2022年08月18日
【ファンタジー小説】『魔王の娘は解放された』8 -最終回-
⇒ 『魔王の娘は解放された』7からの続き
ー目次ー
【PART10 ニンゲンからの解放 後編】
【PART11 幸せこそ最大の復讐】
【エピローグ】
魔王
「単刀直入に言おう。」
「お前さえよければ我らの、魔族の仲間になる気はないか?」
勇者
「…私が…魔族の仲間に?!」
魔王
「我らとともに、魔族とニンゲンの復讐の連鎖を止める力になってほしい。」
「戦ったときも言ったが、お前は復讐に加担するようなタマではないからな。」
勇者
「しかし、私は国王に剣を…。」
魔王
「済んでのところで剣を収めたのだろう?」
「もし手を出していれば、復讐の連鎖は後世まで続く。」
「お前は無意識にそれを感じ、躊躇したのではないか?」
勇者
「あれは彼女が止めてくれたからだよ。私は狂っていた…。」
魔王
「確かにあの娘の尽力あってのこと。」
「だがお前を信頼し、お前を諌める者が隣にいるのは自らの人徳ゆえだ。」
勇者
「隣にいてくれる人、か…。」
魔王
「本音を言えば、復讐の連鎖を止めるというのは二の次だ。」
「私はお前という人物が気に入ったから勧誘している。」
「尊敬できる者とともに過ごしたいという、私のわがままだ。」
勇者
「尊敬だなんて。」
魔王
「それに、お前は私よりも強いからな。」
「お前がいれば、私の後継者候補も安泰だ。」
勇者
「あはは、側近がいるじゃないか。」
魔王
「側近は先代の頃から一向に魔王の座を狙ってこないのでな。」
側近
「私は魔王さまのお傍にいることが幸せですから。」
魔王
「ま、まぁともかくだ。」
「私のわがままに付き合ってくれるなら、あたたかく迎えたい。」
「肩書きが必要なら、魔王の後継者候補でも、私の娘でも、何でもいい。」
勇者
「はは、娘だなんて。」
「ありがとう。私は魔族の仲間として生きていきたい。」
「仲間にしてほしい。」
魔王
「こちらとしては嬉しいが、やけにあっさり承諾したな。」
勇者
「魔族のみんなは、私を1人のニンゲンとして受け入れてくれたから。」
魔王
「1人の…か。そういえば聞いたぞ。」
「お前の両親は『勇者』という条件付きの愛情しか与えなかったと。」
勇者
「うん。ここならもう、あんな思いはしなくていいって思えた。」
「それに、ニンゲンの復讐の原動力はきっと、私が味わったような悲しみだよ。」
魔王
「『親から愛されなかった悲しみ』か。」
勇者
「うん。」
「旅をしてきて思った。」
「ニンゲンは魔族だけじゃなく『親への復讐』もしてるんじゃないかって。」
魔王
「なるほどな…。続けてくれ。」
勇者
「親から愛されなかった子が、親への復讐心を魔族や自分の子どもにぶつける。」
「ぶつけられた子が親になったら、同じことを子どもにする。」
「孤児を受け入れる魔物ハンターが大きくなったのは、きっとそういう背景がある。」
魔王
「いわゆる『置き換え』か。」
「親へぶつけられなかった怒りの矛先を、より弱き者へ向けているのだな。」
「では、その流れを変えていければ魔物ハンターの弱体化につながるかもしれんな。」
勇者
「うん。甘い考えかもしれないけど、それがこの旅の結論。」
「私も復讐に走るところだったけど、魔族のみんなが気づかせてくれた。」
「『本当の復讐は誰かに悲しみをぶつけることじゃない、自分が幸せに生きることだ』って。」
「私は魔族の仲間として、それを体現していきたい。」
魔王
「…さすが私の見込んだ勇者だ。改めて歓迎する。」
側近
「よかったですね魔王さま。後継者と娘がいっぺんにできましたよ。」
「ずっと欲しがってましたもんね。」
魔王
「こ、こら! バラすな側近よ!」照
魔族少女
「じゃあ私にとってはお姉ちゃんですね! やったぁ! 嬉しいです!」
「よろしく! お姉ちゃん!」
勇者
