2024年10月14日
【短編小説】『なぜ学校にはお金の授業がないの?(リメイク)』1
<登場人物>
◎深澤 真知(ふかざわ みしる)
♀小学5年生(11歳)⇒高校2年生(17歳)
◎メルクリス
商業の女神
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【第1話:お金は”はしたない”?】
真知
「パパ…ママ…今日も遅いのかなぁ…?」
小学5年生の深澤 真知(ふかざわ みしる)は、
家で1人、寂しさを募らせました。
真知の両親は共働きで帰りが遅く、
なかなかお話できませんでした。
真知
「なぜパパもママもこんなに働くの…?」
ある夜、真知の母親が
久しぶりに早く帰宅しました。
真知
「ねぇママ?」
母
『なぁに?』
真知
「パパもママも毎日帰りが遅いよね。」
「いつも疲れてるし…。」
母
『パパはお仕事を頑張ってくれているのよ。』
真知
「お仕事って辛いの?」
母
『内容によるけど、辛いことも多いの。』
真知
「ママのお仕事も?」
母
『そうね…。』
真知
「パパはどこでお仕事してるの?」
母
『会社よ。』
真知
「カイシャ?」
母
『会社を経営している人に雇ってもらうの。』
『パパは会社の役に立つために働いているのよ。』
真知
「やっぱりパパはすごいね!」
母
『そうね…。』
真知
「ねぇママ、大人はどうしてこんなに働くの?」
「お金をもらうため?」
母
『多くの人はそうね…。』
『お給料をもらって生活するためよ。』
真知
「パパもママも会社からお金をもらうんでしょ?」
母
『そうよ。』
真知
「会社に入るって難しいの?」
母
『えぇ、たくさんお勉強してやっと入れるの。』
真知
「お勉強して会社に入って、辛いお仕事するの?」
「お金って辛いことをした分だけもらえるの?」
母
『…そ、それはね…。』
真知
「じゃあ遊園地の人は?」
「私たちを楽しませてくれるよ?」
「人を楽しませてもお金もらえるの?」
母
『きっと裏側で辛いこともあるのよ?』
『ホラ、怖いお客さんもいるでしょう?』
真知
「怒ってるお客さん?」
母
『そうよ、怒っている人ともお話しないといけないの。』
真知
「私だったら泣いちゃいそう…。」
「そっか、お仕事って辛いんだ…。」
母
『そうね…。』
真知
「ママ、辛いのにお仕事してくれてありがと!」
「パパにも伝えるね!」
母
『ええ…パパもきっと喜ぶわ…。』
真知
「うん!」
母
『それとね真知。』
『あまりお金のことを話すものではありませんよ?』
真知
「ダメ?お金は大切なのに?」
母
『大切だけど、あまり口にしない方がいいの。』
真知
「どうして?」
母
『お金のことばかり考えると”はしたない”と思われるからよ。』
真知
「はしたない?」
「パパもママもこんなに頑張ってお金をもらってるのに?」
母
『今は飲み込んでちょうだい…。』
『その内わかる時が来るから…ね?』
真知
「むぅー…わかった。」
数日後、真知はクラスメイトの
咲姫(さき)ちゃんの家に招待されました。
咲姫ちゃんの父親は、
会社を経営する”社長さん”でした。
真知
「”しゃちょうさん”ってどんなお仕事?」
咲姫
『詳しくはわかんないけど…。』
『毎日色んな”とりひきさき?”へ行ってる。』
『あとパパの会社の”しさつ?”に行ってるよ。』
真知
「忙しそうだね…。」
咲姫
『うん…だからあんまり会えないの…。』
『帰ってきても夜遅くまでお仕事してる。』
『パパ、寝れてないみたい…。』
真知
「そっか…大変…。」
(私のパパのお仕事と全然違うけど…。)
(お仕事ってやっぱり辛いもの?)
咲姫
『この前、パパのお仕事を聞いてみたの。』
真知
「知りたい!それでそれで?」
咲姫
『”パパはみんなが喜んでくれるものを売ってる”』
『”そしてパパの会社で働いている人たちにお給料を払う”』
『って言ってた!』
真知
「かっこいい!」
咲姫
『うん!だから私パパを尊敬してるの!』
『みんなのためにお仕事するパパはかっこいいもん!』
真知
「すごいなぁ…会社をやって、みんなにお給料を払って…。」
「咲姫ちゃんのパパはどうやって会社を作ったの?」
咲姫
『パパが作ったわけじゃないの。』
『親戚から継いだんだって。』
真知は咲姫ちゃんの父親の話を聞いて、
学校での日々に疑問を持ちました。
真知
「会社に入るためにお勉強するの?」
「会社に入らなくてもお金をもらってる人もいるよ?」
「なら学校で”お金の稼ぎ方”を習えたらいいのに…。」
「なぜ学校にはお金の授業がないの?」
後日、真知の学校で定期テストがありました。
真知は学校の勉強の目的がわからなくなり、
成績が落ちていました。
ある日の放課後、
真知は担任から職員室へ呼び出されました。
担任
『深澤、最近どうした?』
『この成績じゃあ上のランクの学校は厳しいぞ?』
真知
「上の学校へ入れなかったらどうなるんですか?」
担任
『どうなるって…良い会社へ入れなくなるんだよ。』
真知
「良い会社ってどんな会社ですか?」
担任
『もらえる給料が高い会社。』
真知
「じゃあ、咲姫ちゃんのパパは?」
「”しゃちょうさん”も良い会社へ入るんですか?」
担任
『?!…まぁ1回は…入るんじゃないか?(汗)』
(マズイ…経営者のことはわからん…。)
真知
「学校のお勉強は、良い会社に入るためですか?」
担任
『すべてではないが、大体そうだな。』
真知
「先生も会社からお金をもらってるんですか?」
担任
『先生は公務員だから、国から給料をもらってる。』
真知
「学校の勉強を頑張ったら”しゃちょう”になれますか?」
担任
『…そ、そうかもな(汗)』
真知
(先生は本当に知ってるの?)
(焦ってるけど…。)
担任
『もういいだろ?(汗)』
『次回はもう少し成績を…。』
真知
「先生!なぜ学校にはお金の授業がないんですか?」
担任
『…授業の内容は国が決めてるんだ(汗)』
『先生がどうこうできることじゃない。』
真知
「私、ずっと気になって…。」
担任
『ホラ、帰って復習でもしなさい。』
真知
「はぁい…。」
真知の心のモヤモヤは
どんどん膨らんでいきました。
真知
「なぜお金のことを話すのは”はしたない”の?」
「なぜ誰もお金のことを教えてくれないの?」
「ねぇどうして?どうしてなの?!」
⇒【第2話:お金の歴史を知る旅へ】へ続く
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