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2022年08月10日

【ファンタジー小説】『魔王の娘は解放された』4

⇒ 『魔王の娘は解放された』3からの続き


ー目次ー
【PART5 東の大陸への航海 後編】
【PART6 再戦・東の王都 前編】

【PART4 魔物退治の真相・後編】

勇者
「強い…!」
「きれいな連携…! かなり戦い慣れてる!」

商人?たちは魔法陣を展開した!

勇者
「あれは捕縛の魔法陣と……体力を吸い取る魔法……!」
「とどめを刺さずに捕獲するつもり?!」
「もしかして………あの商人たちが魔物ハンター?!」

<東の大陸への航海・海上>

商人?
「ふぅ。今日の獲物は一段とでかいな。」

勇者
「あ、あの!」
「助けてくれてありがとうございました!」

商人?
「なに。俺らも商売がはかどったしな。」
「ケガはないかい?」

勇者
「は、はい。」
「あの、魔物を捕らえてましたが、どうするんですか?」

商人?
「あぁ、売るんだよ。それが俺らの商売さ。」

勇者
「どちらへ売るんですか?」

商人?
「あんたは同業じゃないみたいだが、それは言えねぇなぁ。」

勇者
「冷気魔法を受けてましたが、大丈夫ですか?」

商人?
「大丈夫さ。俺らの装備に魔法は効かねぇ。」

勇者
「装備…?」

商人?
「あぁ。仕組みはよくわからねぇが、
とにかく相手の魔法を無効化するんだとよ。」

勇者
「あの強力な冷気魔法も無効化するなんてすごいですね…。」

商人?
「見てたのか。まぁな、コイツのおかげで商売繫盛さ。」

勇者
(……魔物を捕まえて……商売………!!)

商人?
「とにかく安心しな。」
「また魔物が出たら俺らが捕まえてやるよ。」

勇者
「は、はい…ありがとうございます!」

<魔王城>

魔族少女
「東の国ですか?」

魔王
「あぁ。先遣隊はすでに到着している。」
「お前も合流してほしい。」

魔族少女
「もちろんです!」
「しかしどうして東の国へ調査部隊を?」

側近
「例の魔物ハンター組織の支部があるらしいのです。」
「調査する価値はあります。」

魔王
「まさか同じ大陸にあるとは盲点だったな。」

側近
「勇者も最近、海を渡ったとの報告があります。」

魔王
「来たか。勇者の動向も無視できないな。」

魔族少女
「では、私はさっそく東の国へ向かいます。」

魔王
「くれぐれも無理はするな。」
「先遣隊にも伝えたが、危なくなったら撤退しろ。」

魔族少女
「わかりました!」

【PART6 再戦・東の王都 前編】

<東の国・王都>

商人?
「じゃあな姉ちゃん! 気をつけて行けよ!」

勇者
「はい、道中ありがとうございました!」

勇者
「ふぅ………。」
「ここが東の国……魔王の領地がある大陸か。」
「魔物との最前線だけあって、強そうな人たちが大勢いる。」
「船に乗ってた魔物ハンターたちも、この街を拠点にしてるのかな?」

勇者
「魔物ハンター…か。」
「確かに海の安全を守ってる。それを生業に生きる人がいる。」
「そして孤児にとっての……唯一の居場所……。」
「だけど、こんなやり方でいいんだろうか…?」