「お姉ちゃんだなんて。」照
「親、妹…なんだか嬉しいな。」
「…もしかして、この気持ちが『やすらぎ』…なのかなぁ。」
魔族少女
「お姉ちゃん! 戦闘部隊と医療部隊の準備できたよ!」
勇者
「ありがとう!」
「次に見つかった取引現場はここと、ここか。」
「Aチームと、Eチームに鎮圧に行ってもらおう。」
「いつも通り、魔封じの武具には気をつけて!」
「それと、職業紹介状も忘れずにね!」
魔族少女
「わかった! 行ってくるね!」
勇者
「うん! 行ってらっしゃい!」
魔王
「精が出るな。」
勇者
「お父さん!」
魔王
「調子はどうだ?」
勇者
「少しずつだけど、取引の件数も、出動の回数も減ってきたよ。」
魔王
「西の街と、東の王国の孤児院はどうだ?」
勇者
「順調! 街の治安も良くなってきてるって町長さんが言ってた!」
「それに、魔物ハンターを辞めて孤児院の職員になってくれる人も増えてきたよ。」
魔王
「それは何よりだ。」
勇者
「お父さんの医療部隊はどう?」
魔王
「あぁ、最近ようやく落ち着いたところだ。」
「最初は連日、お前たちが取引から助けた魔族が運び込まれて大変だったな。」
「治癒魔法を使える者がへとへとになっていた。」
勇者
「あはは、そうだったね。魔族みんなで治癒魔法の修練したよね。」
「おかげで、今ではほとんど全員が使えるようになって。」
「あのときの魔法合宿も楽しかったよね!」
魔王
「ああ。楽しかったな。」
コンコン、バタン!
側近
「魔王さま! 勇者さん! ついに王都から不戦協定の申出が!」
勇者
「お兄ちゃん! 『さん』付けはしなくていいって言ってるでしょ?!」
側近
「す、すまない。まだ慣れなくてな。」
「ともかく、ついに王都側が折れるかもしれません。」
「王国内でも魔族との融和政策を支持する声が大きくなってきています。」
勇者
「ついにここまで来たね…!」
「さすがお兄ちゃん!」
側近
「お、お兄ちゃん…。」照
勇者
「あと一歩だけど、あの国王だから、慎重に対応してね!」
魔王
「無理はするなよ。」
側近
「わかりました! では失礼します!」バタン
魔王
「相変わらず優秀な側近…。いや、良き兄だな。」
勇者
「お兄ちゃんって呼ぶたびに照れるんだから!」
魔王
「奴なりの喜び方なんだろう。もう少し時間をやってくれ。」
勇者
「もちろん! お兄ちゃんはお兄ちゃんだから!」
魔王
「お前もずいぶんと変わったな。」
「何というかな、目の輝きが増してきた。」
勇者
「えへへ、そうかな?」
魔王
「あぁ。私と戦った頃は、今にも潰れそうな…険しい顔をしていた。」
勇者
「ニンゲンだった頃はつらかったよ。」
「だけどお父さんと、魔族のみんなのおかげで、今すごく楽しいよ!」
魔王
「そうか。ならば私も嬉しいぞ。」
「これなら私はいつ引退しても安心だな。」
勇者
「もう! 引退なんて言わないでよお父さん!」
「私、魔法の訓練ではまだお父さんに負け越してるんだから!」
魔王
「ははは。娘に簡単にやられるわけにはいかないさ。」
勇者
「次の対戦までには新魔法を完成させて、勝ってやるんだからね!」
魔王
「あぁ、楽しみにしているぞ。」
魔王
「そういえば、お前がかつて西の洞窟で助けた親子から連絡があってな。」
「大きくなった息子がお前に礼がしたいそうで、近々こちらへ来るぞ。」
勇者
「本当?! 久しぶりだなぁ。元気にしてるって?」
魔王
「あぁ。王都の北の森で元気にやっている。」
「仲間も増えて、今のところ安全に暮らしているそうだ。」
勇者
「よかった! 早く会いたいなぁ!」
魔王
「…お前は紛れもなく…世界を救う勇者だな。」ボソッ
勇者
「なになに? なんか言った?」
魔王
「何でもない。」
「さぁ、仕事が一段落したら昼食にしよう。」
勇者
「うん! お兄ちゃんも呼んでくるね!」
バタン!
