2010年04月17日
<小倉昌男 経営学> 小倉昌男
ヤマト運輸の経営者である小倉氏が、いかにして大口の貨物宅配業者から現在の個人宅配市場を切り拓いてきたか、そのブレイクスルーの軌跡が描かれている一冊です。
具体的なデータを確認し、またライバル会社をこっそりと観察し、大口貨物よりも小口貨物の方が運賃を稼げることを発見したいきさつや、
どこからいつ出てくるかわからない小口の需要をいかにしてビジネスにつなげていくか(取次店の設置という発想をひらめている)、
さらに、そのネットワークを構築した上でどうやったら儲けが出るようになるか集配車の設置方法など、
様々な創意工夫がつづられています。
受け継いだ会社を経営者としていかに会社を継続させていけばよいのか、そういった経営のヒントが書かれている一冊です。
印象に残ったポイントは以下の通りです。
善い循環を起こす出発点は、他社よりもよく働くこと
二次産業と三次産業の経営は異なる
二次産業:商圏が広い、在庫を抱えて売っていく(作り置きができる)、
三次産業:商圏が狭い、1日1日が勝負(特にサービス業はお客さんがいなければサービスを提供できないので作り置きができない)、小規模な代わりに多店舗化が求められる、販売機会ロスのないように長時間営業が求められる
商品のネーミングは売上を左右する
不特定多数の客を相手にする商売は商品の価格を明示すべき
サービスの差別化
荷物の輸送のセールスポイントは「確実」や「安い」もあるが、やはり「早い」が一番。
そのセールスポイントを具体的に表現しなければセールスポイントにはならない →「翌日配達」
供給者の論理と利用者の論理は異なる。特に正反対の場合が多い
ドライバー:配達したのに不在であるお客が悪い
お客様:ちょこっとだけ外出したけど、ほとんど家にいた。届けにこないヤマト運輸が悪い
発想の逆転
お客様が不在対策を考えるのではなく、在宅時配達にだけ配達するにはどうしたらよいかを考える
全員経営
全社員が同じ経営目的に向かい、社員一人ひとりが自発的に動く体制をつくる
日本の企業は、「プロ野球」ではなく、「学生野球」である。
一部の人だけに日が当たるのではなく、裏方にもやりがいを感じさせる制度を整備しなければならない
日本人にとって働き甲斐は生き甲斐である
業態が違えば経営の論理が違ってくる
スーパー:安く売る
コンビニ:非常に小規模、商圏は非常に狭い、多店舗、便利さを売る
業態化とは事業者の知恵、創意工夫を問うものである
小売業:コンビニとスーパー
立地:商店街とロードサイドショップ
サービス:フルサービスとセルフサービス
荷物:商業貨物と小口貨物
移動手段:バス(一定ルート)とタクシー
日銭が入る商売は資金繰りが楽になる
人事考課には「下(部下)からの評価」「横(同僚)からの評価」を加えて人柄を評価を加える
経営リーダー10の条件
1.論理的思考
2.時代の風を読む力(変化への対応)
3.戦略的思考
4.攻めの経営
5.行政に頼らぬ自立の精神
6.自助努力
7.マスコミとの良い関係
8.明るい性格
9.身銭を切ること(何でもかんでも会社の経費から落とさない。社員から尊敬されるお金の使い方をする)
10.高い倫理観
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