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2014年06月01日
匠のつるはし
その男が手がけた建造物の数々は、その美しさから国の宝と称えられていた。数々の建造物を生み出すこのつるはしもまた、神器と称えられた。
ある時、隣国との間に戦が勃発した。国中の男達が徴兵される。男もまた、例外ではなかった。
破壊を好まない男は、戦には向いていなかった。戦禍の中で、男は殺され、男の築いた美しい街並みは破壊された。
想像を好む男は、殺される最後の瞬間まで、人を殺めなかったという。この神器が次の主にもたらすのものは、破壊の力か、創造の力か。
ある時、隣国との間に戦が勃発した。国中の男達が徴兵される。男もまた、例外ではなかった。
破壊を好まない男は、戦には向いていなかった。戦禍の中で、男は殺され、男の築いた美しい街並みは破壊された。
想像を好む男は、殺される最後の瞬間まで、人を殺めなかったという。この神器が次の主にもたらすのものは、破壊の力か、創造の力か。
2014年05月10日
魚人の宝杖
南海の孤島の付近に生息していた醜い魚人が持っていた槍。島民を怪しげな歌声で海中に引きずり込み、その肝で自分の命をつないでいた。
その魚人に愛する家族を殺され、復讐するために立ちあがった島の青年。青年の手により、魚人は尾鰭を切り取られ瀕死の状態になる。
泳ぐことが困難になりもがき苦しんだ魚人。自らの行いを悔い改めた魚人は、改心の印に青年に家宝の槍を渡し、尾鰭を返してもらう。
しかし、生きるためにまた島民を誘い出し、肝を喰らい続けた哀れな魚人は、青年に自ら渡した槍で心臓を一突きにされ、その命を終えた…。
その魚人に愛する家族を殺され、復讐するために立ちあがった島の青年。青年の手により、魚人は尾鰭を切り取られ瀕死の状態になる。
泳ぐことが困難になりもがき苦しんだ魚人。自らの行いを悔い改めた魚人は、改心の印に青年に家宝の槍を渡し、尾鰭を返してもらう。
しかし、生きるためにまた島民を誘い出し、肝を喰らい続けた哀れな魚人は、青年に自ら渡した槍で心臓を一突きにされ、その命を終えた…。
2014年05月09日
皇帝の槍
一代で大帝国を創り上げた東方の皇帝の愛槍。雷を纏いて国を断つといわれ、かつてはとある神殿の護神槍として奉じられていた。
剛勇で名を馳せた男は神殿より護神槍を強奪、大陸に覇を唱える戦いに身を投じる。男は雷を纏い次々に各国を侵略、皇帝へと昇りつめたのだ。
大陸を手中に収めた皇帝であったが、その恐怖と圧制に各地で反乱が相次ぐ。ついには自軍の将にすら裏切られ、帝国は崩壊したのだった。
かつての味方に追われ小さな城に篭城した皇帝。絶望した彼は愛槍を持ち、唯一愛した女と自分自身を焼き尽くし最期を迎えたといわれている。
剛勇で名を馳せた男は神殿より護神槍を強奪、大陸に覇を唱える戦いに身を投じる。男は雷を纏い次々に各国を侵略、皇帝へと昇りつめたのだ。
大陸を手中に収めた皇帝であったが、その恐怖と圧制に各地で反乱が相次ぐ。ついには自軍の将にすら裏切られ、帝国は崩壊したのだった。
かつての味方に追われ小さな城に篭城した皇帝。絶望した彼は愛槍を持ち、唯一愛した女と自分自身を焼き尽くし最期を迎えたといわれている。
2014年05月08日
守りの槍
牛を飼うことで生計を立てている小さな村があった。だが、その牛を狙って狼の一団が村を襲うようになる。
牛飼い達は必死で守ろうとしたが、狡猾な白い狼があざけるかのように村人達をあざむき、日々犠牲になる牛が増えていった。
「村を捨てよう」そんな話が出たときに、村でいちばん無口だった牛飼いが槍を持って外に出ていった。村人達に誰一人止める者はいなかった。
二日後、村の近くで白狼の死体と槍だけが横たわっていた。村人達は牛飼いがいつでも戻れるように、槍を村の入り口に掲げ、大切にしたという。