勇者
「…。」
勇者
「親から愛されなかったと悲しむニンゲンは私で最後にする。」
「私はニンゲンとしてではなく魔族として、幸せに生きていく。」
「それが私にできる、最大の復讐だから。」
魔王の娘
「わたし、『ゆうしゃ』だったの。」
「でもいまは、『まおうのむすめ』なんだよ。」
「まおうのむすめはしあわせになって、ふくしゅうをとめるの。」
「まおうのむすめだから、もう『ゆうしゃ』じゃないよ。」
「けど、お父さまも、お兄ちゃんも妹も、わたしを大切にしてくれるの。」
「そっきんさんはまだ『お兄ちゃん』に慣れてないみたい。」
「妹はわたしに甘えたり、わたしが甘えたりしてるの。」
「わたし、せかいを『へいわ』にするの。」
「まだできてないけど、おうちにいれてくれるんだよ。」
「だれもこわいかおしないし、『せけんさまにはずかしい』ともいわないの。」
「わたしは、わたしのままでよかったの。」
「わたしのままでいるだけで、みんな笑ってくれるの。」
「…わたし、かぞくにいっぱい愛されて、とってもしあわせだよ。」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーー【END】ーーーーー
<作者あとがき>
最後までお読みいただきありがとうございました。
人生初の、小説執筆への挑戦でした。
至らない点は多々ありますが、
いま持っている力は出し切れたと思います。
完成までの3ヶ月間、
続きが書けない苦しみに何度もぶち当たりました。
「もうここで完結でいいや」と思うこともありました。
それでも投げ出さなかったのは、
苦しみ以上に「物語を創ることが楽しかったから」でした。
幸せを感じるのは
「仕事だから」「義務だから」ではなく「楽しい」「やってみたい」である
改めて、そのことを学びました。
今後も「楽しい」「やってみたい」に忠実に生きて、
創作を楽しみたいと思います。
⇒ ファンタジー小説『魔王の娘は解放された』全8章
『魔王の娘は解放された』1
『魔王の娘は解放された』2
『魔王の娘は解放された』3
『魔王の娘は解放された』4
『魔王の娘は解放された』5
『魔王の娘は解放された』6
『魔王の娘は解放された』7
ー目次ー
【PART10 ニンゲンからの解放 後編】
【PART11 幸せこそ最大の復讐】
【エピローグ】
【PART10 ニンゲンからの解放 後編】
<魔王城・謁見の間>
魔王
「単刀直入に言おう。」
「お前さえよければ我らの、魔族の仲間になる気はないか?」
勇者
「…私が…魔族の仲間に?!」
魔王
「我らとともに、魔族とニンゲンの復讐の連鎖を止める力になってほしい。」
「戦ったときも言ったが、お前は復讐に加担するようなタマではないからな。」
勇者
「しかし、私は国王に剣を…。」
魔王
「済んでのところで剣を収めたのだろう?」
「もし手を出していれば、復讐の連鎖は後世まで続く。」
「お前は無意識にそれを感じ、躊躇したのではないか?」
勇者
「あれは彼女が止めてくれたからだよ。私は狂っていた…。」
魔王
「確かにあの娘の尽力あってのこと。」
「だがお前を信頼し、お前を諌める者が隣にいるのは自らの人徳ゆえだ。」
勇者
「隣にいてくれる人、か…。」
魔王
「本音を言えば、復讐の連鎖を止めるというのは二の次だ。」
「私はお前という人物が気に入ったから勧誘している。」
「尊敬できる者とともに過ごしたいという、私のわがままだ。」
勇者
「尊敬だなんて。」
魔王
「それに、お前は私よりも強いからな。」
「お前がいれば、私の後継者候補も安泰だ。」
勇者
「あはは、側近がいるじゃないか。」
魔王
「側近は先代の頃から一向に魔王の座を狙ってこないのでな。」
側近
「私は魔王さまのお傍にいることが幸せですから。」
