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2014年01月08日

首切り包丁

滴り落ちる肉汁、口の中に広がるハーブの香り。その料理人が作る肉料理は、シンプルでありながら、誰もが唸るほどの美味しさだった。

彼の店には連日行列ができ、贅を知り尽くした時の公爵ですら彼の料理を味わうためならば、お忍びで城から抜け出すほどであった。

料理人の笑顔は、ひとたび調理場に入ると真剣そのものになる。彼が取り出した大きな肉の塊はどうやら食用のものではなかったのである。

時代が移りすぎ、料理人もその店も、その町も消え去った今も、彼が使った包丁だけは錆びることなく次の出番を待ち続けている。
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