2015年05月03日
折れた鉄塊
かつて世界で最も大きな剣と称され見る者をその迫力で圧倒していた雄姿は見る影もなく、剣というにはあまりにも惨めな塊に変わり果てていた。
剣が健在でいた時代。以前の持ち主は、この剣をとても人の力では扱えない代物までに鍛え上げ、それでもまだ何かに取り憑かれるように、刀身に使える素材を探し集めた。躯から鎧を剥ぎ取り、武器を奪い骨をも抜き出しては、打ち合せ剣の一部としていた。
次第に剣は斑に色を変え、剣先に行くほど赤黒く伸びていく。その相反する色は、まるで隠り世と現世の境にも見えた。ある時、子供をさらい生きたまま製錬し剣に打ち込んだが、決して交わることはなく、赤黒い鉄はすべて砕け散ってしまった。
剣は再び比類なき巨体を誇示させるために新たな刀身と、その身を鍛えられる者を探し続けているらしい。
剣が健在でいた時代。以前の持ち主は、この剣をとても人の力では扱えない代物までに鍛え上げ、それでもまだ何かに取り憑かれるように、刀身に使える素材を探し集めた。躯から鎧を剥ぎ取り、武器を奪い骨をも抜き出しては、打ち合せ剣の一部としていた。
次第に剣は斑に色を変え、剣先に行くほど赤黒く伸びていく。その相反する色は、まるで隠り世と現世の境にも見えた。ある時、子供をさらい生きたまま製錬し剣に打ち込んだが、決して交わることはなく、赤黒い鉄はすべて砕け散ってしまった。
剣は再び比類なき巨体を誇示させるために新たな刀身と、その身を鍛えられる者を探し続けているらしい。
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