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2015年02月11日

月光と闇

強烈な冷気を発する大理石の剣は静かに使い手を待ち侘びている。

使い手の死をも凍らせるという物語も残された、大理石の剣はずっと静かに冷たく待ち続ける。

待ち続けることに費やした時間さえ凍らせてしまうほど大理石の剣は冷たく眠っている。

奇しくも今、使い手が現れ幾多の血の温もりを与えても、目覚めることはないだろう。ひとつだけ言えることは、凍りついた使い手の顔が、刀身に映り込む事実であろう。
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2015年02月10日

カイムの剣

十八年前、世界が破滅に瀕した時、一人の男と一匹の竜が神に抗った。男は命を賭して戦い、竜は男の為に世界を救った残された男は失った半身と心焦がす赫怒の残滓にすがるように、荒廃した世界を彷徨った。その放浪には、神の器として破滅を巻き起こした幼き少女が伴われた。

竜の命を用いた封印を改変し、身を捧げた竜への負担を倍増させた老司祭は、かつての仲間の一人だった。竜の苦しみの思念を感じ取った男の心は大きく揺らいだ。その隙を突いた少女は、男の不意をついて逃走。男は再び訪れた孤独の中で、憎悪をたぎらせる。空虚だった男の心は、灼熱の炎で満たされた。

男は竜を裏切った老司祭を襲い、命乞いを聞き捨てて一刀のもとに両断した。最後の儀式に使われる男をも斬り、封印改変を阻止した…はずであった。しかし封印は組み替えられてしまった。竜の意識は苦痛に引き裂かれ、千々と消えていった。そして男は世界より竜を選んだ。

封印の鍵が次々に打ち砕かれ、ついに男は竜と再開する。世界の破滅が再び迫ってきている。だが男と竜は満ち足りていた。二人はもう二度と別離の苦痛を味わいたくなかった。二人が選んだ答えは…。そして滅びゆく世界に、男の大剣が残された。

2015年02月09日

解放の剣

自由の象徴としてその時々の英雄が所持していた剣。しかし英雄達がその名声を勝ち取るためには、同時に数多くの血を必要とした。

この剣を手にした英雄達は、解放の名の下に異国の人々を蹂躙した。兵士による略奪が行われ、無実の人々が処刑された。

後に剣は盗賊によって盗まれ、やがて異国の将軍の手にもたらされた。異国の将軍は解放の名の下に隣国の人々を蹂躙した。兵士による略奪が行われ、無実の人々が処刑された。

戦が終わると剣は再び持ち主をかえる。そして今でも、どこかの国の英雄がこの剣を手に戦っているのだろう。解放の名の下に。

2015年02月08日

結束の剣

ベヒモスの牙、グリフォンの嘴、竜の爪、遥か東の国の玉鋼。名匠と言われた彼でも、国王の注文の品の材料に頭を抱えていた。やり遂げる気はあったが、かなりの覚悟が必要であった。長い旅になる。彼は早々に旅立った。

旅には手助けが必要だったが、疲弊しきっていた王国に旅を共にできる余裕のある人間はいなかった。だが、国王の依頼を、彼はなんとしても果たしたかった。まだ若い王は民を守ることのできる剣を、古い文献から探し出し、彼の工房に自ら足を運んだのだった。

何とか捗らぬ旅を続けたが、魔物の巣くう地の前ですでに二ヶ月が経っていた。もはや一人での旅は難しく彼自身、憔悴しきっていた。そんな折、留まっていた地の時の英雄が訪れ、彼の手伝いを買って出た。武具の手入れに彼は活躍した。

そして数々の英雄譚に添えられることとなりながら、彼は一振りの剣を完成させる。それは王が求めた程の力はなかったものの、王は感激し、その剣を手に魔物と戦い、国を治めた。また鍛冶屋であった彼には爵位が与えられ、王国に長く仕えた。

2015年02月07日

破剣・封天の韻律

かの地に武具の名匠あり?
神に弄ばれる世界を憂い
神の力に打ち勝つ武具を
生み出すことを決意す?

神に抗うは、封印の力?
封印の力、即ち女神の力?
名匠は女神の力を武具に封入す?