魔王
「ま、まぁともかくだ。」
「私のわがままに付き合ってくれるなら、あたたかく迎えたい。」
「肩書きが必要なら、魔王の後継者候補でも、私の娘でも、何でもいい。」
勇者
「はは、娘だなんて。」
「ありがとう。私は魔族の仲間として生きていきたい。」
「仲間にしてほしい。」
魔王
「こちらとしては嬉しいが、やけにあっさり承諾したな。」
勇者
「魔族のみんなは、私を1人のニンゲンとして受け入れてくれたから。」
魔王
「1人の…か。そういえば聞いたぞ。」
「お前の両親は『勇者』という条件付きの愛情しか与えなかったと。」
勇者
「うん。ここならもう、あんな思いはしなくていいって思えた。」
「それに、ニンゲンの復讐の原動力はきっと、私が味わったような悲しみだよ。」
魔王
「『親から愛されなかった悲しみ』か。」
勇者
「うん。」
「旅をしてきて思った。」
「ニンゲンは魔族だけじゃなく『親への復讐』もしてるんじゃないかって。」
魔王
「なるほどな…。続けてくれ。」
勇者
「親から愛されなかった子が、親への復讐心を魔族や自分の子どもにぶつける。」
「ぶつけられた子が親になったら、同じことを子どもにする。」
「孤児を受け入れる魔物ハンターが大きくなったのは、きっとそういう背景がある。」
魔王
「いわゆる『置き換え』か。」
「親へぶつけられなかった怒りの矛先を、より弱き者へ向けているのだな。」
「では、その流れを変えていければ魔物ハンターの弱体化につながるかもしれんな。」
勇者
「うん。甘い考えかもしれないけど、それがこの旅の結論。」
「私も復讐に走るところだったけど、魔族のみんなが気づかせてくれた。」
「『本当の復讐は誰かに悲しみをぶつけることじゃない、自分が幸せに生きることだ』って。」
「私は魔族の仲間として、それを体現していきたい。」
魔王
「…さすが私の見込んだ勇者だ。改めて歓迎する。」
側近
「よかったですね魔王さま。後継者と娘がいっぺんにできましたよ。」
「ずっと欲しがってましたもんね。」
魔王
「こ、こら! バラすな側近よ!」照
魔族少女
「じゃあ私にとってはお姉ちゃんですね! やったぁ! 嬉しいです!」
「よろしく! お姉ちゃん!」
勇者
「お姉ちゃんだなんて。」照
「親、妹…なんだか嬉しいな。」
「…もしかして、この気持ちが『やすらぎ』…なのかなぁ。」
【PART11 幸せこそ最大の復讐】
<数年後、魔王城・執務室>
魔族少女
「お姉ちゃん! 戦闘部隊と医療部隊の準備できたよ!」
勇者
「ありがとう!」
「次に見つかった取引現場はここと、ここか。」
「Aチームと、Eチームに鎮圧に行ってもらおう。」
「いつも通り、魔封じの武具には気をつけて!」
「それと、職業紹介状も忘れずにね!」
魔族少女
「わかった! 行ってくるね!」
勇者
「うん! 行ってらっしゃい!」
魔王
「精が出るな。」
勇者
「お父さん!」
魔王
「調子はどうだ?」
勇者
「少しずつだけど、取引の件数も、出動の回数も減ってきたよ。」
魔王
「西の街と、東の王国の孤児院はどうだ?」
勇者
「順調! 街の治安も良くなってきてるって町長さんが言ってた!」
「それに、魔物ハンターを辞めて孤児院の職員になってくれる人も増えてきたよ。」
魔王
「それは何よりだ。」
勇者
「お父さんの医療部隊はどう?」
魔王
「あぁ、最近ようやく落ち着いたところだ。」
「最初は連日、お前たちが取引から助けた魔族が運び込まれて大変だったな。」
「治癒魔法を使える者がへとへとになっていた。」
勇者
「あはは、そうだったね。魔族みんなで治癒魔法の修練したよね。」
「おかげで、今ではほとんど全員が使えるようになって。」
「あのときの魔法合宿も楽しかったよね!」
魔王
「ああ。楽しかったな。」
コンコン、バタン!
