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タグ / 短剣

記事
白蝋の剣 [2014/01/10 00:00]
鋸状の刃で相手の剣と肉を切り裂く剣。この剣をあまり使い過ぎると引き裂く時の振動で指がしびれ、蝋のように真っ白くなり体が動かなくなる。 今よりも何百年も昔、黒き肌の騎士はこの剣を使いこなし数々の武勲を立てていった。次第に漆黒の体は雪のように白くなってゆく…。 時が経ち、国の威信を懸けた大戦で敵大将の首を討ち取り勝利を治めた黒き騎士。彼の体は既に白を超え透明で誰の目にも見えなくなっていた。 勝利に喜び歓声が上がる中、一人の兵士が空に向けて放った祝矢が黒き騎士の心臓を貫く。し..
涅槃の短剣 [2014/01/09 00:00]
神殿建立の際、人柱となる少女が自らの命を絶つために使った短剣。代々の人柱の命を絶ってきた剣身からは少女達の魂が舞い踊るといわれている。 第一代の人柱は敬虔な信者であった。清らかなる少女は純粋に神殿の礎となることを選び、自らの命を絶った。 第二代の人柱は心優しい町娘であった。人柱に選ばれたことを悲しみながらも、人々の役に立つならばと、少女は命を絶った。 第三代の人柱は盗みを働いた娘であった。娘は神を呪いながら息絶えた。その時から、直刀であった剣身は捻じ曲がった..
首切り包丁 [2014/01/08 00:00]
滴り落ちる肉汁、口の中に広がるハーブの香り。その料理人が作る肉料理は、シンプルでありながら、誰もが唸るほどの美味しさだった。 彼の店には連日行列ができ、贅を知り尽くした時の公爵ですら彼の料理を味わうためならば、お忍びで城から抜け出すほどであった。 料理人の笑顔は、ひとたび調理場に入ると真剣そのものになる。彼が取り出した大きな肉の塊はどうやら食用のものではなかったのである。 時代が移りすぎ、料理人もその店も、その町も消え去った今も、彼が使った包丁だけは錆びることなく次の出..
地竜の鉤爪 [2014/01/07 00:00]
帝国の考古学者が聖なる地の遺跡から掘り出した謎の化石。何かの生物の化石らしいのだが、化石を包む岩が異常に硬く手をつけられずにいた。 当初は貴重な化石を前に、慎重に、丁寧に扱っていた考古学者だったが、いかなる道具や強力な火薬を用いても覆った岩を砕くことができない。 壊すどころか削ることもできない化石に苛立ち、己を見失った考古学者は化石に頭を何度も打ちつけ、そのまま絶命してしまった。 黒光りする刀身は地竜。地竜の爪は闘いの中、流れる血で削られていく。それを知っていれば考古学..
輪廻転生 [2014/01/06 00:00]
深い森に囲まれた領地を持つ貴族に伝わる、丸い刃を持つ特殊な剣。その剣を使う者は大天使の祝福により三度再生するといわれている。 元々は拷問用の武器で、外の刃は相手を両断できるように鋭い切れ味で、内側の刃は苦痛を与えるために刃を鈍くしている。 柄の部分には毒を入れることができ、相手の身体に剣先を突き刺すと鋭い突起の先端から毒が飛び出し、相手を即座に死に至らしめる。 あまりの残虐さゆえ時の皇帝より使用を禁じられた後、歴史の裏舞台で暗殺用の武器として独自の進化を遂げることになっ..
少年の欲望 [2014/01/05 00:00]
少年は若く、美しかった。彼は村から村を渡り歩き、次々と娘たちに甘い言葉を囁いて結婚を申し込む。 彼女たちは少年に家畜や、家や、お金、そして愛情を惜しみなく与えた。だがある祭りの夜に少年のウソがすべての村娘達に発覚してしまう。 娘達の怒りは凄まじく、妖精王の力を借りて少年に呪いをかける。それは生きながらにして剣に封印されるという魔術であった。 今も冷たい刃の奥深くから、己の罪深さを嘆く少年の声無き叫びが聞こえるという。

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