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2015年05月04日

ユーリックの斧

命を刈り取る死神への供物を捧げ、自らの延命を祈ったある王が、若き美丈夫の首を落とす神器として造らせたこの斧は、実に数百人の生贄の血を啜っている。正に死神の振るう武器といっても良いだろう。

毎月の祭事において王は、二人の生贄を選出した。一人に斧を振るわせもう一人の首を刎ねるのだ。そして翌月には、生き残った方の生贄を、新たに選んだ生贄に殺させる。この祭事は王の存命中絶えることなく続けられ、王は百五十年を生きたと伝えられている。

最後の月。生け贄に選ばれた二人の男は互いに親友同士だった。泣きながら親友を殺めた男は、王に向かって言い放つ。我が命、自ら死神に捧げ、友と黄泉路を逝こう…。男の首を落とした斧は祭壇に突き刺さり、何者も引き抜くことは叶わなかった。生きすぎた王は壮絶な最期を遂げた。

その斧はユーリックの手に渡った。斧はまた、死神への供物を、生贄を欲しているのだろうか。繰り返される流血の連鎖は、断ち切ることは叶わぬのだろうか。それを知るのは死神のみであろう。
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