸能人と遣りたい』とか『クスリを使いたい』と云った、客のあらゆる要求に対応します。その中には、クスリを使ったセックスが出来る女の子も居る。芸能事務所の中には、こうした交際クラブを運営する組織と癒着して居る所も在ります」

 グラビアアイドルや、或る程度有名なモデルに為ると、1回数百万円から1,000万円程度の〔値段〕が着くと云う。客がもし「クスリを使いたい」と言い出せば、彼女達はソコから溺れて行く事に為る。

 人間の意志の力は強く無い

 Xは、或る芸能事務所の人間から「手配出来る女性」の作り方を教えて貰った事が在ると云う。

 「グラビアアイドルの女の子等は、給料が安いので現金を持って居ない。でも、住んで居るのは家賃40万円のマンション何て事も在る。勿論、セキュリティの問題と云うのも在るでしょうけれど、本当の理由は別に在るんです。
 高級マンションに住まわせて、毎晩の様にミシュランの星の付いたレストランに連れて行ったり、売れっ子が出入りして居る店を覗かせる。散々遊ばせた後で、女の子の家族、或いは心在る友人達の事を『アノ人達はコンな高級店に行く事は出来無い。そんな下ら無い人間の話を聞く必要は無い』と言い続ける。
 そして『シミッタレタ生活と、今の華やかな生活のドッチが好いんだ?』と選択を迫る。自発的に後者を選ぶ様になれば『一丁上がり』です」


 Xは'09年に覚醒剤取締法違反で逮捕された、グラビアアイドルの小向美奈子とも面識が在った。



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                   小向美奈子氏 12-30-4


 「彼女はクスリ好きでは在ったけど、中毒と云う感じでは無かった。15歳位から芸能界に入って、可愛い可愛いと言われ続けて来た。でも20歳を超えると、自分への注目は減って来る。彼女は、自分を見て見てと云うタイプ。構って欲しいんです。
 彼女はその内、イラン人の売人グループとも接触を持つ様に為り、自分で覚醒剤を扱う迄に為ったと言われます。『男の人はこう云う事をしないと喜んで呉れ無いんでしょ』と思い込んで居たんでしょう」

 こう云う事・・・とは勿論悟醒剤を使った性行為で在る。

 近年、冒頭で挙げた芸能人達の様に、40代から50代の薬物乱用者が増えて居ると云う。'09年8月に逮捕された酒井法子は現在45歳、昨年2月に現行犯逮捕された清原和博は49歳、昨年11月に逮捕されその後嫌疑不十分で不起訴と為ったASKAは58歳だ。Xが指摘する。

 「人は結局、カネが在ると快楽を極めたく為るんじゃないでしょうか。'90年代に、渋谷のセンター街等でイラン人の密売人が偽造テレホンカードや覚醒剤を売って居ましたよね。その当時若かった人達が、現在40代〜50代に為って、時間と経済に余裕が出来て何をするか・・・と云うパターンではないか」

 警察庁に依ると、薬物乱用で1年間に約1万4,000人が逮捕されて居り、その内65%が再犯者だと云う。高い再犯率が薬物依存の特徴である。薬物依存症の回復を支援するリハビリ施設『館山ダルク』代表の十枝晃太郎に依れば、ダルクに入所するのは逮捕歴が在る人間が多いと云う。

 「2回・3回と云うのは当たり前で、10回を超える人も居ます。依存症を治そうと自分から入って来る人間は少ない。社会的信用、お金を失って生活も破綻する。周りに人も居ないので国に頼るしか無く、生活保護の申請をする訳です。
 そこでダルクに行ってリハビリをして、好く為れば面倒を見ましょう、と云う行政からの依頼で来る方が全体の約半分です」


 十枝晃太郎の母は、故・松方弘樹との間に息子をもうけた歌手の千葉マリアである。十枝自身も、過つて薬物依存症に為り、それを克服した過去が在る。克服の為に重要なのは環境を変える事だと十枝は考えて居る。

 「使って居た時と同じ場所に居たりとか、同じ匂いを嗅いだりすると、凄く遣りたく為ってしまうんです。覚醒剤を使って居た人だったら、売人に電話したりしてしまう。そう為る前に止め無ければ為ら無い。人間の意志の力は強く無い。数年間は違った場所で生活するとか、行動範囲を変える事です」

 芸能界に戻るから再犯する

 だが、逮捕されても再び同じ場所、同じ仕事に戻る事の出来る芸能人は、再犯の可能性が高いと云う。

 「僕の場合は、薬物依存で本当に全てを失いました。残って居たのは、母親と弟と云う家族だけだった。この2人に申し訳無くてダルクに入ったんです。
 例えば小向さん等は、捕まって出ても又、ストリップやAVで稼ぐ事が出来る。彼女を使って仕事をしようと云う周りの人間も居るでしょう。その場合は如何しても再犯の可能性が高く為る」


 その意味で、宮古島等で療養生活を送る清原和博は、正しい道を歩いて居ると十枝は観ている。

 「清原さんは逮捕された後『一日一日の闘い。今日は勝ったぞ、明日も頑張ろうと云う毎日の積み重ねです』と話して居ますが、僕達の考えと同じです。本当に一日、一日の積み重ねが大切なんです」

 警視庁池袋署組織犯罪対策課で薬物取り締まりを担当する蜂谷嘉治警部は「NO  DRUGS」と云う会を主宰して居る。これは元薬物乱用者、その家族たちが集まって互いの経験や現状を語る会で在る。蜂谷警部が逮捕した乱用者の更生の為、7年前に始めた取り組みだと云う。

 「薬物乱用の抑止力の第一は、我々の様な警察の取り締まり。その次が家族を大切に思うか如何か。家族を失いたく無いと云う抑止力が働く。家族の方に同席して貰って居るのはその為です」

 彼も又日々の積み重ねが大切だと強調する。

 「取り敢えず今日は遣ら無いで済んだ、みたいな生活なんです。その一日が積み重なって、一ヵ月、そして一年と為る。私達は『もう遣りません』と云う言葉は信じませんが『今、遣ってない』は信用すると云うスタンスです」

 しかし、夫人が更生支援をして居ると云うASKAの場合は未だしも、清原は保釈の際の身元引受人がナカナカ決まら無かった。家族と云う「最後の砦」さえ持た無い芸能人が薬物と訣別する道は決して平坦では無い。

(文中敬称略)

         田崎健太氏の連載「ザ・芸能界」バックナンバーはコチラから

  
        http://gendai.ismedia.jp/list/author/kentatazaki

 「週刊現代」2017年2月25日号より



 【管理人のひとこと】

 麻薬・薬物・大麻・・・と呼ばれる覚醒剤とその周辺の違法薬物は、洋物の映画・TVドラマを観ていると、学生時代から日常の様に扱われて居る。アメリカでは洲に依って大麻が合法とされ薬局で販売されて居る・・・と聞く。
 そして日本のTVドラマ〔相棒〕には、大麻の所持・栽培で逮捕されたり薬物使用の疑いを持たれたり、歌舞伎役者と永く不倫を続けた有名女優等・・・非常に脇の甘い自己規制の番組も健在する。何か特別に洋風化されたTV文化を持たれて居るのか・・・この番組には〔何か異臭のする雰囲気〕が漂う・・・
 定期的に相棒が変わったり通う贔屓の小料理屋の女将が変わったり・・・するのだ。今回は相棒が変わる番だと、誰に為るのかが噂されて居る。貴方は誰を押しますか? 私は滅多に観ないが女房殿は何十年の大ファンなのである。
























2021年12月29日

死者最多も〔批判なし〕吉村知事を支える大阪メディアの異常



 死者最多も〔批判なし〕 

 吉村知事を支える大阪メディアの異常



  記事投稿日 2021/07/01 06:00  最終更新日 2021/07/02 13:00



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         うがい薬の効能を力説する吉村知事(写真 共同通信)12-18-13


 「吉村さん、頑張ってハル!」

 関西圏の昼のワイドショー。吉村洋文大阪府知事(46)がカメラに向かって、現在の大阪の感染状況や今後の見通しを語る。大阪のコロナ対策の総責任者で在る吉村知事だが、淡々としたその語り口からは、何処か当事者意識が希薄の様にも見える。
 その様子を聞きながら、時々茶々を入れるのが吉本芸人を中心とした番組〔コメンテーター〕達。勿論批判的な質問等は殆ど無く、冒頭の様な声で称える事さえも・・・コレはコロナ禍でお馴染みに為った関西のテレビの現状だ。