側近
「魔王さま! 勇者さん! ついに王都から不戦協定の申出が!」
勇者
「お兄ちゃん! 『さん』付けはしなくていいって言ってるでしょ?!」
側近
「す、すまない。まだ慣れなくてな。」
「ともかく、ついに王都側が折れるかもしれません。」
「王国内でも魔族との融和政策を支持する声が大きくなってきています。」
勇者
「ついにここまで来たね…!」
「さすがお兄ちゃん!」
側近
「お、お兄ちゃん…。」照
勇者
「あと一歩だけど、あの国王だから、慎重に対応してね!」
魔王
「無理はするなよ。」
側近
「わかりました! では失礼します!」バタン
魔王
「相変わらず優秀な側近…。いや、良き兄だな。」
勇者
「お兄ちゃんって呼ぶたびに照れるんだから!」
魔王
「奴なりの喜び方なんだろう。もう少し時間をやってくれ。」
勇者
「もちろん! お兄ちゃんはお兄ちゃんだから!」
魔王
「お前もずいぶんと変わったな。」
「何というかな、目の輝きが増してきた。」
勇者
「えへへ、そうかな?」
魔王
「あぁ。私と戦った頃は、今にも潰れそうな…険しい顔をしていた。」
勇者
「ニンゲンだった頃はつらかったよ。」
「だけどお父さんと、魔族のみんなのおかげで、今すごく楽しいよ!」
魔王
「そうか。ならば私も嬉しいぞ。」
「これなら私はいつ引退しても安心だな。」
勇者
「もう! 引退なんて言わないでよお父さん!」
「私、魔法の訓練ではまだお父さんに負け越してるんだから!」
魔王
「ははは。娘に簡単にやられるわけにはいかないさ。」
勇者
「次の対戦までには新魔法を完成させて、勝ってやるんだからね!」
魔王
「あぁ、楽しみにしているぞ。」
魔王
「そういえば、お前がかつて西の洞窟で助けた親子から連絡があってな。」
「大きくなった息子がお前に礼がしたいそうで、近々こちらへ来るぞ。」
勇者
「本当?! 久しぶりだなぁ。元気にしてるって?」
魔王
「あぁ。王都の北の森で元気にやっている。」
「仲間も増えて、今のところ安全に暮らしているそうだ。」
勇者
「よかった! 早く会いたいなぁ!」
魔王
「…お前は紛れもなく…世界を救う勇者だな。」ボソッ
勇者
「なになに? なんか言った?」
魔王
「何でもない。」
「さぁ、仕事が一段落したら昼食にしよう。」
勇者
「うん! お兄ちゃんも呼んでくるね!」
バタン!
勇者
「…。」
勇者
「親から愛されなかったと悲しむニンゲンは私で最後にする。」
「私はニンゲンとしてではなく魔族として、幸せに生きていく。」
「それが私にできる、最大の復讐だから。」
【エピローグ】
魔王の娘
「わたし、『ゆうしゃ』だったの。」
「でもいまは、『まおうのむすめ』なんだよ。」
「まおうのむすめはしあわせになって、ふくしゅうをとめるの。」
「まおうのむすめだから、もう『ゆうしゃ』じゃないよ。」
「けど、お父さまも、お兄ちゃんも妹も、わたしを大切にしてくれるの。」
「そっきんさんはまだ『お兄ちゃん』に慣れてないみたい。」
「妹はわたしに甘えたり、わたしが甘えたりしてるの。」
「わたし、せかいを『へいわ』にするの。」
「まだできてないけど、おうちにいれてくれるんだよ。」
「だれもこわいかおしないし、『せけんさまにはずかしい』ともいわないの。」
「わたしは、わたしのままでよかったの。」
「わたしのままでいるだけで、みんな笑ってくれるの。」
「…わたし、かぞくにいっぱい愛されて、とってもしあわせだよ。」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーー【END】ーーーーー
<作者あとがき>
最後までお読みいただきありがとうございました。
人生初の、小説執筆への挑戦でした。
至らない点は多々ありますが、
いま持っている力は出し切れたと思います。
完成までの3ヶ月間、
続きが書けない苦しみに何度もぶち当たりました。
「もうここで完結でいいや」と思うこともありました。
それでも投げ出さなかったのは、
苦しみ以上に「物語を創ることが楽しかったから」でした。
幸せを感じるのは
「仕事だから」「義務だから」ではなく「楽しい」「やってみたい」である
改めて、そのことを学びました。
今後も「楽しい」「やってみたい」に忠実に生きて、
創作を楽しみたいと思います。
⇒ ファンタジー小説『魔王の娘は解放された』全8章
『魔王の娘は解放された』1
『魔王の娘は解放された』2
『魔王の娘は解放された』3
『魔王の娘は解放された』4
『魔王の娘は解放された』5
『魔王の娘は解放された』6
『魔王の娘は解放された』7
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