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2015年05月06日

処刑台の記憶

“斧”は考えていた……。「私は…幾人の首を刎ねただろう」悪人、反逆者、革命家、政治家……中には全く罪のない人間もいた…。もう何も覚えていない。ただ一人、あの男……いや、男というには早い、あの少年を除いて…。

その少年は、断頭台に頭を置いても全く動じる気配がなかった。どんな屈強な男でも卑劣な悪人でも死を目前にすると、わずかな希望や行き場のない絶望が精神を支配する。それは刎ねる瞬間、わが刀身から直接伝わってくるのだ。

しかし!彼は他の誰とも違った!彼の精神はただ希望が溢れていた。それは狂信的に心酔する者の持つ偽りの希望ではなく、彼自身が望み、悟り、己が意志でこの場にいるということ!彼の、その清らかな精神は物言わぬこの私が叫びたくなる程であった。

彼の刑は執行された……。処刑を見に来た多くの群衆の中に、隠れながら涙する若者達がいた。その涙の意味は、私にはわからぬ。ただ、彼の希望と、そして未来は、若者の涙と共に語り継がれる……。それだけは私にも確実にわかった。
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