そんな噂を聞きつけた、駆け出しの刀鍛冶は、
一儲けしようと、伝説の武具に似せた武器を作ろうとした。

刀鍛冶は苦労の末、武具を一振り完成させた。
しかし、刀鍛冶のその後を知るものはいない。
武具を狙うものに襲われた、女神の呪い、
などまことしやかに囁かれているが定かではない。

2015年02月06日

銀の鳳蝶

幼くして隣国の伯爵と結ばれた美しくも賢い夫人の話。良き夫と良き家臣に恵まれて何ひとつ不自由のない暮らしを送っていたが、刺激もなかった。退屈な日々を伯爵に申し出ると意外にも旅に出るよう薦められた。伯爵夫人として、知るべき物事はまだまだたくさんあるという伯爵のはからいに、婦人は感謝した。

旅先では、たくさんの冒険者からさまざまな話を耳にした。雨風の具合で明日の生活が変わる農民の話や親のない子の話。他国の王の暴君ぶりや裏切りの話。婦人はさまざまな物事の見聞に夢中になり、そのまま一年が過ぎた。婦人が伯爵に帰りを伝えるとさらにもう一年の滞在が許可された。二年が経ち、夫人は屋敷に戻った。

屋敷に戻った夫人が目にしたのは心を無くした伯爵の姿だった。屋内は荒れ、残っていたのは伯爵が目をかけていた家臣だけだった。婦人は察した。陰で家臣が謀反を企てていたこと。旅に出ると夫人に勧めた伯爵が、すでに家臣の罠にはまっていたこと。「気づかなかった貴女が悪 い の で す よ 。」

家臣は捕らえられ殺されたが伯爵は心を取り戻すことなく息を引き取った。悲しみにくれた夫人は伯爵の亡骸を焼き、その灰を白銀に溶かし込み大振りの剣に愛を遺した。刃に掘り込まれている蝶は、夫人が伯爵への贈り物として持ち帰った仮面を模したものであるという。

2015年02月05日

血啜りの牙

鍛冶屋は完全な剣を求めていた。斬れば、肉を断ち、尽きぬ痛みが襲い、突けば五臓を貫き、無限の苦悶を被害者に与える剣。

究極の痛みを目指し、鍛冶屋は寝食を忘れ、夢中で槌を振るった。そして、ついにその剣は完成した。あらゆる痛みを超えた痛みを与えることができる剣。鍛冶屋はその成果を試したくて仕方がなかった。

そこで鍛冶屋はある王にその剣を以てすれば、どのような豪傑もすべてを白状すると売り込んだ。王が罪人に試してみると、言葉どおり、どんな罪人もすぐに口を割った。

喜んだ王は、その剣の製法を鍛冶屋に尋ねたが、鍛冶屋は秘密の製法を喋ることを拒んだ。結果、鍛冶屋は自らの身を以てその成果を知ることとなり、その素晴らしさに涙したという。

2015年02月04日

脛削りの鉄

恐ろしいほどの武勇と、類い稀なる英知を持った猛将がいた。彼の武勇は近隣諸国にまで鳴り響き、民の彼を崇める声が通りを埋め尽くしていた。

しかし、その声望を恐れた王は彼を無実の罪で捕らえ、三日もいれば我を失うといわれる、城の最深部の独房に閉じこめた。

そして三年後、王が牢に出向くと、そこには両の足が腐り落ち、息も絶え絶えな男が蹲っていた。ただ、その王を睨み付ける眼は未だ強い輝きを失ってはいなかった。王はその眼に苛立ち、ついに自らの剣で彼を刺し貫こうとした。

王の剣が男に届く直前、彼は背後に隠し持っていた剣で、逆に王を貫いた。その剣は、自らの足を切り落とし、その骨を鍛えて造り上げたものであった。その後、彼は王の跡を継ぎ、不動の王として名を馳せたという。

2015年02月03日

深い闇

あるところに、息をするように人を殺す男がいた。
理由も理念も理屈も理想もなく、ただ人を殺し続けた。
人を殺したいわけではなく、男にはそれしか出来なかった。

ある日、男は路地裏で少女を取り囲む集団に出くわした。
男はいつもの様に特に理由もなく集団を殺戮しつくした。

残った少女を殺そうと振り返ると、
少女は涙を浮かべながら男に感謝していた。
人から感謝されたのは、男の人生で初めてだった。
男は自分のやったことに初めて意味を見いだすことができた。

男は満面の笑みを浮かべると、
感謝の気持ちを込めて剣を振り下ろした。
血溜まりに沈む少女を優しく見下ろした後、
男は自信に満ちた足取りで歩き去った。

2015年02月02日

封剣・破天の旋律

かの地に武具の名匠あり。
神に弄ばれる世界を憂い
神の力に打ち勝つ武具を
生み出すことを決意す。

神に抗うは、封印の力。
封印の力、即ち女神の力。
名匠は女神の力を武具に封入す。

かの女神は、
禁じられた愛を秘めし女神。
無垢なる女神。

宿るは「命」、紫色に秘められし力
生命の源、魂の力。

2015年02月01日

ノウェの長剣

今より数年前、ノウェが騎士団の見習いとして入団する日、前騎士団長より授かったのがこの剣である。ノウェは封印騎士団に保護されて以来、前騎士団長オローが父代わりとして、人としての生き方を教え込まれてきた。

