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2014年08月03日
賢者の意志
北の島国で、国中から厚い信頼を集めた司祭がいた。「千里を見通す大賢者」と呼ばれた彼はいつも杖を片手に地方を巡礼してまわっていた。
その杖をかざせば、どんな病気や怪我もたちどころに治すことができた。その杖をかざせば、どんな荒れた畑にも作物が実った。
その杖をかざせば、その人が嘘をついているか見抜くことができた。その杖をかざせば、悪事を行った者が懺悔を始めた。
その杖をかざせば、どんな怪物も引き下がった。その杖をかざせば、天使の禁止されている言葉で魔物を焼き尽くした。
その杖をかざせば、どんな病気や怪我もたちどころに治すことができた。その杖をかざせば、どんな荒れた畑にも作物が実った。
その杖をかざせば、その人が嘘をついているか見抜くことができた。その杖をかざせば、悪事を行った者が懺悔を始めた。
その杖をかざせば、どんな怪物も引き下がった。その杖をかざせば、天使の禁止されている言葉で魔物を焼き尽くした。
2014年08月02日
痩躯の魔術師
痩躯の魔術師が握っていた杖。魔術師はひどく冷徹で意地の悪い性格だったためいつも町の人々や弟子から憎まれていた。
己の身に危険を感じた魔術師は、悪魔の力を借り、恐ろしい魔力を持つ杖を作り上げる。自らの精気を失うのと引き換えに…。
その杖の強大な力に我が身の精気を奪われ痩せ衰えていったが、魔術師は構わず杖を使って傍若無人の行いを繰り返す。
結局、魔術師は弟子の陰謀から我が身を守るため、死ぬまでこの恐ろしい杖を手放すことはなかった。最後には骨と皮しか残っていなかったという。
己の身に危険を感じた魔術師は、悪魔の力を借り、恐ろしい魔力を持つ杖を作り上げる。自らの精気を失うのと引き換えに…。
その杖の強大な力に我が身の精気を奪われ痩せ衰えていったが、魔術師は構わず杖を使って傍若無人の行いを繰り返す。
結局、魔術師は弟子の陰謀から我が身を守るため、死ぬまでこの恐ろしい杖を手放すことはなかった。最後には骨と皮しか残っていなかったという。
2014年08月01日
聖石の杖
世界の西の外れに、魔法の力を地盤とした魔道王国が存在した。500人の 「元老」 といわれる魔法使いが、街のすべてを仕切っていた。
真夜中でも真昼のように街を照らし、人々は何の苦労も疑いもなくその魔力を礎に生活を営む。ある日501人目の元老が新たに就任した。
若干10歳の少年が501人目の元老。年端もいかない少年は稀代の魔術の天才。わずか2年と15日で元老の長に就任した。この時12歳。
魔術の天才といえど、若干12歳の子供。大人になる葛藤と共に、己の存在意義を考えはじめ、永久を求めて自ら石と化し永遠の聖石となった。
真夜中でも真昼のように街を照らし、人々は何の苦労も疑いもなくその魔力を礎に生活を営む。ある日501人目の元老が新たに就任した。
若干10歳の少年が501人目の元老。年端もいかない少年は稀代の魔術の天才。わずか2年と15日で元老の長に就任した。この時12歳。
魔術の天才といえど、若干12歳の子供。大人になる葛藤と共に、己の存在意義を考えはじめ、永久を求めて自ら石と化し永遠の聖石となった。
2014年07月09日
髑髏の宴
邪神に魂を捧げた司祭が持っていたメイス。まだ邪教団が小さな集まりだった頃、司祭は神からの啓示を受ける。「新鮮な人間の魂を神に…」
司祭は、生贄として邪神に捧げられた人間達の首を、鎚にくくりつけてゆく。次第に怪しげな覇気を放つようになっていくメイス……。
邪教団が大きくなっていくにつれ増える髑髏。やがて、増えた髑髏たちは一人の男の顔へと変貌を遂げていく。司祭にも見覚えがある顔。
それは、司祭の顔であった。邪神への完全な忠誠心から、悪魔に姿を変貌させた司祭は、人間である自分の姿と決別したのであった。
司祭は、生贄として邪神に捧げられた人間達の首を、鎚にくくりつけてゆく。次第に怪しげな覇気を放つようになっていくメイス……。