ー勇者の回想ー

 (勇者の父)
 「魔王を倒すまで、逃げ帰ることは許さんからな!」

 (勇者の母)
 「勇者を育てた母なんて鼻が高いねぇ。」

ー勇者の回想終わりー


勇者
「勇者は本当に世界を救う者?」
「私には誰を救えるの?」
「お父さま、お母さま、私は……。」
「私は何のために勇者を……?」

<夜、東の王都・街外れ>

魔族少女
「ここで魔族売買の取引が?」

調査隊員
「間違いなさそうです。」
「曜日も時間も決まってるみたいですね。」

魔族少女
「取引現場を押さえますか?」

調査隊員
「えぇ。できれば奴らを弱らせて、ボスや売買のルートを吐かせたいですね。」

魔族少女
「私も加勢します!」
「目の前で仲間が売られていくのを見たくないですから。」

調査隊員
「無理しないでくださいね。」
「あなたはケガ明けなんですから。」

魔族少女
「わかってます。あ………!」
「人影が…。ついに来ましたか?!」

調査隊員
「いえ……あれは…。」

勇者
「わわッ!!」

魔族少女
「ゆ、勇者さん?!」

勇者
「きみはあのとき人間に追われていた…。」
「よかった! 無事だったんだね!」

魔族少女
「はい! 助けていただきありがとうございました!」

勇者
「こちらこそ、あのときは手当てしてくれてありがとう!」
「どうしてこんなところに?」

魔族少女
「ここで魔族の売買取引があるらしいんです。」
「私たちはその調査に来ました。」

調査隊員
「勇者さん初めまして。」
「私たちは魔王さま直属の魔物ハンター組織の調査隊員です。」

勇者
「初めまして!」
「魔族の売買とは…やはりきみを追ってた奴らの仲間?」

魔族少女
「おそらく。」

勇者
「私もここへ来る途中の船で彼らに会ったよ。」
「確かに船は救われたけど、こんなやり方なんて……。」

調査隊員
「奴らが来ました!」

勇者
「あ、あの人は……!」
「船で助けてくれた商人…?!」

魔物ハンター
「今回の商品リストだ。」
「大物もいる、いつもより大きめの馬車を頼むぜ。」

仲買人
「へぇ、今回はずいぶん豊作だな。」

魔物ハンター
「まぁな。」

仲買人
「これだけの大物なら王さまもご満足だろう。」
「報酬だ、受け取りな。」

魔物ハンター
「へへ、いつも稼がせてもらってるぜ。」

魔族少女
「や、やめてください!!」

仲買人
「誰だお前ら?!」

魔物ハンター
「魔族か?!」

勇者
「魔物をどこへ売る気なの?!」

魔物ハンター
「船で会った姉ちゃんか。また会うとはな。」
「あのときも言ったが、それは教えられねぇ。」

調査隊員
「『王さまも喜ぶ』とはどういうことだ?!」

仲買人
「おっと、聞かれてたか。」

調査隊員
「あなたたちの組織のバックに王国がついてるの?」

仲買人
「こりゃ口を滑らせちまったなぁ。」
「だが、それ以上は詮索しない方が身のためだ。」

魔物ハンター
「それに俺たちは海の安全を守ってるんだぜ?」
「何の因果であんたが俺たちを止める?」

勇者
「こんなやり方は違う!」

魔物ハンター
「悪いが、あんたらが口出しできる問題じゃねぇんだ。」
「邪魔するならちょっとばかし痛い目を見るぜ?」

勇者
「望むところだ!」

魔族少女
「仲間の売買なんてさせません!」

魔物ハンター
「戦うか…。姉ちゃん、悪く思うなよ!」



ーー<魔物ハンター VS 勇者>ーー



勇者は神速の剣技を繰り出した!

勇者
「はぁぁぁぁぁ!」

ギィン!

勇者
「はぁ……はぁ……。」
「魔物をどこへ売ろうとしてるのか、しゃべってもらうよ!」

魔物ハンター
「くッ……!! 予想通り、姉ちゃん強えな。」
「これなら俺らと組んで戦えそうだ。」

勇者
「魔物を売る片棒はかつげないな!」

魔物ハンター
「フン……!! そうかい。」
「きれいごとだけじゃあ、世渡りできねぇと教えてやるぜ!!」



ーー<仲買人 VS 魔族少女・調査隊員>ーー



調査隊員は魔法バリア無効化の魔法陣を展開した!

調査隊員
「対魔法結界・解除!」

仲買人
「フン…攻撃魔法を通す気だな…!」

魔族少女は風刃魔法を放った!

魔族少女
「風よ………!!」
「刃となれ!!!」

ゴォォォ!