 「吉村知事と在阪メディアの蜜月振りは兎に角異様です。昨年3月に『大阪と兵庫県の往来を自粛して欲しい』と吉村知事が突然発表した当たりから、吉村知事のテレビ露出が特に増えました。大阪府のホームページに掲載されて居る〈知事の日程〉欄には、吉村知事のメディア出演予定が幾つも並んで居ます」



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                元神戸新聞記者 松本創氏


 そう話すのは、元神戸新聞記者で大阪維新とメディアの関係に詳しいノンフィクションライターの松本創さん。本誌が調べてみると、2020年4月から2021年5月迄の14カ月間で、吉村知事のテレビ出演は143回。多くは地元関西の情報番組だ。
 コロナ対応で多忙な時期に週2回は出演して居た。 吉村知事がテレビ出演で忙しくして居る裏で、地獄を見て居たのは、他為らぬ大阪府民だ。


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 都道府県別の累計死者数は全国最多の2,668人(6月29日時点)12-18-15

 ■医療崩壊「入院した時には母は手遅れで」

 都道府県別の累計死者数は全国最多の2,668人(6月29日時点) 特に今年3月からの〔第4波〕では医療が崩壊。自宅待機者が1万5千人と為り在宅で亡く為る人が相次いだ。当時の様子を、大阪府堺市に住む50代女性はこう振り返る。

 「4月下旬、80代の母と共にコロナに感染しました。入院出来ず、感染した私が在宅で看病しないといけ無い状態が2日続きました。母が入院出来た時は、咳が止まらず話せ無い様な状態で・・・私も高熱が出て、一緒に病院に行ったのですが、解熱剤だけ渡されて帰されました。
 肺へのダメージが大きく、母は暫くして肺炎で亡く為りました。私も症状が悪化して入院。結局、母の死に目に会う事も火葬に立ち会う事も出来無かったんです」


 彼女は、前回の府知事選では吉村氏に投票した〔ゆるい維新支持者〕だったが、今はワイドショーに出演する吉村知事を見るた美に怒りがこみ上げると云う。

 「母が亡く為ったのと同時期に感染した維新の議員さん(中谷恭典府議会議員)は直ぐに入院して居たんですよネ。ソモソモ、この1年、大きな事言って居ただけで、何の成果も無いじゃないですか!」

 前出の松本さんも「吉村知事の1年半 に渉るコロナ対策は、パフォーマンス先行と言われても仕方無いものだった」と指摘する。

 「感染者数が一時的に減った昨夏には、松井一郎市長と一緒に道頓堀の飲食店に出向き〈ドンドン大阪に来てください!〉と吉村さん自ら〔食のまち・大〕再始動のパフォーマンスをしました。うがい薬で『コロナに打ち勝てる』と言い出したり、年内に〔大阪ワクチン〕の実用化を宣言したり・・・何れも信憑性や実現性に乏しい発言でした」


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         知事が頻繁に情報番組に出演する伝統を作ったとされる橋下氏 12-29-1


 ■〔バラエティー〕のノリで知事を出演させる

 昨年11月には〔都構想〕の是非を問う住民投票を強行。感染が広がる中、このタイミングで行う事に疑問の声が出た。

 「一方で吉村知事は、感染者数が増加すると医療機関に対し『ベッド数を増やせ。増やさ無い病院は名前を公表する』と、脅しの様な事を言い始めました。結果的に名前の公表には至りませんでしたが、或る民間病院の院長は『場当たり的な対応を繰り返して、最後は医療機関にだけ負担を押し突ける』と憤って居ました」(松本さん、以下同)

 3月1日の緊急事態宣言の解除も、吉村知事が政府に働き掛けて1週間前倒ししたものだ。それに伴い、直ぐに対応出来る重症病床の数も縮小したが、再び感染が爆発し〔医療崩壊〕を招いたと指摘されて居る。処が、在阪メディア、特にテレビで、こうした知事の失政が正面から批判される事は少ない。
 宣言解除前から変異株の危険性は指摘されて居たにも関わらず、吉村知事は〔医療崩壊〕に陥った理由を「変異株の感染力が予想以上だった・・・」からと説明。テレビに出ても、無批判にその声は垂れ流される事が多かったと云う。

 「知事が出演して居るのは主に情報番組。普通、政治を扱うのは報道局なんですが、情報番組はバラエティー番組を造る制作局が作って居ます」

 知事が頻繁に情報番組に出演する。ソンな大阪特有の〔伝統〕を作ったのは橋下徹元大阪府知事(52)だと松本さんは指摘する。

 「橋下さんは知事に為る以前からタレントとして頻繁に情報番組に出演して居たので、当時から親しかった制作局が、府知事に為ってからも番組を作る様に為ったんです。制作局の人間からすれば〔身内〕の橋下さんが知事に為った訳ですから、権力者に対峙すると云うより、タレントに対し〈がんばってヤ!〉みたいなノリに為ってしまうのでしょう。そんなメディアとの〔共犯関係〕を吉村知事も継承したんです」

 そこに批判的な視点など、生まれ様も無い。




 橋下氏の時代から 知事は登庁時と退庁時の1日2回 

 庁舎の廊下で〔ブラ下がり会見〕を開く様に・・・



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 ■〔恫喝〕よりも持ちつ持たれつの関係を

 本来、知事の行う政策を調査し報道する立場に在るテレビの報道局や新聞記者の仕事の仕方も、維新府政で変わったと云う。

 「橋下さんの時代に為ってから、知事は登庁時と退庁時の1日2回、庁舎の廊下で〔ブラ下がり会見〕を開く様に為った。
 記者の本来の仕事は、現場に出て市民の声を聞き、それを首長にブツケテ問う事でしょう。でも、記者は知事の話を拾う事に必死に為り、市民の声を聞く事が疎かに為った。云わば府庁の廊下が〔現場〕に為って仕舞ったんです」


 知事に質問出来る機会が増える事自体、悪い事では無い。だが、肝心の内容は・・・

 「橋下さんは以前、自著『まっとう勝負!』に収録された爆笑問題の太田光さんとの対談で〔視聴者は話している中身なんて聞いていない〕と云う様な話に賛同した上で〈そうナンですよ。内容は別で、真剣に話してた事は分かったから「マ、いっか」って雰囲気です〉と語って居ます。
 要は一生懸命な〔印象〕だけ伝われば好いと。その傾向は吉村知事も受け継いで居る。長々と一生懸命に話して居る割には、記者の質問に真面に答えて居ません」


 橋下元知事は、気に入ら無い質問をする記者には個人攻撃で応える事も在った。2012年、府立教員の国歌斉唱問題に付いて質問をしたMBSの記者を「勉強不足」「フザケタ取材すんなよ」と20分以上に渉って責め立てた。吉村知事は記者を〔恫喝〕する事は事は無いが、その手法を引き継いだのが松井一郎大阪市長だ。
 
 「5月13日の記者会見で、大阪市のコロナ対応に何度も疑問をブツケたMBSの記者を、松井市長は『不安を煽煽る様な事ばっかり言って』「アンタの取材力が無いからや』等と、責め続けました」



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        19年10月 饗宴の儀に出席した松井一郎・大阪市長 (C)JMPA


 ■批判する記者を〔ややこしい奴〕と見做すマスコミ内の空気

 毎日2回も顔を合わせて居ればシンパシーも生まれる。一方で、批判をすると〔恫喝〕が返って来る事ある。メディア側に生まれるのは、維新と対立するより持ちつ持たれつの関係を築いて行こうと云う空気だと云う。

 「会見等で厳しく批判すると、廻りのメディア関係者から、空気が読めない奴・突出してヤヤコシイ奴みたいな感じに見られる。極めて不健全な状態です」

 その結果、量産されるのが知事や市長の発言を無批判にまとめただけの報道だ。

 「基本的に、政治家には批判的な視点や疑問を持って検証する必要が在ります。取材の視点や軸足が権力側と一体化すれば〔吉村さん、がんばった〕と云う事にしか為ら無い。大阪だけ突出して死者が多いのは何故なのか・・・それを検証するには、維新の言い分だけ聞いて居てもダメなんです」

 コロナ禍で1年以上に渉って繰り返されたパフォーマンス先行の場当たり的な対応。失敗を続けても一向に改められ無いのは、維新と〔共犯関係〕に在るメディアによる〔批判的な視点〕の欠如が一因だと松本さんは考えて居る。