邪教団が大きくなっていくにつれ増える髑髏。やがて、増えた髑髏たちは一人の男の顔へと変貌を遂げていく。司祭にも見覚えがある顔。
それは、司祭の顔であった。邪神への完全な忠誠心から、悪魔に姿を変貌させた司祭は、人間である自分の姿と決別したのであった。
2014年07月08日
嘆きの鎚矛
海賊退治を命ぜられた僧兵が携えていたメイス。息子と共に海に出た彼は、その強さゆえ海賊から恐れられる存在になっていった。
あるとき、魔道士が率いる海賊船団に遭遇した一行は、召喚されし海竜に反撃をされる。そして不幸にもその牙は若き息子の命を奪ってしまう。
最愛の子供を失った戦士は混乱の中、海賊と海竜を屠る。だが、失った息子の命が戻るはずもなく、絶望した彼は自らの命を絶つ。
僧兵の涙はやがて海の神の知るところとなり、それを哀れんだ神によって、このメイスには海神の爪の魔力が宿ることになった。
あるとき、魔道士が率いる海賊船団に遭遇した一行は、召喚されし海竜に反撃をされる。そして不幸にもその牙は若き息子の命を奪ってしまう。
最愛の子供を失った戦士は混乱の中、海賊と海竜を屠る。だが、失った息子の命が戻るはずもなく、絶望した彼は自らの命を絶つ。
僧兵の涙はやがて海の神の知るところとなり、それを哀れんだ神によって、このメイスには海神の爪の魔力が宿ることになった。
2014年07月07日
農民の残夢
悪政に悩んだ農民が領主を討つために鉄屑を集め作り上げた武器。その歪んだ鉄屑には農民たちの血の願いが込められている。
いくら農民が苦しめどなんの助けも出さない領主。「わしらがこんなに苦労しているのに許せん!」一致団結して領主の元へ向かう農民たち。
朝日が昇った瞬間、一気に領主の城に乗り込む!しかし、実は領主も国のために農民から泣く泣く高い税金を徴収し、自らも貧しい生活を送っていた。
無能な領主を哀れに思った農民達は武器を捨て、領主と仲良く、そしてひもじく暮らした……。
いくら農民が苦しめどなんの助けも出さない領主。「わしらがこんなに苦労しているのに許せん!」一致団結して領主の元へ向かう農民たち。
朝日が昇った瞬間、一気に領主の城に乗り込む!しかし、実は領主も国のために農民から泣く泣く高い税金を徴収し、自らも貧しい生活を送っていた。
無能な領主を哀れに思った農民達は武器を捨て、領主と仲良く、そしてひもじく暮らした……。
2014年07月06日
破獄の針鼠
学者は自分の存在意義を追い求めた。どうして自分がいるのか?父母がいて自分がいるのは子供でもわかる。だが人間はどこからやってきたのか?
神が創りだしたのか?学者は悩み続け、その答えを空に求める。人は万物の構成要素のひとつであり、その中でも大きな存在のはずだ。
万物は太陽、月、星、大地、人で構成されており人だけが唯一破壊的な存在だと考えた。ある日、学者がそんな仮説を酒場で得意気に話した。
説法にも似たそんな話を聞き、一人の老人が大声で笑い、鉄塊をテーブルに載せた。「ここにすべてがある。」そう言い残し老人は去っていった。
神が創りだしたのか?学者は悩み続け、その答えを空に求める。人は万物の構成要素のひとつであり、その中でも大きな存在のはずだ。
万物は太陽、月、星、大地、人で構成されており人だけが唯一破壊的な存在だと考えた。ある日、学者がそんな仮説を酒場で得意気に話した。
説法にも似たそんな話を聞き、一人の老人が大声で笑い、鉄塊をテーブルに載せた。「ここにすべてがある。」そう言い残し老人は去っていった。
2014年07月05日
破戒の鎚矛
一人の魔法使いが鉄塊から一振りの鎚を生み出した。魔法使いといっても、小さな火しかおこせない、見習の魔法使い。
体躯ばかりが大きく、大飯喰らい。魔法使いのイメージと大きくかけ離れた男。兄弟子からいつも馬鹿にされ、師からも破門寸前であった。
ある日、兄弟子と一緒に魔法の触媒の薬草散策に赴いたときに事件がおきる。兄弟子の罵りが原因で口論となり、鎚で兄弟子を殺めてしまう。