調査隊員
「対魔法結界を解いてもダメ……?!」
「いったいどういうこと?!」

仲買人
「魔法はムダだ。何度やっても効かねぇよ。」

魔族少女
「くッ……!! そのようですね…!」

仲買人
「人型の魔物、おまけにあんたらみたいな美人は貴重だ。」
「ぜひともおいで願いたいな。」

魔族少女
「お断りします!」

調査隊員
「デートの誘いにしてはロマンティックじゃありませんよ?」

仲買人
「ははは、ずいぶんガードが固いじゃねぇか。」

魔族少女
「仲間たちをどこへ閉じ込めたんですか?!」

仲買人
「言えねぇなぁ。」
「色恋には秘密があった方が燃えるだろ?」

魔族少女
「ならば……あなたを倒して聞き出します!」

調査隊員
「嫌がる女性を連れ込もうとするのは見過ごせませんね。」

仲買人
「強気な姉ちゃんだ。」
「どうしても仲間を助けたきゃ、あんたらの得意な魔法で俺を倒すことだな!」



ーー<魔物ハンター VS 勇者>ーー



魔物ハンター
「俺らにだって、船乗りや商人の連中にだって生活がある。」
「何の犠牲もなく守れるものがあると思うか?」

勇者
「思ってないさ!」
「だけど、誰かを不幸にするやり方は見過ごせない!」

魔物ハンター
「まるで本物の勇者だな。魔王でも倒そうってのか?」

勇者
「そうだ、私は魔王を倒すためにここまで来た!」

魔物ハンター
「ほう………。」
「その勇者さまが魔族の味方をするのか?」

勇者
「何…?!」

ギィン! ドサッ! 

勇者
「…くッ…!」

魔物ハンター
「剣が鈍ったな。迷ってんのか?」

勇者
「迷ってなんか…!!!」

魔物ハンター
「世界を救う勇者さまが人間を救えないなんて悲しいもんなぁ。」

勇者
「だ、黙れ!!!」

魔物ハンター
「俺ら全員が好き好んでこの商売をしてると思ってんなら教えてやる。」
「俺らの中には、生きるために仕方なく入ってきた奴らも多い。」
「何の力もないガキが、親に捨てられて生きていけると思うか?」

勇者
「それは…。」

魔物ハンター
「そんな奴らの悲しみはどこへ向かえばいい?」
「自分を捨てた親への怒りを、親を奪った魔物への恨みをどこへぶつければいい?!」

勇者
「そういえば……西の街の町長さんが言って……。」


ー勇者の回想ー

 町長
 「親の命を魔物に奪われた子や、親に捨てられた子、
  この街で差別や格差に苦しんだ子が組織に拾われています。」
 「そして、彼らはその復讐心を魔物の捕獲に向けているんです。」

ー勇者の回想終わりー


魔物ハンター
「あんたには俺らのやり方は理解できねぇだろう。」
「だが俺らには他に居場所も、生きる術もなかった。」

勇者
「居場所……。」
「私の居場所は…どこに……?」

魔物ハンター
「あんたが本当に勇者なら、
 すべてを救おうなんて甘い考えは捨てることだな!」



ーー<仲買人 VS 魔族少女・調査隊員>ーー



調査隊員は身体能力強化の魔法を唱えた!

調査隊員
「身体能力・強化!!」

魔族少女
「やぁぁぁぁぁ!!」

魔族少女の連続攻撃!

仲買人
「ぐッ……!!!」
「おらぁ!!」

バシッ!!

魔族少女
「きゃあ!!」

調査隊員
「あぐッ!!」

仲買人
「はぁ……はぁ……。」
「なかなかしぶといじゃねぇか…!」
「どうしても同胞を見捨てられねぇってか?」

魔族少女
「当然です!」

調査隊員
「おとなしく仲間を返してください!」

仲買人
「仲間……か。」
「その大切なお仲間を奪った人間が憎いか?」

魔族少女
「え…?! ち、違います!」
「私は仲間を助けるために…!」

仲買人
「あんたらは『魔族を売るなんて許せない』と言う。」
「そこに人間への復讐心がないと言い切れるか?」

魔族少女
「う…………!」

調査隊員
「落ち着いてください!」
「そいつの言葉に耳を貸さないで!」

仲買人
「魔族の手にかけられた人間の家族はどう思う?」
「そいつらの無念はどこへ行く?」

魔族少女
「家族………仲間の無念………!」


ー魔族少女の回想ー

 側近
 「ニンゲンとの戦いで家族を失った魔族も多くいます。」
 「彼らに『ニンゲンを恨むな』と言っても難しいでしょう…。」

 魔王
 「何千年もの復讐合戦………。」
 「憎しみの連鎖を断ち切るには歴史を重ね過ぎたな…。」

ー魔族少女の回想終わりー


仲買人
「あんたらの覚悟も立派だがなぁ!」
「魔族に復讐してやりたいって奴にも覚悟はあるんだぜ?」
「こんな商売してる俺にだってなァ!」

魔族少女
「くッ……!!」
「私は…………!」

勇者
「私は…………!」

勇者・魔族少女
「どうすれば………?!」



⇒ 『魔王の娘は解放された』5へ続く

⇒PART4動画版はこちら


【ファンタジー小説】『魔王の娘は解放された』1

【ファンタジー小説】『魔王の娘は解放された』2

【ファンタジー小説】『魔王の娘は解放された』3

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