2015年05月08日
悲しみの棘
「…クイタイ」
ホブゴブリンの彼は、いつもどおり指導者の手伝いをすることにした。大抵は雑用をすることで食欲は満たされていたが、この日は何をすることもなく食べ物をあてがわれた。明晩人間の村落を襲うということだったが、さておき食欲は満たされた。
果たして彼らは攻め込んだ。彼らが襲った村落の人間は必死で抵抗し、戦いは激化した。熾烈な殺し合いの最中、彼は井戸に落ちてしまった。何とか上れそうであったが、彼は井戸の底で禍々しい形状の鎌を見つけた。それは歪んだ付与魔術師の失敗作であった。
この鎌は相手に勝ちたいという欲求が増幅される、というように作られた筈だった。だが、実際にはさまざまな欲求が抑えられなくなる呪われた鎌であり、使われなくなっていた。鎌を手にした彼は、井戸から出ると、膨れ上がった食欲と殺戮の衝動のままに、人間を屠っていった。
鎌の呪いは凄まじく、人間が目の前からいなくなると、彼は他のゴブリン達に襲いかかっていった。しかし、同族を殺し尽くすも満たされず、ついに彼は自身に刃を向けるに至った残された鎌は、死体が地に還る頃、美しいエルフに拾われたという。
ホブゴブリンの彼は、いつもどおり指導者の手伝いをすることにした。大抵は雑用をすることで食欲は満たされていたが、この日は何をすることもなく食べ物をあてがわれた。明晩人間の村落を襲うということだったが、さておき食欲は満たされた。
果たして彼らは攻め込んだ。彼らが襲った村落の人間は必死で抵抗し、戦いは激化した。熾烈な殺し合いの最中、彼は井戸に落ちてしまった。何とか上れそうであったが、彼は井戸の底で禍々しい形状の鎌を見つけた。それは歪んだ付与魔術師の失敗作であった。
この鎌は相手に勝ちたいという欲求が増幅される、というように作られた筈だった。だが、実際にはさまざまな欲求が抑えられなくなる呪われた鎌であり、使われなくなっていた。鎌を手にした彼は、井戸から出ると、膨れ上がった食欲と殺戮の衝動のままに、人間を屠っていった。
鎌の呪いは凄まじく、人間が目の前からいなくなると、彼は他のゴブリン達に襲いかかっていった。しかし、同族を殺し尽くすも満たされず、ついに彼は自身に刃を向けるに至った残された鎌は、死体が地に還る頃、美しいエルフに拾われたという。
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