2010年04月06日
<財務3表一体分析法> 國定克則
財務分析のための一冊でわかりやすいとの評価もされていますが、読み説くにあたってそれなりの知識を併せて必要になる一冊です。
(逆にいえば、そういった知識を習得する良いきっかけと思います)
本書は財務分析について「分析だけをする」というようにフラットに考えています。
とにかく「分析」を通して、
1.どのようにお金を集めてきているか
2.それを何に投資しているか
3.投資した資産をいかに効率よく活用して売上を上げているか
4.売上高をどのように利益に変えているか
5.事業全体のプロセスの中で現金がどのように動いているか
を把握することを目的としています。
大企業と呼ばれる会社の決算書を基にそれぞれの会社がどのような経営・財務活動を行っているかを財務分析を通じて説明されており、
またそれらが図表化されているので文字が視覚化されて単なる数字だけの決算書よりもはるかにわかりやすいと思います。
簿記と財務分析は直接的にはリンクしないので簿記を知らないからといって財務分析ができないことはありません。
(逆に、簿記を知っていても財務分析やその先にある経営分析をできない人もいます)
以前に、12日間プログラム 決算書トレーニングという本を紹介しましたが、
この本よりも本書は難しい本です。ですので、財務分析や決算書に慣れていないのであれば、こちらを先に読まれることをお勧めします。
印象に残ったポイントは以下の通りです(専門知識が関わる部分はできる限り省略しています)。
会社のお金の流れ
1.資産を取得するために資金を調達する
2.資産を使って売上を出す
3.売上から利益を出す
そのお金の流れを見るにあたって大切な指標
1.レバレッジ比率
2.総資本回転率
3.当期純利益率
4.ROE
重要なのはどれだけのキャッシュを投じてどれだけのリターンがあるか
財務分析とは財務諸表から以下の5点を読み取ること
1.どのようにお金を集めてきているか
2.それを何に投資しているか
3.投資した資産をいかに効率よく活用して売上を上げているか
4.売上高をどのように利益に変えているか
5.事業全体のプロセスの中で現金がどのように動いているか
会社の業況が極端に悪い会社は財務分析指標を計算しても異常値が出てくる
抜本的な経営改善が必要な会社には財務分析指標を計算する必要はない
財務分析には、収益性、成長性、安全性を示す指標がそれぞれある
収益性:営業利益率など
成長性:営業利益率の5期間比較など
安全性:自己資本比率など
借入金を利用して積極的に事業拡大をしている会社の経営指標は良くない数値になりがちである
財務諸表だけから粉飾決算を見抜くことは難しい
大手企業はさまざまな事業を行なっているので、事業ごとの業況(セグメント情報)をチェックする必要がある
無借金経営も成長の機会を逃しているという点では良いとは言えない部分もある
流動比率が100%を割り込んでいると一般的には危ない会社だと言われる。ただし、現金商売の場合には必ずしも危ない会社だとは限らない
さまざまな指標があるが、一つの指標だけで事業の全てが判断できるわけではない。全体像を理解する必要がある
財務分析で分かるのは会社の良し悪しではなく、経営者の姿勢である
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