2010年08月21日
<だから、あなたの会社は倒産する> 井上和弘
35年にわたり約300社の企業を直接指導してきたコンサルタントの経営指南書という触れ込みの一冊です。
本書では企業が倒産する原因を過去の事例から6つのパターンに分類し、それぞれにいくつかのケースを紹介しています。
企業は一つとして同じものはありません。
そして成功しているといわれる企業の成功のパターンもバラバラです。
ですが、失敗は決まったパターンがあるように感じます。
前楽天監督の野村克也さんの「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」は野球だけではなく、経営にも通じるところがあります。
そういった失敗のパターンにどのようなものがあり、それにどうやって対処したら良いのかが書かれている一冊です。
印象に残ったポイントは以下の通りです。
必要ない時に絶対にお金を借りてはいけない
勧められる金融商品も買ってはいけない
相手が誰であろうと同じ立場でものが言えるだけの知識と知恵を身につける
損益ばかりでなく、現預金と借入金、資産と利益とのバランス感覚で経営を見る目を養う
金融機関の利用方法
1.目的別に複数の金融機関を利用する(特に個人と法人で銀行を分ける)
2.身の丈に合った金融機関を利用する
3.経営不安のある金融機関とは付き合わない
4.銀行系リース会社を避ける
商品が売れないことよりも恐ろしいことが「回収不能」である
粗利10%で回収不能額が100万円の場合、1,000万円の売上が必要になる
日本の経営者に多い勘違い
1.資産(会社の所有資産であり、稼ぐための手段)と財産(個人の所有財産)を混同している
2.土地・建物を大きくするのが好きで、含み損の出た不良資産は塩漬けにする傾向が多い
3.売却損を出して税引前利益を減少させる方法を避ける
不正防止
人を信用して雇用することと人の行動を信用することとは別問題である
脱下請け妄想
下請けには下請けの戦い方がある。下請け企業は劣っているようにいわれるがそんなことはない
→ 発注元のいいなりにしかなれない下請けはいけないが、下請けそのものがいけないわけではない
→ 変化が激しい市場では取引先を分散させてリスクを回避する必要があるが、そうでない市場では取引先を分散させることでかえって工場の製造ラインを複雑にさせてしまわないように注意する
経営における手術には大きな痛みがつきものである。
しかし、この痛みを恐れて拒否し続けるといつまでたっても病は解消できない。
負けること、失敗することは不細工なことだが、決して悪いことではない
悪いことはそれを繰り返すことである
ビジネス理論とは様々な側面を持った企業経営のある一部分にすぎない
それにも関わらず、特定の理論だけに頼る経営を行なうことは間違っている
(理論が間違っているのではなく、一つの経営理論で何もかもを賄おうとすることが間違っている)
創業当初の企業は、会社のために犠牲になる「滅私」という意味での公私混同が行なわれている
その後、会社が大きくなり、親族だけでは企業が成り立たなくなったときには公私混同を戒めなければならない。そういったときにまで公私混同(すでに滅私ではなく、私物化)を行なっていれば社内に歪みをつくることになる
ただ、社長自身は公私混同が当たり前で企業経営を行なっているため、公私混同しているという意識がほとんどないのも現実である
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