 ■批判の欠如が生む維新関係者の慢心

 「維新は不祥事が非常に多い」と松本さんは言う。大阪維新の会から出馬した大阪府池田市の冨田裕樹市長は、簡易サウナやトレーニング器具を市庁舎に持ち込んで居た事が昨年10月に発覚し翌月に離党した。
 昨年10月には日本維新の会の森夏枝衆院議員が、集めた党員の党費を肩代わりして払った事が発覚。公選法に抵触する寄付行為に当たると指摘されて居る。
 2月には大阪維新の会の岡沢龍一大阪府議が弟への傷害容疑で書類送検。6月29日には、大村秀章愛知県知事に対するリコール署名の偽造事件で、日本維新の会の衆議院愛知5区選挙区支部長だった田中孝博容疑者が、地方自治法違反の罪で起訴された。維新関係者の不祥事は枚挙に暇が無いと云う。

 「松井市長も64回も公用車でホテル通いをして居た事が発覚しました。メディアの批判的な視点の欠如が関係者の慢心に繋がり、体質が一向に改善され無い要因に為っ為って居るのでは無いでしょうか」

 政治とメディアの緊張感を持った関係を作り出す必要がある。

 「とは云え、今の大阪の空気は十年位掛けて築かれて来たものなので、急に変わるものでも無い。メディアの中にも、この様な報道の在り方で好いのかと疑問に思って居る記者は居ます。もし、そう云う視点から作られた記事や番組に接したら、市民の皆さんはエールを送って欲しい」

 新型コロナウイルスが日本で流行し始めてからもう直ぐ1年半。行政が行うコロナ対策を批判的に検証し、可笑しな点が在れが在れば遠慮無く報じる。そんな〔あたり前〕が府民の命を守る為に必要だ。




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 【PROFILE】松本創 1970年大阪生まれ 神戸新聞記者を経てフリーに 2016年『誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走』(140B)で日本ジャーナリスト会議賞を受賞 2018年に出版された『軌道 福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い』(東洋経済新報社)で「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」受賞 その他著書多数

 出典元「女性自身」2021年7月13日号


 【管理人のひとこと】

 大阪の話だからと軽々しく扱っては為ら無い問題だ。大阪に住む人達の人命が懸かって居るのだ。何故かSNSでは橋下氏の〔喧嘩説法〕に人気が在るのか不必要に露出して居る、そんな嫌いが在る。彼の作戦は・・・先ず初めに周囲が驚く様な過激な言葉を使い鋭く批判をし注目を集める。そして余り意味の無い中身をクドクドと捲し立てる・・・結果何の価値も無い話が、サゾや価値が在る話の様に取り上げられる。
 有能で弁舌で飯を食う弁護士仕込みの・・・優秀な露天商の口上・商法から取ったものだろうが、何度も聞かされると直ぐに飽きられ中身の薄さが知れてしまう。もう、彼がマスコミから持て囃される時代は過ぎたと思うのだが、大阪では橋下氏と政商・竹中平蔵氏の人気に陰りは無い様だ。困ったものである・・・











2021年12月26日

法曹界絶句 赤木さん裁判で国が「認諾」と云う非道を選んだ理由


   法曹界絶句 ! 赤木さん裁判で国が 

 「認諾」と云う非道を選んだ理由





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 最愛の夫を失った妻は声を上げた「何故夫が死な無ければ為ら無かったのか!?」その悲痛な思いを裏切った国の判断・・・私達に出来る事は? 


 公文書の不正な書き換えを業務として強要され、それを実行した事を苦に自ら命を絶った赤木俊夫さん。公務員としての誇りを以て生きて来た夫が57歳で逝った。妻の雅子さんは「何が起きたのかを知りたい」と訴え続けて居る。



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        何時まで逃げ続ける? 元財務省理財局長・佐川宣寿氏 12-25-15


 上司だった元財務省理財局長・佐川宣寿(のぶひさ)氏に、話を聞きたかったが敵わず、国と佐川氏を訴える〔裁判〕と云う方法を執った。公判の中で「夫の身に何が起きたのか」が判ると期待したからだ。


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          国会で偽証を続け廻りから忖度された悪の本尊・安倍晋三 12-25-13


 ◆法曹界が仰天した「禁じ手」の理由

 12月15日、国が全面的に非を認める「認諾(にんだく)」をした事で、この裁判は呆気無く「終わって」しまった。

        「国が『認諾』したと云う報を聞いて、とても驚きました」


     

京都大学大学院法学研究科の曽我部真裕教授 12-25-14


 そう云うのは、京都大学大学院法学研究科の曽我部真裕教授だ。

 「赤木雅子さんが求めたのは、賠償金では無いでしょう。お金が目当てでは無く、国家賠償請求の裁判と云う形で真相を解明したかった。
 けれども国はそれを避けたかった。『認諾』詰まり訴えの全てを認めてしまえば、それ以上裁判には為りません。打算的な判断です。コレには、何か不純なものが在るんじゃないか、制度が悪用されたと感じます」


 赤木雅子さんは会見で「悔しい」と語り「国は卑怯だ」と批判した。ソモソモ、公文書改ざん赤木さんの自死が在った時、国会での調査が「出来無かった」経緯が在る。この国では国政調査権が機能して居ない。

 「ひとつ云えるのは、事件当時、安倍政権は余りにも強力に為り過ぎて居て、周囲が忖度をし過ぎて居たと云う事。その流れの中で起きた事で在るのは明白です」

 政権与党の力がこれ程強く、これ程長く続いて居ると、そんな「流れ」を止める事は出来無いのだろうか。

 「それに関して、日本は『ガラパゴス』なんです。海外にはそんな横暴を防ぐ為の制度が在ります。『少数派調査権』と云って、国会議員の4分の1の発議で国政に関する調査が出来るし組みが、ドイツ等諸外国には在りますから。政権与党の協力・了解が無いと国政を調査が出来無い日本の仕組みは見直すべきと云う議論が在ります」

 航空機の事故や医療事故の様な公共性の高い分野に付いては「調査委員会」が設置され「外部」の調査が行われる制度が在る。しかし、今回の様な個別の件ではそんな方法も取れ無い。今の制度では、国会の場で真実を調査する事は難しいのだ。「国有地払い下げの問題や、入管での人権侵害に付いても同様」と云う。

 「そして別の観点からもう一つ。これはソモソモ、日本社会の普遍的な問題なんです。組織の命令には逆らえ無い、組織は命を守っては呉れ無い。在り得ない事を遣らされた赤木さんは、今回の認諾で、云わば『2度裏切られた』んです。
 これは、決して他人事では無く、皆に関わる問題です。雅子さんが実名を出して訴えて居る事はトテモ重要。声を上げて行く事が大切だと思います」


 組織の利益が個人の尊厳に優先する社会。例えば今回の国家賠償請求を担当した国側の「訟務検事(しょうむけんじ)」詰まり「中の人」も又「組織の人」だ。

 「国は、真相を究明させ無い為には、コンな突然の方針変更も厭(いと)わ無い。もし私が法務省の『中の人』だったら…良心が咎めます。しかし、勤め人で在る現場の訟務検事は、認諾を決めた上層部に従わざるを得無いでしょう。法務省の職員達も、組織の人ですから」

 赤木さんの裁判で、国側が一転して訴えを認め「認諾」した事の背景には、幾つもの矛盾や疑問が隠れている。

 「今、一部企業等では個人を大切にする重要性が語られ始めて居ます。が、矢張りマダマダ、個人が組織の犠牲に為るケースは少なくありません。 私達に出来るのは、これ位の事、と我慢するのでは無く、夫々が声を上げる事。理不尽が在れば声を出す、モット声を上げて郁子としか無いんです」

 一人一人の決意や勇気で乗り越えて行か無ければ為ら無いのか。

 「今回の認諾には驚きしか無かった。前例が無かった訳では在りませんが、法律関係者は一様に驚いたと思います。此処迄して拒否したかった事は何なのか。裁判だけで無く、国会の責任追及機能も正しく機能して居ません。
 見直すべき点は幾つも在ります。 そして、組織が個人を犠牲にして行く社会を続けて行か無い為に、赤木雅子さんの勇気を高く評価して居ます」