牛飼い達は必死で守ろうとしたが、狡猾な白い狼があざけるかのように村人達をあざむき、日々犠牲になる牛が増えていった。
「村を捨てよう」そんな話が出たときに、村でいちばん無口だった牛飼いが槍を持って外に出ていった。村人達に誰一人止める者はいなかった。
二日後、村の近くで白狼の死体と槍だけが横たわっていた。村人達は牛飼いがいつでも戻れるように、槍を村の入り口に掲げ、大切にしたという。
2014年05月07日
2014年05月06日
堕天使の槍
246の教会をもつ、大きな宗派があった。数百年も続く由緒正しき聖道。57代目の大神官である彼も、聖道への伝導活動を貫き通していた。
真面目を通り越して愚直。まさに神の申し子、誰からも慕われる立派な神官であった。しかし、彼の聖道は愚直ゆえに堅く、外圧に弱くもある。
この宗派を擁護していた国の王子が彼に聞いた。「神と私のどちらが正しいか?」彼は迷うことなく、神と答える。その答えに王子は激怒した。
彼の宗派は邪教と御触れが回り、数百年の聖道が一瞬で雲散した。彼は罵りを受けながらも王子に面会。持参した槍で己の喉をつき許しを請うた。
真面目を通り越して愚直。まさに神の申し子、誰からも慕われる立派な神官であった。しかし、彼の聖道は愚直ゆえに堅く、外圧に弱くもある。
この宗派を擁護していた国の王子が彼に聞いた。「神と私のどちらが正しいか?」彼は迷うことなく、神と答える。その答えに王子は激怒した。
彼の宗派は邪教と御触れが回り、数百年の聖道が一瞬で雲散した。彼は罵りを受けながらも王子に面会。持参した槍で己の喉をつき許しを請うた。
2014年05月05日
招雷の槍
森の奥地にある古城から、夜の国にまぎれて吸血鬼達が舞い上がる。村では多くの犠牲者を出したが、無敵の魔物の前になす術はなかった。
そんな噂を聞きつけ、腕利きのヴァンパイアハンターが村を訪れた。だが、彼もまたあまりの吸血鬼の数の多さに一人では戦えないことを悟る。
そこで四本の槍に秘石を埋め込み、村の若者に協力を依頼した。不穏な空気を察知した吸血鬼達はその夜、村に向けて一斉攻撃を開始する。
壮烈な死闘の後、朝の光の中には傷ついたハンター達と灰に戻った吸血鬼だけが残っていた。以来、この槍は村の守り神として奉られている。
そんな噂を聞きつけ、腕利きのヴァンパイアハンターが村を訪れた。だが、彼もまたあまりの吸血鬼の数の多さに一人では戦えないことを悟る。
そこで四本の槍に秘石を埋め込み、村の若者に協力を依頼した。不穏な空気を察知した吸血鬼達はその夜、村に向けて一斉攻撃を開始する。
壮烈な死闘の後、朝の光の中には傷ついたハンター達と灰に戻った吸血鬼だけが残っていた。以来、この槍は村の守り神として奉られている。
2014年05月04日
血族の紋章
武芸に秀でた兄弟が治める国があった。剛の武を持つ兄と、柔の武を持つ弟。兄弟は非常に仲がよく、国政はいたって安定していた。
ある日、一人の少女が兄弟に質問をした。「お二人は戦いで負けたことがないとお伺いしました。では、お互いが戦うとどうなるのですか?」
二人は、お互いに自らの優位性を主張し合った。それは激しい口論になり、末には兄弟同士で殺し合いをはじめてしまった。
この争いを見かねた神は、天から怒りの槍を降らせた。槍は兄弟を貫き、二人は息絶えた。人々は神の怒りを恐れ、この槍を祭壇に祭ったという。
ある日、一人の少女が兄弟に質問をした。「お二人は戦いで負けたことがないとお伺いしました。では、お互いが戦うとどうなるのですか?」
二人は、お互いに自らの優位性を主張し合った。それは激しい口論になり、末には兄弟同士で殺し合いをはじめてしまった。
この争いを見かねた神は、天から怒りの槍を降らせた。槍は兄弟を貫き、二人は息絶えた。人々は神の怒りを恐れ、この槍を祭壇に祭ったという。
2014年05月03日
バールベリトの涙
バールベリトとは人と悪魔の契約の際に現れ認証を行う悪魔である。彼は多くの邪悪な契約を認め、次々と人間を地獄に堕としていく。
