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2014年04月04日
霞切り
ある村の少年と少女が恋に落ちた。少年は清く正しい心の持ち主で、少女は慎ましやかで明るい性格の子であった。
小さな川が流れる、小さな村で、二人は野や山を一日中駆け回り、ツユクサの冠とスミレ草の指輪で小さな結婚式を二人で行った。
ある日、仕事を失った少女の父親は村を去ることになる。少女は村に残るように泣いて頼んだが、もちろんその願いが叶うことはなかった。
二人の涙は地に落ちて、小さな池を作る。この斧は、その池に住む神様が気まぐれに木こりに与えた不思議な力を持つ斧である。
小さな川が流れる、小さな村で、二人は野や山を一日中駆け回り、ツユクサの冠とスミレ草の指輪で小さな結婚式を二人で行った。
ある日、仕事を失った少女の父親は村を去ることになる。少女は村に残るように泣いて頼んだが、もちろんその願いが叶うことはなかった。
二人の涙は地に落ちて、小さな池を作る。この斧は、その池に住む神様が気まぐれに木こりに与えた不思議な力を持つ斧である。
2014年04月03日
双子の牙
遠い昔、炎の力を持つ双子の神がいた。神は人間に火と知性、そして多くの言葉を与えて見守り続けていた。
だが人は堕落し、双子の神の逆鱗に触れてしまう。双子の神は多くの都市に雷を落とし、洪水をおこし、炎で大地を焼き払おうとした。
己の過ちに気づいた人間達は、神の怒りを鎮めるために巨大な斧を捧げる。それは幼い双子の血によって洗われた、呪わしき供物だった。
神は幼い双子を星にしてやり、人が二度と過ちを繰り返さぬように斧に破邪の光を封じ込めたという。
だが人は堕落し、双子の神の逆鱗に触れてしまう。双子の神は多くの都市に雷を落とし、洪水をおこし、炎で大地を焼き払おうとした。
己の過ちに気づいた人間達は、神の怒りを鎮めるために巨大な斧を捧げる。それは幼い双子の血によって洗われた、呪わしき供物だった。
神は幼い双子を星にしてやり、人が二度と過ちを繰り返さぬように斧に破邪の光を封じ込めたという。
2014年04月02日
死神の大鎌
地獄の門番である死神が持っていたといわれる、「永遠の闇」の入り口を切り開くための大鎌。闇に落されたものは二度と生まれ変わらない。
その男も「永遠の闇」の判決を受けて、死神に落されるのを待っていた。鎌の刃先が暗黒の闇を切り開きはじめる。
その時、男は死神を後ろから突き飛ばした!吸い込まれていく死神の姿。「愚か者め…意味のないことを……」
すると鎌がひとりでに男の足元を切り裂いた。地獄の門番は死神ではなく大鎌の方だったのだ。そして大鎌は、今も罪人を静かに待っている。
その男も「永遠の闇」の判決を受けて、死神に落されるのを待っていた。鎌の刃先が暗黒の闇を切り開きはじめる。
その時、男は死神を後ろから突き飛ばした!吸い込まれていく死神の姿。「愚か者め…意味のないことを……」
すると鎌がひとりでに男の足元を切り裂いた。地獄の門番は死神ではなく大鎌の方だったのだ。そして大鎌は、今も罪人を静かに待っている。
2014年04月01日
日出国の魔刃
東方の大商人が贅沢の限りを尽くし作り上げた至高の刀。その鋭い切れ味は空気をも切り刻み、切られた者は痛みも感じずに絶命していくという。
しかし、持ち主の業の深さが乗り移ったせいなのか、刀身に映る己の姿は醜い魔物の姿をしている。欲深いものが覗くとその姿はより醜く映るらしい。
商人も自らの姿が誰よりも恐ろしく、目も当てられぬほど醜く映るので、できるだけ見ぬようにしていたのだが…。
ある日、魔が差して覗いてしまったその姿は、この世のものとは思えぬほどの醜い姿だったため茫然自失となり、その場で自らの首をはねた。
しかし、持ち主の業の深さが乗り移ったせいなのか、刀身に映る己の姿は醜い魔物の姿をしている。欲深いものが覗くとその姿はより醜く映るらしい。