 私達には、もっと沢山の勇気が必要なのだ。


  FRIDAYデジタル


 【管理人のひとこと】

 三権分立・・・司法・立法・行政の各国家機関が夫々独立して任務を遂行する・・・と為って居るが、実際の状況は、夫々が夫々の団体の存続を目的に、互いに助け合う・互助機関と為って居る事だ。今回の様に行政のトップの安倍晋三の犯罪を問う為には、司法がその任を問われるのだが、行政のトップは立法府の政党の党首が任命される議員内閣制であり、立法府の有力者と行政のトップは重なる。
 更に司法は行政の一機関であり、その首脳の任命権は安倍晋三に在った。これで犯罪の主犯の安倍晋三を裁く事が可能だろうか・・・誰が考えても不可能なのだ。これが戦後以来修正される事無く、幾たびの不法な政治が繰り返された。
 安倍晋三の周りの有力者が、安倍晋三を犯罪者にさせ無い様に忖度し、色々な真実を折り曲げたり公文書を改ざんしたりする・・・安倍晋三はヘラヘラ笑い下手な野次を飛ばし野党の質問者を愚弄し続けた。その全てのシワ寄せが弱い現場の公務員に・・・不法な行為を強制され抗議の意味で自殺・・・主犯者は今でもヘラヘラ笑って居る。国民は黙ってコレを見逃して好いのだろうか・・・













2021年12月25日

上野千鶴子氏 ルッキズムを辞められ無い男性は「地域社会で排除される」



  上野千鶴子氏 ルッキズムを辞められ無い男性は「地域社会で排除される」

 「美しい人に『美人』と言っては行け無い理由」 を聞く



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    ジェンダー研究で知られる東京大学名誉教授の上野千鶴子氏(写真 共同通信社)12-25-1


 2021年は〔女性蔑視〕が厳しく追及される騒動が続いた。五輪組織委会長だった森喜朗氏は「女性が沢山居る理事会は時間が掛かる」と発言して辞任に追い込まれ、静岡県の川勝平太知事も〔学力と容姿〕を結び着けた発言で大炎上した。
 女性蔑視は許され無いが、違和感が在ったのが、福島県相馬市長の立谷秀清氏が、連合の芳野友子会長を〔美人会長〕と呼んで謝罪に追い込まれた一件では無かったか。

 前後の文脈を含めて批判されたとは云え、ソモソモ女性を「ブス」と貶(おとし)めるのでは無く「美人」と称える事の何がいけ無いのだろうか? ジェンダー研究で知られる東京大学名誉教授の上野千鶴子氏に、率直に質問をブツけた・・・

 上野氏は「美人」発言の問題点に付いて

 「既に『ブス』と云う言葉がタブーに為りましたから、その対極に在る『美人』も言っちゃダメと云うのは、論理的にも当然の事ですよね」

 と指摘した上で、次の様に説明する。

 「近年、ルッキズム(外見至上主義)と云う言葉が登場しました。この〔イズム〕と云うのは、セクシズム(性差別)レイシズム(人種差別)等の言葉にも使われて居る様に〔差別〕と云う意味です。
 ルッキズム(外見差別)と云う新しい概念の言葉が登場し、イズムが着いて居ると云う事は、外見に付いてトヤカク言うのは差別で在り〔遣っては行け無い事〕に認定されたと云う事です。それは〔褒める〕と云う行為でも同じ事。
 例えば妻やガールフレンドと一緒に歩いて居る男が、前から来る別の女を見て『オ! 美人だナ』とか『オ! ブスだナ』とか何気無く言ったりするでしょ。その瞬間に、女は一元的な序列の何処かにサッと位置付けられてしまう事に為る。
 そんな事頼んでも無いのに、当然、不愉快ですよネ。男と云うのは、そう遣って女をランキングする権力が自分に在ると無邪気に且つ傲慢に信じて居るのです。それが近年に為ってヤット『そんな権利、アンタ達には無いよ』と云う事が浮かび上がって来た」

 それ為らば、女性が男性に「イケメン」等と言う事も問題視されるべきでは無いのだろうか。

 「好く在る反論ですが(苦笑)女の場合は一元尺度でランクオーダーされるのに対して、男は多元尺度なんです。例えばイケメンじゃ無くたって、学歴とか地位とか・・・そう云った尺度が男には在る。男の尺度の中で一番強力なのは金力(稼得力)で在り、イケメンか如何か何て事は、男に執ってはマイナー尺度です。詰まり男女のランクオーダーは非対称ですから『女だって同じ事を遣って居るだろ』とは為りません」


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 五輪組織委会長だった森喜朗氏は「女性が沢山居る理事会は時間が掛かる」と発言して辞任に追い込まれる(写真 共同通信社)12-25-3


 先ずは「建前」を変化させる

 只、幾ら女性を容姿でランク付けしては行け無いと説かれても、心の中で美人か如何か〔評価〕する事迄はナカナカ止められ無い。上野氏も「オジサンの腹の中は死ぬ迄変わら無いでしょうネ」と認めた上で男性達にこう釘を刺す。

 「私は社会の変革と云うのは、本音の変化では無く建前の変化が重要だと思って居ます。オジサンの下心とか人間の卑劣さと云うのは、何時の時代も何処にだって存在するけれど、少なくとも公共の場でそう云う事を言ったら地雷を踏むと云う事は肝に銘じて欲しい。男は時代の変化に合わせて自分をアップデートし無ければ、自分が不利益を被る事に為ります」

 女性の容姿に全く触れ無いと為ると、同僚や友人とドンな話をしたら好いのか 「コレはセクハラかも?」「ルッキズムと言われるのでは?」と怯えて居ては日常会話もママ為ら無い・・・そんな風にコミュニケーションが取り辛く為る事を危惧する声にはコウ応じる。

 「若い女の子達からも、そう云う事はショッチュウ言われます。バイト先等でおニイさんやオジサン達が口を聞くのに神経を使って職場がピリピリしてしまう、とか。でも、もし彼等が神経を使わ無く為ったら何が起きるのか・・・オジサン達からスレ違い様にお尻や胸を触られる何て事がズッと続く事に為ります。そんな職場で女性は働きたいと思いますか?
 1989年に『セクハラ』が流行語大賞に為った時に男性週刊誌は堂々と〔セクハラは職場の潤滑油〕〔(だから無く為ったら)職場がギスギスする〕みたいな記事を載せて居ました。『週刊ポスト』にも在った筈です(笑)それに比べれば、セクハラがアウトに為ったのは大きな進歩。気を使って職場がピリピリする位が、丁度好いんです」


 ピリピリした結果「女性に対して一切話し掛け無い」と云う極端な選択を取る男性も出て来るが、上野氏は女性に配慮した〔褒め方〕〔コミュニケーションの取り方〕がチャンと在ると言う。

 「ジェンダー研究の世界では〔女だから可愛い〕とか〔男だから泣くな〕の様なジェンダーに依拠した説明や解釈の事をDoing Gender・ジェンダーを実践すると呼びます。逆にジェンダーに依拠し無い説明や解釈をUndoing Genderと言い、例えば〔キミは根性が在るネ〕の様に、男も女も関係無い言い方の事を指します。
 女性の事を褒めたい時には、このUndoing Genderの言い方にすれば好い。例えば〔女子力が高いネ〕では無く〔気配りが出来るネ〕と云う言い方にするんです。〔可愛いね〕と云う言い方で無く〔チャーミングだね〕と言えば好い。
 美人と云うのは一元的な尺度だけどチャーミングと云う表現には多様性が在りますからネ。人に依って意味合いは様々だし、男に取っても女に取っても最高の褒め言葉だと思いますよ」


 相馬市長の〔美人〕発言直後、本誌・週刊ポストは『美人論』著者で国際日本文化研究センター所長の井上章一氏に見解を聞いたが、ソコでは

 〈オフィスで女性社員から『・・・さんは美人だよネ』と語り掛けられたら『僕もそう思う』と答えては行け無いのでしょうか?〉(週刊ポスト11月19・26日号)

 と疑問を述べて居た。その問いにはこう答える。

 「そう云うシチュエーションでは、その女性の話には乗ら無い方が賢明でしょうね。女だって、男性的な価値観を内面化して居ますから、一元尺度でセルフランキング位しますよ。でも『僕もそう思うよ』とか言うと、女達は内心シラケてしまうと思う。
 『マア、人ソレゾレだね』とか『そう云うキミも十分魅力的だよ』位の返しをすれば好いのではないでしょうか」


 週刊ポスト2022年1月1・7日号


 
 リタイア後の男性は家庭内での発言にも注意が必要に為って来ると云う。

 「一人暮らしで無ければ、男は会社を退職した後も家庭とは関わり続ける事に為る。夫が常日頃から、他所の女性を見る度に『オ、キレイなネーチャンだナァ』とか発言したら、その都度妻の心は削られますよ。
 妻は長い間、ソレを受忍して来たのでしょうけど、歳を取ると受忍の限度がドンドン下がって行く。夫の方が先に要介護に為るケースが多いから、そう為ると妻の逆襲が始まり、コッソリオムツ交換の頻度を減らされるかも知れません(笑)家でも本音ダダ漏れは辞めた方が賢明です」
(上野氏、以下同)  