兄弟子の血を吸った鎚は異形となり、その魔力を吸い成長した。男は魔を鎚で補完できることを覚え師まで手にかける。鎚は恐るべき力をもった。
体躯ばかりが大きく、大飯喰らい。魔法使いのイメージと大きくかけ離れた男。兄弟子からいつも馬鹿にされ、師からも破門寸前であった。
ある日、兄弟子と一緒に魔法の触媒の薬草散策に赴いたときに事件がおきる。兄弟子の罵りが原因で口論となり、鎚で兄弟子を殺めてしまう。
兄弟子の血を吸った鎚は異形となり、その魔力を吸い成長した。男は魔を鎚で補完できることを覚え師まで手にかける。鎚は恐るべき力をもった。
2014年07月04日
炎風の鎚矛
赤き竜の羽から作り出されたと言われる矛。まだ帝国も連合もなかった時代、世界では亜人が幅を利かせ人々は怯えることしか出来なかった。
亜人の暴挙に耐えかねた人々は、一人の名もなき青年に亜人制圧の願いを託す。青年は力を得るため赤き竜と契約を結びに向かう。
赤き竜と契約を結ぶために何度も闘い続ける。竜の隙を突き、遂に勝利を収めた青年だったが、竜は既に別の者と契約していたのだった。
青年の強い意志と胸に秘めた希望に共感した竜は自らの羽の一部を刃にし青年に渡した。槌矛を手に青年は亜人たちを制圧し世界に平和が訪れた。
亜人の暴挙に耐えかねた人々は、一人の名もなき青年に亜人制圧の願いを託す。青年は力を得るため赤き竜と契約を結びに向かう。
赤き竜と契約を結ぶために何度も闘い続ける。竜の隙を突き、遂に勝利を収めた青年だったが、竜は既に別の者と契約していたのだった。
青年の強い意志と胸に秘めた希望に共感した竜は自らの羽の一部を刃にし青年に渡した。槌矛を手に青年は亜人たちを制圧し世界に平和が訪れた。
2014年07月03日
拷問部屋の肉塊
最初のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の両足を潰した。
次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の両腕を潰した。
次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の頭を潰した。
次のひと月ですべてが潰されそこには肉塊だけが残り血に染まった鉄塊とそれの区別はつかなかった。
次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の両腕を潰した。
次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の頭を潰した。
次のひと月ですべてが潰されそこには肉塊だけが残り血に染まった鉄塊とそれの区別はつかなかった。
2014年07月02日
悪魔の鉄棍
世に知られた非道な山賊。200人からの軍団を率いるのは誰もが恐れる二人の兄弟である。彼らは秋になると、ふもとの村を襲っていった。
困り果てた村人は流れ者の醜い魔道士に助けを求める。魔道士は村の娘との結婚と引き換えに山賊を倒すと宣言、村人は渋々約束をした。
魔道士は一本の鉄棍を山賊に渡すように伝えた。呪われた鉄棍を手にした山賊の兄弟は錯乱し、仲間と共に自らの命を絶つ。村は救われたのだ。
だが、村人は魔道士を殺してしまう。まもなく村に疫病が蔓延し村人は死滅してしまう。そして残ったのは呪われた一本の鉄棍だけだった。
困り果てた村人は流れ者の醜い魔道士に助けを求める。魔道士は村の娘との結婚と引き換えに山賊を倒すと宣言、村人は渋々約束をした。
魔道士は一本の鉄棍を山賊に渡すように伝えた。呪われた鉄棍を手にした山賊の兄弟は錯乱し、仲間と共に自らの命を絶つ。村は救われたのだ。
だが、村人は魔道士を殺してしまう。まもなく村に疫病が蔓延し村人は死滅してしまう。そして残ったのは呪われた一本の鉄棍だけだった。
2014年07月01日
聖なる鎚矛
ある国の大司教が誕生祭の際、若き13人の司祭達に授けた数枚の羽を持つ儀礼用のメイス。大司教の死後、国は戦乱の渦に巻き込まれた。