あるとき、バールベリトは一人の人間の女を好きになる。それは病気の父を持つ若い女であった。彼女は悪魔に言う。「私の父を助けてください」
だが、そうすれば女は地獄に堕ち、悪魔のモノにはならない。悪魔は悩み、ついにひとつの答えを出す。「自分が代わりに地獄に堕ちればよい!」
急いで女の家に行くと、病死した父の傍らに眠るように女が死んでいた。死を理解できない悪魔は、女を延々と揺らし続けたという……。
あるとき、バールベリトは一人の人間の女を好きになる。それは病気の父を持つ若い女であった。彼女は悪魔に言う。「私の父を助けてください」
だが、そうすれば女は地獄に堕ち、悪魔のモノにはならない。悪魔は悩み、ついにひとつの答えを出す。「自分が代わりに地獄に堕ちればよい!」
急いで女の家に行くと、病死した父の傍らに眠るように女が死んでいた。死を理解できない悪魔は、女を延々と揺らし続けたという……。
2014年05月02日
草原の竜騎槍
昔、飛べない竜がいた。荒々しい高潔な心を持つ彼は人間と交わることはなかった。だがある日、傷ついた若き騎士と一匹の竜が出会う。
竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。翼のない竜は、役立たずと人に忌み嫌われていたからだ。
別れ際、騎士が言った。 「この恩は生涯忘れない」時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。竜が死を覚悟したその時……
「翼なき友よ!長く待たせたな!」あの時の騎士が国王となり、数千の兵と共に現れたのだ。竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。
竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。翼のない竜は、役立たずと人に忌み嫌われていたからだ。
別れ際、騎士が言った。 「この恩は生涯忘れない」時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。竜が死を覚悟したその時……
「翼なき友よ!長く待たせたな!」あの時の騎士が国王となり、数千の兵と共に現れたのだ。竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。
2014年05月01日
王位簒奪者の槍
連合王国の亡き後、権力を握り悪政の限りを尽くした皇后を人民からの信頼の厚い将軍が討った。将軍は平民の出で、話はよくある英雄譚。
将軍の出自は平民の中でも最下級、人を殺めることを生業としていた辻斬りである。15人目の標的を殺めたとき、警備兵に見つかり投獄された。
審判はすぐに下った。極刑。しかし将軍の人生を大きく左右した才能、それは美貌であり、その姿が皇后の目にとまることで極刑をまぬがれる。
皇后は将軍への愛情を注ぐが、それは執着へと変わっていく。将軍は皇后を虜にし失脚させることで王となる。是を知る者は将軍を簒奪者と呼ぶ。
将軍の出自は平民の中でも最下級、人を殺めることを生業としていた辻斬りである。15人目の標的を殺めたとき、警備兵に見つかり投獄された。
審判はすぐに下った。極刑。しかし将軍の人生を大きく左右した才能、それは美貌であり、その姿が皇后の目にとまることで極刑をまぬがれる。
皇后は将軍への愛情を注ぐが、それは執着へと変わっていく。将軍は皇后を虜にし失脚させることで王となる。是を知る者は将軍を簒奪者と呼ぶ。
2014年04月08日
背理の鎌
ある風の精霊が人間の若者に恋をした。精霊が人間と交わるのは禁忌であるにも関わらず、彼女の想いは日々募るばかりであった。
種族を裏切る精霊に与えられるのは死である。風の精霊の長は彼女の首を刈るように仲間に命じ、精霊にのみ効果があるという鎌を用意する。