豪放磊落で剣の腕も右に出るものはいない。オローはノウェの憧れでもあった。ノウェは思っていた。いつかはオローのような強い“人間”になるんだ、と。そして、鍛錬を怠ることなくこの剣と共に歩んできた。

初陣の日。戦線での壮絶な命のやり取りに躊躇したノウェは間一髪のところをオローに助けられたのだった。戦場に慄くノウェに対してオローは語った。

「剣は命を奪う、しかし同時に仲間の命を救うものでもある。大事なのはそれを使う者の心だ。それを忘れるな。」そして現在。ノウェはこの剣で命を奪うのか、それとも助けるのか、剣もオローも何も語りかけはしない。

2015年01月18日

勇者のナイフ

とある夫婦が妻の腹に子ができたことを告げられた。二人は初めての子を喜び、周りの者は二人を祝福しようと、明くる日の夜、宴を設けた。親戚始め多くの者が祝福しに訪れた。その中に見事な法衣の預言者がいた。

預言者は夫婦に一振りの短剣を渡して言った。「この剣は使うものを選ばず、振ればそれは手練の一閃となろう。これをもって子を守るがよい」夫が剣を持つと、自らの力は漲り技巧が冴えゆくのがわかった。

夫婦に預言者はさらに言った。「生まれてくるは天の子。生まれてくるは人の子。人に災いをもたらすとなるならこの剣で突くを選べ」夫婦は顔色を変え、夫は剣を振り上げたが、いつの間にか預言者はいなくなっていた。

宴の日以降、妻は預言者の言葉が気になりやや鬱になり、夫は短剣の力で兵となり、家になかなか戻らなくなっていた。そして二人の子は生まれた。かわいらしい双子であった。

2015年01月17日

少年の欲望

その昔、娘達を次々と騙し、愛と財を奪い続けた少年がいた。怒った娘達は、妖精王の力を借り、少年を生きながらに剣の中に封印した。冷たい刃の奥深くから、少年は己の罪深さを嘆き続けた。時は経ち、老いた娘達は次々と死んでいった…

娘達が一人死ぬ度、剣の中、老いを知らない少年に、止まっていた時間が戻っていく。同時に少年の後悔の念が薄れ、日に日に娘達に対する憎しみが増していく。娘の最後の一人が死んだ時、ついに呪いは解け、少年は元の体に戻った。

自らの肉体を再び手にした少年の欲望は、止まることを知らなかった。少年は過ちを繰り返す。娘達を次々と騙し、財と愛とを奪っていった。ある日、少年は美しい少女と出会い、生まれて初めて恋に落ちる。少年は、財産や愛、すべてを少女に捧げた。しかし、少女は見向きもせず、他の男の下へ去っていった。

少女は、少年と同じ罪を犯していた。次々と男を誑かし、財と愛とを奪う少女。怒った男達は、この剣に少女を封印しようとした。封印の呪文が読まれようとした時、少年は少女を突き飛ばし、自ら剣の中に入った。少年はその愛で刀身を真っ赤に包み、少女を護り続けたという。

2015年01月16日

焔の簧

その竜は死を前に後悔していた。なぜ卑しい人間の子を助けようなど思ってしまったのか…。しかも…それが竜狩りの罠とは情けない…。意識が朦朧とする中、何者かが目の前で戦っている…次に目を覚ますと竜は手当てを受けていた…

竜の命を救ったのは人間だった。その人間は王を目指していた。竜には興味のない話だが、この男なら相応しいのだろうと思った。その時、男の胸に矢が突き刺さる。竜狩りの連中が仲間を呼んだのだ。不意打ちを受け、倒れる男……。

応戦するも矢を受けた身体。次第に男の動きも鈍くなる。そこへ……肉の裂ける音……なんと!竜は己の舌をその爪で引きちぎっていた。男はその舌を剣に突き刺すと、剣先から灼熱の炎が吹き出した。辺りの竜狩りどもは一瞬で灰となる。

『人間ごときに我が命を捧げるのは我慢ならぬが、おぬしを死なせてまで生きようとは思わん……。』竜は…その場で目を閉じた……。僅かな時間であったが竜と男の間に種族を超えた友情があった。後に…男は“焔の簧”を手に王となった。

2015年01月15日

領主の狩猟刀

とある国の領主が狩猟の際に必ず持ち歩き、快楽にまかせて森の動物を根絶やしにしたという伝説の残る刀。数十年後、領主の孫が新しい領主となった際、この刀を受け継いだ。

新しい領主は柔和な性格で、狩猟も熱心ではなかったが、この刀を手にしてからは好んで狩猟に出るようになった。

領主はしだいに奇怪な行動をとるようになっていった。食べ物を皿から直接舐めとるようになり、城内でも這い回る姿をたびたび目撃された。やがて、領主は姿を消した。

領主の行方は誰も知らない。ただ、今でも城の地下からは、獣のような叫び声が聞こえるという。
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