突然だが、自分はコオロギのキープが苦手である。冗談事ではないレベルで苦手である。
特に、凄まじい腐敗臭を伴いながら巻き起こる死のスパイラル現象には常々辟易してきた。
実際、3000匹注文したイエコを二日で全滅させた時には真面目に死のうかと思ったものである。
そもそも苦手なものを何でそんなに注文するんだと言うご意見もあろうが、仕方あるまい。3000匹から送料無料だったのだから。
まあ、という訳で飼育ライフにおいて自分は活コオロギのキープは極力避けてきた。時にはジャイアントワームを主食にと試みたり、時にはデュビアやレッドローチの繁殖に手を染め、またある時には缶詰や乾燥コオロギに逃げた。
しかし、どれもこれも最終的に通販に頼る事になるので、どうにも費用がかかる。普通に頼むと送料や手数料が余計にかかる。欲しい数によっては、餌本体よりも手数料その他の方が高くついたりする。
正直、軽く殺意が沸く。
結果、送料が無料になる様に(大抵の所で、ウン千円以上買えば送料無料とかのサービスがある)注文するのだが、そうなるとやっぱり余計に費用がかかる。場合によっては、残り数十円を埋めるために欲しくもない数百円の品を無理矢理見繕ったりするハメになる。何をしてるんだ自分は。
やっぱり、軽く殺意が沸く。
一番上手くいったのは、デュビアやレッドローチの養殖なのだが、これは弟夫妻に子供が生まれるに至って
両親からやめる様に通達が出た。
大切な孫を連れてくるのに、そんなもんの巣窟があっては不衛生極まりないと言う理由であった。
何せ、彼らはGである。どんなに台所に出没するGとは違うとは言っても、一般人にとってはどんなに頑張ってもGである事に違いはない。
可愛い甥の為と言われてしまえば、どうしようもない。
数年に渡る養殖事業は、あえなく終了に追い込まれてしまった。
あ、この件については、別に殺意沸かなかったからね。ホントだからね。
この様に、片田舎に住む爬虫類飼育者の自分は、常々餌の調達に悩まされていたのである。
しかし今年、通える距離に爬虫類を扱う店が出来た事で事情は激変した。
そこで、コオロギの購入が可能である事が判明したのである。
売っているのがキープしやすいヨーロッパイエコオロギではなく、些か扱いにくいフタホシコオロギだと言う難もあるが、否も応もない。
かくして、自分は帰ってきた。この地獄のコオロギフィールドに!!
やっぱり、必要な数を必要な分だけ買えるというのは有難い。
何といっても、通販に比べて格段に安くすむ。
これ、重要。
しかし、なんぼ近場で購入出来る様になったからといって、毎日買いにいける訳ではない。
何度か試した結果、週に一回、150匹程を購入するのが一番良いペースだと分かった。うちのコオロギ食い連中は、大体そのくらいで食い尽くす。
すると当然、最低一週間はコオロギをキープしなければいけない事になる。
一週間・・・・・・。たかが一週間とお思いだろうが、過去に何度も惨劇を目にしてきた自分には、なかなかに長い。さて、どうしたものか。
コオロギを活かしておくのに必要なもの。それは、
餌。
温度。
水。
の三つである。
この中で、一番の問題は水。
コオロギは水を好むが、湿気で死ぬ。
何を言ってるか分からねーと思うが、自分もだ。
コオロギは結構水分を必要とするのだが、それで湿度が上がると簡単に死ぬ。
前述の3000匹全滅事件においても、原因は湿気であった。
しかも、湿気のある状態で死亡者が出ると即座に腐敗し、アンモニアを発生させて周囲を巻き込む。 巻き込まれた連中も即座に腐敗してさらに周囲を巻き込む。
魔のスパイラルの発生である。
お金を出して買ってきたコオロギ達にこれをかまされると、殺意が沸く。
軽くではなく、本気で沸く。
・・・・・・さっきから殺意を沸かしてばっかだが、いくら殺意を滾らせた所で事態が好転する訳ではない。必要が生じた以上、正面から向かい合うしかない。でなければ、自分の爬虫類ライフに未来はない。
考えた。考えて考えて、考え抜いた。
そして、ある結論にたどり着いた。
全ての根源は、「水分」にあると。
そう、水分があるから湿度が上がる。
湿度が上がるから、コオロギが死ぬ。
コオロギが死ぬから、アンモニアが発生する。
アンモニアが出るから、魔のスパイラルが起こる。
そう。全ては水分があるから、いけないのだ。
この世の全ての悲劇は水から生じるのだ(言い過ぎ)
見つけたぞ!!この世の歪みを!!
そう結論づけた自分は、行動に出た。
コオロギ150匹をキープするにおいて、コオロギ飼育に必須と言われる水容器を設置しなかった。
霧吹きもせず、餌も乾燥系の人工飼料に限り、水気を徹底的に排除した。
さて。これでどうなるか。
こうして維持する事、一週間。
無事、150匹のコオロギは消費しきれた。
その間のロスは、僅か三匹。
勝ったと思った。
何に勝ったのだ問われれば答えようがないが、とにかく自分は勝ったのだ!!
以来、コオロギはこの方法でキープしている。とかくロスが少ないし、臭いもキツくない。
どうやら、150匹を一週間程度のキープなら、水無しで十分いけるらしい。
餌としての水分不足を心配するのなら、餌にする数時間前に葉野菜の一枚も放り込んでおけば十分である。
もっと沢山の数を、長期間キープするのなら話は別かもしれない。
しかし、現状そんな予定はないので問題ない。
そんな状況におかれている皆さんは頑張って欲しい。
心から応援している。
何かいい方法が見つかったら、是非公の場で公表してほしい。
パクらせてもらうから。
ちなみに、今回の文を読んでやってみようか等と思った方は自己責任で。
何かあっても当方は責任を負いかねます。
あしからず。
という訳で、今宵も贄となるコオロギを物色する自分だったりするのであった。
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