 一方で愛想を尽かした妻が離婚を切り出す事は意外に少ないと云う。

 「離婚時年金分割が出来る様に為っても、妻が受け取れるマックスは2分の1なのに対し、遺族年金は夫の年金受給額の4分の3で、更に相続では資産も居住権も保障されます。離婚し無い方がトクと『妻の座』権は法律で手厚く保護されて居ます。
 但し、コレは妻の地位が上がった訳では無く〔後チョット我慢して夫を看取った方がトクだよ〕と妻に思わせ、夫が〔看取り保障〕を得て居るのだと私は解釈して居ます。マア、死ぬのを待って居ると、夫はナカナカ死な無いんですけどね(苦笑)」
 

 リタイア後の男性に取って家庭の他に居場所と為り得るのは地域社会だが、此処でも言動に気を着け無いと冷遇される可能性が在ると続ける。

 「リタイア後の男性は、家庭の外の地域社会に関わるケースも在ります。男が地域社会で本音丸出し発言を繰り返したら、必ず地域の女性達から顰蹙を買い見放されます。  
 会社組織とは違い、家庭や地域等の利害の伴わ無い集団の場合は『美人』等と言って女性を分断する様な男は排除されてしまいます」


 地域社会で円滑な人間関係を築ける男性は、リタイア前の〔助走期間〕に共通点が在ると云う。

 「今は人生100年時代で、65歳のリタイア後も人生はもう1ラウンド20〜30年続きます。そこにソフトランディングするかハードランディングするかは大きな違いです。  
 ソフトランディングする人達の共通点は、現役時代からチャンと人間関係のマルチチャンネルを作って居る。企業と云うのは軍隊の様な指揮命令系統の組織ですが、それとは関係無い人間関係を築いて居ます。そう云う事が出来る男に為るには、ルッキズムの様に人間を一元尺度で序列化する認識を持って居てはダメでしょうね」
 

 それでも貴方は「美人」と言い続けますか・・・上野氏は全ての男性にそう問い掛ける。



 【プロフィール】 上野千鶴子(うえの・ちづこ)1948年生まれ 東京大学名誉教授 認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長 著書に『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』『在宅ひとり死のススメ』などがある 

 週刊ポスト2022年1月1・7日号




 【管理人のひとこと】

 ダメな男は、通りすがりの女性を一目見て〔可愛い?〕〔美人かブスか?〕と咄嗟に判断してしまう。そして可愛く美人で在れば〔何か得をした様な〕楽しい気分に為る・・・ダメな男には、人には言え無いそんな密かな楽しみを持って居る。
 可愛いからと云って如何する訳でも無く、見ただけでも〔単に美人は得をする〕ので在る。女性を美醜で区別しては為ら無い・旧時代の悪しき産物だ・・・世の中では〔女性蔑視〕には途轍も無い〔しっぺ返し〕が待って居る。特に引退した老人には、社会全てが一つに為って〔老人排斥運動〕が始まり彼は社会から抹殺されるだろう。
 一度社会から引退した老人は、世の中から隠れる様にヒッソリと暮らさねば為ら無い。「貴方の実力を生かして欲しい」と何度頼まれてもその気に為っては行け無い。「世の中に生かさせて頂きます」と謙虚な心で感謝を捧げ乍ら暮らすのが丁度好いのである・・・お前達は存在するだけで社会の無駄なのだからと。











2021年12月24日

維新キラー大石さん 「天敵・吉村府知事と対決したい、元上司・橋下徹さんが相手なら最高」




   維新キラー大石さん

 「天敵・吉村府知事と対決したい。元上司・橋下徹さんが相手なら最高!」




 12-24-1.png 12/24(金) 16:12配信



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         「飛んでも無いペテン師が知事遣っとんナ・・・・しかし」


 日本維新の会副代表でもある吉村洋文大阪府知事を、ツイッターでコウ切って捨てたのが「れいわ新選組」の大石あきこ衆議院議員(44)だ。
 大石議員は「文通費(文書通信交通滞在費)」見直しを訴える急先鋒の吉村知事自身が、過つて在職1日で100万円の「文通費」を受け取って居た事実を明かし、批判の〔ブーメラン〕現象が沸き起こる切っ掛けを作った。

 12月12日にNHKの『日曜討論』に出演した際には、吉村府政のコロナ対策に付いても舌鋒鋭く追及して居る。番組では、感染力の強いオミクロン株の感染防止の為に保健所職員を大幅に増やすべきだと主張。大阪府では保健所職員が過労死レベルの残業を1年以上も続けて居る窮状などを訴えた。
 その迫力は、同席した維新の足立康史衆院議員もタジタジに為る程で、番組終了後、ツイッターで「大石さん」がトレンド入りする社会現象に為った程だ。先の衆院選で初当選したばかりの新人議員ながら、今や〔維新キラー〕として一躍名を上げた大石議員が本誌のインタビューに応じた。


                   ◇ ◇ ◇ ◇


 大石議員と維新の〔因縁の戦い〕は13年に及ぶ。2008年に橋下徹氏が大阪府知事に就任した最初の朝礼で、徹底的に無駄を無くす為「勤務中のタバコ休憩や私語は全部減額!」と言宣した時だった。
 当時、30歳の府職員だった大石氏が突然立ち上がって「どれだけサービス残業を遣って居ると思ってるんですか!」と噛み突いたのだ。

 「アノ時の橋下さんは、そりゃ怖かったですよ(笑)でも〔止むに止まれぬ思い〕で立ち上がって居ましたね。橋下さんは、知事選の時から『公務員は特権階級』『公務員と云うシロアリのケツを蹴る』ナンて言ってました。
 一生懸命、府民の為に働いて居るのに、コンナ事を言われて喜んで居たら〔ドM〕ですよ。公務員を悪者に仕立てて府民の不満を逸らす。そう云う手法は非常に危険だと思いますし、公務員の一人として腹が立つじゃないですか。『職員の先輩や仲間が、府民の為にコンナに頑張って居るのに嘘着くな!』『お前に何が判るんや!』と云う気持ちでした」


 そして、スタートした橋下府政は心配した通り府職員に取って厳しいものだった。

 「無駄だから兎も角職員の数を減らすと云う流れです。そして、府から市町村への権限移譲を進めたんです。権限を移すと、遣る仕事と遣ら無い仕事がパッチワークに為って、返って手間が掛かるんですよ。
 仕事は増えるのに人員は減って行くみたいな状況が山程出て来た。当然、仕事の質は下がります。コレでは結局、府民の為にも為らへん。府民への騙し裏切りですよね」


 維新の合理化・人減らし政策は、現・吉村府政のコロナ対策にも影響して居ると云う。

 「大阪府の人口当たりのコロナに依る死者は全国ワースト1です。保健所職員も過労状態で、感染が収まって来た12月に為っても保健師さん達が労働基準局に訴えて居る程です。
 コレは、維新府政が保健所等の公衆衛生部門をリストラして来た結果ですよ。でも、そうした報道は極端に少なく、大阪のコロナ対策は順調の様に報じられて居る。これ、可笑しくないですか?」


 維新の〔改革〕に依って、府民の生活は確実に悪く為ったと主張する。

 「好く、地下鉄のトイレが綺麗に為ったって言うんですが、それでエエんかと。実際、大阪は他の大都市よりも〔労働者の所得が低迷〕して居るんです、何でな何でなんかと。
 一時期、インバウンド需要が高まったから、それを当て込んで大阪市内でも北区とかの開発は進んだ。でもそれってお金持ちの為でしょ。街へ行ったら綺麗で、ソコへの投資はされて居るかも知れない。でも、本当に儲かってますか? 賃金上がりましたか? 子供増やせましたか? 
 それが叶ったのは極一部の人で、多くの府民は貧しく為って居る。それは、日本全体の問題でも在りますけど」


 そして、橋下氏への対抗心を人一倍燃やして居る。

 「橋下さんに執念深く反対するのは、維新が府政を担って以降、ヤッパリ社会的な不正義が続いて居て許せ無いからですよね。偶々一発殴られたとか1回酷い目に遭っただけならココ迄遣ら無い。
 維新の何が悪いって、自公政権を代弁する〔突撃隊〕の役割を担って居る処です。安倍政権・菅政権も出来無かった事を維新が先頭切って遣って行く。規制緩和もそうだし・労働組合潰し・カジノ推進・・・こうした新自由主義的な政策を、維新が〔突撃隊〕に為って助けて居る。それなのに改革者ブッて・・・ホンま最低や」