商人も自らの姿が誰よりも恐ろしく、目も当てられぬほど醜く映るので、できるだけ見ぬようにしていたのだが…。
ある日、魔が差して覗いてしまったその姿は、この世のものとは思えぬほどの醜い姿だったため茫然自失となり、その場で自らの首をはねた。
2014年03月06日
処刑台の記憶
帝国軍の牢獄にある処刑台で使われていた斧。この斧で幾千もの首がはねられた。初めは処刑に使われていた、ただの疎むべき存在であった。
製作者自らがこの斧に倒れたことをきっかけに、斧がただの斧でなくなった。斧は何かを求めるように、小枝を落とすように次々と首を狩っていく。
民からの人望も厚い王国の将軍も断頭台に頭を乗せられ、民衆が見つめる中、その血を流していく。処刑者に善悪はなく、あるのは首の無い骸だけ。
幾百年の時を経て、斧はさまざまな首を狩り続ける。幾十の王国の処刑を執行し更なる受刑者を求め、歴史の中を彷徨う。
製作者自らがこの斧に倒れたことをきっかけに、斧がただの斧でなくなった。斧は何かを求めるように、小枝を落とすように次々と首を狩っていく。
民からの人望も厚い王国の将軍も断頭台に頭を乗せられ、民衆が見つめる中、その血を流していく。処刑者に善悪はなく、あるのは首の無い骸だけ。
幾百年の時を経て、斧はさまざまな首を狩り続ける。幾十の王国の処刑を執行し更なる受刑者を求め、歴史の中を彷徨う。
2014年03月05日
赤の旋風
数百年前、赤装束に身を包んだ義賊がいた。悪徳商人から奪った財宝の使い道に迷った義賊は集めた金銀を溶かし煌びやかな斧を作り上げる。
初めは財宝の使い道に満足していた義賊であったが、斧がより豪華になるにつれ欲望に心を囚われ、罪のないものからも財宝を奪うようになった。
ある日、王国一の魔術師の屋敷に乗り込んだ義賊は一枚上手であった魔術師に捕まってしまう。真の義賊だった頃に戻るように促す魔術師。
しかし義賊の病んだ心はもう戻せないことを悟った魔術師は、彼の身を真紅の宝石に封じ込め、その自慢の斧に埋め込んだ。
初めは財宝の使い道に満足していた義賊であったが、斧がより豪華になるにつれ欲望に心を囚われ、罪のないものからも財宝を奪うようになった。
ある日、王国一の魔術師の屋敷に乗り込んだ義賊は一枚上手であった魔術師に捕まってしまう。真の義賊だった頃に戻るように促す魔術師。
しかし義賊の病んだ心はもう戻せないことを悟った魔術師は、彼の身を真紅の宝石に封じ込め、その自慢の斧に埋め込んだ。
2014年03月04日
断罪の斧
若い二人が祝福を受けながら結婚しようとしていた。結婚式の後、夜の闇の中に小さく光る精霊の姿を花嫁が見つける。
精霊が囁きかける。「お前の夫をお前だけのモノにしないか?お前だけを愛するべきじゃないか?」花嫁の心の隙に精霊が甘く問いかける。
彼女が正気に戻った時には、手には血で染まる斧が握られ、床には夫の首が、首だけ転がっていた。「コレデオマエダケノモノニ…」
時が過ぎた今でも、夫の首を持った妻の亡霊が、血まみれのドレスを着て村を徘徊することがあるという。
精霊が囁きかける。「お前の夫をお前だけのモノにしないか?お前だけを愛するべきじゃないか?」花嫁の心の隙に精霊が甘く問いかける。
彼女が正気に戻った時には、手には血で染まる斧が握られ、床には夫の首が、首だけ転がっていた。「コレデオマエダケノモノニ…」
時が過ぎた今でも、夫の首を持った妻の亡霊が、血まみれのドレスを着て村を徘徊することがあるという。
2014年03月03日
渇きの戦斧
数多くの病人を治してきた名医がいた。彼の名声は都まで届き、やがて時の国王が召し抱えるまでになる。
数年の後、国の王女が不治の病にかかった。名医といえど、どうすることもできず、彼女が楽に逝けるようにしてやるのが精いっぱいであった。
娘を失った国王は医師を逆恨みした。医師の家族すべてを処刑すると宣言。懇願する医師の言葉にも耳を貸そうとしなかった。