気配を察知した彼女は、最後に若者にひと目逢おうと、森を駆け、海を渡り、山を飛ぶ。だが鋭い鎌を持った追っ手が彼女を追い続ける。
数年後、村ではある少年が元気に飛び回っていた。少年は自在に風を操ることができたのである。父親は彼を見守り続ける。何も語らずに。
種族を裏切る精霊に与えられるのは死である。風の精霊の長は彼女の首を刈るように仲間に命じ、精霊にのみ効果があるという鎌を用意する。
気配を察知した彼女は、最後に若者にひと目逢おうと、森を駆け、海を渡り、山を飛ぶ。だが鋭い鎌を持った追っ手が彼女を追い続ける。
数年後、村ではある少年が元気に飛び回っていた。少年は自在に風を操ることができたのである。父親は彼を見守り続ける。何も語らずに。
2014年04月07日
火鱗の戦斧
まだ人と神の境界が曖昧だった時代、天使と悪魔の大きな大きな戦争がありました。夜の闇は赤く燃え盛り、何人もの神が燃えて消えました。
10日間の炎に包まれた後、100日間の洪水があり、1000日間の嵐が地上を吹き荒れ、動物も植物も形あるものはすべて灰になりました。
巨人族を操り、最強を誇った堕天使ベリアルもついには熾天使の手により痛手を負い、幾重にも閉ざされた氷の冥界に封印されてしまいます。
この斧は、ベリアルが封印前に傷ついた際に剥がれ落ちたウロコから削り出されて作られたといわれています。
10日間の炎に包まれた後、100日間の洪水があり、1000日間の嵐が地上を吹き荒れ、動物も植物も形あるものはすべて灰になりました。
巨人族を操り、最強を誇った堕天使ベリアルもついには熾天使の手により痛手を負い、幾重にも閉ざされた氷の冥界に封印されてしまいます。
この斧は、ベリアルが封印前に傷ついた際に剥がれ落ちたウロコから削り出されて作られたといわれています。
2014年04月06日
嵐神の閃撃
破壊的な風を巻き起こす嵐神の怒りが込められた槍。運悪く、この突風を受けてしまった者は、骨だけ残し血と肉が吹き飛ぶ。
ある村に風を自在に操るやさしい青年がいた。青年の評判を聞きつけ彼の前に現れた嵐神。「お前の力がどんなものか、わしと勝負じゃ!」
道行く剣士の外套を風の力で脱がせた方が勝ち。強烈な突風で外套を吹き飛ばそうとする嵐神だが勝負は暖かいそよ風で薄着にさせた青年に
「人間の分際で、このわしに勝つな!」怒り出した嵐神は青年の血と肉を吹き飛ばす。その時の怒りが剣士の持つ剣に刻まれたという。
ある村に風を自在に操るやさしい青年がいた。青年の評判を聞きつけ彼の前に現れた嵐神。「お前の力がどんなものか、わしと勝負じゃ!」
道行く剣士の外套を風の力で脱がせた方が勝ち。強烈な突風で外套を吹き飛ばそうとする嵐神だが勝負は暖かいそよ風で薄着にさせた青年に
「人間の分際で、このわしに勝つな!」怒り出した嵐神は青年の血と肉を吹き飛ばす。その時の怒りが剣士の持つ剣に刻まれたという。
2014年04月05日
王妃の玉座
アウストラシア王ジギベルト一世妃ブルンヒルデは西ゴート王アタナギルドの娘で夫の死後、あとを継いだ息子が摂政となり実権を握った。
一方、ネウストリア王キルベリク一世妃フレデグンデはアウストラシア王国の領土をいまいましく思い、ジギベルト一世国王を暗殺してしまう。
アウストラシアとネウストリアは抗争を続け、ブルンヒルデの血族やフレデグンデの家族が次々と暗殺され、両国間は深刻な状態に陥る。
ブルンヒルデはネウストリア王クロタール二世との和平会談時に謀略に遭い処刑される。この斧はブルンヒルデの首を落とした斧と言われている。
一方、ネウストリア王キルベリク一世妃フレデグンデはアウストラシア王国の領土をいまいましく思い、ジギベルト一世国王を暗殺してしまう。
アウストラシアとネウストリアは抗争を続け、ブルンヒルデの血族やフレデグンデの家族が次々と暗殺され、両国間は深刻な状態に陥る。
ブルンヒルデはネウストリア王クロタール二世との和平会談時に謀略に遭い処刑される。この斧はブルンヒルデの首を落とした斧と言われている。