 一方、岸田政権は〔新しい資本主義〕を唱え、新自由主義とは一線を画して居るが・・・

 「確かに、岸田さんは給料を上げろと主張してる。給料がドンドン下がって、もう労働者は生き残れ無く為って来たからです。だから『新しい資本主義』を掲げざるを得ない。
 例えば、介護・保育の現場の人達の賃金を上げると言ってますが、その現状認識は正しい。でも、幾ら上げるかと云ったら足った月9000円。『オイッ!』と云いたく為るのが岸田さんの『新しい資本主義』ですよ。
 介護・保育士の賃金は全産業の平均と比べて、月に8万5000円も低い、年収で100万円以上低いんです。れいわ新選組は月10万円以上上げる事を政策にして居ます。国には未だお金が在る。通貨発行権が在りますし、金持ちから税金を取れば財源は在ります」


 大石議員が府政の問題をこれ程指摘して居るにも関わらず、吉村知事の人気は根強いが・・・

 「では何故、東京の小池百合子知事はアレ程強いんでしょう。それと一緒やと思いますが、ヤッパリテレビの影響が大きいのでしょう。橋下さんや吉村さんが、在れだけテレビに出て言いたい事を言ってるし、大阪のコロナ対策は順調に行って居る様に報じられて居る。でも、ホンマにそうなのか。そこをよ〜く考えて欲しいんです」

 今度「FLASH」で吉村知事と対談しては? 最後にそう提案してみた。

 「好いですネエ。でも、それって私しか得し無いんですよ。だって、もし私が論破されたとしても、私の知名度は上がるじゃないですか。対談相手が橋下さんなら最高ですね。
 〔吉村ブーメラン〕の時に文通費に付いて『維新を倒す為の戦費として私は100万円でも何でも使います』とツイートしたら、橋下さんが『れいわの非常識度が炸裂!』って、ワザワザ絡んで呉れたんです。
 それに私は『元上司の橋下さん。お久し振りですね』とリツイートで返答したら、私のツイッターのフォロワーが倍に為ったんですよ」


 〔天敵〕の影響力を利用して、自らの声を拡散する。飽く迄強かなのだ。




 【管理人のひとこと】

 立憲民主党の女性副代表が先の衆院選で落選したので、コレからは〔れいわ新選組〕の大石あきこ副代表が舌鋒鋭く社会の悪を切って捨てる事に為りそうだ。バックには、輪を掛けた政策論者の山本太郎代表が控えている。今後大石あきこ氏の名前がマスコミを賑わす事だろう。
 戦前の日本のマスコミ界の〔戦争一色〕の様に、今の大阪のマスコミ界は〔維新一色〕に染まり、それにお笑い界の吉本やオリックス等の政商が脇を固め異常な事態と為って居る・・・と、常識人は危惧して居る。悪評高いIR・カジノ誘致に騒ぎ、数年後の大阪万博に莫大な経費を使おうと、業者と土建業に自公政権と暗躍して居るのだ。
 政治に利用されるマスコミを信用しては為ら無い・多数に騙されても為ら無い・・・確り自分で情報を分析する知恵を持つべきだろう。













 






お役所仕事 膨らむ耕作放棄地の戦犯は誰だ? 



 お役所仕事 膨らむ耕作放棄地の戦犯は誰だ?



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             Ольга Симонова/gettyimages  12-23-13


 「富山県と同じ位の面積の耕作放棄地」

 〜コレは、メディアが耕作放棄地に付いて取り上げる際の決まり文句だ。全国で農地の荒廃が進み大変だと言いたい様だが、実の処耕作放棄地の問題には、国に依る自作自演の面も在る。戦後一貫して農地の造成を続けて来たからだ〜 山口亮子


 61年で113万ヘクタール農地を造成

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 耕作放棄地は2015年時点で約42万3,000f在り、富山県と同じ位の面積に為る。現在はモッと増えて居る筈だが、国が5年毎の農林業センサスで、20年から〔耕作放棄地を調査対象から外した〕為把握出来無く為ってしまった。耕作放棄地は病虫害や鳥獣害の温床に為り得るので、増加は望ましく無いとは云え致し方無い処が在る。  

 中山間地を訪れて周囲を見渡せば、目に入って来る山の多くが元は農地だったりする。スギやヒノキの林に為って居る斜面に分け入ると、過つて棚田が在った痕跡の石垣が残って居る。何十年も前に耕作放棄されたコレ等の棚田を、復旧させ無ければと思う人が居るだろうか?
 全国で増え続ける耕作放棄地の中には、最早耕作する必要性の無いもの・ソモソモ開墾された当初から必要性の薄かったものが少なからず混じって居る。

 現に、今に至る迄農地の造成はズッと続いて居る。20年に新たに拡張された耕地面積は0.8万f・21年は0.7万fだ。0.7万fは、東京ドーム凡そ1,500個分に当たる。

 国は戦後の食糧難を受けて農地の造成を進め、ピークだった1971年に拡張した面積は5万6,000fに達した。その実、既に食料生産は過剰基調に陥って居て、コメの生産量を調整する〔減反政策〕も同時期に始まって居る。が、水田の拡張コソ止まったものの畑の造成は続いた。
 事業の計画が立てられた頃と社会情勢が大きく変わったにも関わらず、干拓や浅海開発・山を切り拓いての造成等を行う〔国営農地開発事業〕は継続された。
 
 1961〜2021年に造成された農地は113万fに上る。コレは、現在の耕作放棄地の面積の3倍近い。耕作放棄地の増加に〔国の農地開発〕が拍車を掛けたのは間違い無い。

 国の造成農地が数年で耕作放棄地に
 
 農地開発事業で生まれた農地には、セイタカアワダチソウ初め雑草を生い茂らせて居る所が珍しく無い。取り敢えず農地を作ったものの、殆ど耕作され無いママ耕作放棄地に為って居る。ソモソモ作る必要の無かった農地が耕作放棄されたに過ぎ無いのに、国から耕作放棄地の〔解消〕を求められ頭を抱えて居る自治体すら在る。

 農地開発の費用対効果の悪さは、会計検査院や総務省等が指摘して来た。中には、造成後に転用され農地で無く為った所迄在る。造成直後の土地は基本的に瘦せて居て直ぐに作物が育つ状態では無く、入植者は土造りから始め無ければ為ら無い。
 何時に為ったら収益が得られるか分から無い土地を耕作するより、手っ取り早く農地転用で荒稼ぎしたいと考える人間が居ても、責める事は出来無いだろう。  

 尚、国が造成した農地は、特に良好な営農条件を備えて居ると見做される。その為、私的に転用する・・・詰まり家を建てたり商業施設を建てたりする事は出来無い。転用出来るのは、公共事業詰まり・・・道路や公園と云った公共施設を整備する場合だ。
 勢い地元の有力者を巻き込み、公共事業誘致の為の政治工作が始まったりして「農地を農地として使う」と云う本来の目的は打っチャラれる。

 「食料の安定供給の確保・多面的機能の発揮を図って行く為には、今後とも国内農業の基盤である農地を確保して行く必要(がある)」  

 農水省は、耕作放棄地の発生を防止すべき理由をこう説明して居る(荒廃農地の現状と対策 令和3年11月より)が、早晩耕作され無く為る農地を作り続け〔耕作放棄地問題〕を膨らませたのは、農水省自身に他なら無い。

 農業者が負担しない農地整備に多額の予算


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 数億から数百億円と云う巨費を投じる農地開発は、作った農地が役に立た無くても〔土建業が潤う為〕地元からの要望が強い。流石に農地の造成は減って居るものの、土木工事を伴う農地の整備には今も多額の予算が付く。
 例えば2022年度の〔農地整備関係予算等〕の概算要求額は 1,608億8,000万円だ。この内〔農地中間管理機構関連農地整備事業〕は、細切れな農地をまとめて広くする〔区画整理〕だけで無く〔農用地造成〕も対象にして居る。予算額は680億4,500万円

 整備されて居ない農地は借り手が見付から無いから、農地中間管理機構が借り入れて居る農地を、農業者の費用負担無しに基盤整備すると云う。
 受益者の負担が一切無く、全て公費で賄われると云う枠組み自体、如何なものか。只、それ以上に曲者なのは、この事業の実施要件で在る。