激怒した医師は、王家の井戸に毒を投げ入れる。水を飲んだ王室の人間は喉が焼けただれ絶命した。その水で研いだのがこの斧である。
数年の後、国の王女が不治の病にかかった。名医といえど、どうすることもできず、彼女が楽に逝けるようにしてやるのが精いっぱいであった。
娘を失った国王は医師を逆恨みした。医師の家族すべてを処刑すると宣言。懇願する医師の言葉にも耳を貸そうとしなかった。
激怒した医師は、王家の井戸に毒を投げ入れる。水を飲んだ王室の人間は喉が焼けただれ絶命した。その水で研いだのがこの斧である。
2014年03月02日
骨砕き
どこにでもあるような木材から削りだした持ち手と、使い道のなかったあまりの銑鉄からできている。
どこにでもいるような年老いた鍛冶屋が年の初め、ずっと開けていなかった小屋の扉を開けるためにこしらえた。
どこにでもあるようなその扉の向こうは、見たことのない数の人骨で埋め尽くされていたが、年老いた鍛冶屋は誰にも言わなかった。
どこにでもいるような年老いた鍛冶屋のどこにでもあるようなその道具は骨砕きといわれるようになった。
どこにでもいるような年老いた鍛冶屋が年の初め、ずっと開けていなかった小屋の扉を開けるためにこしらえた。
どこにでもあるようなその扉の向こうは、見たことのない数の人骨で埋め尽くされていたが、年老いた鍛冶屋は誰にも言わなかった。
どこにでもいるような年老いた鍛冶屋のどこにでもあるようなその道具は骨砕きといわれるようになった。
2014年03月01日
不浄なる斧
野心家の魔術師が火トカゲを閉じ込めた斧。その破壊力と共に、炎の魔術を使うことができる魔剣に成長した。
魔術師は火トカゲの囁きを耳にする。「血を…さすればさらに強力な力を与えよう」。力の魔力にとりつかれた彼は、やがて人を殺めるようになる。
「どうだ?我にもっと血を与えてみぬか?」魔剣はそう囁き、さらに血と臓物を欲する。力にとりつかれた魔術師に抗う術はなかった。
近年、魔剣と共に枯れ木のようになったミイラが発見された。闇に魅了されし者達に魔剣は今日も囁きつづける。「殺せ」と……。
魔術師は火トカゲの囁きを耳にする。「血を…さすればさらに強力な力を与えよう」。力の魔力にとりつかれた彼は、やがて人を殺めるようになる。
「どうだ?我にもっと血を与えてみぬか?」魔剣はそう囁き、さらに血と臓物を欲する。力にとりつかれた魔術師に抗う術はなかった。
近年、魔剣と共に枯れ木のようになったミイラが発見された。闇に魅了されし者達に魔剣は今日も囁きつづける。「殺せ」と……。
2014年02月14日
鬼を裂くもの
鬼に家族を惨殺された鍛冶屋が復讐のために鍛え上げた剣。斬りつけた者の魂を、また主の魂を吸い取り破壊の力へと転換する能力を持つ。
腕の良かった鍛冶屋は、王国より「鬼を斬る名剣を打て」との命を受ける。名剣を鍛えるべく苦心する鍛冶屋の家に、突如鬼が現れた。
鬼は「鬼を斬る剣は、怒りと憎しみを持つ者が打たねばならない」と告げ家族を惨殺して去った。鍛冶屋は家族の亡骸を抱き血の涙を流した。
鍛冶屋は家族の亡骸も葬らず、剣を打った。剣が打ち上がり、復讐に燃える鍛冶屋。しかし、その姿は、鬼を斬る剣を持つ新たな鬼の姿だった。
腕の良かった鍛冶屋は、王国より「鬼を斬る名剣を打て」との命を受ける。名剣を鍛えるべく苦心する鍛冶屋の家に、突如鬼が現れた。
鬼は「鬼を斬る剣は、怒りと憎しみを持つ者が打たねばならない」と告げ家族を惨殺して去った。鍛冶屋は家族の亡骸を抱き血の涙を流した。
鍛冶屋は家族の亡骸も葬らず、剣を打った。剣が打ち上がり、復讐に燃える鍛冶屋。しかし、その姿は、鬼を斬る剣を持つ新たな鬼の姿だった。
2014年02月13日
ゆりの葉の剣
美しく湾曲した刀身からは考えられない、おそろしい呪いが込められた剣。自らを裏切った恋人を我が身と共に貫いた少女の怨念が宿っている。
この剣に魅入られたものは、己の手が剣から離れなくなり、自らの意思とは関係なく人を殺める。この呪いを解くには自分の腕を切り落とすのみ。
