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タグ / 杖

記事
知識の杖 [2015/03/12 00:00]
その魔術師には語り合える友が一人もいなかった。別に魔術師が、人間嫌いだったわけではない。少し知識をひけらかす癖があったが根は悪い人間ではなかった。だが、彼と交流を持った人達は、次第に彼の元から去っていった…。 ある日、魔術師に原因不明の病が発症する。熱は上がり続け、動悸も激しく、手足は痛み、眩暈も起こりまともに歩けない。自らに魔法を施したが、全く効果も見られず…。傍らにあった愛用の杖を手に、魔術師は村の薬屋に向かった。 ようやくのことで薬屋に辿り着く。そして、自分の症状を..
痩躯の魔術師 [2015/03/11 00:00]
痩躯の魔術師の骨と皮で作られている杖。魔術師は多くの弟子を抱える高名な人物であった。魔術師は老い、自らの後継者を弟子の中に求めた。 弟子の中に、鷹のように鋭い目を持ち、類希なる魔の才を持つ青年がいた。魔術師は青年を後継者と定め、持てるすべての術を伝授した。青年は半年と経たぬ内にすべての術を極めた。魔術師は大いに喜び、隠居の時まで青年に弟子の指導を手伝わせた。 青年は指導のかたわらに次々と新しい術を生み出していった。やがて、弟子達は魔術師よりも青年から術を学ぶようになった。..
聖石の杖 [2015/03/10 00:00]
この杖に嵌められている石は稀代の魔術の才能を持っていた少年の魂を宿している。彼は平穏に人間として生きていくことに満足せず、より高みを目指し全魔力をもって自ら石化し、その存在を永遠のものとした。 ある時彼は自分を手にした元老が美しい女性であることを知った。彼は彼女をたいそう気に入った。だが、月日は流れ彼女は老い、死んでいった。彼の気に入っていた街並みも家も好んだ木々の色彩も年が重ねられる毎にその姿を変えていき、やがて不毛の時代が訪れ、彼は悲しみに包まれた。 彼は人々の幸せを..
賢者の意志 [2015/03/09 00:00]
ある名もなき寒村に、北の島国より司祭が訪れた。千里を見通す大賢者と呼ばれた彼も、この遠方の地ではただの旅人でしかなかった。 しかし彼らは、遠くからやってきた司祭を歓迎し、手厚くもてなした。村人の心遣いに心打たれた司祭は、お礼として、一振りの杖を贈った。 奇跡の力を秘めたこの杖で、今より豊かな生活を送ってほしい。司祭の贈り物を喜ぶ村人を見ながら、司祭は村に幸せが満ちることを祈った。 しかし村人達は、腰の悪い旅人にあっさりと杖を譲ってしまった。それを聞いた司祭は、村人達がす..
夢桜 [2015/03/08 00:00]
遥か東の国に精霊と契約し、悪霊と戦う術師を王とする一族がいた。王は普段から滅多に姿を見せず、霊の災いが激しくなると、長期にり国に戻らぬため、王の顔も知ら民も少なくはなかった。 そんな民の中に錫杖を持って敵を薙ぐ諸国にも名高き女兵士がいた。ある年の桜の咲く時期の祭で、その女兵士が錫杖による演武を王の前で披露することになった。王も女兵士もお互いを知ってはいたが、姿を見るのは初めてであった。 二人はお互い一目で魅かれた。王は初めて出会うその女兵士に、女兵士は初めて出会う王に。女..
ヤハの杖 [2015/03/07 00:00]
ある国の大臣が、疑い深い王に逆賊の汚名を着せられ、処刑された。一族も皆処刑されたが、大臣の幼い息子を不憫に思った処刑人が、王に虚偽の報告をして逃がした。 美少年に成長した大臣の息子は、市場の商品を盗んでは売りさばく泥棒生活を送った。時には捕まって袋叩きにされることもあったが、王への復讐を夢想すると、苦痛すら甘美だった。やがて少年は貯めた金を賄賂として王宮に仕官した。 その中性的な美しさから、少年が王の目にとまり、寵愛を受けるようになるのには時間がかからなかった。ある夜、少..

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