 要件の一つが「事業実施地域の収益性が事業完了後5年以内(果樹等は10年以内)に20%以上向上」なのだ。例え平場で在っても達成は容易で無い筈だが、中山間地と為ると可成り難度が高い。
 中山間地で基盤整備する対象は、一部に果樹園や畑も在るにせよ大半が水田に為る。事業を経て高付加価値化を実現すると為ると、コメ以外の作物を増やさ無ければ為ら無い。と為ると、野菜・花卉(かき)・果樹と云った園芸作物を作ら無ければ為ら無い。

 しかし、園芸作物はコメ・ムギ・ダイズと云った面積当たりの収益性が低い一方で機械化されて居る土地利用型作物と違い、面積当たりの収益性は高いが概して手間が掛かる。
 中山間地の特徴は、1枚の農地が狭く人手が少無いと云う事だ。この事業を使って農地1枚を広げれば、土地利用型作物を作る場合の作業効率は良く為る。が、事業要件で在る〔収益性が20%以上向上〕を満たすには、収益性の高い園芸作物を選ばざるを得ない。

 ・・・そうでは在るけれども、園芸作物の繁忙期に必要な人手を集めるのは難しい。詰まる処、この事業は中山間地に於いて絵に描いた餅に終わる可能性が高いのだ。

 また耕作放棄地を生み出す懸念も
 
 尚、農水省農村振興局に問い合わせた処「事業実施前より収益性を上げられず、条件を満たす事が出来無かった処で、事業費の返還を求められる事は無い」と云う。〔農業の生産性向上〕〔農家の所得向上〕と云った聞こえの良い言葉で予算を獲得したとも見える。  
 この事業により新たな農地を造成し、それに伴って耕作放棄地が生まれ様として居る地域も在る。条件の良い農地が整備される為、農業者が既存の条件不利地での耕作を辞めて新たな農地に移るのだそうだ。農業経営として考えれば、合理的な選択と云える。

 だが、農水省は耕作放棄地の発生自体が宜しく無いと云うスタンスなので、一体如何考えるのだろうか。矛盾と負の遺産を抱えたママ農地造成は続いて行く様だ。


 取材 文章 山口亮子


 【管理人のひとこと】

 中央官庁・多くの官僚の仕事・・・を思い遣られてしまう問題である。前例主義・遣っ付け仕事・遣った感・・・役所がそれだけを満たす為の単に〔予算消化〕だけの作業の連続。これを誰かが質すと、役所の某セクションの不正と存在感を否定する事に為り・・・廻り回って自分の存在迄を否定する事に繋がる恐れが在る。
 コレは、官庁だけで無く大きい組織にも共通する問題で、だから誰もが理解し納得着くでこの不正・無駄を続けざるを無得なく為ってしまう。
 大企業の不正もこの様な理由によって誰もが〔悪い〕と知りつつ前例に従わざるを得なく為る。これは〔組織の存在第一〕の人間の習性と云えよう。
 これを外から見て不正義だと思い質すには、それは自分を否定し犠牲を被る覚悟する大きな決断が必要だ。だから、多くの人は前例の悪に嵌ってしまう。自分の将来・家族の将来を考えると一体何人の人間が不正を質せるだろうか?














2021年12月23日

ナチスドイツの 不況脱出政策を学ぶ


 ・・・25年以上の不況に嘆く国民

 無視する自公政権の存続を許せるだろうか?


 学ぶべきはヒトラーの経済政策 不況を脱したナチスの経済政策


 当時のドイツの状況

 第一次世界大戦終結後、敗戦国ドイツには莫大な賠償金が課せられた。この賠償金はアメリカがドイツに貸し付けると云う形で進められた。アメリカの資本はドイツに投資を行い復興が進められて行った。1929年に世界大恐慌が発生すると、ドイツへの投資資金は引き上げられた。アメリカの金融業者はドイツへの貸し付けを中止し債務の返済を要求した。

 この金融危機に対してドイツ首相ブリューニングは、支出の削減と増税に依って乗り切ろうとした。失業保険の支給を打ち切り公務員の給料を引き下げた。ブリューニングの緊縮政策はドイツ経済を更に悪化させた。1931年、ドイツ第二位のダナート銀行が破綻した。ドイツ国内の銀行は経営危機に陥り、多くの企業が倒産した。失業者は650万人に上った。(今の我が国と同じ緊縮財政の徹底・・・公務員削減・民営化で経費削減・消費増税・・・)

 ドイツの経済悪化に依って、過激な政策を掲げるヒトラーへの支持が集まって行った。特に不況に苦しむ中産階級以下ではヒトラーへの支持は圧倒的だった。

 ヒトラーの失業対策

 1933年に政権の座に着いたヒトラーは、失業対策を第一の目標とした。

  我々の義務は、国民に仕事を与え、失業の淵へ再び沈めさせ無い事だ。上流階級が多量のバターを得る事依りも、大衆に安価なパスタを供給する事、それよりも大衆を失業させ無い事。これコソが重要なのだ!
  我々の為すべき事は、失業対策・失業対策・そして失業対策だ!


 ナチスは選挙中、国民に仕事とパンを与える事を約束して居た。ヒトラーは国債を大量に発行した。当時の財政政策では〔赤字財政〕は異例の事だった。更にヒトラーは金本位制からの離脱を決めた。〔金の裏付けの無い通貨制度〕等、当時は考えられ無い事だった。
 ヒトラーは18歳から25歳の男子に兵役義務を課した。失業して居た国民に取って、兵役は保証された仕事に為った。
 ナチスは大規模な公共事業を行った。全国にアウトバーン(高速道路)の建設を始めた。こうして労働者は衣服を買う事が出来る様に為った。同時にヒトラーは、第一次世界大戦に於ける賠償金の支払いを一方的に拒否する。

 大企業・富裕層への増税
 
 ヒトラーは、公共事業の取り分が労働者に分配される様工夫した。建設業者にナチス党員を送り込み、建設業者が利益を労働者に分配して居るか監視した。又、大企業と富裕層に増税を行った。株式の配当は最大6パーセントに制限し、残りの利益は強制的に国の購入に充てさせた。又、資産家や大企業に依るマネー・ゲームは堅く取り締まった。
 更に、メイドを雇う事で所得税を減税し、家の改築を行った者にも減税を行った。こうして富裕層の支出を増やし、労働者に富が分配される様にしたのである。又、ヒトラーは労働者や低所得者層に大減税を行った。

 アウトバーンの起工式は大々的に宣伝された。ドイツ経済の復興を国民や国際社会に印象付けた。こうしてドイツの消費は回復し、失業者は100万人程度に迄減少、国民総生産は世界恐慌以前の1928年と比較して15パーセントも増加した。

 ヒトラーのワーク・シェアリング
 
 ナチスは休日労働の廃止・有給休暇の制定・8時間労働を企業に求め推進した。当時のドイツ企業は賃金の安い女性を雇う事が多かったが、ナチスは男性を雇う様に働き掛けた。職の無い若者は奉仕活動に参加させ、最低限の生活を保障した。
 こうしてドイツは世界でもいち早く不況を脱した。世界恐慌と言えばアメリカのニュー・ディール政策が有名だが、ナチスの経済政策はニュー・ディール政策よりも早く成功を収めて居たのである。

 ヒトラーの経済政策は、イギリスの経済学者ケインズの理論に酷似して居た。ドイツ国民がヒトラーを熱狂的に支持したのは、こうした優れた経済政策が理由のひとつだった。ヒトラーはヨーロッパ中にアウトバーンを建設し、ベルリンに世界銀行の創設を計画して居た。


 ナチスが行った意外な政策集

 ナチスに付いては、ユダヤ人に対する非人道的な行為が直ぐに頭に浮かび、非人道的・邪悪・議論として取り上げるのは怪しからんと、反射的に思い勝ちである。しかし、ナチスが当時のドイツに希望を与えた事も事実で在るので、冷静にナチスの政策を見詰める価値は在ると考える。
 勿論、ユダヤ人に対する行為に付いては、弁解の余地は無いが、今回は、ナチスの経済政策に付いてみて行きたい。

 ナチスが登場した当時のドイツは、第一次世界大戦後のベルサイユ条約により巨額の賠償金を課せられ、通貨発行と生産力低下に依るハイパーインフレに苦しんで居た。ベルサイユ条約の賠償金は、最終的に92年後の〔2010年に完済〕されたのだが、ナチスは当時の苦境を救う為に様々な経済対策を行って居る。

 公共事業による通貨供給と経済対策

 ナチスの執った経済対策は幾つか在るが、その中で特に失業率に効果が在ったのが、大規模な公共事業である。ドイツで有名なアウトバーンは、実はこの時代に作られたものである。


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           現在のアウトバーン(高速道路)207kmで走行中 12-23-10