自らの腕を切り落とし呪縛から逃れた者は、その剣に自分の精神が宿り、念じるだけで自由自在に操れるようになる。
腕を切り落とさなくてもすむ唯一の方法は、剣に宿りし少女の魂を魅了することらしいのだが、いまだかつて切り落とさずに済んだ者はいない。
この剣に魅入られたものは、己の手が剣から離れなくなり、自らの意思とは関係なく人を殺める。この呪いを解くには自分の腕を切り落とすのみ。
自らの腕を切り落とし呪縛から逃れた者は、その剣に自分の精神が宿り、念じるだけで自由自在に操れるようになる。
腕を切り落とさなくてもすむ唯一の方法は、剣に宿りし少女の魂を魅了することらしいのだが、いまだかつて切り落とさずに済んだ者はいない。
2014年02月12日
南海の魔神
七つの海を股にかけ商売を行った大商人がいた。商人は新たな大陸を幾つも発見し、巨万の富を築いていった。
ある時商人は、南海の海の底、太古の昔に海中に没した失われし大陸に「闇を呼ぶ剣」と呼ばれる魔剣が埋もれている、という噂を聞きつける。
商人は珍しい剣でまたもや儲けようと、南海へと旅立つ。苦労の末見つけた剣は、魔神を模した石像の口に咥えられていた。
突如剣より無数の火の弾が発生、商人の船は海の藻屑と消えた、数日後商人の亡骸が海中に流れ着く。その手には湾曲した長剣が握られていた。
ある時商人は、南海の海の底、太古の昔に海中に没した失われし大陸に「闇を呼ぶ剣」と呼ばれる魔剣が埋もれている、という噂を聞きつける。
商人は珍しい剣でまたもや儲けようと、南海へと旅立つ。苦労の末見つけた剣は、魔神を模した石像の口に咥えられていた。
突如剣より無数の火の弾が発生、商人の船は海の藻屑と消えた、数日後商人の亡骸が海中に流れ着く。その手には湾曲した長剣が握られていた。
2014年02月11日
解放の剣
自由の象徴としてその時々の英雄が所持していた剣。正義を執行する者への祝福として教会より魔術である「神の槍」を使うことが許されていた。
最初の英雄は、攻め込んできた異国の軍隊を圧倒的な力でせじ伏せた指揮官だった。彼はその手で何人もの敵兵を血に沈めた。
次の英雄は、国王に歯向かう革命軍を打ち破った司令官だった。彼は革命軍のメンバーを次々と捕らえ、その場で処刑していった。
最後の英雄は、異国を侵攻し植民地とした功績をたたえられた将軍だった。占領後、彼は何万人もの罪なき人々を虐殺した。
最初の英雄は、攻め込んできた異国の軍隊を圧倒的な力でせじ伏せた指揮官だった。彼はその手で何人もの敵兵を血に沈めた。
次の英雄は、国王に歯向かう革命軍を打ち破った司令官だった。彼は革命軍のメンバーを次々と捕らえ、その場で処刑していった。
最後の英雄は、異国を侵攻し植民地とした功績をたたえられた将軍だった。占領後、彼は何万人もの罪なき人々を虐殺した。
2014年02月10日
護衛隊士の誉
聖人の護衛隊士達が所持していた剣。飾りのない質素な造りで、幾度となく戦闘をくぐり抜けてきたにも関わらず折れることはなかった。
聖人を護衛するのは14人の少年少女達。いずれも親に捨てられた孤児ばかりである。そんな子らと家族同然として聖人は共に生きてきた。
あるとき数十人の山賊に襲われた一行は、聖人を守るために決死の戦闘を行う。傷ついても何度も立ち上がり、聖人の乗る馬車を守り続ける。
やがて山賊と共に護衛隊士は全滅。救われた聖人はその働きに涙し、この剣を持った者が救われるよう願いを込めて祝福儀礼を施したのである。
聖人を護衛するのは14人の少年少女達。いずれも親に捨てられた孤児ばかりである。そんな子らと家族同然として聖人は共に生きてきた。
あるとき数十人の山賊に襲われた一行は、聖人を守るために決死の戦闘を行う。傷ついても何度も立ち上がり、聖人の乗る馬車を守り続ける。
やがて山賊と共に護衛隊士は全滅。救われた聖人はその働きに涙し、この剣を持った者が救われるよう願いを込めて祝福儀礼を施したのである。