若き司祭達は大司教の教えを信じ、戦おうとはしなかった。一人また一人と戦争の中で倒れる彼らは、それでも平和を叫ぶ。無力と知りながらも。
暴力を振るうことを嫌い、このメイスを使わなかった最後の一人の司祭。やがて戦闘のまっただ中で彼も命を落とす。
血にまみれたメイスが地に落ちた時、大天使が黒き涙を流しながら舞い降り、13人の魂と引き換えに呪わしき力と魔力をこの武器に与えた。
若き司祭達は大司教の教えを信じ、戦おうとはしなかった。一人また一人と戦争の中で倒れる彼らは、それでも平和を叫ぶ。無力と知りながらも。
暴力を振るうことを嫌い、このメイスを使わなかった最後の一人の司祭。やがて戦闘のまっただ中で彼も命を落とす。
血にまみれたメイスが地に落ちた時、大天使が黒き涙を流しながら舞い降り、13人の魂と引き換えに呪わしき力と魔力をこの武器に与えた。
2014年06月04日
雷龍の叫び
家臣の策略により隣国との結婚を強いられた姫。道中、姫の命を奪うために雇われた盗賊たちに一行は襲われる。
懸命に応戦するが手練れの盗賊たちになす術もない。姫の首に刃が向けられたその時、一人の護衛兵士が自らの命と引き換えに雷竜を呼び出す。
雷竜が盗賊を一掃した時、兵士はすでに息絶えていた。その心意気に心を動かされた雷竜は己の力と兵士の魂を鎚矛に込め、姫に手渡す。
兵士の遺志を引き継いだ姫は、その鎚矛を手に戦場に出向き功績をあげる。そして自らの国をも制圧し策略を企てた家臣を討ち取り仇を取った。
懸命に応戦するが手練れの盗賊たちになす術もない。姫の首に刃が向けられたその時、一人の護衛兵士が自らの命と引き換えに雷竜を呼び出す。
雷竜が盗賊を一掃した時、兵士はすでに息絶えていた。その心意気に心を動かされた雷竜は己の力と兵士の魂を鎚矛に込め、姫に手渡す。
兵士の遺志を引き継いだ姫は、その鎚矛を手に戦場に出向き功績をあげる。そして自らの国をも制圧し策略を企てた家臣を討ち取り仇を取った。
2014年06月03日
忘却の羽根
強烈な一撃で相手の記憶を消し去る闇。殴れば殴るほど、記憶は失われ最後には自分自身の存在すら忘れてしまう。
ある日、この槌を手に入れた過去に悩める兵士が自らの頭を殴りつけた。次第に失われていく兵士の記憶。
記憶を失うと同時にさかのぼっていく思い出。自分の過ちで仲間が死んだとき…固い決意で兵士になったとき…目の前で両親を殺されたとき……。
幼少の頃の記憶に戻り、未来に希望がもてるようになったときには、兵士の頭はすでに潰れ、そのまま息絶えた……。
ある日、この槌を手に入れた過去に悩める兵士が自らの頭を殴りつけた。次第に失われていく兵士の記憶。
記憶を失うと同時にさかのぼっていく思い出。自分の過ちで仲間が死んだとき…固い決意で兵士になったとき…目の前で両親を殺されたとき……。
幼少の頃の記憶に戻り、未来に希望がもてるようになったときには、兵士の頭はすでに潰れ、そのまま息絶えた……。
2014年06月02日
亡国の礎
少数の悪魔が支配する国。荒んだ国政を憂う十名の若者が、武器を持ち決起した。しかし国民は、恐怖心から、誰一人彼らに協力をしなかった。
人間による革命はなされた。悪魔は退けられ、若者達が政の世界についた。悪魔を退けたこの武器は、神の力が宿ると称された。
しかし、恐怖がない世の中を願った若者達もまた自らの保身にまわる。彼らは情報統制と公開処刑を中心とした、恐怖政治を布いた。
国民が立ち上がった。十名の若者は捕らえられ、公衆の面前で処刑された。悪魔を退けた武器は、処刑場でその神の力を印象づけたのであった。
人間による革命はなされた。悪魔は退けられ、若者達が政の世界についた。悪魔を退けたこの武器は、神の力が宿ると称された。
しかし、恐怖がない世の中を願った若者達もまた自らの保身にまわる。彼らは情報統制と公開処刑を中心とした、恐怖政治を布いた。
国民が立ち上がった。十名の若者は捕らえられ、公衆の面前で処刑された。悪魔を退けた武器は、処刑場でその神の力を印象づけたのであった。