 当時600万人居た失業者はコノ政策に依り解消して居り、多くのドイツ人がナチスに希望を見出したのは止むを得ない処である。しかし、この時、大量の公債を発行して居り、その後の軍備拡大の為に発行した公債と合わせると、膨大な通貨発行残高を抱えた状態で、第二次世界大戦に突入する事に為ったのである。正に、MMTの先駆けである。

 積極財政によるドイツ経済の復活

 ナチスドイツが皮肉にも、ヨーロッパではユダヤ社会に影響を受けた古典派経済学が主流で在ったが、 ケインズ経済学誕生日前のドイツでは積極財政を行い、信用貨幣論の下に第1次世界対戦で経営して居たドイツ経済を見事に立て直したのである。その結果国民の所得は向上し、 次第にドイツの経済力はヨーロッパで一番に為って行く。
 積極的な財政出動と投資に依ってフォルクスワーゲンやポルシェの様なドイツ車が、官民主導で生産され、ドイツの工業力を支えて居た。その過程で多くのイノベーションが生まれ、ドイツでは技術の蓄積に依り、一歩進んだ兵器の開発が可能に為った。

 ナチスの動物保護政策

 1933年、ナチスは歴史上初めて「生体解剖」を禁ずる法を施行した。ナチス上層部、そしてヒトラーは動物保護に強い関心を持って居た為、動物虐待に関しては「反対」の立場だった。ユダヤ人や少数民族に対して残忍な殺戮を行った反面、動物保護は徹底して居た。
 そしてこの法整備は他国へ様々な影響を与えた。今でこそ「絶滅危惧種」の保護は当たり前に行われて居るが、最初にその法整備を行ったのもナチスだった。

 反タバコ運動の先駆け

 ヒトラーはタバコを酷く嫌悪して居た。タバコは金の浪費でしか無いと考え、タバコ自体を社会から絶滅させるべく1930〜1940年代に「反タバコ運動」を行った。タバコ税を極端に重くし、国防軍の為のタバコに付いては「配給制」とした。
 この運動のお陰で、1940年のドイツ国民のタバコ消費量はアメリカの約4分の1だった。
当時のナチスが行った嫌煙広告は「貴方がタバコを飲み込むのでは無く、タバコが貴方を飲み込むのだ!」であった。

 少子化対策
 
 当時のドイツは少子化に喘いで居た。夫婦に出産を勧める為、4人産めば借金の返済額は0にする、と云う政策を行った。
 当時、お金の無い若い若者が結婚する時にナチスはその資金を無利子で貸付ける。普通であれば今後返済して行く事に為るが、この返済額は子供の数に依って変化した。4人産めば自動的に完済と云う事だ。シンプルな少子化対策では在るが、一定の効果をみせた。

 医療への貢献

 ナチスはユダヤ人等に対して、様々な拷問を行った。しかし、これは民族浄化、憎悪の関係だけでは無く、医学的データを執り、蓄積して行く目的も在った。実はその医学データが今日の医療に於いて欠かせ無い情報と為って居る。
 被験者を0度に近い冷水の中に入れ、体温や脈拍数、筋反応等を記録した。その後に安全に通常の体温に戻す方法を確立すべく研究した。その研究の成果は「低体温法」の発展に大きく貢献して居る。



 【管理人のひとこと】

 我が国の失業率は高くは無い、嫌、逆に昨今は人手不足の業界も多い。少子高齢化が進み、パートタイム・非正規社員の増大に依る低賃金化がモロに進んで居るからだ。大学を卒業しても毎月支払う奨学金の返済が肩に重く圧し掛かる、一人で食うだけで精一杯、将来賃金が上昇し結婚する環境でも無い。
 政府はこのママの状況を果たして〔是〕として居るのだろうかろうか? 何にも手を打て無い何も為せ無い政治を何故国民の多くが選択するのだろう・・・果たして他に選択肢が無いのだろうか・・・夢も希望も無いと既に諦めて居るのだろうか・・・管理人は理解出来無いのだ。若年層・青年の保守化右傾化がこれを解決するのだろうかと?


















 






山梨・和歌山の震度5弱は フィリピン海プレート沈み込みと云う共通の理由


 山梨・和歌山の震度5弱は 

 フィリピン海プレート沈み込み と云う共通の理由



 12-23-1.png 12/23(木) 10:22配信 12-23-1




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     鎌田浩毅(かまた・ひろき) 京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授 


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              12月3日に相次いだ地震の震源 12-23-2


 関東と関西で12月3日、震度5弱の地震が立て続けに日本列島を襲った。先ず、午前6時37分に山梨県東部の富士五湖を震源とするマグニチュード(M)4.8の地震が発生し、大月市で最大震度5弱を観測した。又午前9時28分には和歌山県・紀伊水道でM5.4の地震が発生し、御坊市役所で窓ガラスが割れる被害も出た。
 3時間足らずの間に発生した二つの地震に直接の関連性は無いが、何れもフィリピン海プレートの沈み込みと云う共通の原因に依る。

 本連載第66回でも触れた様に、日本は四つのプレートが重なり合って居る〔世界屈指の変動帯〕に在る。富士五湖の地震は、伊豆半島の北でフィリピン海プレートがユーラシアプレートへ沈み込む境界付近で起きた。
 一方、紀伊水道の地震はフィリピン海プレートの直上に在るユーラシアプレート内部で起きた地震で在る。夫々震源は深さ19キロ・18キロと、ドチラも比較的浅い場所だった為、強い揺れが地上を襲った。  

 富士五湖の近くには富士山が在り、噴火との関連も心配されたが、地震計や歪計等の観測データには特段の異常は見られ無かった。結果として地震の規模が小さく、且つ富士山のマグマだまりから30キロも離れて居る為、直ちに噴火する恐れは無い。  
 只、今回のM4.8規模の地震が富士山のマグマだまりの近傍で起きると、噴火に対して警戒が必要と為る。マグマだまりの周囲に亀裂が生じて中の水が水蒸気に為り、マグマが激しく泡立つからである。  

 ◇「昭和南海」前と類似  

 一方、紀伊水道の地震は、近い将来に発生が見込まれるM9規模の南海トラフ巨大地震に向け、増え続けて居る内陸地震の一つで在ると考えられる。南海トラフ巨大地震はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界が激しく滑る事に依って起きる。前回の昭和南海地震(1946年)では1,300人以上の死者を出し、各地で津波による被害も出た。  

 その発生時期は2030〜40年頃、又規模はM9.1と予想され、ユーラシアプレート内部に歪が蓄えられて居る状況に在る。1995年の阪神・淡路大震災以降、西日本では直下型地震が増える活動期に入って居り、今回の紀伊水道の地震もその一例である。
 因みに、紀伊水道は南海トラフ巨大地震の想定震源域にも含まれており、これ迄もM4以上の地震が度々発生して居る。

 21年9月以降に震度5弱以上を記録する地震は、日本列島で6回記録された。こうした直下型地震が南海トラフ巨大地震を直接誘発はしないが、昭和南海地震前にも内陸では地震が多発しており、現在と好く似て居る。  
 今後、プレート境界でM7規模の地震が起きると、M9規模の地震を誘発する可能性が在る。現代の地震学ではその時期を特定する事は出来ないが、西日本では今後も直下型地震が増える事は確実で在り、十分な警戒が必要と為る。



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 ◇人物略歴  鎌田浩毅(かまた・ひろき) 京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授 1955年生まれ 東京大学理学部卒業 専門は火山学・地質学・地球変動学 「科学の伝道師」を自任 理学博士




 【管理人のひとこと】

 TVドラマ〔日本沈没〕が終わった。このドラマは〔日本沈没〕に依り数々の社会現象が生まれ、様々な問題を引き起こす・・・この様を広範囲に描いたものだった。丁度世界を襲うパンデミック現象に似た〔恐怖〕〔絶望〕感を取り入れた人類の未来を思わせるものだ。
 1億3千万の日本人を、何処の国が何人〔亡命〕を引き受けるか・・・世界有数の科学技術を誇る有名企業と抱き合わせて交渉しようとする。が、残念ながら現在の日本企業にそれだけの価値ある企業は存在しない。30年前の日本だったら成り立つものだったのだが。
 25年以上続く無政策のデフレ国家に、何処の国が手を差し伸べて呉れるだろう・・・そう思うと、今までの政権が疎ましくて為ら無い。世界に溢れる難民を、一切引き受けようともしない国に何処の国が助け舟を出すと云うのだ・・・残念ながら、人情も情けも無い国家とは我が国を指す言葉だつた。















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